【benchmark: 水準基標、基準】

 東京レジャーランド晴海店ラジコンサーキット・アドバイザー HOSODA によるタミヤTA04PROセッティング日記です。通称「04ベンチ」、です。キット購入から組み立て、走行、更には独り言や雑談に至るまで、盛りだくさんでお届けします。
 最終的には、晴海サーキットでの基準となるような代表的TA04セッティングを見つけてみたいと思ってます。



【SideBySideによる前書き】

 この度、地域密着型情報をお届けするために、HOSODA氏に記事の執筆をお願いしました。
 連載ドキュメントです。感想などメールや掲示板にカキコして頂けると本人も励みとなると思います。ご声援よろしくお願いします!



I am HOSODA.

 1973年10月生まれのてんびん座
 ラジコンは、丁度2年前、友人にラジコンサーキットに誘われて行ったのがきっかけです。(悪魔の誘い)
 初日は、全くわからずに友達から借りたFF車をやったんです。(タミヤ車) その時、今思えば初心者にしては友人の車は良く出来た車だったようで、初めてプロポを持って、1回か2回8の字走行をし、舵角を確認しただけでちゃんと走行できた記憶があります。初めてのラジコン&サーキットでほとんど壁にぶつからなかった記憶があります。初めてプロポを持って、いきなり走れちゃえば、ハマレ!って言ってるような物ですよね。

 で、その次の日にラジコンショップへ直行しました。(笑)  最初に買ったキットが、タミヤのTA03RのTRFでした。で、ボディがヨコモのRX7。タイヤがキット標準のタイプAにソフトスポンジで、モーターがヨコモの12TDです。アンプがノバックのサイクロンで、サーボがKO2001FET、プロポが今も使ってるKOマーズでした。今、考えると初心者でこの装備を買うのは、どうか?と思い ますが、、、。
 朝買ったキットをその友人に手伝ってもらい、夕方には組み上げ即行昨日のサーキットへ向け、車を走らせました。サーキットでは、案の定、KO2001FETの尋常からかけ離れたサーボスピードと、そのサーキットにミスマッチなタイヤ、そしてヨコモ製のゼロ缶に入ったハイパワーモーターの組合せは、私に牙を向けて襲い掛かってきました。(笑)当時は学生のジムカーナ講師をし(週に一度ある大学の視聴覚教室で講義を行っていた)ダート 耐久レースにも出場していたし、ましてや私をサーキットに連れてきた友人が当時ある大学の自動車部の首相という事もあり(一緒にダートの耐久レースに出場してた)セッティングには自信が有ったのですが、全く思い通りにいかないのが、ラジコンにハマル大きな原因の一つになったのも言うまでもありませんでした。

 そして、運命の出会いが訪れたのです。
 必死で格闘をしていた私に声を掛けてくれたのが、「チームテクトロのシジキさん」でした。最初の言葉は、あまりはっきりと覚えていないのですが、「そのモーター何ターン?」だったと思います。最初は全く解らなかった自分は、知り合いのところに行き「ターン!ってなんなんだよぉ!」とこんな感じだったと思います。だって昨日まで全くラジコンの事を知らなかったのですからしょうがないですよね。(笑)それから車を見てもらったんです。もう言われるがまま。でも、今考えても適切なアドバイスを頂いた覚えがあります。セッティングに関しても色々と教えて頂きました。今でも尊敬していますが、当時は神様のように思えましたね。12Tでインナーメッシュ無しのタイヤは、高速では遠心力でタイヤが膨れるために、高速コーナーの侵入ではハイサイドを起こして転倒してしまうんですよね。今でもインナーメッシュ無しのタイヤに12Tで転倒しないようにするのはある程度の知識が必要なんですが、当時すんなりと直してもらったのを覚えています。
 その日はめちゃめちゃ速い車に感激し、次の日には言われた通りの物を買い込み(タイヤや23Tのモーター)また直行したのでした。たまたまその時に買った23TのモーターがスプラッシュのJEMじゃないトリプルの物だったんです。シングルの23Tが主流だったのに対し、エポキシバランス(関係ないかも)のトリプルは、トルクも少な目でインフィールドは走りやすいし、直線は上まで回るしで、そこのサーキットには最高にマッチしていたんです。もう言うまでも無く、一週間ほどそこの常連の方々に揉まれ揉まれて、メキメキと上達して行った覚えがあります。みんなJストックをタミヤバッテリーで走らせてる中、スプラッシュでファクトリーパック(ヨコモのバッテリー)を使えば、速いのは当然でした。しかも最初に色々と教えて頂いた方が、あの有名な「シジキさん」だったのですから。
 今でもまだまだ解らないことだらけなので、ちょくちょくとシジキさんに相談させて頂いてますが、大変すばらしい方で知識も、ものすごく豊富です。彼との出会いが無ければ今日の私は無かったと言っても過言では決してありません。(本当に感謝しています)

 こうやって私のラジコンライフがスタートして行ったのです。

 上達への近道?
 私のように、ある程度固定観念が強かった人間は、なかなか上達出来なかったかもしれません。ですが、シジキさんのような基本のしっかりとした知識を持った方と知り合った事により、変な考えが一発で打ち消されたのだと思います。実車とラジコンって似てるようで似てない部分が大変多いようです。実車にはラジコンほどグリップのするタイヤ コンパウンドって無いですし、シャシーの逃げについては、ある程度フィーリングや職人の感の部分が大きいように思えます。それが判ってる人は、ほんの一握り(判ってる人は判ってるからGT選手権に出場する車やメーカーの車を作ったりしてるんですけどね)だと思いますし、それがフィードバック出来るかどうかまでは難しいですよね。ましてや全てを自分で組み立て、直す。直し方なんてどこにも書いて無いし、実際に乗って音を聞いたり振動やヨレを体で感じたり出来ない。目で見ただけで離れた場所に有る物を判断しなきゃいけない。そういう状況を実車から全てフィードバックしようとすると大変難しいと思います。
 色々な要素が組み合わさっているので、まずは固定観念を排除して、ちゃんと走行フィーリングをつかめるように成ってから、自分の持っている実車なり何なりの考えを当てはめていけば、もっと近道をして自分の物に出来るんではないかなぁ?なんて思います。まずは知識から入らずにフィーリングから入るって大事な事のように思えます。自分はフィーリングだけでやってるように思えるんですけど。(笑)知識ばかり増えるとほんとに走らなくなっちゃうので、練習を定期的にすることが大事だと思っています。半年もすると、半年前のセッティングってもう通用しないんですよねぇ。そういう意味ではまだまだ発展途上の分野だと思います。ですから、新しい物や新しい知識を柔軟に取り込み、乗り遅れないように心がけています。




キットGET!

 秋葉原の「スーパーラジコン」で購入しました。まずは出来るだけ素組みしてみようと思います。

 が、最低限の手を加える事にはなりました。(後日談)




デフ組み立て

 デフの出来次第で、走行自体も大きく変わってしまいます。大変重要な部分ですので、慎重に製作して下さい。
 デフを組む前に、パーツに付いた油分をクリーナー等で落としてから組み付けるとより一層良いです。
 デフリングについては、表と裏が有るので良く確認してみて下さい。2000番位の紙ヤスリで、使用する面をピカピカに磨くと、よりデフがスムーズに動くようになります。

 説明書に書いてありますが、デフの両側を固定して滑らない程度に締め付けます。
 もしも組み立て終わった状態で締め付け加減を確認する時は、スパーと後輪片側のタイヤを固定して、もう片方のタイヤを手で回してみましょう。その時にベルトが歯跳びするようだと、ちょっと固過ぎです。ある程度力を入れた時にグゥ〜・・・と引っかかりが無く、滑り出す程度が良いです。スパーを固定してリアタイヤの片方をフリーにし、もう片方を回した際にスムーズ(するするまでとはいかないが)に動く必要があります。


デフボールについて
 タングステンとカーバイトのボールが存在しますが、それらを使用することによりボール自体の寿命が大きく伸びる事になります。だからと言ってメンテナンスの回数が減る訳では無いので十分に注意してください。実際には、デフには埃が入ったりグリース自体が劣化する事による性能の低下の方が、ボール自体の性能の低下よりも早い為に、大体5回のメンテナンス(劣化の程度にもよりますが)に1回の割合でボール交換をする程度で結構です。上記のボールを使用する場合は、その倍はボールを交換しなくても良いでしょう。
 ボールを鉄からタングステンやカーバイトに変えることにより、寿命はもちろん重量にも変化が出てきます。特に高速回転部分は軽くするだけで、大きな違いに繋がってきます。慣性を考えて重いほうが良いと言うのは間違いで、ラジコンは何よりも軽い!をテーマに作成する必要があります。剛性に関わらない部分は出来るだけ軽く作るように考えてみましょう。その点からも、多少の違いだとお思いかも知れませんが、出来るだけ軽く!という視点からも、ボールを変えるのは効果的です。


グリースについて
 次にグリースに関してですが、私が今まで色々なグリースを試してきて、今現在たどり着いたものが、スラスト用にブラックグリース、デフボール用にステルスグリースです。両方とも硬化しにくく、大変長持ちするとても良いグリースです。現在のところはその二つに落ち着いていますが、自分自身、もっと良いものがいつか出ると思っています。しかし他のグリースと比べると、今はどうしてもこの2種類で落ち着いていますので、お薦めできます。
 グリースは塗る事によって、すべりを良くする(滑りすぎも問題です)だけでなく、ごみをグリースで入らなくする(シール剤の役割)効果も兼ねています。


ベアリングについて
 デフ内部で使うベアリングに関しては、全くと言って良いほど汚れない部分なので、ほとんど一年以上は使えると思って結構ですが、他のベアリングは大変汚れやすいです。
 ベアリングは、レースなど、よっぽどの事が無い場合は脱脂するのは控えましょう。ベアリング内には大変硬いグリースが入っていますが、それはシール剤の役割が多く、それを脱脂してしまうと、ゴミが入り、ベアリングがロックしてしまう原因になりますので注意してください。




リアサスアーム付け根の加工(リアトーイン約2度)

 TA04の場合はノーマルで0度のようです。そうすると、ガタや走行中の歪みによってトーがアウトに向いてしまう可能性があります。リアをトーアウトにすることは、実車ではたまにFF車でする場合が有ります。それは、リアのリバンプを無くし、アクセルオフでハンドルを切り、リアのアウト側に荷重が移行した際にイン側のタイヤを浮かび上がらせ回頭性を増すという原理で、たまにタイトなサーキットでは使用するセッティングです。
 基本的にリアトーインを付けるに従ってリアが粘るようになります。逆にトーアウトになると、リアが積極的に旋回しようとし、操縦者の意図を超えてスピンしてしまうことがあります。特に実車と比べて相対的にタイヤグリップが勝るラジコンの場合、あまり曲がり過ぎるようになると動作が速くなり、操縦が難しくなってしまいます。そういった事を考えて、トーアウトとなる可能性を回避するためにも、ここではリアにトーインを付けて行きます。

 ではまず、リアにトーインを付ける為に、サスアーム付け根のフロント側(バルク側)の3ミリの穴をドリルで4ミリに広げます(写真上)。更に、丁度外側中央から芋ネジで抑えられるように、芋ネジ用にサイドから穴を空け(写真下)芋ネジで固定します。この時、穴は貫通させないほうが良いです。
 その後エポキシやパテでその穴をサスピンごと埋めて下さい。これで、約2度ほどのリアトーインを付けることが出来ます。
 この様な加工は、極めて精度を必要とする為、失敗してサスアームが渋くなる可能性も秘めています。サスアームやステアリング周りだけでなく、各部の駆動部分が渋くならないよう、注意して製作、加工して下さい。




リアベルトの歯跳び防止用テンショナーの取り付け

 リアの右バルクヘッド内側に3ミリのネジを差し込める穴が一つ設けられています。そこに、ベアリングとプラスチックカラーでテンショナーを取り付けましょう。ベルトを屈曲させるテンショナーと言うより、リアベルトが膨らまないようにプーリーに押さえ付けるようなものです。ベアリングとプーリーが一直線上に並ぶようにセットします。これによりリアベルトの歯跳びを防止することが出来ます。ただ、実際にはきつくプーリーに押し付けるのではなく、あくまでもベルトの膨らみを押さえる程度にして下さい。また、一直線上ではなく、ずれて取り付けてしまうと、ベルトが噛んでしまい、切れてしまう危険性が有ります。
    




リアバルクヘッドのゆがみ防止(強化)

 リアバルクヘッド左右をアルミ製のポストでつなぐことにより、リアバルクヘッドと、モーターマウントのヨレを少なくすることが出来ます。今回はアルミサーボステーを適度な長さにし、頭部分に3ミリのリーマーでネジ山を作り加工して取り付けました。強度を出す為にアルミを使用するのが良いでしょう。




フロントワンウェイ

 フロントワンウェイを装着することにより、直線でのスピードが上がり、また、コーナー入口にてアクセルをオフにした際のフロントの入りが良くなります。今回はフロントワンウェイを装着します。




センターワンウェイ

 センターワンウェイを装着し、フロントワンウェイとの組合せでダブルワンウェイとすることで、より一層直線スピードを稼ぐことが出来ます。今回はセンターワンウェイを装着します。




フロントナックル部分の加工

 フロントのナックル下側を1.5ミリほど削り、ナックルの位置を下げます。そうする事により、より一層フロントの入りが良くなります。この作業は大変精度を必要とする為、十分な注意が必要です。キングピンを使わず、アルミカラーとネジにて取り付けます。アルミのカラーは、長さに合わせて削ります。ネジも長さが合わない場合は加工する必要があります。加工後、全く渋みが無いか、十分に注意して下さい。渋くなってしまった場合は、もう一度最初から組み直して下さい。今回はこの部分で2度ほど失敗しました。やっている内に慣れてきますが、少々慣れが必要な加工です。
カラーが当たらない部分は大雑把でも良い内側のカラーとネジが短く削られてます
右側のネジは曲がってません(念のため)




組み立て後記

 製作していて気になった点は、プラスチックの質を考えた強度や精度の確保をどのようにしていくかという問題です。一見表面の光沢により、硬そうに見えるプラスチックですが、中身は大変柔らかい素材を使用しています。その為、シャーシロールが予想以上に発生してしまうようです。ガタを多少残すことにより、そのシャーシロールによる挙動への影響を曖昧にするセットをお薦めしたいと思います。あまりガタを取ってしまうと、各部のしなりをダイレクトに受け、逆に車は直進しなくなってしまいます。
 今回は必要最低限の補強に留め、ステアリング周りやナックル周辺のこれ以上の加工はあえてしません。説明書通りの組み付けで発生するガタを取らないで組み付けます。



【SideBySideから】

 とりあえずはHOSODA君、記事をありがとうございました。
 まずは組み立てまでを紹介です。走行やセッティングの話は今後の予定です。時期は未定ですが、またここで紹介していきたいと思います。
 タミヤグランプリなんかに参戦してみると面白いかもね。。




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