亡国の菅政権三大失策 日本一新の会 達増拓也(岩手県知事) 『晴耕雨読』(2010.12.26)

 

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2010/12/26

「亡国の菅政権三大失策 日本一新の会 達増 拓也 (岩手県知事)」  その他

◎シリーズ小沢一郎論―10 亡国の菅政権三大失策

日本一新の会 達増 拓也 (岩手県知事)

 

 菅首相が小沢一郎氏と会談し、政倫審出席に関して物別れに終わった、というニュースを見て、暗澹たる気持ちになった。

 

最高権力者が、実質的に不当なことを強行しようとする異常な姿勢。

 

それに加え、善悪を別にして、困難なことをやろうとしつつ、とてもできそうにない、驚くほどの稚拙なやり方。

 

「亡国」という言葉が頭をよぎる。

 

 参院選で消費税引き上げ論議を持ち出したことも、横浜APECに向けてTPP参加を打ち出したことも、そうだった。

 

今回の小沢政倫審出席問題と合わせ、亡国の三大失策である。

 

他にも亡国的な失策はたくさんあるが、消費税、TPP、政倫審の三つは、内閣が吹き飛ぶような失策をよせばいいのに自ら招いたという点をはじめ、いくつか顕著な共通点があり、他と区別して取り上げる意義があると考える。

 

 消費税引き上げ、TPP参加、小沢氏政倫審出席の三つは、どれも一見良いことのように見え、マスコミ世論調査でも賛成が多く、全国紙の社説のほぼ全てが賛成している、というところが共通している。

 

 しかし、よく考えてみると、消費税引き上げは経済・雇用が低迷している時にやるのは無茶であり、人々を路頭に迷わせないような対策をまず構築しなければならないはずだ。

 

TPP参加も、調べれば調べるほど無茶である。

 

輸出に強みがある、少なくとも輸入に弱みが無い、関税撤廃でダメージを受けないような中小国同士の協定がベースだ。

 

そこに、それらの国との間では弱みがないアメリカが参加するのは分かるが、日本が参加するのは得より損が多いだろう。

 

また、米韓FTAに負けるな、という声がある。

 

だがあれは、アメリカが、韓国の牛肉輸入障壁を崩し、米国自動車の対韓輸出について韓国自動車の対米輸出以上の条件改善を飲ませようとするのに韓国が抵抗して、交渉が行き詰っていた。

 

それが、北朝鮮の韓国砲撃で韓国が妥協に走り、米国も牛肉をあきらめ、それで合意に至ったものである。

 

韓国の対米自動車輸出より、米国の対韓自動車輸出のほうが大きく条件改善される内容である。

 

一方韓国は農業を守ったままである。

 

日米間で関税撤廃するのとは全然話が違う。

 

 そして、小沢氏政倫審出席が、いかに理の無い、検察の暴走の尻馬に乗って暴走する民主主義の破壊であるかは、読者の皆さんはよくお分かりのことであろう。

 

菅首相らが本気で真実を知りたいなら、まず自分達で調べればよい。

 

そうすれば、小沢氏の秘書らの逮捕がいかに不当であるかが分かり、検察審査会の起訴議決がいかにでたらめであるかが分かるはずだ。

 

問題の多い調書作成過程など、検察のあり方を変えること、そして検察審査会のあり方も変えることこそ、政府・与党が本気で取り組むべきことである。

 

 百歩譲っても、消費税、TPP、政倫審の三つは、賛否両論が均しく論じられるべきテーマであり、問答無用で賛成を押し付けてよい問題ではない。

 

私は、問答無用で反対と決めてもいいくらいの三大無茶だと思うが、議論の余地は認めてもよい。

 

 それを、マスコミ世論調査とマスコミ論調を後ろ盾にして、しゃにむにつっ走ろうとするのは、間違っている。

 

そもそも、マスコミがこの三つに関して安易に賛成のスタンスを取るという判断ミス(意図的かもしれないが)をしており、世論も間違った方向に誘導されてしまっているのだ。

 

菅政権とマスコミが共に三連敗なのである。

 

 さらに問題なのが、政権による進め方の稚拙さである。

 

結果として、消費税で民主党が参院選に大敗してしまった。

 

TPPでは作らなくてよい国民間の亀裂を国内的に生じさせ、国際的にはTPP交渉に同席させてもらえない恥をかいている。

 

政倫審問題では、予算編成を中心に国民と一体になって政策を実現していくハイライトたるべき年末に、政府・与党のエネルギーのかなりの部分を内部対立と混乱の拡大に費やすという空前の愚挙を天下にさらすはめになっている。

 

 まあ、悪事に失敗しているのだから、国民生活や民主主義の致命的な破壊に至っていないことは不幸中の幸い(最大不幸中の最小幸福だが)である。

 

しかし、国の舵取りとは、失敗ということが許されない、真剣勝負の世界である。

 

失敗したら、政権を譲るしかない。

 

そのへんの所がはっきり見えてきた今日この頃である。