平成20年 5月 19日  NO.171

弛緩出血
陣痛をのりこえて赤ちゃんが誕生し、元気に泣き声を発する、非常に感動的で、皆で祝福しあい、そして安堵感がただよいます。しかし、これでお産が終わったわけではありません。この後、胎盤がはがれて娩出し、子宮内の胎盤のはがれた所からの出血は、子宮が収縮することによって止まってきます。そして、子宮の収縮がよくないと大量の出血をきたします。これが弛緩出血です。出血が多い時は、ショックになったり、生命にかかわる事もあります。ですから迅速に対処しなければなりません。まず、両手で、膣の方からとお腹の上から子宮を圧迫し(双合圧迫法)、さらに子宮収縮剤を点滴します。
弛緩出血は、赤ちゃんが大きかったり、羊水が多かったりして子宮が過度に伸展された場合、子宮筋腫を合併している場合、また、陣痛が弱かったり、分娩が遷延した場合に起きやすくなります。特に、体重増加の著しい人は、赤ちゃんが大きくなったり、分娩が遷延しやすく、弛緩出血の危険が大きくなります。また、弛緩出血が起きた場合の双合圧迫がやりにくく、点滴も入りにくいなど、迅速な対処がやりにくくなりますので、ふだんから、体重増加に気をつけてください。なお、当院では、弛緩出血のおそれのある人には、分娩室(LDR)に入ったら、点滴を刺しておいて(血管確保)お産にのぞみ、出血が多ければ、すぐに子宮収縮剤を注入できるようにしています。