平成17年5月23日  NO.94

初産と経産
今月お産をされた妊婦さんの中で、今回が5回目すなわち5人目のお子さんを出産された方がなんと3人もいらっしゃいました。5人目ともなれば、さぞかしお産も楽だろうと思われるかもしれませんが、お産は1回1回違ったものであり10ヶ月の妊娠期間と陣痛を乗り越えてのお産には、それぞれにドラマがあります。3人ともお産が終わったあとは、満足感あふれた晴れやかな笑顔を見せてくれました。
ところで初回のお産と2回目以降のお産では、お産の様相が大分変わります。分娩時間は、初産婦で平均14時間くらい、経産婦ではその半分の7時間くらいです。初産の場合はさらに、初めて経験する陣痛に対する不安も加わり余計長く感じられるかもしれません。また分娩時の会陰切開率、会陰裂傷の大きさ、吸引分娩の頻度等、分娩時の侵襲の度合いも初産婦のほうが大きく産後の回復には多少時間がかかります。しかし分娩時の大量出血等命にかかわる大きな異常は経産婦の方に多くみられるともいわれており、お産は初産、経産にかかわらずひとつひとつ慎重に経過を見ていかなければなりません。また経産婦さんの中で、前のお産でうまくいったからと妊婦健診をあまり受けない方がたまにみられます。そういう方が予定より遅れて受診したときにすでに重症の妊娠中毒症になっていたり、また少々おなかが張るのをそのままにしておいて受診したときにもう子宮口が開いてそのまま早産になったりということも少なからずあります。
お産が2回目3回目といっても甘くみずにきちんと健診を受けてください。