・晴釣雨読・  
こころはいつも山、渓へ


ドキュメント・山棲み

タイトル 著者 ほか情報 おすすめ
ほとりぽっちの戦争 あんばい こう
無明舎出版
1987年2刷
阿仁またぎである老人が人に向けて発砲。殺人事件に。当時、阿仁打当川近辺を釣り歩いていたので、身近に感じて読みました。イジメや村八分など、人の心の暗部といじめられる側の我慢を重ねた上での過ち。やりきれないドキュメントですが、今でもいたるところで見聞きするテーマでもあります。辺境の暮らしに興味を持つきっかけになった本でもあります。あんばいこうさんの淡々とした記述も良い
尾瀬に生き尾瀬に死す
〜平野長英、尾瀬の70年
石射虎三郎
健友館
昭和63年 第1刷
大正時代、尾瀬に棲み生活の糧を得ていた平野一家の記録。きびしく、楽しく、美しく、貧しく。リゾートライフではありえない自然と向き合う生活の記憶。
山の木のひとりごと 宇江敏勝
新宿書房
1984年 第1刷
三重、和歌山県境の深山での炭焼き、林業を生業とする家庭に生まれ、自身も高校卒業後山棲みの人となり、高度成長の日本を見守った記録。都会棲みの人が見る自然観との違和感。富と繁栄は森林にこそある。山村の自立。
今日の政治はこれを切り捨てている、と思う。
続々 狩の語部 松山義雄
法政大学出版局
1978年 初版
三峰川、遠山川、そして天竜川を中心とした伊那地方の民族史。著者による民族調査の記録ではあるが、学術調査報告といった堅苦しい文体ではなく読み易い。内容も狸、てん、まみ、あめのうお、岩魚など、この地方に棲む人々から得た興味深い話を中心に展開する。
森と湖とケモノたち 伊藤 乙次郎
白日社
志村俊司 編
昭和61年 初版
志村氏による伊藤さんへの取材。聞き語りをほぼ原文でまとめた記録。伊藤乙次郎さんは日光に生まれ、中善寺湖畔で大正〜昭和を生きた。当時の魚とり、熊、鳥、鹿猟などの口述が生々しい。
戦前、ヨーロッパ大使達により中善寺湖畔に設立された東京アングリング アンド カントリークラブのクラブハウスの管理人もしていた。この時代に、ゴルフ場とフィッシュングエリアを兼ねた壮大な構想があったらしいが、費用の問題や第二次世界大戦が勃発することでこのクラブは解散することに。日本フライフィッシング黎明期に日本人として立ち会っていた方ともいえる。
らいじんの記憶では、このクラブハウスか湖畔の金谷ホテルに丸竹フライロッドが展示してあった、と聞いたことがあるがあるが、江戸和竿師が作っていたものに違いない。ヨーロッパの人々は、何匹つれたのかは関係なく、楽しめましたと挨拶する、と彼はおもしろおかしく回想している。
山人の賦 U
尾瀬に生きた最後の猟師
平野興三郎
白日社
昭和60年
編者である志村氏による平野さんの聞き語りをまとめたもの。明治〜昭和を尾瀬、桧枝岐の猟師として70年間過ごした記録。
尾瀬に小屋を建てた平野長蔵さんと同時代。クマ、鹿、岩魚釣りを生活の糧としていた。
〜それで頭を、頭を食わしちゃなんないと思って、岩の下につっ込んで、ケツの方食わすべえと思って、そしたら、クマは背中の上まであがってきて、〜  
体験した者のみが語れるリアリティ。
山に棲むなり 宇江敏勝
新宿書房
1986年 第4刷
前出「山の木のひとりごと」の著者。どちらかというと一人であることを好み、山仕事を続ける。
羆吼ゆる山 今野 保
朔風社
1990年 第1刷
ISBN4-915511-29-4
昭和初期、製炭会社勤務の両親と供に日高山脈周辺で生活した記録。少年時代から青年へ、主に羆にまつわる体験を丁寧に描写してある。母羆と子羆、それを狙う猟師。厳しい自然、人、獣の関係にとても考えさせられる書。



読み物

タイトル 著者 ほか情報 おすすめ
イワナの夏 湯川 豊
朔風社
1988年 第2刷

ISBN4-915511-20-0
C0095
釣り読み物として、開口健さんと双璧をなすと思う。開口さんは小説家が釣りをした、のだが湯川さんは釣り人が物語を書いた、なのである。新刊も出ているが、湯川ファンのらいじんは、まだ購入していない。もったいないのである。
ザ・フライフィッシング 森と渓流の会 編
田渕義雄・杉山透・渡辺稔
アテネ書房
1987年 普及版1刷

ISBN4-87152-112-5 C2076
らいじんが外国航路の船乗りだった頃、神戸港で出会った本。FFの魅力をすべて凝縮した内容と、急がない姿勢。田渕さんも好きだけど、このとき湯川さんに出会った。(本でよ)
開口さんが「序」章に寄稿している。まだまだ沢山魚がいた頃の日本。テクニックとか道具じゃないのだな、釣りは。
岩魚幻談 湯川豊 ほか
朔風者
1985年 第6刷
ISBN4-915511-07-3
湯川豊さんほか著名なエサ釣り、テンカラ釣り、フライフィッシャー20名による岩魚釣りにまつわるストーリー。岩魚釣りは幽玄な渓谷に分け入ることが多く、釣り人の感受性を少し敏感にするのかもしれない。

フライタイイング
水生昆虫アルバム
A FLY FISHER'S VIEW
島崎憲司朗
フライの雑誌社
1998年 2刷
一万円を超える書籍。だが、これを読まずしてフライを巻く無かれ。学術的水生昆虫の分類から離れ、そのハッチ形態や動きから分類。つまりFF人のための世界初の水生昆虫入門書なのである。その分類手法は思わず膝を叩きたくなる。ずっとずっと水面に顔をくっつけていた人のみが得られるアイデアである。
ちなみにフライパターン集ではないので注意
カゲロウのすべて 御勢久右衛門 監修
岡崎広文 著
トンボ出版
1997年 2刷
ISBN4-88716-111-5
小・中学生向き「カゲロウ」本としてまとめられ出版されているが、FF向きには充分な内容。写真・図版で丁寧に解説されているため読み易い。
内容は代表的なカゲロウの構造(幼・成虫)、生活史などで、分類系ではないのでフライパターンの参考とまではならない。
水生昆虫の世界 大串 龍一
1981年 第一刷
東海大学出版会
タガメ、ゲンゴロウ、ユスリカ、カゲロウなど水棲昆虫の生態。
アングラーのための
水生昆虫学
宮下力
アテネ書房
昭和60年 第一刷
前半はカゲロウの構造、採取、飼育法など。
代表的なカゲロウの特徴と対応するフライパターンが見開きで展開する。昭和60年発行なので、パターンが少々古臭いが、けど往年の代表的パターンは良く釣れる。壊れにくいし。
水生昆虫ファイル T 刈田 敏
つり人社
2002年 第二刷
ISBN4-88536-484-1
全カラーページで、種別にニンフ、ダン、スピナーの写真を紹介。分布、ハッチシーズン、同定法など非常に役立つ。他にトビケラ、カワゲラ、ガガンボなども解説。
水生昆虫ファイル U 刈田 敏
つり人社
2993年 第一刷
ISBN4-88536-504X
上記の追記版。主として5〜6月にハッチする水生昆虫を収録。
初夏以降に重要になる水生昆虫を収録した「V」も出版されているが、この時期はテレストリアル主体なのでらいじんは未購入。