平成17年2月14日  NO.87

エコーの進歩
今日、産婦人科診療で日常的に使用され、なくてはならない存在となったエコー(超音波断層装置)ですが、その歴史はまだ浅く、現在も改良が進められ、よりすぐれた機器が出てきています。
エコーが一般の産婦人科診療で使われるようになったのは 二十数年ほど前です。それ以前のエコーがない時代は、まず妊婦さんにおいては生まれるまで性別はわかりませんでしたし、また生まれて はじめて双子がわかったということも少なからずあったようです。婦人科の病気においても、子宮筋腫や卵巣腫瘍等を内診でしか診断することができず、とにかく 赤ちゃんは生まれてみなければわからず、婦人科の病気は手術してお腹を開けてみなければわからないという時代だったようです。
ちょうど私が医者になった20数年前、エコーが一般的に使われるようになりましたが、その頃のエコーは、まだ解像力が悪く、胎児の心臓が動くのがわかり、また 頭の位置が上か下か(頭位か骨盤位か)がわかる程度でした。性別を間違えたり、推定体重が大きく違うことも時々ありました。
15年程前からは、内診台で経膣エコーを使うようになりました。これにより、排卵誘発時の排卵の予知、妊娠初期の胎児心拍の確認、婦人科疾患においては、子宮筋腫と他の子宮疾患の区別や、卵巣腫瘍内の性状等の診断が容易になりました。また エコーの解像度も上がり、胎児の細部にわたり異常の有無がわかるようになり、出生前診断がなされるようになってきました。
最近では エコーによる胎児の血流計測が一般的となってきましたし、3次元エコーが登場し 胎児の様子が視覚的によりわかりやすくなってきており、まだまだ改良が加えられ、進歩しています。