平成19年 6月 4日  NO.146

漢方薬について(2
産婦人科領域での漢方療法で代表的なものが更年期障害に対する治療です。特に、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸がよく処方されます。当帰芍薬散は、体質の弱い人で、特に冷えや貧血を伴う方によく使われます。加味逍遙散は、動悸や不眠、イライラなど精神神経症状の強い方に用いられます。桂枝茯苓丸は、体格のしっかりした人で、のぼせの強い人に用いられます。
月経困難症や月経前緊張症に対しては、鎮痛剤と併用しながら、芍薬甘草湯や当帰芍薬散などがよく用いられます。
不妊症の治療には、排卵障害に対しては温経湯が、黄体機能不全に対しては当帰芍薬散がよく使われます。また、男性不妊(乏精子症)に対しては、八味地黄丸が用いられるようです。
妊婦さんへの漢方療法については、妊娠中でも比較的安全に服用できるという点から、用いられる事が多いようです。特に感冒に対して、(私はあまり処方しませんが)麦門冬湯などが用いられます。また、切迫流早産に対しては、子宮収縮をおさえる当帰芍薬散が用いられますし、浮腫に対しては、利水作用のある柴苓湯が処方されます。
その他にも、癌の患者さんで、体力の回復をはかるために、あるいは抗がん剤治療の副作用を軽減するためなどにも漢方薬が用いられます。