石川知裕議員裁判での検察側主張の根本的矛盾 植草一秀の『知られざる真実』(2011.2.9)

 

植草一秀の『知られざる真実』 http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/ 

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2011年2月 9日 (水)

石川知裕議員裁判での検察側主張の根本的矛盾

石川知裕衆議院議員、大久保隆規氏、池田光智氏に対する裁判が始まった。検察側は水谷建設から違法に受け取った1億円の裏金の存在を隠蔽するために、原資を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、虚偽記載を主張した。
 
 これに対して、小沢一郎民主党元代表の3人の秘書は、裏金の受領を全面的に否定している。
 
 検察側は水谷建設から1億円の裏金を受け取ったことを前提に置き、このことを隠蔽するために不動産取得資金を銀行からの借り入れとして収支報告書に記載したことを虚偽記載であると主張している。
 
 2009年3月3日に大久保隆規氏が突然逮捕されたことが問題の発端であるが、この事件がその後、どのような経過を辿ったのかをメディアはまず詳しく説明するべきだろう。
 
 検察は収支報告書には新政治問題研究会と未来産業研究会の名称を書かずに西松建設と記載すべきだと主張した。寄付を行ったものを新政治問題研究会、未来産業研究会と記載したことを虚偽記載だと主張した。
 
 ところが、昨年1月13日の第2回公判で、検察側証人として出廷した西松建設元総務部長が二つの政治団体に実体があったとの証言をした。この証言により、大久保氏の無罪、無実は決定的になったのだ。
 
 この天地を揺るがす巨大ニュースをメディアが一切報道しなかったことに、一連の事件の異常さが明確に示されている。すべては、小沢一郎氏せん滅を目的とする政治謀略なのである。
 
 史上空前の検察不祥事を隠蔽するために、無理やり大久保氏、石川知裕氏、池田光智氏を逮捕したのは、その2日後だった。
 
 腐った検察は、およそ刑事事件として取り扱うような内容のまったくない、チンピラの言いがかりのような事由で現職国会議員を含む3人を逮捕するとの暴挙に出たのだ。
 
 検察OBを含む専門家は口を揃えて次のようにコメントした。この逮捕事由が本丸であることは考えられない。巨大な裏金の存在、それに関連する収賄などの巨大犯罪が存在しなければ、このような微罪で逮捕ということはあり得ない。
 
 検察はその後、1年以上にわたって違法とも言える強制捜査を繰り返して、裏金の存在、収賄などの事案をしらみつぶしに調べた。

 

ところが、検察は、これらの本丸に関して、何ひとつ立証することができなかったのである。
 
 このことを踏まえると、石川氏、大久保氏、池田氏の裁判は重大な矛盾のなかにあることが明白である。検察は冒頭陳述で3名の元秘書が水谷建設からの裏金を受け取り、この事実を隠蔽するために不動産取得資金を銀行借り入れとしたと主張したが、水谷建設からの裏金は検察が立件しようとして立件できなかったことがらではないのか。
 
 立証もできないことがらを、あたかも事実であるかのように強調し、マスメディアにイメージ報道を流布させるのは、あまりにも卑劣である。
 
 検察側は水谷建設関係者を証人申請し、立証できなかった裏金問題をあたかも存在する疑惑であるかのイメージを植え付けようとしているが、精査に精査を重ねて立証できないとの結論に至ったことを素直に示せばよいだけのことである。
 
 水谷建設のすべてを把握していると見られる水谷建設元会長は、裏金問題が検察による「創作」であると証言しており、この発言が真実を示しているものと思われる。
 
 日本の場合、裁判所は政治から独立しておらず、内閣総理大臣が実質的に裁判を指揮できる構造が存在する。とりわけ、政敵に対してはこの権限が不正に行使されているケースが後を絶たない。
 
 裁判を担当する判事が、権力の狗(いぬ)であるのかどうかを、市民が精査する必要がある。
 
 いずれにせよ、検察が捜査に捜査を重ねて立証できなかったことを、立証の根拠に用いることの矛盾を改めて確認する必要があり、この意味で秘書3名の検察側主張がいかに脆弱な基盤に立っているのかは明白である。検察の卑劣で不当な立証を糾弾し、公正な裁判が行われ、小沢氏、石川氏をはじめとする元秘書3名の完全無罪を勝ち取るための世論を正しく形成してゆかねばならない。

 

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