個人論評

準備スピーチのプロジェクトのマニュアルを読んで、指示された項目が達成されているかどうかを評価します。
内容に対する意見や感想を述べる場ではありません。ストーリーの要約は不要です。
全ての項目が達成されていれば、改善点は指摘しません。マニュアルで指示されていない過大な要求は不適切です。


個人論評者の主要な任務はスピーカーが実施したプロジェクトに記載されている目標がいかに達成されたかを評価することです。そのために個人論評者はスピーカーが実施するプロジェクトの評価基準を事前によく読んでおく必要があります。もしあなたがまだやったことのないプロジェクトの場合は、スピーカーにプロジェクトのPDF版を送ってもらっても良いでしょう。

スピーチを聴きながらメモを取るときは、スピーチのストーリーではなく、プロジェクトの項目についていかに達成しているかのメモを取ります。 スピーチのストーリーの要約を読み上げたところで、論評にはなりません。

個人論評者はスピーカーがプロジェクトに記載された指示に従って、目標達成のためにいかに努力したかを評価します。達成できなかった目標があった場合には、それを指摘するだけではなく、自分ならこんな風にやる、という実例を個人論評者自身が実際にやってみせることはとても有益です。

プロジェクトの目標達成に適したトピックの選択、スピーチの構成、論理構造はスピーチ技術とともに重要な評価ポイントですが、スピーカーがスピーチの中身として主張した意見そのものを評価してはいけません。コーヒーブレークの話題にはなり得ますが、個人論評はスピーチで述べられた意見について論じる場ではありません。

例えば、「リサーチとプレゼンテーション」というプロジェクトで スピーカーが「今すぐ原発を再稼働すべき」というスピーチをした場合、適切なデーターを引用して理路整然と論理を展開し、説得力のある結論を導いたかどうかが重要な評価ポイントになります。個人論評者は原発に賛成だとか反対だとか、個人論評の中で原発の議論をしてはいけません。
たとえあなたが反対派であったとしても、"あなたの考えには賛成できない" などと言ってはいけません。 "メリットとデメリットの対比関係を明確に構成すれば、再稼働すべきというあなたの主張の説得力を高めることができる" など、あなた自身の意見とは関係なく、 どうすればより多くの人がスピーカーの主張に賛同するようになるかという観点からアドバイスをします。
トーストマスターズの論評は感想ではありません。 スピーチマニュアルのプロジェクトページに記載された事項のうち、 どの項目が出来ていて、今後の努力が必要な項目がどれであったかを評価するものです。

トーストマスターズクラブではマニュアルに基づき、順を追ってスピーチの技術を学びます。 マニュアルの課程を無視した過大な要求は、適切な個人論評とは言えません。
例えば、 レベル1のプロジェクトのスピーチに対して「ボディーランゲージが足りない」という指摘をすべきではありません。 ボディーランゲージはそれより後のレベル2のプロジェクトで学びます。
レベル2のスピーチに対して、「スライドを使って説明すべきだ」という論評もよくありません。 ビジュアルエイドが使えるようになるのはレベル3のプロジェクトからです。
もしマニュアルの目標が充分に達成されたのであれば、個人論評は、 「レベル2のプロジェクトの目標は完全に達成されました。次の課題に挑戦しましょう。レベル3では ビジュアルエイド の使い方を学びます。効果的にビジュアルエイドを使った次のスピーチを楽しみにしています。」 と言って論評を締めくくれば良いのです。
よくできたスピーチに対して、あえて改善点を探して指摘する必要はありません。