「認可」


「以上のことを心に留めつつ、ハンターズとして恥ずかしくない行動を取るように」
15分もの長くありがたーいお話を承り、
ため息と共に着席する。
「話長すぎるねんて・・・セリカはそう思わん?」
隣りに座ってるハニュエールに話し掛ける。
「まぁまぁ。後はマグの授与が終われば、晴れて開放されるでしょ
 ほらミュ、呼ばれてるよ」
顔を上げると難しい顔をしている総督と目が合った。
「ミュウ=ブリュンヒルド、早く壇上に上がってきなさい」
「あ・・・はいっ。すぐ上がります!!」
「あ〜、ハズいなぁ・・・」
周りからのクスクスという声を聞きながら、ひとりごちた。

「おめでとう。ハンターズとしての自覚を持って頑張ってくれたまえ」
少々嫌味を含めたお言葉だったけれど、精一杯の笑みを浮かべて返事した。
「どーも、ありがとうございますぅ〜。」




「なんやろ、これ・・・」
無事?認定式も終わり、総督にもらった大きな水晶のような物体をしげしげと眺めた。
中には握りこぶしほどの物体がある。
「ん〜〜〜??」
覗き込むと中の物体がギュルルと動き、それと目が合ったような気がした。
「わぁぁ!!」
「きゃぁ!!」
自分の声よりさらに大きな声の方向を見ると、セリカが驚いた顔を浮かべていた。
「急になに?大声あげて・・・」
「セリカの方が声大きかったって。えとね、コレ何かな〜??って」
すると、セリカはため息と混じりで
「ちゃんと話聞いてないのね・・・マグでしょーが!!」
「ほー。これがお噂のマグですかに・・・」
「ほれほれ、さっさと契約しなさいな」
セリカのほうを見ると左肩にふよふよとマグが浮いてる。
「契約ね、契約・・と?・・・」
セリカは再び大きなため息をつきつつ
「クリスタル部分に手を当てて、精神を集中させるのよ。少しピリピリするかもしれないけれど我慢して。」
言われたとおりクリスタルの頂点部分に手のひらを当てて、目を閉じる。
すると、手の平からチクチクと何かが入ってくるような感覚がして、
それがどんどん上がってくる。
手を離そうとしたのだけれど、クリスタルがピッタリくっ付いてどうすることも出来ない。
「た、たす・・・」
かすれて声も出なくなってる。
「ピリピリするのは、マグにマスターとなる人の遺伝子情報を登録するた・・・」
セリカの説明は途中で聞こえなくなっていた。
目の前が真っ暗になって、初めてウチは五感全てを失ったことを知った。