金属(リールキャップ等にネームを入れる)
簡単エッチング

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リールシートのリングやキャップを自作していると、どーしてもここにネームを入れたくなります。
エッチングは塩化第二鉄溶液で金属表面を腐食することで模様を作る手軽な方法ですが、廃液処理を誤ると環境汚染に加担しかねません。水環境に対してキビシイ目をもつわれわれFF屋が重金属垂れ流しではしゃれになりませんよね。


はじめにエッチングの原理をよく理解してください。有害廃液が生成されますから安易なエッチングは避けてくださいね。

1)エッチングで生成する環境汚染物質
 エッチング液そのものには塩化第二鉄ですから環境汚染物質は含まれていません。この液でリングやキャップの金属表面を腐食し模様や文字を掘り込む訳ですが、対象とする金属に含有する成分に有害物質が含まれているとこれが溶出し、廃液や洗浄水を汚染します。
真鍮やニッケルシルバーには銅や亜鉛といった金属が含まれており、これらの金属は土壌の環境基準や排水基準により含有(溶出)濃度の規制対象になっています。ですから廃液を土壌中に捨てたり、排水に流すことは避けなければなりません。
ただし、これら金属は絶対キケンな存在ではありません。例えば、銅・亜鉛などは植物にとって必須な微量要素ですし、亜鉛不足は人の生命活動に悪影響を与えます。一般的な土壌中にも銅20mg/kg, 亜鉛50mg/kg程度含有しているものです。
現実に、農業では微量要素として銅、亜鉛などの成分を肥料として散布していますし。要は程度(濃度)の問題です。醤油をたくさん飲めば、生命の危険を及ぼしますが、日常ではなくてはならないものであることと似ています。

ただし、微量では問題ないといっても最終的に濃縮される可能性を念頭において処理することを肝に命じて作業に取り掛かりましょう。

ここで行うエッチングはリング&キャップなどに必要最低量の極微量のエッチング液を使用するだけなので廃液の発生量も少なく低濃度で排水できますから安心です。大きな面積にエッチングする場合の廃液の処理にはあてはめられません。メーカーの仕様にのっとって適正処理して下さい。


2)用意するもの

エッチング原稿の作り方
印刷は左右反転にしてください。これは、露光する際に、裏返して印字した側を金属面(ドライフィルム面)に押し当てることで少しでも文字のエッジをシャープにしたいからです。 印刷モードは 「きれいモード」で印刷してください。文字のサイズは英文で7pt程度が表現の限界でしょう。 明朝体などの線が細いフォントの場合は10pt以上が適当かと思います。

写真は我がRydeenRodのリールシートキャップエンドにエッチングされる雷神と三巴マークのロゴです。
左右反転で印字されています。「雷神」は12ptのフォントサイズです。

こちら側の印字面を金属に触れるように裏返して貼り付けます。


3)エッチング(リールキャップへのロゴ入れをしてみましょう)
各用具、薬剤はそれぞれの使用説明、注意事項をよく読んでから実施してください。

@ドライフィルムの貼り付け
ドライフィルムは蛍光灯、テレビ画面、太陽光で露光しますので夜間作業になります。白熱灯には感光しにくいので、弱い白熱灯下で作業を進めます。ただし手早く。

ドライヤーで60℃位まで熱します。         ドライフィルムを適当なサイズにカットします。 ドライフィルムのキャリアーフィルムを剥がして、
金属面に気泡やしわが出来ないように貼り付けます。

A原稿の貼り付け
透明フィルムに印字した原稿を適当な大きさに切って、セロファンテープで所定の位置に貼り付けます。テープのしわや汚れがあると、きれいに露光できませんから注意。

貼り付けの表裏を確認します。隙間が出来ないように圧着してください。

B露光(ここからは明かりをつけて大丈夫)
素材の温度が室温まで下がったら、蛍光灯の光をあて露光させます。このときの蛍光灯からの距離やワット数で露光時間が異なりますが、このへんは経験と感の世界ですな。らいじんは、27ワット蛍光灯のデスクライトを使用し、距離10p位で30〜40分を目安にしています。この間に現像液を作っておきます。現像液の取説をよく読んでください。

ドライフィルムは紫外線が当たると硬化して、現像液に溶けなくなります。文字の部分には光が当たらないので現像液に触れると溶け出して金属面が露出するようになります。

C現像
現像液は30℃位に保温しておきます。ドライフィルムの表面カバーフィルムを剥がし、現像液にひたします。すると、露光されなかった文字部分のドライフィルムが溶け出して、文字が読み取れます。このとき、文字部分にドライフィルムが残っていると、うまくエッチングができませんから、完全に溶けるまで現像します。
ただし、あっという間に現像がすすみ、へたをすると周囲のドライフィルムまでもが溶け出したり文字のエッジがぼやけたりしますから、すばやくかつ慎重に現像します。良いと感じたところで、よく水洗し乾燥させます。
らいじんは、柔らかな習字用の筆でで文字の部分を上からそっと掃くようにして、文字部分のじゃまなドライフィルムを溶かしていますが、強くこすったりすると、べろりとドライフィルムが剥がれ、失敗します。ここでの失敗は、現像液に漬け込みドライフィルムをすべて溶かし、水洗い後に@からやりなおすことになります。

現像液の処理は取り扱い説明書にある通り、お酢を加え、沈殿物をろ過し、液はそのまま下水へ、沈殿物は不燃ごみへ分別します。(Eで使うので、まだ捨てないで)

露光が終わったら先ず原稿を剥がします。ドライフィルムの表面には保護膜がありますから、これも取り去ります。写真は、原稿を剥がす際に、一緒に保護層も剥がれています。 現像液をまんべんなく塗って文字部分のフィルムを溶かします。このとき柔らかい筆で、何度もそっと撫でるようにすると良いでしょう。
現像の進行を止めるためには水道水で現像液を洗い流します。
ドライフィルムを剥がすときに「神」の文字の右上部分が剥がれてしまっています。エッチング液がこの部分に触れると腐食してしまうのでマニュキァを塗って保護しています。

Dエッチング
エッチング液のボトルの内ぶたをはずし、ボトルご40℃の温水に浸け暖めておきます。(直火、電子レンジでの加温は絶対だめ! 45℃以上に暖めないこと!)
エッチング液が温まったら綿棒に少量とり、さきほど現像が終わった文字面にたんぽでそっと叩くように塗布します。塗布する範囲は文字周辺の狭い範囲とします。ドライフィルムが残っているブルーの範囲は保護されていますから原則的にはこの部分は腐食されませんが、ピンホールなどがあいているとせっかく磨いた金属にあばたが出来ます。その意味と、汚染物質を少量に抑えたいために、なるべく狭い範囲にエッチング液を塗布するわけです。
エッチング液の付いた綿棒で何度かそっと叩きながら、「これでOK」まで腐食させていきます。普通は長くても数分。塩化第二鉄でのエッチングには反応ガスの発生はありませんが、作業中の換気は必要とされています。(塩化第二鉄を暖めることで蒸気を心配しているのだろうか???)
ここで使用した綿棒もビニール袋やポリ容器などに入れておき、廃液処理時に一緒に処理します。
  ※エッチング液(塩化第二鉄)の薬品情報→http://www.tsurumi.co.jp/products/pdf/musuienkadai2tetu.pdf

エッチング液を綿棒に少量とって。 エッチングしたい文字部分に塗布。強くこするとマスクが破損することもあるので注意。
他の露出した部分付けないように。
反応が進むよう新鮮なエッチング液が文字部分に供給されるよう、綿棒を回転させたり叩いたりしながら様子をみます。
エッチング具合を確認。こんなところか・・・

Eエッチング完了
エッチングが程よい状態になったらエッチングを終わらせる手続きです。

一次洗浄洗浄
広口ビンに100cc程度の水道水をいれ、この中にエッチング中の金属(ここではリールキャップ)を入れ、よく洗浄します。この洗浄水は基準値以上の銅や亜鉛が含まれているのでこのまま排水してはいけません。

二次洗浄
広口ビンから引き上げ、水分をよく切ったら多量の(最低1リットル)水道水で洗浄し完了です。 一度のエッチング(キャップに文字を入れる程度)で溶出する金属は30mg以下です。一次洗浄では500ccの水にこの20mgが溶け出すことになります。(綿棒についたエッチング液に10mg付着したとして)つまり濃度は40mg/Lです。この一次洗浄水は捨ててはいけません )
 一次洗浄でよく水を切ってあげると、キャップ表面に付着している水は多くとも0.5cc程度になります。この0.5ccの水滴に含まれる金属イオンは0.1mgになります。これを水道水で洗浄した場合、仮に1リットルの水で洗ったとして、0.02mg/Lになり、全量銅イオンとしても排水基準(東京都条例値)の100分の1以下の濃度になり問題無く洗浄し、かつ排水できます。
 →「排水基準」


一次洗浄水と綿棒の処理
広口ビンの洗浄水のなかで綿棒をよく揉み出しきれいになるまで良く洗います。これで広口ビン500ccの中には30mgの金属イオンが溶出しています。これを10リットルのポリバケツで10リットルの水と希釈すれば、濃度1.5mgの廃液となり、基準を満たした状態で排水できます。綿棒はさらに良く洗って燃えないゴミとして出して下さい。


 参考:ニッケルシルバーは亜鉛20%、銅60%、鉛1〜2%が含まれます。従って、30mg中の内訳は約 亜鉛6mg 銅18mg 鉛0.3mgとなり、上記の希釈倍率で換算すると亜鉛0.3mg/L  銅0.9mg/L 鉛0.03mg/Lとなります。

ちなみに水道水の基準は 銅1mg/L以下、亜鉛1mg/L以下となっています。→「飲料水に関する数値」
つまりらいじんの方法はちょっとのエッチング液で処理しますから、家庭レベルの希釈方法で、水道水基準を満たす濃度で排水できます。

一次洗浄。ボトル内でエッチング液を洗浄します。 二次洗浄。ボトルから引き上げて、良く水を切ったら多量の流水で洗浄します。 使用した綿棒はボトルのなかへ。

Fドライフィルムを剥がす

洗浄が済んだら、さっき使用した現像液にキャップを浸し、余分なドライフィルムを全て溶かします。温度を上げると剥離しやすいと思います。きれいに剥離できたら完成です。う〜ん、オリジナルって感じですね!    

先ほど使用した現像液を40℃程度に温め、用済みのドライフィルムを除去します。 数分間浸した後、筆などでこすると、ぼろぼろと剥離していきます。
完成。
文字の一部分が少しかすれてしまいました。現像時に、僅かにドライフィルムの皮膜が残ってしまったようです。
ただあまり時間をかけるとドライフィルム全体が溶けはじめますから注意。

ここで記載した排水処理はリールシートのキャップやリングの一部に簡単な模様をエッチングする場合に適用されます。
多量にエッチングする場合や広い面積のエッチングには適用されません。メーカーの定める処理方法に従って廃液処理を実施してください。