平成17年 9月12日  NO.102

産科オープンシステムについて(その1)
先回の院内ニュースでは、産科医の不足している現状について述べさせていただきました。今回はその対策として、行政や産婦人科の医会が推し進めている方策の1つである産科オープンシステムについてお話ししたいと思います。
産科医の不足に対しては 長期的には当然 産科医を増やすために労働条件の改善、若手産科医の育成などが必要ですが、現在の医師数でとにかく効率よく分娩を行うための方法として産科オープンシステムの普及が挙げられます。 これは、分娩をその地域の周産期中核病院(オープンシステム病院)1ヶ所ですべて集中的に行おうというもので、妊婦健診は家の近くの診療所(開業医院)で行い 妊娠中に異常が生じたり、また予定日が近くなったらオープンシステム病院で見てもらい、お産はすべてオープンシステム病院で行うというものです。実際、アメリカはこの方法をとっていますし、日本国内でも いくつかの地域でこのシステムがうまく機能しています。しかし 今の日本の実情はというと 分娩全体の55%が病院で、  45%が診療所(開業医院)で行われており、オープンシステム病院だけですべての分娩を行うのは現実的には無理です。そして地域の分娩施設の分布状況や、交通の便など地域ごとの特殊性もあり、現在はオープンシステムは理想としながらも その地域にあった周産期医療システムを作ろうという方向に進みつつあります。
すると この上越地域はどうなっていくか、ということについては次回にお話させていただきます。