ラーメンFTP(フードテーマパーク)について

 最近あちこちに誕生しているラーメンFTPについて、その草分けであるラーメン博物館との違いを中心にダラダラと意見を書いてみます。絶対に埋まるはずのないその歴然たる差についてですが…

1.ラーメン博物館について

 ラーメン博物館は、新横浜駅近辺の大地主さんが平日以外ほとんど賑わう事のないその近辺をなんとか活性化させたいという思いから、もともと立体駐車場の建設を計画していたところへ同時に計画したのが始まりらしい。

 全国を代表するらーめんを集結させ、紹介したいという信念のもと、スタッフが全国各地を駆け回り、一日8(か10?)杯ものらーめん食べ歩きノルマをこなし、ラーメンFTPなど存在しない時代にその施設の素晴らしさなどの説明も交え一生懸命各店主を口説き落として出店する店を集めたらしい。
 で、一応博物館と謳っているようにらーめんの歴史やら丼の展示やら、ご当地らーめん紹介などの企画やら、オリジナルグッズ含めたお土産販売なども行っている。

 まあ、俺が書かずも言わずと知れたラーメンFTP、いや、FTP自体の元祖であり、今尚高い集客力&利益を保っている立派な施設である。

2.ラーメンFTPとは?

 同じテーマの飲食店の集合体というラーメン博物館の成功により誕生したFTP。そしてその中心的な存在がラーメンFTPである。サービス業の業界誌である「レジャー産業」によると現在全国に何十件と誕生している。らしい(笑)

 ラーメン博物館以外の施設は、そのほとんどがシネコン(シネマコンプレックス)、スーパー銭湯などと同じく商業施設の集客施設という位置づけのもと、ショッピングセンターやら、駅前の商業ビルやらの中で営業されている。
 ま、もっと分かり易く言うと、「ラーメン博物館がエライ繁盛している。同じ形態でやれば人は集められるし、そもそも商売としても十分成立する。よし、うちで計画してる施設の中にも作ろう。」ってな感じだ。

 で、その営業形態は、概ね各地方のらーめん屋を7、8店舗くらい集めたもので、ラーメン博物館の昭和30年代という施設コンセプトにあやかり、どこも統一したコンセプトを持っている。が、ラーメン博物館と違い、基本的にらーめんを食べさせる事以外はあまり行っていないようである。
 但し、なかには毎月新メニューを出させたり、売り上げの悪い店を強制的に入れ替えたり、売り上げに関係なく入れ替えたりとしているところもあるようである。

3.ラーメン博物館とその他ラーメンFTPとの違い

 両者の違いは、ラーメン博物館は単体施設として成立しているが、その他のFTPは、先にも書いた通り大きな施設の中の一部として存在しているところだろう。つまり、事業者が純粋にラーメン施設をやろうという意欲で作るというよりも、大きな商業施設を作る際の一部という考え方なのである。

 で、そこから更に比較すると、どちらも事業である以上は、商売的な要素は当然持ち合わせているが、ラーメン博物館よりも他FTPの方がその色合いが決定的に濃いという事になる。そして他FTPは、各店に対して「テナント」という意識も強いという事となる。
 で、その違いは当然の事ながら出店している店自体にも表れる。

 ラーメン博物館では、先にも書いた通り全国の旨いらーめん屋を紹介したいという信念のもと、各地方にあるいわば独立店的な店の出店が多い。で、ここからはかなり推測が入ってしまうが、そういう店はほとんどが「別にわざわざ新横浜にまで店を広げなくても良い。」という姿勢らしい。そこを無理に?口説き落として出店させるご苦労は、想像に難くない。

 一方、他FTPでは「他のFTPにも出店してます」と謳う店や、支店を数多く出している店が多い。そして、それらはいわば需要と供給の関係で、良いテナントさんを募集したいという施設オーナーと、商売を拡大したいという店側とのバランスで成立している。
 そして、(たぶん)高いテナント料を払うのであろうから、味と同時にその店、いや、会社の商売力という事も重要な要素となる。
 また、店舗選定、いや、そもそもの施設自体のコンセプトも企画屋さんに委託してお任せしているところもあるようである。

 結局のところ、当たり前だがラーメン博物館が1つ1つの店が魅力的で光り輝いて見えるのに対し、他FTPでは、どうも違うもの(お金)が光って見えてしまうという事になる。

 こうした違いがある以上、今後ラーメンFTPは増えれば増えるほどどんどん魅力のないものになっていってしまうのだと思う。

4.魅力あるラーメンFTP

 そういう違いはどこの施設も当然分かっている事なので、何か個性的な企画を行う事になる。で、それは先にも書いた店の入れ替えやら新メニューやらという事になる。
 しかし、露骨なまでの店の入れ替えってのは、逆に店に対する愛着がない事となり、強制的な新メニューなんてのは、店への余計な干渉以外の何者でもないのではないかと思ってしまう。 当然店側も承知の上でやっている事なのだが、当然そういう店には魅力は感じられない。

 先日TVであるラーメンFTPを特集していた。平日の客が少ないその施設では特別企画として地元の子供たちに「夢のラーメン」という事で自分の食べたいラーメンのアイデアを募集し、それを店側が選んで商品化するというもの。(モグモグゴンボと同じ発想じゃん(笑))
 で、こういうのは個人的には、最もやって欲しくないハナシである。

 そこでどーすれば魅力あるラーメンFTPが出来るかと言う事であるが、当たり前の結論ではあるが、やはり
『ラーメン博物館を見習え』
という事になるのではないかと思う。ラーメン博物館においての博物館的な要素やら物販関係は、個人的にはどーでも良いと思っているが、しかし、各店に対する愛着度合いは、他FTPとは比較にならないものである。

 結局ラーメン博物館は、「美味しい店を集める」という当たり前のことを当たり前にやっただけなのである。
 しかし、色んなしがらみなどがあって、ある意味それが意外に難しい事でもあるのでもあるが…


 とまあ、エラそうにダラダラ書いてしまいましたが、ラーメンFTP自体は、らーめん好きにすれば非常に有難い存在である事も事実なので、各施設とも頑張って下さいね〜。

 と、無難に締めておく(笑)