平成17年3月28日  NO.90

少子化について考える
厚生労働省発表の 平成16年の全国の出生数の推計は110万7000人で、平成15年をさらに下回り 減少を続けています。逆に死亡数は102万4000人と増加を続け、自然増加はわずかに8万3000人となり、日本の総人口の減少が現実のものとなりそうです。
日本の人口は第2次大戦後8000万人くらいであったものが、経済復興とともに増え続け、1億1千万、2千万人となり、現在に至っています。この人口数がはたして日本にとって適正な数かといわれると、現在の都市部の環境、あるいは輸入に頼らざるをえない日本の食糧事情を考えれば 疑問です。日本の食糧資源、自然環境からみると、人口は6000万人が限度という意見もあります。ただし、これは何世紀もの長い年月をかけて徐々に適当な数に落ちついてくるのであって、急激な出生数の減少、人口の減少は社会にひずみを生じさせます。例えば、今後すすんでくる高齢化社会において、年金、医療費、介護等の若年者への負担は増すばかりです。日本の将来を担っていく若者をこれ以上減少させないためには、出生可能な年代の女性に 不安なくお産ができる、あるいはお産がしたくなる環境を作っていく必要があります。そのためには、我々産婦人科医療に携わる者は 行政と協力して、そういった環境づくりを進める必要があると考えています。