その背中は思った以上に大きく、
そして・・・何よりも暖かかった



世界はどうして唐突に変わってしまったのだろう
今日も私はそんな疑問を胸に抱く
変わらないはずの日常だった・・・
いつもみたくDDセンターで遊んで
そして、帰ろうとしてた
でも、一歩出た先は悪夢のような現実で
不思議なおじーさんに連れられて来た場所で
この子、雪野 タクミに出会った
・・・大変なのはその先
おじーさんは・・・・・居なくなっちゃうし
現実のはずなのにドラゴンは出てくるし
折角、力になってくれると思ったマスターさんとも離れちゃうし
方向音痴の古董 ケンジの所為で山梨県には行っちゃうし・・・っ
東京から横浜なんてすぐでしょ・・・っ!
どうして間違えるのよっ!!?
・・・・・と。そんな怒りをぶつけながらも
私達は当初の目的
横浜にたどり着いたのだった


「とりあえず・・・駅まで歩こうよ
何か見つかるかもしれないし」
雪野タクミこと、通称ユッキー
私と古董との言い争いに見かねた彼は
苦笑混じりに提案した
「やだ〜!足イターイっ!もう歩けなーいっ!!」
歩き詰めだった所為で足がじんじんする
今までの疲労は、そのまま足に来ていた
「置いてけタクミ。こんな奴」
「うっさいわよあんたっ!!
元はといえばあんたの所為じゃないっ!!」
いちいちカンに触る事ばかり言う古董に再び牙をむくと
ふと、目の前に背中が降りた
「千穂田さん」
肩越しに、ユッキーが私を振り返る
「僕が、おぶっていくよ」
「・・・・・へ?」
彼はにこっ、と笑顔を向ける
「おいタクミ・・・こんな奴、自分で歩かせろよ」
「でも・・・足痛い、って言ってるし・・・
ほら、千穂田さんっ」
変わらぬ笑顔で、ユッキーは促し続ける
「・・・・・・・・・・。」
しばらく思案した後、
「うんっ」
私は彼の好意に甘える事とした


ユッキーの足取りはしっかりとしていた
年下の様に見えるが、やはり男の子
それなりに力はあるらしい
「・・・・・」
小柄に見えるが、
彼の背中は私を背負うに十分な大きさを持っていた

人に背負われるなんて何年ぶりだろう・・・

長い間忘れていたこのぬくもりが
少し、心地よかった
その心地よさが
私の中に有る不安を取り除いてくれた
今のこの世界で
私が唯一頼れる背中・・・
まだ、そんなに長い付き合いじゃないけど
初めて出会った時から
彼は一生懸命私を支えてくれた
どんな泣き言を言っても
ユッキーは、精一杯私を励ましてくれた
・・・それがあまり功をなさなかった事も有ったけど
それでも
この隣にいる古董ケンジなんかより
ずっと、私を守ってくれていた

── 非現実的な現実 ──

不安だらけのこの世界で
今、私がこうしていられるのは
ひとえに、彼のおかげだという事
改めてそれを実感した
「・・・ありがとう・・・ユッキー」
「千穂田さん?」
どうしたの、と疑問の眼が向けられる
「うぅん、何でもないv
ほらほら、早くやる事やんなくちゃっ」
ぺしぺしと頭を叩くと
苦笑混じりに「はいはい・・・」という声が返ってきた

・・・きっと、これからも色んな事が起こる
一回のありがとうじゃ足りないくらい
ユッキーに助けられる事も、この先、たくさんあるに違いない・・・

「・・・ねぇ、ユッキー」
千葉へと向かう途中、彼の背中に問い掛ける
「もし、私にまた何かあったら、
その時も・・・おぶってくれるの?」
君に頼ってしまう事は、我侭なのかな・・・
「いいよ。
僕は絶対に千穂田さんを置いてったりしない
・・・だから」

安心して、頼っていいよ

優しい笑顔に、思わず私も
笑顔を向けた


だから私は
辛い時、悲しい時
安心してこの子に頼る事が出来る
この世界で唯一、素直に頼れる人

End.


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後書。戸岐メグサイトなのにタクネコとか書いちゃったよ。
しかもなんてDreamerな内容。(爆死)夢見すぎだよ。
9話でタクミがネコをおんぶしてたのを見て衝動書きしま死た。
ほのぼの。いいねぇ。
個人的にネコがいざって時に頼るのはタクミだと思ってみたり。
きっと心の拠り所に(長くなるので以下略)
ネコとタクミ、性格違うのは笑って流してください。