WF戦中盤研究


長野S氏により明らかになりつつある戦中盤についての会議室への投稿をまとめました。現在、データ用のテキストで見ずらいですがそのうちにより見やすいデータといたします。(shin-p)
""長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p28-dn02ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"7月19日(土)21時42分",
"43年BPOのベートーヴェン第7",
"1943年BPOの第7は最もフルトヴェングラーらしい演奏のひとつで、他の凡百の
演奏を圧倒し、時代背景や精神性云々で語り尽くせない閃光(goetterfunken)
を発し続ける文化遺産です。音が悪くても感動は伝わるとも言われますが
当時の空気感に浸りながら鑑賞できる優秀CDで楽しみたいものです。比較
できたものをまとめてみました。次の3グループに大別できると考えます。

1) DG(ソ連返還)テープ系
・DG F20G29088
 テープ音源の擬似ステ処理盤。ステレオ効果には強弱があり、音像のふらつく
 箇所あり。旧ソ連返還ディジタルコピーとのことですがこの擬似ステ化はDGに
 よるものか返還テープそのものが加工されていたのかご存知の方は教えて下さい。
 10KHz以上の高域音は皆無ですが耳あたりはよいもの。第四楽章冒頭は同再現部
 にて修復と見られます。
・Arkadia 1CD78555、Dante LYS065
 モノラル盤、第四楽章冒頭は同再現部にて修復と推測されます。
2) LP盤起こし系(起源LPはたぶんすべてメロディア盤)
・Palette PAL-1024
 LP盤起こしのモノラルCD。強音時の音のつぶれはあるものの迫力満点の復刻が
 見事。第四楽章冒頭は同再現部のつぎはぎが完璧ではなく一瞬はっとさせられ
 ます。起源となったLPを推測できる情報をお持ちの方はコメントをお願いします。
・東芝 TOCE-8520(ユニコーン盤)
 こちらもLP盤起こしのモノラル盤。起源となるLPは針音の箇所の違いからPalette盤
 とは違うようです。高音のカットのし過ぎか中低域が分厚く聴こえます。第四楽章
 冒頭はやはり再現部からの修復と思われますがPalette盤とは微妙に違います。
・Serenade SEDR-2008
 メロディアLPからの盤起こしCD。高い明瞭度と引き締まった低音で針音も気になり
 ません。第四楽章冒頭は欠落のまま。
3) 新テープ音源系
・M&A CD-4049
 鮮明度の高いテープ音源のCD。重厚感は薄いですが古めかしさをあまり感じません。
 第四楽章冒頭は別演奏で修復と見られます。この別演奏はひときわ音質が良く、
 スペアナで見ると全曲通してほとんど入っていない10KHz以上が相当レベルで確認
 できます。私は世評の良いメロディアCDを持っていないため比較できませんが推測
 ではこのCD-4049と同一音源と思います。両方お持ちの方はコメントをお願いします。
 東芝 TOCE-3733(未聴)も同一グループでしょうか?
・Allegro CDO1002、Monopoly GI-2050、M&A CD824
 上記3種は同一音源使用と見られます。強度の擬似ステ盤だが鮮度が高く聴きやすい。
 いずれもM&AのCD-4049をディジタル処理したような音。M&A CD824も同様に擬似ステ
 ながら高音が不足してもやもやしており、明瞭度が低いCD。
最近の私の好みは M&A CD-4049、Serenade SEDR-2008です。"



"WF","furt@do5.enjoy.ne.jp","hsm-a3-028.enjoy.ne.jp",
"7月19日(土)23時08分","DG系の擬似ステ処理は",
"1)に該当するDGがCD化に使用した87年のデジタルコピーテープについては、かつて桧山氏がレコ芸の記事で次のようにふれておられました。
「DGがこのテープのCD化の作業を開始した折、デジタル・テープの信号を解析中に関係者を困惑させる事実が出て来た。というのはこのテープに人工的に付けられたと考えられるエコー成分が含まれていることが分ったのだ。このエコーがコピーのどの段階で付けられたのかまったく不明であるが、とにかくDGではこのエコー成分を除く努力が払われたが技術的に極めてむずかしいためそのままCD化せざるをえなかった」
このエコー成分というのが擬似ステ処理ということだろうと思います。



"黒熊怪","fukie@kc5.so-net.ne.jp","pfa54e1.mobrpc00.ap.so-net.ne.jp",
"7月20日(日)06時50分",
"戦時中の第7は、第二楽章の出来が極めて優れているので、以前から有名でしたが、夫人の証言にもあるように、戦時中の録音はオリジナルは実験的なステレオ録音であったのではないかという仮説が立てられます。
特に、第7では毎回、第一楽章の冒頭でそれを強く感じさせられます。やはり、これだけ多くの愛好家が、フルトベングラーのステレオ録音を話題にするのも、これら60年前の録音が異常な解像度を確保しており、
フルトベングラーの演奏では、解像度が高ければ高いほど、新たな音響の世界が展望される点にあるのかもしれません。この点、同時代のメンゲルベルグの録音と比較すると、録音技術のイノベーションによる圧倒的な
音質上の競争優位を感じさせます。また第九では、悪名高いエベレスト盤が、疑似ステレオと銘打って出したのも何か因縁めいたものを感じさせます。但し、エベレスト盤はいつ聞いても、やはり疑似ステレオに違いない
ですが。また昔のメロディア盤も、ステレオ感は殆ど感じられませんでした。それにしても、戦時中のフルトベングラーとベルリンフィルハーモニーという伝説的存在の、この録音が残されていなかったら、彼等の評価はまた
かなり違っていたのではないかと考えます。その意味で、今日の先端的録音技術による芸術的に優れた演奏の復活には感謝してもあまりあるものがあります。大戦中、一種の軍事暗号機として開発された
レコーダの音楽録音への活用、特にその周波数特性には、耳を疑う驚くべきものがあり、その後テープ録音が主流となったのも、なるほどとうなずけます。「魔弾の射手」「スカラサ座のリング」等々の
ステレオ的な音質は、ある日突然、若い時代のままの、昔の恋人に出会ったような、驚愕と神秘を感じさせます。




,"shin-p","shin-p@mail.goo.ne.jp","pl088.nas332.k-tokyo.nttpc.ne.jp",
"7月20日(日)08時01分","43年ベト7 エトセトラ",
92年メロディア黒盤LPはCD同様、おそらく50年録音の冒頭で4楽章が
修復しています。かつて会議室でも話題になったTOCE-3733は資料室にも
書きましたが、修復部分を含めメロディアCDに限りなく近い音質です。
桧山氏のレコ芸記事に「その後プレスのたびに修正が加えられ(中略)
楽譜通りの姿となった」とあり、当時は真正の
完全な姿になったと思っていましたが、そうではありませんでした。
悪名の高い米英のメロディア板おこし系LPですが、元のLPの状態が
不安定なようで持続ノイズがあり全体としては芳しくない音質ですが、
オリンピックの1楽章など生々しすぎてはっとする瞬間もあります。
音質が均一でないのでしょう。
もっとも名演との声が高い2楽章が全体の中で音質が悪いのが気になります。
ステレオかどうかは、以前私がベトVnコンで問題提起したのですが
実のところは全く不明です。



"FJHS","soyogo@bd5.so-net.ne.jp","p29fe5e.ykhmac00.ap.so-net.ne.jp",
"7月20日(日)08時46分",
"Re: 43年BPOのベートーヴェン第7",
"1989年にNHK-FMがDGの元となったSFBテープを放送した際のエアチェック
テープを持っていますが、少しでもノイズに有利にする為にFMチューナー
のMODEスイッチをMONOにして受信した為、残念ながらDGと同様にステレオ
感があったのかどうかは確認出来ませんでした。但し第4楽章冒頭は欠落
したままですので、この部分はDGが独自に修復したものと考えられます。
またDGは最初エコーが多くステレオ感も強いですが、曲が進むにつれて
だんだん減ってきますね。第4楽章では後で触れるTOCE-3733の方が
エコーは多い位です。

43年第7では私は仏フ協SWF-941を愛聴しております。基本は第4楽章冒頭
の修復含め長野Sさんのおっしゃる新テープ系に属するものと思われますが、
M&A CD-4049は弦楽器の音がのっぺりしていて、SWF-941の方が細かい音の
変化が聴き取れます。東芝EMI TOCE-3733も近い音ですが、仏フ協よりも
エコーが多いです。

大戦中のベルリンライブは多くのレーベルから出ていますが、曲によって
ばらつきが多く、例えばSWF-941の第7は良くてもベートーベンP協4番
は良くなかったり、CD-4049の第7、第9はイマイチでもコリオランが最高
で「田園」も良かったりと、色々買ってみないと一番良いものを見付け
られません。CDだけでも今までにいくら投資した事やら・・・。



"HK1016","kumura@orchid.plala.or.jp","cacheflow2.sys.hokudai.ac.jp",
"7月20日(日)10時46分","43年BPOのベートーヴェン第7番",
"初めて投稿させていただきます。43年BPOのベートーヴェン第7がARCHIPELから出ていましたので購入して聞いてみたところ、音がこもり気味に思われました(これは併録されている43年BPOのベートーヴェン第4番についても同じ感想でした)。
他のCDで聞き比べたことが無いので、もしARCHIPEL盤について評価していただける方がいらっしゃいましたら、コメントをいただけないでしょうか?



"Q","shinqma@1876.net","7.pool16.dsltokyo.att.ne.jp",
"7月20日(日)15時58分","ベートーヴェン第7番の魅力",
"表題の件、その第2楽章の魅力については皆様仰るとおりですが、さらに付け
加えさせて頂きますと、第1楽章開始の和音のあのどうしようもない、これぞ
フルトヴェングラーの開始という重い響きと次の音の間、序奏部の重厚な進行、
期待をめいっぱいに引きながら導入する第1主題の提示、そこからの怒濤の進
行、目眩く展開。悲痛の極限を行った第2楽章の後、第3楽章スケルツォの怒濤
の進行と対照する表面張力いっぱいのトリオ。
終楽章は第1楽章と同じことが言え・・・(宇野っちまった)。
コーダの追い込みの激しさは決して爽快さなど感じさせるモノではなく、その
背負っている思想の重量がさらに驀進するエネルギーの巨大さとなって重く激
しく押し寄せてきます。
全編を通す長大なアーチ構造(?)こそフルトヴェングラーの造形力であると、
43年ベルリン・フィルの演奏を聴き、感じます。



"びなお","bina-yoshio@mx10.ttcn.ne.jp","ci249.ade2.ttcn.ne.jp"
,"7月21日(月)21時05分"
,"Re:ベト7、アナクレオン&未完成"," ARP盤のNo.7を他の盤と比較しました。長野Sさんの分類で 1)はF20G29088、2)はSEDR2008、3)はMEL713,TOCE3733,RCD25004を所持していますので、一緒に聴きました。
 ARP盤で第四楽章の冒頭は 3)と同様、他の演奏で置換されています。音質もここだけ異なります。それでは 3)かというと、それは即断できません。その前後の音質は相当にツルボケであり、むしろ 1)を思わせます。1)を素材にメロディアと同様の処理を行った可能性も考えられます。
 ここから先は私の悪い耳では難しいのです。長野Sさん。1)と3)を聞き分けるマーカーはありませんか? 先日第二会議室で指摘されていたウラニア英雄の必殺マーカーのような。

 未完成と言えば、一週間位前から“塔レコ”でTahra盤トリノの未完成が発売されています。DR盤でしか聴けなかったこのアイテムですが、話題にならないのは音質が期待薄のためですか? どこかで、このところスランプ気味のTahraという声がありましたが、レアアイテムの復刻に拍手! そういう私もまだ買う予定はないのですが。","1","2"



,"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p61-dn03ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"7月31日(木)23時48分","ステレオ効果付きのCD",
"43年BPO第7の良好音源探索の道すがら擬似ステレオ盤について
考えてみました。WF博士の録音はやはり古い音源が多いせいか、CD時代になって
擬似ステの加工は何でもありの様相を呈してきています。瑞々しい音に蘇ったと
思われる丁寧な音作りのものがある一方、聴いていてめまいがしそうなCDもあります。
独エレクトローラ社のブライトクランク盤のようにしっかりと表示して
ほしいと思います。真正ステレオとの評判の盤は未聴ですがこれだけ人工的な
処理が思いのまま出来る時代ですので注意しなければなりません。

1)独DG ベルリンライブシリーズ(1942-45年)
 MONOと表示されるもほとんど全てに擬似ステ効果付き。43年第7のようにステレオ
 効果の強弱が激しいものもあります。技術的にはモノラル化は容易ですが耳当たり
 の良い広がり感を残すため返還テープそのままでCD化したと推測されます。
2)メロディアCDシリーズ M10-007XX
 こちらも全てに擬似ステ加工が施されている疑い濃厚。43年第7はDG盤と別音源
 と見られますが擬似ステ効果は全面的でかつ強度なもの。
3)伊EMI交響曲全集
 第5、第9を除く盤にステレオ効果あり。特に第3、第7は巧妙なもので演奏の
 イメージさえ変えてしまう禁断の技術。しかし成功している全集です。
4)TAHRA ルツェルンの第9 FURT1003
 元々音質は良いのですがステレオ効果の付けすぎで三半規管が疲れてしまう盤。
5)EMIリファレンスシリーズのバイロイト第9 CDH7698012
 これもMONOと表示されながら中身はブライトクランクもかくやと思われる擬似ステ盤。
 巧い音作りのため気付かないリスナーがいるかもしれません。

英EMIのARTシリーズ、東芝のTOCE-37シリーズなどは真正のモノラルですが音が古ぼけて
聞こえてしまうのは上記の擬似ステ盤の影響でしょうか?元々の演奏の素晴らしさは
ステレオ効果の有無では変わりませんが受けるイメージがかなり違うのも事実です。
以前にも書きましたがWEB上に公開されているフリーソフトでステレオ効果は簡単に
チェックできます。不思議な音のCDが気になる方はこれを使えばすっきりとして
いただけます。



"FJHS","soyogo@bd5.so-net.ne.jp","p29cc75.ykhmac00.ap.so-net.ne.jp",
"8月2日(土)19時13分","Re: ステレオ効果付きのCD",
">2)メロディアCDシリーズ M10-007XX
>こちらも全てに擬似ステ加工が施されている疑い濃厚
との事ですが、確かに大半は明らかな擬似ステですが、
MEL CD 10 00712 ウェーバー、ラヴェルのみ
MEL CD 10 00720 ブルックナー6番のみ
MEL CD 10 00721 ヘンデル、シューマンVc協、ワーグナー
MEL CD 10 00724 ブラームスP協2番のみ
の以上7曲は聴感上はモノラルに聴こえました。
これらも擬似ステ加工が施されているのでしょうか?","","2"


,"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p59-dn01ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"8月2日(土)22時26分","Re: ステレオ効果付きのCD",
"FJHSさん、

MEL712のウェーバー、ラヴェル、MEL720のブルックナーはリサージュ波形
が左右に膨らんで乱れており明らかに擬似ステ加工付きです。
MEL721、MEL724は持っていないので「疑い濃厚」としましたが現在私の
所有しているMELCDシリーズ、RCDCDシリーズ、DGのベルリンライブシリーズ
は悉く加工されていると見られます。エコー付加、位相処理でぼんやりと
した3次元的に広がる空間が得られるようです。上記のCDには左右の音の
ふらつくものがあり、聴いていて不安定ですね。
今まで確認したもので最高の仕上がりは伊EMI全集の「英雄」です。
古めかしさが一掃され、奥行感、ホールトーンなど申し分ないと思います。



,"びなお","bina-yoshio@mx10.ttcn.ne.jp","cw67.ade2.ttcn.ne.jp",
"8月9日(土)21時35分","Ermitage盤ベートーヴェンなど",
" 発売後少し経た盤で恐縮ですが、Ermitageの二枚組clm1010に入ったSym.No.4と5が結構良いという話を聞いたのを思い出し、店頭在庫品を見つけて聴きました。両方とも板起こしです。
 昨年の聖火CD-Rに比べると、少し手を入れているのが分かりますが、No.4は第一楽章9分42秒付近に“?”と感じる瞬間がありますから、もしかしてこれも聖火の可能性があるでしょうか? No.5は第一楽章7分7秒付近のズッコケはありませんが、7分1,8,15秒の三箇所でテープの傷と思われる雑音がありますので、ズッコケに到る寸前のLPから起こしたのかも知れません。
 クリックノイズはともかく、音そのものは健闘していると私は思いました。
 THE50シリーズのベートーヴェンも今頃になって聴いたのですが、特にNo.9は作り過ぎていて残念です。ブックレットの黒白写真はノスタルジアを感じさせ、中高年の私は店頭で良い印象を持ったのですが。




"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p18-dn01ueda.nagano.ocn.ne.jp"
,"8月9日(土)22時16分","43年BPO第7 続き"
,"世評の高いメロディアのCD MEL713、東芝TOCE-3733、ARCHIPELのARPCD0114-2
もお借りして細かく比較試聴してみました。オリジナルのメロディアLPは持って
いませんので、最高音質と感じるセレナーデのSEDR-2008をリファレンスにしました。

1) 現在テープ音源から発売されている各社のCDはテープノイズも抑えられ、
  ホールトーンや聴衆ノイズも生々しく、中には微妙から相当程度まで
  電気的なステレオ効果を付加されたものがあります。DGのF20G29088、
  MEL713、ALLEGROのCDO1002、M&AのCD824、MONOPOLYのGI-2050などが
  それにあたります。しかしながら私見ではこれらはすべてSEDR-2008の
  情報量や迫力に及びません。SEDR-2008は少々の針音など問題にならない
  ほど原盤、原テープの情報をストレートに伝えてくれる優秀盤と断言
  します。
2) 先日の当会議室への書き込みではテープ音源について、DG系と、新音源系
  に分けて見ましたが、各種CDをチェックした結果、元のテープはたぶん
  一つしかなく、整音やノイズリダクションのプロセスの違いで印象が
  違ってくるとの推定になりました。音飛びやドロップアウトで両者の違いを
  示す特徴的なものは見つかりませんでした。
3) 第四楽章冒頭の修復はやはり再現部の借用と別音源の使用に分かれるようです。
  * 再現部借用:DG、ARKADIA 1CD78555、東芝旧盤TOCE-8520、DANTE LYS065、
    PALETTE PAL-1024
  * 別音源使用:MEL713、M&A CD-4049、MONOPOLY、ARCHIPEL、東芝新盤の
    TOCE-3733、ALLEGRO。これらは差し替え別音源の音質が非常に鮮明で
    1960年代以降の録音のように聞こえます。但し、これらは全て同一ソース
    で誰かが修復したものを別会社、レーベルで音質の味付けを少し変えて
    発売しているだけと思われます。ARCHIPELのCDはいかなるわけか高音域の
    レベルの低下があり、このグループの他のCDと比べて鮮明度が2段階くらい
    低い音作りです。
MEL713はステレオ効果も駆使した聴きやすいCDで、そのステレオ効果を除去したと
思われるTOCE-3733やエコーが少なく音像が締まったM&AのCD-4049も良いというのが
現在の感想です。しかしいずれのテープ系CDもノイズリダクションによって臨場感
が相当失われておりこれはSEDR-2008を聴くと良く分かります。SEDR-2008は非常に
良く出来た復刻盤だと思います。SWF941についてコメント可能な方はぜひお願いします。


"びなお","bina-yoshio@mx10.ttcn.ne.jp","cw67.ade2.ttcn.ne.jp"
,"8月10日(日)14時19分","Re:43年BPO第7 続き "
," SEDR2008はLP起こしという条件がつくものの、オケの音が一番自然に鳴っているように思います。同じことは全曲ライブのNo.4やグレイト(SEDR2010)でも感じました。
 音を作る人のセンスの問題か、原盤テープの状態が良かった時代であったことが幸いしたのか、分かりませんが、一つ選んで聴く時は私もSEDR2008になります。面白いものです。
 グレイトはその後VSG復刻が聴け、近く協会から聖火復刻も出ますから、よく聴いてみたいと思います。
 43年No.7についての貴重な情報を、ありがとうございました。



"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p06-dn02ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"8月10日(日)20時44分","Ermitage盤ベートーヴェン第4",
"Ermitage盤ベートーヴェンの43年第4は他のCD、DGのPOCG-2349や
ミッテンヴァルトのPLCD-7210に比べて断然明快な音で私も好きなものの
一つですが、びなお氏のおっしゃるとおり手の込んだ整音がなされています。
一つは周波数レンジの拡大で、低域強調、高域は10KHz以上が付加されています。
また位相差もつけてあり、伊EMI全集の第7のような雰囲気です。第三楽章3分19秒
付近のマーカーノイズは単純なプツ音ではなく、複雑なニュアンスが聞こえるので
不思議です。
表面ノイズなどお構いなしの復刻は評価できますが、いじりすぎと感じられる方も
いらっしゃるでしょう。第5についてはまた後ほど。



"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p05-dn02ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"8月14日(木)15時06分","43年BPOベートーヴェン第5",
"43年6月27-30日の聴衆なしの放送用録音とされるベートーヴェンの第5は大戦中の
RRG録音の白眉であり、一度聴いたら忘れられない強い印象を与えます。
古くはユニコーン系のLPで、89年からはDGのモスクワ放送返還テープ系CDで、そして
97年からはTAHRAの新テープ音源系CDで愛好家を魅了してきました。またメロディア
社のオリジナルLP探索も続けられ、56年以降の灯台、聖火、ピンクレーベルと同じ
マトリックス番号D05800/1でも音の違いがあることが話題になっています。
清水さんの完全ディスコグラフィーに記載のあるLP/CDはとても全部は試聴できませんが
現在まで確認できたものをまとめてみました。

1)メロディアオリジナルLP/CD/CDR復刻系 D05800/1
 CD Ermitage DIM6105-2
  表面ノイズは多いですが聴きやすい復刻CD。ステレオ効果付き。
 LPそのものは持っていませんが非常に良く出来たCDRで楽しんでいます。
 ガストNo. 5289-56 青聖火 ミッテンヴァルトCDR
    同 5289-68 ピンク 清水氏製作のCDR
  TAHRAの新テープ系CDに比べると高域のチリチリ感が少なく、管楽器のリアル感
  が優れています。第一楽章冒頭が揃わず、かつ次第に音量が増していくのが
  特徴です。灯台初版規格のCDRが出るようです。期待したいところです。

2)ユニコーン復刻系(LP/CD) UNI-106系
 LPでは東芝WF70004-5、コロムビアOP-7520VX
 CDでは東芝CE28-5748-49、TOCE-8520、TOCE-3732
  いずれも第一楽章63小節からの3つの連続するプツ音がマーカーです。
  TOCE-8520だけは巧く除去されています。どれもピッチが低く、鈍重に聴こえ、
  LPではプレーヤーのピッチコントロールをいじっても快活な音にならないのが
  不思議です。1973年頃、NHK FM放送の第5の醍醐味と称する番組で諸井誠氏が
  紹介したのがこのユニコーン系LPだったと思います。

3)DG返還テープ系
 LPはロシアンディスクのR1000205
 CDでは、DG F20G29088、Dante LYS065、Allegro CDO1002、
 Ironneedle IN1348-50、RCD RCD25011、M&A CD-824、
 Archipel ARPCD0115-2、Melodiya MEL720、Arkadia 1CD78555、
  DG、Ironneedle、M&A、Melodiyaの各盤は擬似ステ効果つきです。
  RCDとArchipelはノイズリダクションと高域カットのやりすぎで情報量が
  少なくなっています。第一楽章終結前のずっこけも全て共通です。
  上記のメロディアのオリジナルテープが劣化してずっこけが発生との
  説もありますが、この系統のLP/CDはいずれも奇妙なノイズリダクションや
  ステレオ効果をつけるための細工が明白で、別のコピーテープがいったん
  作成されたと私は推測します。第一楽章冒頭が普通のレベルで始まること、
  メロディア初期のLPにはない微小な音の引っかかりがあることなどオリジナル
  のテープの変質とは違うと思います。

4)Tahra新テープ音源系
 Tahra CD各種、M&A CD-4049
  鮮明度やホールトーンが優れ、オリジナルの良さが楽しめます。
  高音域の整音を工夫すればもっと良くなるかもしれません。聴けば聴くほど
  メロディアのオリジナル初期LPに近く、西側で発見されたとすれば当時の
  テープコピー技術は相当なものだと思います。私個人的には、メロディア社の
  オリジナルテープは奇妙な加工を施されないものがしっかり残っており、
  Fonoteamなる組織を経由してTahra社にもたらされたのではと勝手に推測して
  おります。ORFやヘッセン放送などの放送局音源であれば放送局名やDRAなどの
  クレジットが付きそうなものです。この辺の情報をお持ちの方はご教示を
  お願いします。
やはりお奨めはTahra系CDが第一で、次いでミッテンヴァルトのCDRになります



"びなお","bina-yoshio@mx10.ttcn.ne.jp","cw67.ade2.ttcn.ne.jp",
"8月16日(土)19時25分","Re:43年BPOベートーヴェン第5 "
," ユニコーン復刻系のTOCE3732ですが、これ以前のユニコーン系よりは相当鮮明に感じます。私の邪推では、新しく原盤を仕入れたうえで、旧盤に似せる加工をしたのかと思っています。
 Tahra盤はこの会社一番のヒット作と思います。ただ聖火復刻と比べてしまうと人工臭が感じられ、高音域の整音を工夫すればとおっしゃること、私も全く同感です。
 43年のNo.5は37,47,54年盤よりも遅れて出たため、これら三種の盤への思い入れのある人には、セカンドチョイスになってしまうのでしょうが、私が先入観を極力排して聴く限りでは、どうも43年盤が最高と感じます。
 それにしても、いつもながら長野Sさんの解析は素晴らしいですね。いずれログが消えてしまうのが残念です。



"FJHS","soyogo@bd5.so-net.ne.jp","pdd5349.ykhmac00.ap.so-net.ne.jp",
"8月19日(火)22時53分","Re:43年BPOベートーヴェン第5",
"> 2)ユニコーン復刻系
の中にOP-7520VXが入っていますが、以前持っていた時の書き込み(AIX
会議録参照)にもありますが、むしろTahraよりピッチが若干高く、音も
他のユニコーン系より良かった様に思います。
shin-pさんのこの項の解説に
> VOX原盤のコロムビアDXM157(72/10)はメロディア盤を起源とする
> ユニコーン系とは別の西側に残されたコピーテープを使っていると
> オルセンは指摘し
とあるので、このOP-7520VXももしかしたらTahraに近いものではないか
と思っていました。その様な可能性は無いでしょうか?



"shin-p","shin-p@mail.goo.ne.jp","pl061.nas332.k-tokyo.nttpc.ne.jp",
"8月20日(水)00時12分","Re:43年BPOベートーヴェン第5",
"OP-7520VXの原盤Vox(turnabout)TV4352-4と
ユニコーン系の初出盤UNI106を聞き比べしたところ
それほどの音質差は感じられませんでした。
TV4352-4のジャケット左下には
A Production of UNICORN RECORDS
とあり、このLPの音源がユニコーン経由であることを
明示しています。
Vox原盤のDXM-157VXやOP-7520VXの音は明瞭、ハイ上がりで
ヒスノイズが盛大ですが、これは本家VoxやUnicornの
音を加工したと思われます。
ただし、Vox(turnabout)TV4352-4に入っている42年
第9やエロイカは明らかにユニコーン系LPよりも音が良く、
別ルートの可能性大です。そうなると上記Turnabout盤の
Unicornに対するクレジットもあてになりませんが−","1","2"



"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p31-dn01ueda.nagano.ocn.ne.jp"
,"8月20日(水)23時44分","Re:43年BPOベートーヴェン第5 続き",
"1) TOCE-3732については確かにそれ以前の東芝CDより若干鮮明に
 なっていますが原ソースは同一と思います。以前にも指摘されていますが
 TOCE-37XXシリーズでは第4、第7、コリオラン、第9が確実に従来のユニコーン
 音源の盤起こしではなく、テープ音源系に入れ替えられています。
 たぶんソースはメロディアかM&A(DRA音源でしょうか?)なのでしょう。
 不思議に英雄と第5は従来音源の使用となっています。第5でも別音源を期待
 しましたが外れてしまいました。
2)OP-7520VXはshin-pさんのおっしゃるようにユニコーン復刻系で間違いない
 と思います。第一面に1948年BPOの未完成と第5の第一楽章が収められており
 この第5の第一楽章の音質は詰め込みで良くありません。但し第二面に第二、
 第三、第四楽章がカッティングされているため良い音です。
 こちらも英雄と同様、ユニコーンのテープが米ターナバウト=VOXに送られた
 ケースと思います。","1","2"


"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p01-dn04ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"2月15日(日)19時21分",
"ウラニアのエロイカ 第三楽章",
"第三楽章についてまとめてみました。特有のマーカーにははっとするようなものは
なく、トリオのホルンなど名手の朗々たる吹奏は何時聴いても新たな感動があります。
一気呵成の通し演奏で編集の跡は見つかりません。ステージノイズは次のものが確認
できます(東芝TOCE-3730のタイミングにて)。
 1) 2分28秒からのドンドンという物音
 2) 5分22秒のタンという乾いた音
 3) 6分付近で出るゴトンゴトン
  TOCE-3730では上記のほかに4分13秒と29秒付近でポコ音が聴こえます。
  同系列のPriceless(D16396)、Bayerではこれらが無いので原テープが少し不安定に
  なっている可能性もあります。

LP系ではVOXのTHS-65020、TV4343が低域、中高域とも歪感が少なく、ユニコーンの
UNI-104よりも力があって楽しめます。日コロムビアのDXM101-UCは歪っぽく爽やかさに
欠けるようです。CD系では次の感想を持ちました。
 1) Tahra(DRA/ORF)新テープ系 Tahra FURT-1031他
  耳ざわりが良く歪感は抑えられています。しかしトータルの情報量はPreicelessのCDと
  いい勝負でどうも手の込んだ整音盤に思えてきました。力強さが乏しいと感じます。
 2) 旧ソ連テープ系 IronNeedle IN1348、PREISER 90251他
  ブーンという中低域の持続した雑音が気になります。鮮度が低くモコモコした音。
 3) ユニコーンテープ系 Priceless、Bayer、東芝盤
  東芝盤のみ真正モノラル。この系統は低域の迫力があります。東芝盤は高域カットを
  やり過ぎないリマスタリングでの再発売を期待したいところです。
 4) ウラニアオリジナルLP盤起こし系 Mythos(NR-5011)、URCD7095
  URCDはノイズカットがきつく冴えない音。Mythosは10-12KHz付近に異様なピークが
  見られ全体にちりちりした音作り。今度グリーンドアから出される復刻盤に期待
  したいと思います。

,"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p09-dna07ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"11月16日(日)22時46分",
"ウラニアのエロイカ 第二楽章",
"さて第二楽章では以下のマーカーが確認できます。仙台Sさんのご協力を得てURCD7095、
米VOXのLP THS-65020、TV4343も加えて検証してみました(タイミングはBR200002にて)。

1)5分5秒付近のギシギシ音
2)5分9秒からの少し唐突なオーボエの出だし(編集あり?)
3)8分34秒、9分44-45付近の指揮者の足音と思しきドスンドスン
4)10分53秒からの長い無音部分(これはVOXのLPでは面変わり、Priceless=BayerのCD、
 Preiserでは面変わりでもないのに共通して存在)
5)16分27秒付近のギシ音

A)グループの英Unicorn系のLP/CDでは4)を除いて全部聴き取れます。今回URCDやVOXの
 LPを試聴しこの系列では元になるテープはUrania=Unicorn=VOX=Outlet=Panteon=Bayer
 という流れで繰り返し登場していることがはっきりしました。仙台S氏のおっしゃる
 とおり、VOXのLP製作用の原テープがPriceless社のCD製作にそのまま使われている
 と推測されます。UNI104はかなり爽やかな音ですが最近のTOCE-3730はかなり高域が
 減衰した音作りでがっかりです。
B)旧ソ連返還テープ系、C)のTahra系でも上記マーカーは全部明確で、録音日がはっきり
 しないことによる複数録音の存在の可能性は非常に薄いと思われます。

* 以前から問題になっていたPreiserの90251の音源と編集ですが、こと第二楽章に関しては
 まず間違いなくLP盤起こし、しかもVOXのLPからの可能性が高いと思われます。
 全編にわたってプツ音、ジリ音が聴き取れ、上記4)に相当するつなぎ目でも針音がはっきり
 聴こえます。他のLP系列、UNI-104、M10-06443、URCD7095(これはCD)では4)の長い無音部分
 そのものがなく、すんなり移行します。

* 第二楽章ではTahraのCDが耳あたりの良さ、Bayer、東芝のCDが豪快な音作りでお薦めです
 (東芝盤は少々の高域ノイズは気にしないでフィルターを弱めた再発を期待します。また
 本家Unicornのオリジナルテープからのリマスタリングも切望したいところです)。
 Preiser盤はいかなるわけか奇妙な構成であるようです。別のご見解をお持ちの方はぜひ
 コメントをお願いします。 

"長野S","kfshmz@seagreen.ocn.ne.jp","p25-dna07ueda.nagano.ocn.ne.jp",
"11月3日(月)02時22分",
"ウラニアのエロイカ まずは第一楽章",
"44年VPO演奏の英雄についてはすでに当会議室でも詳細な報告がいくつか投稿され
愛好家諸氏の間で話題になっています。先日の仙台Sさんのご指摘に刺激されて
BayerDacapo盤の入手を契機に手持ちのCD/LPを比較試聴してみました。以前WF劇場の
サロンに書かせていただきましたがこの音源は以下の3種類に分かれるようです。

A)英Unicorn系 LP/CD :英Unicorn、東芝、米Priceless、独BayerDacapoのCD
         (初出の米Urania盤、米Vox系のLPは未聴ですがこのグループと推測します)
B)旧ソ連返還テープ系 LP/CD :露MelodiyaのM10シリーズのLP、伊Ironneedle、伊MagicMaster、
               オーストリアPreiserのCD
C)Tahra系 CD :仏Tahra、米M&A、独Archipel

Urania英雄のマーカーでは次のものが確認できます:(タイミングはBayerのBR200002にて)
 1)冒頭の和音、Unicorn、Tahra系では最初のものが大きく、長い。旧ソ連系では二回目を
  連続して使っている疑いあり。
 2)4分1秒付近のザッというステージノイズ
 3)10分10秒以降のゴトンゴトン2回のステージノイズ
 4)10分19秒付近のわずかな音とび
 5)11分16秒付近のプツ音
 6)19秒付近のわずかな音とび
 7)1分43付近のわずかなドロップアウト 

A)このグループでは上記1)2)3)4)5)のマーカーががいずれもはっきり聴き取れます。Pricelessの
 CD D16395とBayerのBR200002はまったく同一のCDです。軽度なステレオ効果を加えてあり、
 スペアナのグラフも完全一致です。
 UnicornのLP UNI104がやはり最も明瞭な音で他はいずれも経年変化かNRのための意図的な高域
 カットのせいか冴えない音に聴こえます。Unicorn、東芝、Priceless、BRの比較では音源に明確な
 差は発見できず同一ソースと推測できます。第一楽章についてはPriceless=BR盤がLPの盤起こしとは
 感じられませんでした。NRの少ないリマスタリングをすればこの音源系でもより良いCDを期待でき
 そうです。Priceless社の音源を持つOutlet社は米VOX社と関係があるとの情報が以前出ていたと
 思います。Urania=Unicorn=VOX=Priceless=Bayerで間違いはないと推測します。
B)このグループでは冒頭から中低域にガーという持続音が耳につきます。イタリアの2社の音源は共通で
 中程度のステレオ効果つき。マーカーでは1)ではいずれも繰り返しが疑われ、2)は共通、3)、4)は
 耳につかず5)は聴き取れません。巧妙なNRのせいでしょうか?全体として聴きやすい音にはなって
 いますが周波数レンジは狭く、付帯連続ノイズが気になります。ソ連にはA)グループのオリジナル
 音源は存在せず、西側のものをコピーして編集した可能性があります。
C)一番新しい新テープ音源系。マーカーは1)はA)グループと同じ、2)3)4)5)もA)と共通ですが4)の音とび
 はA)より小さくなっています。6)7)はC)特有のもので西側のテープの劣化(経年変化)によるものと
 思われます。M&AのCD-4049はTahraとまったく同じ、ArchipelはTahraより硬質の響きですが6)7)の
 マーカーによりTahra音源の使用が明らかです。全体ではノイズも少なく聴きやすい音質ですが
 情報量ではUNI-104に少し負けると感じます。
第二楽章以降はまたのちほど。
 ","1","2"
Re3:1942「第9」4楽章の「継ぎ目」 
投稿日 5月16日(日)18時27分 投稿者 長野S [p60-dna07ueda.nagano.ocn.ne.jp] 削除


この第四楽章終結部の始まりにある引っかかり音(つなぎ目?)は特定のテープ音源に
固有のようです。手持ちのCDをチェックしてみました(しかし何でこれほど同一演奏の
ものを買ってしまうのか困ったものです)。

1)LP盤起こし系
 ・東芝 CE28-5749(旧ユニコーン系)
 ・クラウン Palette PAL-1025
 ・米Mythos NR9000-2(VSG)
 ・ヴェネチア V-1019(VSG)
 いずれも引っかかりはなくスムースですが東芝盤の元LPは他の3盤とは違うようです。
 Palette、Mythos、Venezia盤は第一楽章冒頭3秒付近の製盤原因と思われる大きな
 ポコ音が共通です。Palette盤はVSGかまたは最近オークションにも登場した青大聖火盤か
 またはそれ以外が元になるのか気になります。

2)引っかかりのあるCD(米M&A CD-4049で23分05秒付近)
 ・米M&A CD-4049
 ・独Archipel ARPCD0002
 ・日ダイソー CD-C-24
 ・東芝 TOCE-3734
 発売時期からしますと米M&Aが1999年で東芝とArchipelが2000年で続きます。
 M&AのCD-653にはひっかかりがありませんので2つのソースを持っていると思われます。
 東芝さんも新ユニコーンテープに鞍替えをしたのでしょう。上記CE-28とソースが全然違うのは
 歴然ですが。Tahraの1004-7にひっかかりがあるとのことですので2)の仲間になります。

3)引っかかりのないCD
 ・伊Hunt CDWFE-357
 ・M&A CD-653
 ・露RCD RCD-25006
 ・仏Tahra FURT-1037

メロディアCDとTahra 1004-7は未聴です。これは私の聴感ですが3)のCDは2)に比べると少し
暗めの音色になっています。2)はよりハードでダイナミックといえるでしょう。引っかかりは
編集のミスでしょうか? 東芝、M&A、Tahraとも複数のソースを使いわけて世界の愛好家に
製品を提供していると推測します。古いものは将来はお蔵になるでしょうが。


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42年BPO合唱 米VOXのLP TV-4346/47の正体と第二楽章の音とび 
投稿日 9月5日(日)14時20分 投稿者 長野S [i219-164-95-147.s02.a020.ap.plala.or.jp] 削除


仙台Sさんのご協力をいただいて細かく調べて見ました。
まずは第一、第二楽章。次のディスクを調査、試聴に使いました。
1)東芝LP WF70004
2)VOX LP TV-4346
3)メロディアLP 33D10851 ガスト61
4)東芝CD CE28-5748
5)米M&A CD CD-653

第一楽章は1)2)4)では表面ノイズの場所が一致しており3者は同一のマスターテープ
から制作されていると推測されます。1)は少し歪みっぽくなっていますが2)と同一ソース
で間違いないところです。

第二楽章は提示部76小節反復部に問題の音とびがあります。
1)3)4)は音とびがありますが2)5)にはありません。1)と2)は同じマスターのはずですが
shin-pさんご指摘のとおり2)はスムースです。5)はテープ音源系では音のよいもの。
こちらも音とびはありません。修復かまたは原テープの音とびがないものを使ったかが
問題でした。そこで最初の76小節と同反復部分をハードディスクにディジタル収録して
連続波形を作成し、目で見えるようにして再生してみました。結論は以下のとおり。

2)のVOXのLPは最初の部分をそのまま反復部分の修復に使っています。波形が完全に一致
しました。LP時代の編集としては完璧な仕上がりです。全体では表面ノイズ位置が1)4)と
一致しています。但しこのVOX LPの第二楽章は音の曇りがメロディアLPを含む他のLP、CD
よりも一番少なく明瞭な音と感じます。

5)のM&AのCDでは反復部分は最初の部分とは波形が異なり修復ではないと見られます。
メロディア初期盤LPに使われたマスターテープとは別のRRGオリジナルテープが存在し、
テープ音源系CD(LPは未聴)に使われたものと考えられます。スペアナなどのデータに関心の
ある方はメールをお待ちしています。第三、四楽章はまた後ほど。



--------------------------------------------------------------------------------ウラニア英雄LP(再) 
投稿日 8月28日(土)23時44分 投稿者 長野S [i219-164-95-147.s02.a020.ap.plala.or.jp] 削除


ウラニア英雄のLPについて、専門家のご協力を得て最近聴けたものを加えてまとめてみました。
いくつかの疑問が出てきました。全国のWF博士愛好家、専門家の方々からご教示をいただければ
幸いです。オリジナルのURLP-7095がないのでグリーンドアのCD、GDCL-0001をリファレンスに
しました。

1) 米ターナバウト(VOX) TV-4343
2) 英ユニコーン UNI-104ライトブルーレーベル(一角獣首だけのもの)
3) 英ユニコーン UNI-104赤レーベル(一角獣全身、「完全」ディスコグラフィーに紹介されているもの)
4) 日コロムビア DXM101-UC
5) 仏VSM(EMI) 2C051 63332MA(Referenceシリーズ)
6) 露メロディア M10 06443/4(盤面の刻印は33HD06443/4のもの。DMM整盤)

気分、体調、装置が聴感に影響するため一定時間のピークホールドをかけたスペアナのデータも
参考にしました。
1)はGDCL-0001に比べるとかなりダイナミックな音です。他のLPではしゃくれている40-60Hz付近が
 フラット、かつ4-10KHzの範囲のレベルが高くなっていて少しドンシャリ気味でもあります。
2)は3)と同一会社、音源ながら盤質のせいか3)より少し分解能が落ちるようです。
3)は清水氏のサイトにジャケットが出ているものでダイナミック+透明感のある弦の音が楽しめる名盤。
4)は2)3)と同一テープ音源に間違いありません。但し4KHz以上のレベルが3)よりも低く、柔らかな音ですが
 ボンついた感じになっています。
5)も2)3)4)のグループと同一音源とみなされます。4)よりもハイカットが少なく、3)に近いバランス。
 ユニコーン社音源などのクレジット表記はありません。
6)は全く違うタイプです。第一楽章冒頭の和音は二回目のものをコピーして一回目に使っています。
 ボーという感じの連続音が混入していてホールトーンがマスクされています。7KHz付近には他のLPには
 見られない妙なディップもあります。周波数の波形は意外にもGDCL-0001に一番似ています。
2)-5)のユニコーングループはいずれも80Hzに低音域の左肩がある周波数特性が特徴です。3)が最も明快
な音で他の盤は少し落ちるようです。6)は6)の登場以降各社から出たCDの元締めで周波数レンジは広くない
ものの聴きやすいものでPreiserのCD 90251と第一楽章は全く同じものと見られます。

疑問点ですが:

1. ウラニアLP(GDCL-0001)とユニコーンのテープは音質が異なり、由来が違う可能性がありそうです。
  東独で調達されたRRGのテープは、米ウラニアでLP発売後WF夫人または英WF協会にそのまま返還
  されてユニコーンLPの音源になったのでしょうか?それともユニコーンのテープはRRGの別コピー?
  TahraのCDのように西側放送局の別コピーを使った例もあります。
2. ユニコーンLPの2)と3)の発売時の前後関係は?両者とも1970年?マトリックス刻印は全然違います。
3. ターナバウトLPの原テープはウラニアLPのテープそのものか?あるいはユニコーン経由のテープ?
4. メロディアLPのウラニア英雄の登場は6)以降といわれており旧ソ連にこの音源はなかった可能性が
  高いと推測されます。そうしますと6)は西側音源のコピーでしょうか?ウラニアやユニコーンLPの
  盤起こしでないとするとテープ音源?東独放送局にもうひとつのコピーが存在したかも?
いつになってもなかなかミステリアスな演奏です。すでに答えが出ているかもしれませんが。