米長邦雄十段のショーゲキヌード――将棋「十段」戦を前に、鳥取砂丘に遊ぶ 「FOCUS」 1985年11月1日号

  

 んーとコレはいわゆるひとつのナニである。まそのーつまりいうところのアレである。全裸! 将棋の米長邦雄十段、オトコ42歳の本邦初公開衡撃ヌードなんである。十段が左手に丸めて握っているのはいうまでもなく、パンツである。

 将棋界にはいま、3人の断然ツオイ男がいる。いや4強だ5強だと評するムキもあるが、ほんとうに強いのはやっぱり、中原誠名人・王将・王座3冠王と米長十段・棋聖2冠王と無冠の谷川浩司前名人の3人につきる。その中原と米長の激突7番勝負が始まった。第24期将棋「十段」戦米長十段に中原名人が挑む、棋界今年最後のビッグタイトル戦である。第1局はこの24日に始まったが、何せ7番勝負の長丁場だから、米長中原のいずれかが4-0でストレート勝ちしても結果がでるのは11月末、もし最終第7局までもつれこめば勝負の帰趨は年を越すまで分らない。

 さて、この写真であるが、撮影は10月19日の朝。場所はそう、鳥取砂丘である。ああそれにしてもこの米長十段のキ・モ・チよさそうな顔。大勝負を5日後に控えたタイトル保持者の忙中閑といったところか。でもそれにしても何で十段は生れたまんまになっちゃったんだろう。十段は前日の18日に鳥取に赴き、週刊誌の連載企画でアマ有段者と駒落将棋を3局指し、市内に1泊して東京へ飛行機で戻る前に砂丘に寄って、最初はむろんパリッと背広を着ていたのだけれど、そのうち「あー気持いいネ」なんていいながら突然、脱いじゃったのである。これには同行の弦巻カメラマンもブッ魂消た。けれどカメラマンはカメラマンだからしっかりシャッターを切ったという次第。しかし考えようによっては実に不思議な写真だ。天才プロ十段がここで脱ぐ必然性ってヤツが我らアマチュア凡人(ヘボ)将棋指しにはまるで分らないのだ。が、よーく見ると、風が股間を吹きわたり、何だかその叢をサワサワとそよがせる音がきこえてくるみたい。

 天才に奇行はつきものである。でも米長十段は諸事万般に気をつかう常識人である。将棋もツオイ。「週刊文春」誌上では連載コラムをもち、"夫の韓国キーセン旅行を断念させたく毎日悩む妻"なんかの人生相談にのったりもするのだ。そしてそのうえでこの人は時に、ふっと、遊んでみるのが好きなのだ。株、囲碁、ゴルフ、ジョーク、そして今回は砂丘ヌード……。

 最後に十段戦の予想であるが、正直いって棋界では「中原有利」の声が強い。たしかに中原は今年に入って谷川を倒して3年ぶりに名人位に就いて好調である。が、時の名人を挑戦者に迎えて米長が燃えないわけがない。ここはぜひ一番、十段に"名人より強い"ところをみせてもらいたいものである。 PHOTO 弦巻 勝