コールマン山日記

 日程:1997年5月2日から5月3日        コース:栂池スキー場、蓮華温泉、木地屋     メンバー:岳工作、コールマン



5/2 −靴ズレと,バテによりコールマンダウン− 

 前夜,白馬大池駅で岳氏と落ち合い,その日は定宿の農文協栂池センターにて宿泊。
 朝7:30に起床し,朝食をセンターで摂ったあといよいよ出発。ゴンドライヴにて栂の森ゲレンデまで行き,そこから我々おニューの板に
シールを装着。今回初めてのシール登高&テントにてのツアースキー,不安と期待が交錯するなか登高を10:00に開始...。しかしその
不安が早くも現実のものとなって現れる。  歩き始めて約10分で両足に痛みを感じる。しまった靴ズレだ!少し小さめの
靴が災いしたのか,もう歩くことも辛くなり,ゴム長に履き替えてつぼ足に切り替える。一方の岳氏は快調にシールで登高。ゲレンデのボーダーを横目につぼ足
とシールの2人パーティは栂の森ゲレンデの脇を上っていった。 ゲレンデを登り切ると,成城小屋までは平坦な登り,岳氏はシール登高のコツ
を掴んだのか,快調に進む,一方私の方はただでさえ重い荷物にスキーが加わりかなりのばて気味の状況。13:30に成城小屋到着。予定より2時間のオーバー
成城小屋で恐る恐る足を見ると,予想通り大きな水膨れが3ヶ所,岳氏の勧めでガムテープにてテーピング,これはともかく一時の痛みをしのぐには優れもので
さすが、ベテラン岳氏の知恵と言うべきか。しかしその甲斐もなく,天狗原に到達する手前で,小生とうとう,足の痛みと疲れで音を上げ,今日中に蓮華温泉
への予定もむなしく,15:30テント設営。スキー板をスコップ代わりにして整地(雪?)し,テントの中はなかなか快適、明るいうちに外で食事のあと,
中で,荷物を減らすため(口実)バーボンをあおりつつ,外は夜のとばりが静かに降りていきました。トイレに立ったついでに見上げた空には満天の星天井。
岳氏のワンゲル部時代の話を肴に,琥珀の液体はボトルに低く沈んでいった   

                          

5/3 ーともかくも蓮華温泉へー


 寒さに寝返りを繰り返しつつ朝を迎える。一方の岳氏は赤いシュラフにくるまり(まるでダルマのよう)よく寝ている様子。前夜の酒の影響か、夜更かしの
ためか、結局起きだしたのは下界のゲレンデからの音楽が流れ出したころ..。まったく山屋の風上にも置けない朝であった。
おかゆをすすり、今朝栂池を出発したパーティを横目にテントを撤収し、出発したのは10:30。食料と酒が減った分軽くなったと自分に言い聞かせつつツボ足の
歩を進める。11:30天狗原着。天候はくもりで、乗鞍には濃いガスが流れていた。我々は荷物を残し乗鞍へ、空荷とステップがしっかりしているせいか、
快調に登高し山頂のケルンに到達。今年は極端に雪が少ないせいで山頂付近はほとんど岩が露出。この雪の少なさが翌日大きな障害となるのだが...。
岳氏「やはり山に来てピークに立たんとなー」といい、前日の中途ビバーググの欲求不満を解消した様子で、「このケルンを蹴るン」などのダ洒落も飛び出
すほど..(おもしろくない。スミマセン)眼下に小さく見える天狗原へのダウンヒルは、そのバーンの大きさにしばし圧倒されつつ、我々は思い思いのシュプールを描いていった。
 さて、天狗原に戻り、15:00蓮華に向かって出発。こんどは荷物を背負っての滑降に、樹林帯で障害物の多いルートのためスキーの制御にかなり苦労する。
そこに、私は転倒した衝撃でザックの肩ひもが切れるアクシデント。一方の岳氏も靴ズレ、このころより2人に疲労が色濃くなってきた..。まわりが暗くなりはじ
め、雨がぱらつきだしたころようやく蓮華温泉に到着17:30。さっそくテントをサイトのやや離れた、トイレ近くに設営。(このとき、スコップを
お借りした緑色のテントの人、どうもありがとうございます。)ともかくもビールで乾杯!し、夕食のカレーを食べ、前日同様夜更けまで、エッチ話や山の話
にテントの中は盛り上がっていった。一方テントを打つ雨の音はますます大きくなっていた...。


5/4 −長かった木地屋への道のりー


 朝、さすがにシュラフも濡れてきて寝心地は最悪の状態も、テントを打つ雨音のためか、体を起こすのが億劫。一方の岳氏もしばし寝返りをうちつつ、私と
同様の状態の模様。8:00ごろようやく起きだし、ラーメンとベーコンの遅い朝食。他テントのパーティも動く気配なし。天気予報のためと点けたラジオからは音楽が
割れた音で鳴っている...。
 雨脚が小康状態になったのを見計らってテント撤収し、12:00ともかく木地屋に向かって出発。蓮華小屋での情報では通常の尾根越えのルートが着雪が少ない
ため、バス道によるルートを通っての下りとのこと、いづれにしても15:00には木地屋に着くと目算しての出発だったのだが...。
しばらくはヤッホー平付近まで軽い登り、そこからスキーを装着して滑り降りようとするが、ところどころアスファルトが露出し、その度に板を脱いだり履いたりを
繰りかえり、また靴ズレの悪化も手伝い2人とも疲労が早くも襲う。スキーの脱着の手間を省くため、しかた無しにツボ足で通すことにした。このころより天気
は良くなり、雪倉が雄姿を見せる。我々は背中でこんどは登ってやるぞ、といいつつ痛い足を引きずって黙々と歩を進める。先にも後にもパーティはいない模様。
16:30ごろ白池、一部スキーで滑走し、17:45ごろ完全にアスファルト露出。さすがに、2人とも疲れきったのか休憩中も冗談1つ出ないしんどい下りが続いた。
 そして16:10やっと木地屋に到着。近くの民家でタクシーに電話をして貰い、その民家のおばさんからいただいたリンゴの旨いこと、2人とも飢えたサルのようにむさぼりタクシーを待った。そしてタクシーが来て乗り込むとき、足が動かず、本当にもう一歩も動けないと思った。タクシーで栂池センターへ戻ったが、車中「ほんまにこんな距離板かついで登って滑ったんやなー」と岳氏。確かに9990円分の距離でした。栂池センターで、痛い足を風呂に浸し、冷たいビールで乾杯し、食事をとりようやく
落ち着きを取り戻した。

 翌日、初夏の日のなか岳氏は東京へ私は金沢へ、帰路に着くため岳氏を白馬大池
へ送ろうと、車を発進した際、駐車中の車と衝突。山で遭難せんと、こんなことで
遭難してしまったコールマンでした。