平成16年11月8日 NO.80

妊娠中のインフルエンザ予防接種について
今年もインフルエンザの心配をしなくてはならない季節が近づいてきました。この時期になると、妊婦さんのインフルエンザワクチン接種について よく質問を受けますが、以下の如くお答えしています。
インフルエンザワクチンは、病原性をなくした不活化ワクチンで、胎児に影響を与えるとは考えられないため、妊婦さんに接種してはいけないという事はありません。
国立感染症研究所の昨年度の見解では、インフルエンザワクチンの母児に対する影響の調査成績がまだ十分集積されていないので、現段階では、ワクチン接種によって得られる利益が 不明の危険性を上回るという認識が得られた場合に、ワクチンを接種する、ということで、実際にワクチン接種をうけてもらってよいか まようところです。ただ、妊娠中にインフルエンザにかかると、肺炎などの重篤な合併症を併発する危険性が高くなります。
アメリカでは、以上のことから、むしろ妊婦さんに積極的にインフルエンザワクチンを接種することをすすめています。また、ワクチン接種により、母児に異常がおきたという報告は、これまでのところ ありません。
以上より、妊婦さんで、職場などでふだんから人と接触する機会が多く、インフルエンザが流行した場合に 自分もかかる可能性が高い人は、ワクチン接種を受けてもらった方がよいかと思います。
接種の時期は 流産の危険性が少なくなり、いわゆる安定期といわれる妊娠14週以降がよいかと思われます。
また 授乳中の人も、受けてもらってかまいません。