小沢一郎「強制起訴」の検察審査員は2回とも平均年齢34・55歳の怪! 有田芳生の『酔醒漫録』2010年10月26日付(2010.11.2)

 

有田芳生の『酔醒漫録』 http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/ 

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有田芳生氏の質問(参議院法務委員会20101026日)

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2010/10/26

小沢一郎「強制起訴」の検察審査員は2回とも平均年齢34・55歳の怪!

  10月26日(火)法務委員会が終わった。質問冒頭にこんな趣旨を語った。〈昨年5月からはじまった裁判員裁判ではじめての死刑求刑が行われ、司法への国民参加が大きな話題となっています。同じときからはじまり強化された検察審査会への関心も小沢一郎議員への起訴議決で高まっています。今日はこの検察審査会についてお訊ねします。まず前提としてお願いしたいのは、専門用語を多用した朗読でなく、だれにもわかりやすい言葉で説明していただきたいということです。作家の井上ひさしさんは「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに ゆかいなことをまじめに書くこと」をモットーとしていました。この委員会でも「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく」説明していただくようお願いいたします。〉ところが法務省の刑事局長などの答弁は、予想通りの専門用語の羅列ばかり。国会の政治文化を変えて行くのは並大抵のことではない。東京第5検察審査会で「小沢問題」を起訴議決した平均年齢は1回目も2回目もメンバーが変わってるのに、34・55歳と同じだ。しかしこの組織は内閣からも独立しているため、内実はまったくわからない。会議の開催数、時間、内容なども会議録はあるのに公開する術がないのだ。当局は東京第5検察審査会の事務局が9人であること、コンピューターでクジを引く担当者は事務局長であることを明らかにした。しかし組織そのものの透明性、公平性を確保しなければ政治利用可能な余地が充分にあるということである。実体は内部告発や審査員を探し出して取材するしかない。

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(以下、20101116日加筆)

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0103/176/17610260003003a.html 

参議院議員会議録(第176回国会 法務委員会 第3号 平成二十二年十月二十六日)より 有田芳生議員の箇所を抜粋 

 

○委員長(浜田昌良君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。

 質疑のある方は順次御発言願います。

○有田芳生君 民主党の有田芳生です。

 昨年の五月に裁判員制度が始まりまして、そして、今朝も大きく報道されておりますけれども、初めての死刑求刑が行われたということで、国民の司法への参加が、様々な議論も含めて関心事として広がっております。同時に、昨年五月の強化された検察審査会についても、小沢一郎議員への起訴議決によって国民の関心は大いに高まっております。今日はこの検察審査会についてお尋ねいたしたいというふうに思います。

 まず、前提としてお願いをいたしたいんですが、これからの答弁で、専門用語を多用した朗読ではなく、だれにも分かりやすい言葉でなるべく説明していただきたいというふうに思います。作家の井上ひさしさんがお亡くなりになりましたけれども、井上さんは、難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことをまじめに書くこと、それをモットーとされておりました。この委員会でも、難しいことを易しく、易しいことを深く説明していただくように、まずお願いをいたしたいと思います。

 まず、法務当局にお伺いしたいと思いますが、検察審査会の意義と役割について、その趣旨、そして権限について御説明ください。

○政府参考人(西川克行君) お答え申し上げます。

 まず前提として、我が国の刑事訴訟は、基本的に、刑事事件についての公訴の提起は検察官が行うという起訴独占主義を採用をしております。検察審査会制度は、一般国民の中から無作為に抽出して選出された十一名の検察審査員で構成される検察審査会が検察官の不起訴処分の当否を審査することを通じて、検察官が行う公訴権の実行に民意、すなわち、一般国民の感覚を反映させてその適正を図るということを趣旨とするというものでございます。

 次に権限でございますが、検察審査会は、検察審査会法上、まず検察官の公訴を提起しない処分、すなわち不起訴処分の当否の審査及び検察事務の改善に関する建議又は勧告を行う権限を有すると規定されております。このうち、不起訴処分の当否の審査については、検察官が不起訴処分にした事件の告訴人、告発人、被害者等からの申立てがあるときには不起訴処分の審査を行わなければならないとされております。また、検察審査会は、その過半数の議決があるときは、職権による不起訴処分の審査や検察事務に対する建議又は勧告を行うことができるとされております。

 以上でございます。

○有田芳生君 なかなか難しいことを易しくというのは難しいようですね。井上ひさしさん流にはなかなかいかないようですが。

 要するに、憲法にある国民主権の理念というものを司法の現場に生かすために検察審査会が生まれたと私は理解しております。一九四八年にこの制度ができて、四九年の一月に初めてくじ引が行われて、そのときのことも調べてみますと、やはり当時国民的に大きな関心を呼んでおりました。しかし、それ以来、不起訴不当判断によって検察側の再捜査を行っても起訴されたのはこれまで一割にも満たないという現実。ですから、検察に対する十分なチェック機能は働いていないというふうに思いますが、そのことと、今から説明をいただきたいんですが、去年五月の改正検察審査会法について、この制度が導入された意味というものはどういうことなんでしょうか。

○政府参考人(西川克行君) まず、いわゆる起訴議決制度の概要について御説明を申し上げます。

 御案内のとおり、起訴議決制度というのは、検察官の不起訴処分について、検察審査会が検察審査員八名以上の多数によって起訴相当を議決をした場合において、これが一回目の審査ということになりますが、検察官がその事件を再度不起訴処分にした又は一定期間内に起訴しなかったときは、検察審査会は改めて審査を行わなければなりません。これが二回目の審査でございまして、この審査において改めて起訴を相当と認めるときは、検察審査員八名以上の多数により起訴をすべき議決、いわゆる起訴議決を行います。その議決がありますと、裁判所から指定された検察官としての職務を行う弁護士、指定弁護士によって当該事件が起訴されるという制度でございます。

 この起訴議決制度が導入された趣旨については、先ほど委員からも御説明がありましたとおり、従前、検察審査会の議決にはいわゆる法的な拘束力はなく、検察審査会の議決を参考にしつつも、公訴を提起するかどうかは最終的には検察官が判断するものとされておりました。起訴議決制度が導入された趣旨は、公訴権の行使に国民の感覚をより直接に反映させるということによりまして、公訴権の行使をより一層適正なものにするということにあり、これによって司法に対する国民の理解と信頼を深めるということを期するものでございます。

○有田芳生君 もう少し分かりやすく説明していただきたいんですが、どうして不起訴事案だけということになるんでしょうか。

○政府参考人(西川克行君) 御案内のとおり、起訴事件というのは裁判所においてその後審理が行われます。そして、もし証拠が足りなければ無罪、あるいは公訴提起の手続に違法があれば公訴棄却等の判断がなされて、その段階で裁判所によってチェックされると、こういうシステムになっております。

 これに対して、不起訴につきましては、検察官の処分の後、これをチェックするというシステム、これが検察審査会がないとないものでございますので、特に不起訴処分についてそれをチェックするという意味で検察審査会が設けられていると承知をしております。

○有田芳生君 昨日、参議院の予算委員会で自由民主党の森まさこ委員から質問があった中で、尖閣列島の問題で資料を出されまして、そのとき、検察の不起訴処分に対する不服申立ての手段について、事件が起きたとき、不起訴になったとき、検察審査会への申立てができるんだと、しかし一方で処分保留については申立て手段がないという的確な指摘がなされました。

 同時に、やはりこの検察審査会というものも、国民主権の理念を司法の現場に適用するということならば、不起訴処分だけ、不起訴不当だけではなく起訴不当議決もできるようにするのが憲法の理念を生かすことではないかというふうに思いますが、そのことは今後大いに検察審査会の在り方として、起訴されてもこれは不当だという議決ができるようなことまでやはり考えていくことも一つの方向だということ、それを指摘だけさせていただきたいと思いまして、次に、具体的に検察審査会審査員の人選について法務省にお伺いしたいと思います。

 一般論としてどのように審査員が選ばれるのか、そのことについてお教えください。

○政府参考人(西川克行君) お答え申し上げます。

 まず、検察審査員は、当該検察審査会の管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する一般国民の中から十一名がくじによって選ばれます。検察審査会法上、検察審査員の任期は六か月とされておりまして、三か月ごとに半数が改選をされるということになっております。具体的には、年四回、各検察審査会の管轄区域内の市区町村の選挙人名簿を基に、検察審査会事務局長が調製した各回百人の候補者名簿の中から五人又は六人の審査員及び同数の補充員を、地方裁判所の判事又は地方検察庁の検事各一人の立会いの下、くじで選定するということとされております。

○有田芳生君 そうすると、有権者のところに郵便物で、あなたは検察審査会の委員に選ばれましたというものが届くわけですよね。その段階で断ることはできるわけですよね。いかがでしょうか。

○政府参考人(西川克行君) 検察審査会に選ばれた場合でも、法律の規定上除外される場合、あるいは自らその職を辞退する場合と、こういうものが法律によって定められておりますので、一定の要件があれば先ほど御質問のありました検察審査員の職務を辞退することができるということにされております。

○有田芳生君 それは七十歳以上の方とか病気だとかあるいは学校に通っておられる方、それぞれだというふうに思いますけれども、そのときの辞退の可否、いいですよ、駄目ですよということは事務局の判断になるわけですか。

○政府参考人(西川克行君) 検察審査会自身の判断ということになります。

○有田芳生君 そのとき、辞退したいという返事が来たときに、事務局の方でその方を説得することはありますか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 事情をお尋ねすることがあるかどうか、これはよく分かりませんが、説得をするということはないというふうに承知をしております。

○有田芳生君 そうしますと、ちょっと裁判員裁判の方に移りますけれども、裁判員裁判の辞退率というのは何%なんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 全国の裁判員裁判で、去年の五月から制度が始まったわけでございますが、今年の七月末までの時点で集計をいたしますと、速報値でございますが、五一・五%の方が辞退が認められているということでございます。

○有田芳生君 それでは、全国に百六十五ある検察審査会で辞退率は何%でしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 今、委員御指摘の数字については私ども把握をしておりません。

○有田芳生君 東京には七つの検察審査会がありますが、東京第五検察審査会の辞退率、把握されていますでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 第五検審の辞退率につきましても、全事件については把握をいたしておりません。

○有田芳生君 その東京第五検察審査会、御存じのように、小沢一郎議員にかかわる陸山会土地購入事件に関する審理を行いましたけれども、この東京第五検察審査会の事務局の人数、それから辞退者を担当する人数、それからコンピューターくじを担当する人数、把握されていますでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 第五検察審査会の職員の数は九名と承知をしております。

 それから、実際の事務でございますが、これはちょっと内部のことでございますので、よく分かりません。

 それから、くじでございますが、これは法律で事務局長がくじで選定するというふうになっておりますので、事務局長が実際のくじは最終的な、これパソコンを用いてやっておりますけれども、その作業をしていると承知をしております。

○有田芳生君 検察審査会の人選というのは有権者から、そして七十歳以上の方は断ることもできるということですよね。

 実は、日本社会で今、有権者の平均年齢、二十歳以上の有権者の平均年齢は五十二・〇二歳なんですよね。

 皆様方のところに資料をお配りしておきましたけれども、改正された法律以降の検察審査会の議決、代表的なものをお示ししておきました。鳩山前首相にかかわる東京第四検審の議決、平均年齢五十二・三六歳、JR福知山線脱線事故事件、これが二度行われておりますが、四十七歳、五十三歳、明石の事件も五十三歳、四十二歳と。

 これを見ても、大体平均年齢に近いかなと、妥当だなという理解ができるというふうに思いますが、陸山会の問題について、当初、検察審査会が、一度目が四月、二度目がその後ですけれども、十月ですよね。四月、一度目の議決をしたときには、初め、平均年齢は三十四・二七歳という発表がされましたよね、あるいは二度目のときには三十・九〇歳。それで間違いありませんか。初めの発表です。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 第二段階の平均年齢について、当初、三十・九歳と公表したことは事実でございます。

○有田芳生君 それでは、最終的に正確な平均年齢、一回目は何歳だったでしょうか。一回目だけで結構です。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 議決時における平均年齢は、一回目は三十四・五五歳というふうに発表をいたしました。

○有田芳生君 無作為に選んで十一人が決まって、それが一度目が三十四・五五歳。そのことについて、この間の十月十五日、参議院予算委員会で、植村さんのお答えでしたよね、こう語っていらっしゃいます。やはり確率的に言うと珍しいことが起きたような気はいたします、それは間違いありませんか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) そのようにお答えしたことは間違いございません。

○有田芳生君 一回目の平均年齢が三十四・五五歳。それでは、二回目の平均年齢、何歳だったでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 二回目も、議決時で計算をいたしますと三十四・五五歳でございました。

○有田芳生君 東京第五検審の陸山会をめぐる議決二回で、二回とも三十四・五五歳、二回ともですよ。無作為に有権者からくじで選んで、二回とも三十四・五五歳。こんなことあり得ますか。大臣、どうですか。

○国務大臣(柳田稔君) 個別の案件にお答えすることはできません。

 ただ、私も理系でございましたので、いろいろ確率は勉強してきましたけれども、ああ、こんなまれなことも起きるんだなという感じは持ちましたけれども、あくまでも一般論の個人的感想です。

○有田芳生君 桜美林大学の教授で数学者の芳沢光雄先生にお話を伺いました。統計についてはとてもお詳しい方ですが。

 例えば、先ほど、間違った年齢について検察審査会が発表したとき、三十・九歳ですよね。それが果たして起きる確率は、東京都で七十歳以上を省いて住民基本台帳から二十歳から六十九歳の人口を計算をして、そして三十・九歳以下になる確率は幾らかということをきっちりと計算をしてもらいましたら、〇・一二%。コインを十回転がして、全部表に出る。

 私は、実は時間があれば今日皆様方にコインをお持ちしてここでやってもらおうかと思った。ここに来る前に秘書の皆さんに百円玉転がしてもらいましたよ。だれもあり得ないんですよね。それが、二回目の議決のとき、三十・九〇歳でも、コイン十回ひっくり返したってすべてが表というようなことがあり得ないだろうと思われるのが二回続けて起きている。しかも、年齢が何と三十四・五五歳。おかしくないですか、これ。いかがですか、感想で結構ですけれども、刑事局長、いかがですか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 私どもといたしましては、適正な選定をした結果だと承知をしております。

○有田芳生君 こうした世間ではほぼあり得ない奇跡的なことが起きているということについて、やはり国民の多くは密室で恣意的な選定が行われたんではないかというような指摘もありますし、あるいは三十四・五五歳、二回とも続いているということならば、メンバー変わってないんじゃないかという疑問も生まれるわけですよね。

 これは、しかし一回目は男性七人、女性四人、二回目が男性五人、女性六人ということですから同一メンバーではないんですが、しかし三十四・五五歳が二回連続起こるということについてそういう疑問が出てきておかしくないと思いますが、そのことについてはどうお考えになりますか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) たまたま皆さんの年齢を合計した数が一致した結果だと承知をしております。

○有田芳生君 先ほど、確率的に言うと珍しいことが起きたとおっしゃいましたよね。そのことが二回続けて起きた、しかも下二けたの年齢まで一緒の事態が起きている。これはたまたまといって済ませることができるんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 私どもといたしましては、そういう結果が適正な選定の結果出たと申し上げるしかないと思っております。

○有田芳生君 だから、恣意的でないということを証明する必要があるわけですが、議事録はあるんですか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 検察審査会では、検察審査会議が行われますと会議録というものを作りますが、くじにつきましては、先ほど法務当局からも御説明がございましたが、パソコンを用いまして判事一人、検事一人の立会いの下にやっておりまして、それ以上議事録の関係でどうなっているか、私は承知しておりません。

○有田芳生君 審査会法の第二十八条、「会議録は、検察審査会事務官が、これを作る。」、議事録はあるわけですよね。しかし、独立しているからその中身については分からないという、そういうことでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 検察審査会議の会議録は、検察審査会議について作ると承知をしておりますが、検察審査会議は非公開と法律で定められておりまして、その趣旨を生かすために会議録も非公開の扱いになっておるというふうに承知をしております。

○有田芳生君 しかし、こういう極めてまれなあるいは奇跡的と言われるような事態が起きているのに、その議論がどのようになされているのか分からない、それじゃ納得できないんですよね。一体、何回開かれ、会議が、何時間議論されたんですか。それも分からないんですか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) それも私どもでは承知をいたしておりません。

○有田芳生君 先ほど、JR福知山線脱線事故あるいは明石歩道橋事故についても指摘をしましたけれども、神戸の検察審査会は明石で七回、JRで九回、審査会会議を開いたと発表しておりますが、どうして東京第五検察審査会はそういう発表をできないんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) その点に関しましては、東京第五検察審査会でお決めになったことでございまして、私どもとしてどうしてできないのかというようなことは承知をいたしておりません。

○有田芳生君 あるいは、裁判員裁判では六人の裁判員を選びますよね。ところが、その六人の裁判員に対して検察と弁護側は、理由を示さずに特定の候補者を拒否することができるわけですよね。ところが、この検察審査会の委員を決めるときには、審査される側の弁護士もあるいは申立人の代理人もそういう選任にはかかわれない、こういう現実がありますけれども、そのとおりでよろしいですね。

○政府参考人(西川克行君) その人たちが選任にかかわるということは予定されておりません、ありません。

○有田芳生君 さらに、審査補助員、弁護士さんですけれども、この方が審議は議決まで一か月以上掛けたと、複数回だったということをマスコミに公表されておりますが、これさえ確認できないわけですよね。そういうことでよろしいでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 私どもとしては承知をいたしておりません。

○有田芳生君 取材をしますと、この東京第五検察審査会の出入りをしていた若者たち、三十四・五五歳の人たちは、これが全く悪いということではないんですが、ミニスカート姿の女性であるとかジーンズ姿の若者たちがよく出入りをしていたということが目撃をされております。そして、この人たちは九月に入ってから平日に頻繁に集まって審議を行ったということが報道されておりますけれども、読売新聞の十月六日付け朝刊に、この審査補助員を務めた弁護士さんがどういうように審査員たちに話をしたかということを具体的に語っていらっしゃいます。紹介しますと、「暴力団や政治家という違いは考えずに、上下関係で判断して下さい」。

 こういうことを、若い人たち、もう立派な方々はいっぱいいらっしゃいます。それを前提でお聞きしたいんですけれども、こういう言い方、暴力団も政治家も一緒だというような、そういう説明があると、これは誘導と言われても仕方がないんじゃないですか。これはだれにお聞きすりゃいいんですかね。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 審査会議の中身についての御質問でございますので、私どもとしてはお答えする限りにないと思っております。

○有田芳生君 この審査補助員がいつ選ばれたのか、それも分からないわけですよね。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) いつ委嘱の決定がなされたのかも承知いたしておりません。

○有田芳生君 それでは、議決は九月十四日に行われて、そして新聞報道などによると九月の八日段階あるいは七日段階でマスコミが知ることになりましたが、この弁護士さんによりますと、一か月以上審議の時間を掛けて複数回話合いを行ったと、説明を行ったと。だけど、その議論の中身も回数も、そして時間も、そしてこの審査補助員が決まったときも分からない。極端に言えば、もし九月七日に選ばれたとすれば、九月十四日議決ですから、選ばれてわずか一週間で重大な政治的な影響を与える議決が行われたという。このように、もう全くもって分からないのが東京第五検察審査会の実態なんですよね。

 だから、こういうやみの中のままで物事が進んでいけば、本当にこの東京第五検察審査会で適切な人選が行われたのか、そして審査補助員による誘導が果たしてなかったのか。透明性が全くないわけですから、公平性さえ疑わしいという疑問が出てきても当然だというふうに思います。

 どうですか、大臣、こういう実態で政治家が窮地に追い込まれることもあるということになれば、これは民主党の議員ということだけではなく、やはり検察審査会が政治利用される可能性もあるということを考えると、このままでいいんでしょうか。どうお考えですか。

○国務大臣(柳田稔君) 検察審査会法は平成十六年に改正され、起訴議決制度が導入されるなどいたしまして、当改正法は昨年五月に施行されたばかりでございます。

 当面は改正検察審査会法の運用状況を見守るべきだと考えておりますが、今委員が御指摘のような御意見もございます。その点については、どうぞ国会で御議論をいただき、国会で考えがまとまるようであれば我々としてはそれに従いたいと存じます。

○有田芳生君 要するに、独立した機関だから、会議がどれぐらい行われたかもメンバーもはっきりしない。裁判員裁判だって、初めは難しかったけれども、積極的に記者会見をやって自分たちの感想を語ることがあるわけですよね。ところが、この検察審査会については、年齢がまあ不可思議な三十四・五五歳ということが分かっておりますけれども、じゃ、一体どういう考えでどういう判断を下したというのは全く分からない、やみの中なんですよね。しかも、独立した機関ですから、仮に起訴権限の濫用があっても、内閣が憲法上の行政責任を取り得ないわけですよ。これは憲法違反だというような指摘もありますけれども、大臣、いかがですか、あるいは小川副大臣でも結構ですけれども。

○副大臣(小川敏夫君) 検察審査会そのものが、国、言わば行政ですね、こうしたところから独立して、そうしたところとの利害もない、指揮も受けない、そうした独立したところで国民の生の声の判断をいただくというところでありますので、なかなか、国、行政が責任を取るという筋合いでもないし、また監督するという筋合いのものでもないのかなと。まさに国民に自由に参加してもらうという、その根本の精神からできたのが検察審査会のその本質だというふうに思います。

○委員長(浜田昌良君) 有田芳生君、質疑の時間が来ておりますので、おまとめください。

○有田芳生君 しかし、そうはいっても、今日指摘をしたような深い疑問が広がっているときに、やはり検察審査会が透明性を確保して公平性が保障されなければ、国民の深い疑問というのは解消できないというふうに思います。中には、市民の名による検審ファッショだという意見さえ出ておりますから、この問題にもこれから深いメスを入れていただきたいということをお願いをいたしまして、質問を終わります。