コールマン山絵日記

 今回、私コールマンは八ヶ岳で厳冬期のツアースキーにご存知岳氏と出かけました。



2月10日  −ピラタスより山へ−

 今回の山行きは通常の登山道具に加えて、山スキー一式の大荷物。岳氏は東京から、私は大阪から苦労して電車乗り継いで正午ごろ
中央線茅野駅にて合流。お互いザックを背負い、片手に板、もう一方の手にはスキー靴を下げてのいでたち、体力の無い私はもうこれだけ
で十分エネルギー使ったような気が...。宅配業者さん駅留めのサービスもご検討していただけないでしょうか....?
 そこからバスでピラタスロープウェイ乗り場まで向かったが、バスはスキーや登山客で超満員。約一時間でロープウェイ乗り場に到着。
ここで少し遅目の昼食を摂りロープウェイに乗り込み山頂駅へ。
 「エライ寒いなー。手ぇかじかんで準備でけへん」「おい!腹出過ぎて、スパッツのベルトつけられへん」などなど、お互い準備に苦労。
結局1時間半程度かかりようやく出発! まずはゆっくりり坪庭をシールの効きを確認しつつ歩いた。
 そのシール、今回のツアーの最大の関心事の一つ。というのも1月に練習で訪れた栂池スキー場で、お互いシールの粘着力が全く
無くなっていることが分かり、その後古いシールを電気コテで剥がし、新しい粘着剤を貼付したばかりであった...。
 夕方、まだ明るいうちに縞枯小屋に到着。夕食後寝る前に外をながめると、済んだ空気に月光が一面の白い世界に反射。静寂の中で
雪の結晶と夜空の星が煌いていた。寒さと我を忘れしばし呆然。

坪庭付近の岳工作 まさにマイルドセブンのCFの世界 樹氷が美しい


2月11日 −白駒の池−
 さてこの日もいい天気。縞枯を9:40に出発、麦草峠を目指してツアーの開始。麦草まではパノラマコース経由。さすがに3連休で人が多く
中でも圧倒的にテレマークが多数派。ここは巨大なバーンを滑降する場所が少なく歩きの要素が多いためか?我々のようなアルペン型の山
スキーはどうもオーバースペック気味に感じられた。11:15出合の辻に到着。このころより天候が急に悪化。「おい!着粘力(シールの粘着力
の意)どないや!」「ちょっとヤバイですワ。」しばらくするうちに私のシールの粘着力はほとんどなくなってしまった。13時ごろ麦草ヒュッテに
到着し昼飯の蜂蜜+パンを食し、私のシールアクシデントの善後策の協議に。「明日もシール効けへんかったらピラタスへ帰るのキツイですワ」
「ほな明日は下りデンデンやったらエエな。お!ここからのメルヘンコースどないや」 それで山荘の人に聞いてみたら、だいたい1時間で
メルヘン広場まで下れて、あらかじめタクシー呼んでおけばいいとのこと。これで明日の行程は即決定。「ほんなら、今日のこのあとの予定は?」
山荘のストーブにあたってると外に出る気は失せて行くが、人でごった返す山荘泊まりも避けたいし、と思い。「せやけどテントがエエですワ。
白駒池まで行ってテントしましょ」それで白駒へと向かった。白駒池に15時に到着。そこは広い雪原。夏場が池であることが嘘のよう。
でもストックでつつくとわずか20,30センチ下には厚い氷が確認された。池の辺りのテントサイトで一旦ザック降ろし、空荷状態で高見石まで
行くことに、15:25出発。道幅狭い登山道をシールを効かせて登高。懐にいれて温めておいたためか、粘着力もそれなりに回復し、問題無く
高見石に16:10到着。ここはかなりの強風。眼下に白駒池がぽっかりと..。16:20に再び白駒池テントサイトに到着。風の中テント設営し、
飲料水用の比較的きれいな雪をテントの近くに集め準備完了。
 テント内でもかなりの低温。ポリタンの水は凍りつくし、ガスカートリッジのガスも噴出しない、など..。ようやくガスコンロに火がついても
火力安定せず、カートリッジを逆さまにするなどして火力を維持する状態。食事(シチューと赤飯)のあと、焼酎の梅干割り、熱燗と進み
このころようやく体も温まってきた。つまみはカンヅメ。これを今回は湯煎で温めて食べたのだが、なかなかイケル。いつも直火で焼いて
焦がしたりすることなく、面倒でない点でもいい発見。
 この夜は雲が多く昨夜の月夜は見れなかったが、風に木々がざわめく音に山での静寂を感じつつ寝袋に入った。

高見石から見た白駒池 白駒池の氷上から 雪上のテントと岳氏


2月12日  −下界へ−
 昨夜寝付きは良かっただが、明け方寒さと強い尿意で目が覚めた。ともかく寒い!通常の登山シャツにフリースのジャケットさらにその
上にスキーウェアを着込んで寝袋入っても寒い!たぶん古い寝袋で保温性が低下していたのだろう。一方の岳氏は気持ちよさそうな寝息。
30分程度悩んだあげく、意を決してトイレへ、外は意外と寒くなく、というよりテント内も外気とさほど変らないといったほうが正解。
 ともかくテント内を温めようとコンロに火を付け、なんとかからだが動く状態になったので朝食の準備。この日はレトルトのおかゆ。これも
また凍ってる!
 朝食後テント撤収し9:20出発。途中麦草ヒュッテでタクシー予約しメルヘン街道(国道299号線)を滑って降りた。ここから遠くは
御岳、北アルプスまで眺望が臨めた。丁度一時間でタクシー待ち合わせメルヘン広場まで降りた。
 さて、山の後は温泉と相場が決まっていて、タクシーの運転手さんに「この辺で食事もできるいい温泉ありませんか?」この運転手さん
さっそく八方調べて、「風呂は小斉の湯が、食事はそば庄がいいです。」とのこと。おまけに風呂の間荷物預かってもらい、風呂上がって
食事終わったころ、再度迎えにきてくれる。というサービス。なかなかいいタクシーの運転手さんでした。(アルピコタクシーさんありがとう)
 16:30ごろ茅野駅に帰ってきた。夕暮れ近づく下界は山とはまた違った寒さ。タクシーから降り、ぶるっ!と。
反対方向の電車に岳氏は乗るため別々のホームへ、「次ぎは尾瀬やな!」「またメール入れますワ」 
 車中の人となりデッキの扉にもたれ、ちょっと日が長くなったかな?微かな春を感じ取った。

積雪のため標識がこんなに低く お世話になったアルピコタクシーさん