平成17年 9月26日  NO.103

産科オープンシステムについて(その2)
これまで二回にわたって、産婦人科医の不足している現状、そして分娩を中心とした周産期医療を効率よく行うためのオープンシステム(地域の周産期中核病院で、その地域の分娩をすべて行う)の話をしてきました。 しかし、前回にも触れましたように、今すぐ日本全国で、このオープンシステムを取り入れることはできません。 たとえば、上越地域ですと、年間分娩数は2000件をこえますが、これらの分娩すべてを、一つのオープンシステム病院(中核病院)で行おうとすると、新しい病院を建てるしかありません。 また、現在ある総合病院に分散して、すべての分娩を扱うにしても、各病院で相当数の分娩が増えるため、それぞれの病院で、産婦人科医、小児科医、麻酔科医等のスタッフの増員、設備の充実が必要となり、実現困難です。 それでは、実現可能なことはといえば、

@ハイリスクの妊婦さん(合併症等があり、お産におけるリスクが大きい)は、スタッフや設備の整った中核病院で、集中的に管理する。そのために、上越地域では、2、3の総合病院

(県立中央病院や、新しくできる上越総合病院等)で、スタッフの増員、設備の充実を図ってもらう。
A中核病院以外の分娩施設では、妊婦健診を中心に行い、分娩は、リスクの少ない妊婦さんを対象とする。
B中核病院と他の分娩施設(病医院)との間での連携を密にして、妊婦健診あるいは分娩中に異常が生じてハイリスクに転じたならば、すぐに中核病院に行けるようにし、また、中核病院でみていたハイリスクの妊婦さんで、リスクが軽くなったと判断されたら、もとの分娩施設にもどる。

といったシステムを整えることが良いかと思われます。これによって、さまざまな程度のリスクをはらんだ分娩に効率よく対処でき、マンパワー不足によって引き起こされる医療事故を減少させられると考えられます。