平成16年5月10日 NO.67

エコーによる出生前診断
外来の妊婦健診の時には、毎回エコーで胎児や胎盤、羊水など子宮内の状態をチェックしています。胎児については、おもに 推定体重を算出し、成長が順調かどうかを見ていますが、それとともに 胎児の先天異常の有無についても できる範囲でチェック(出生前診断)しています。
先天異常といってもさまざまな種類があり、それらをすべてチェックすることはできません。皆さんが特に気にされるのは、口唇裂や多指症などといった表面に現われてくる異常ですが、これらの異常の多くは 出生後生きていく上でそれ程支障をきたすことはなく、また その後の適切な時期に形成外科的な手術をすれば非常にきれいになおります。
これらよりも、出生前診断として重要なのが、心臓や腸などの内臓の異常です。重度の心疾患や腸管の閉鎖症などは、出生直後から 適切な管理、治療を施すことによって、その後の手術、治療がうまくいき、健康に育っていける可能性が高くなります。したがって、こういった異常が見つかった場合は、その疾患の治療に適した医療施設(県立中央病院や新潟大学病院など)を紹介し、そちらで分娩していただく様にしています。
また、異常の診断がはっきりつかなかったり、あるいは重要な診断である場合は、新潟大学の産婦人科超音波診断の専門医にみていただくこともあります。