平成15年4月28日  NO.40

妊娠と血栓塞栓症
妊娠にかかわる血栓症は、帝王切開術後やお産後の産褥期に 下肢の深部静脈に血栓(血のかたまり)ができ、それが 肺に到達すると、胸痛や呼吸困難をひきおこし(肺塞栓症)、命をおびやかすこともある こわい病態です。
妊娠以外でも、外科や整形外科の手術後や、ふだんの生活の中でも 飛行機に長時間乗っていたあとでも起こる(エコノミークラス症候群)、最近よく話題になっている疾患です。
これは 妊娠により、血がかたまりやすくなったり、下半身の静脈がうっ血した状態に加え、帝王切開や分娩での血管損傷、そして 術後や分娩後の長時間の安静で下肢を動かさないことが血栓をつくりやすくしているからです。また、肥満、糖尿病、心疾患のある人等は さらにそのリスクが高くなります。
この血栓塞栓症を予防するために、我々は術後または分娩後に なるべく早期から体を動かすように、また早期からの飲水摂取等をすすめていますが、今後さらに 特に帝王切開の方全員に 術中・術後にストッキングとフットポンプを装着し 下肢の静脈の血流を保つ予防法を併用していきたいと思います。
皆さんも妊娠中は自己管理をしっかりし、特に体重増加には気をつけて下さい。