かなえちゃんのえがお

かなえちゃんのえがお(2)

高木かおり



 なんだかとても難しいお話になってきたみたいで、香苗ちゃんは泣きたくなっていたことも忘れて耳をそばだてました。そうでもしないと、先生とお母さんがどんなお話をしているのか、てんでわからなくなってしまいそうです。それに、先生が言った”赤ちゃん返り”という言葉がとても気になるものだから(なんていうか、すごく恥ずかしそうな言葉なのに、でも、とてもふんわかした響きみたいにも思えたものだから)。
「そう言われてみればそうかもしれませんわね。――眠る前にオムツをあててあげる時なんか、くすぐったそうな、少し嬉しそうな顔をすることがありますもの」
 どきん。
 リビングルームから聞こえてきたお母さんの声は、まるでドアなんてないみたいにはっきりと香苗ちゃんの耳に届きました。
 香苗ちゃんは、ぎゅっと握りしめた両手で胸を押さえました。そうでもしないとブラウスを破って心臓が外へ飛び出してくるんじゃないかと思うくらいに胸がどきどきして顔が熱くなってきたからです。やだ、ママったら。とうとう、あたしのひみつをせんせいにおしえちゃったじゃない。こんなことしられたら、もうようちえんなんていけないよお。
 そうです。毎日毎日オネショが続くものだから、お母さんは何日か前から香苗ちゃんが眠る時にオムツをあてることにしたんです。生まれたばかりの妹とおそろいのオムツです。

 香苗ちゃんはいつのまにかドアを開けて、さやか先生とお母さんの前に立っていました。
「ひどい。ひどいよ、ママ。せんせいにオ……オムツのことなんておしえちゃって」
 これまでお母さんに逆らったりしたことのない香苗ちゃんだけど、この時は本当に自分でも驚くくらいに興奮してお母さんを睨みつけてしまいました。
 それから香苗ちゃんは、ねんちょうさんにもなってオムツをあててねむってるあたしのことなんてきらいになっちゃったんだろうなぁとちょっぴり寂しそうな目でさやか先生の顔をちらと見ました。
 でも、さやか先生はにこにこ優しく笑っているだけです。
「せんせい……?」
 なんとなく不思議な気がして、香苗ちゃんは先生に声をかけてみました。
「いいの。いいのよ、香苗ちゃん。香苗ちゃんがオムツを使ってるの、先生は香苗ちゃんのお家に来た時からわかってたんだから。だから先生、おどろかないわ」
 さやか先生は明るい声でそう言うと、香苗ちゃんの顔を黒い瞳で覗きこみました。
「え? でも、どうして?」
 香苗ちゃんは、オムツの秘密を知られちゃった恥ずかしさも忘れて先生に尋ねました。どうしてせんせい、おうちにきたときにあたしのオムツのことがわかったのかしら?
 ひょっとしてせんせい、ほんとうはまほうつかいなのかな?
「うふふふ。簡単なことよ。だって、生まれたばかりの香澄ちゃんのにしては大きすぎるオムツカバーが他の洗濯物と一緒に干してあったもの。生まれたばかりの赤ちゃんが着る小っちゃなお洋服やソックスに混ざってね」
 さやか先生はクスッと笑って言いました。
「あ……」
 香苗ちゃんの顔が、耳の先まで赤くなりました。香苗ちゃんも気がつかないうちに、さやか先生に香苗ちゃんのオムツカバーをしっかり見られていたのです。
「ねえねえ、香苗ちゃん」
 真っ赤な顔をして下をむいちゃった香苗ちゃんの体を昨日のお昼寝の時みたいにきゅっと抱きしめて、先生が楽しそうに言いました。
「明日からは、幼稚園のお昼寝の時もオムツにしようよ。そうすれば、安心してゆっくりおねむできるんだから」
「やだよお、そんなの。ねんちょうさんなのにオムツなんてあてたりしたら、みんなにわらわれちゃうよお」
 香苗ちゃんは先生の手から逃げようとしてじたばたしながら言いました。
「じゃ、みんなが笑わないようにしてあげる。それならいいでしょ?」
「だって、だって……」
 香苗ちゃんは助けを求めるみたいにお母さんの顔を見ました。
 けれどお母さんもなんとなく楽しそうに言ったんです。
「そうね。それなら安心してお昼寝できるわね」
「え〜ん、やだよ〜」
 香苗ちゃんは、お母さんの顔と先生の顔を見比べてぷっとほっぺを膨らませました。

 そのまた次の日です。
 香苗ちゃんは朝から憂鬱でした。その日もいつもと同じように、夜の間に汚しちゃったオムツをお母さんに外してもらいました(香苗ちゃんのオムツを外しながら、「このままじゃ、香澄の方が先にオムツ離れするかもしれないわね」なんてお母さんは笑いました。ほんと、しつれいしちゃうんだから)。で、いつもなら、夜になってベッドに入るまでオムツとはお別れできるのに、この日は違っていたんです。だって、幼稚園へ持って行く黄色いカバンの中に、ひよこ柄のオムツを四枚と、子熊のアップリケが付いたオムツカバーをお母さんが詰めこんじゃったからです。いくら香苗ちゃんが「そんなのいらないよお。ぜったいにもっていかないからね」って言っても、お母さんは「だめよ。先生と約束したでしょ?」って言ってきかないんです。だもので、幼稚園の年長さんにもなってオムツが入ってるカバンを首にかけて園児バスに乗らなきゃいけないと思うととても憂鬱で悲しくて……。
 だけど、時間になれば園児バスはちゃんとやってきます。
「おはよう、かなえちゃん」
 香苗ちゃんが渋々みたいにバスに乗ると、仲良しの佳太くんが一番前の席から声をかけてきてくれました。そうして佳太くんは、窓際の席を香奈ちゃんに譲ってあげます。いつもの朝とちっとも変わらないいつもの光景です。
 でも、佳太くんの声がいつもに比べると少し小さいことに香苗ちゃんは気がつきました。いつもならうるさいくらいおおきなこえなのに、きょうはどうしたのかしら?
「おはよう、けいたくん」
 香苗ちゃんもにっと笑って、佳太くんが譲ってくれた席にちょこんと座りました。
 それから、オムツの入ったカバンをそっと体の横に隠してしまいます。
 その時です。いつもならカバンを振り回してボールの代わりに投げて遊んでる佳太くんが香苗ちゃんがしたのと同じように自分のカバンをそっと体の横に隠したことに香苗ちゃんが気がついたのは。
 やっぱりへんよ、けいたくん。おなかがいたいのかしら?
 なんだか、げんきがないみたい。香苗ちゃんは少しだけ首をかしげて、そんな佳太くんの様子を横目で見ていました。

 ラジオ体操があって、少しだけ図工の時間があって、それから給食までは運動会の練習です。チャイムが鳴って給食の時間になった時にはみんなお腹もぺこぺこで、いつもなら残しちゃうオカズもきれいに食べてしまいました。
 そうして……とうとう、お昼寝の時間です。
 みんなのお布団と毛布を広げてから、さやか先生はぽんぽんと手を鳴らしてみんなを集めました。
「これからみんなの大好きなお昼寝です。みんな、ちゃんと準備してきたかな?」
 みんなの前で、さやか先生は大きな声で言いました。
 なにかもってこなきゃいけないんだっけ?
 でも、きのうのれんらくノートにはそんなことかいてなかったよね?
 香苗ちゃんは、自分が何か忘れ物をしたのかもしれないと思うと心配になってきました。
 だけど、誰も返事をしません。
「あらら、みんなどうしたの? もっと元気良くしなきゃ。じゃ、いいわ。返事はしなくてもいいから、棚の中から自分のカバンを取ってきてちょうだい」
 どうやら、元気なのはさやか先生だけみたいです。みんな、なんとなくそわそわしてて、いつもみたいにお布団の上ではしゃぎまわる子もいません。みんな、お友達と顔を会わせるのがてれくさいみたいに、黙ったまま、教室の一番後ろにある棚から自分の黄色いカバンを持ってお布団の所へ戻ってきました。
「じゃ、ちゃんと持ってきてるかどうか一人ずつ調べるわよ。――最初は智くんからね」
 さやか先生はそう言うと、恥ずかしそうに両手でカバンを隠している智彦くんの前で腰をかがめました。そうして、にこっと笑ってから、智彦くんのカバンのチャックを開けました。それから先生は、カバンの中から何かをつかみ上げたんです。
 みんながじっと見ている中で先生が智彦くんのカバンから取り出したのは、子鹿の柄が可愛い布オムツでした。それに、水色のオムツカバーです。それは、赤ちゃんのお尻をくるむにしてはちょっと大きなオムツカバーでした。
「はい、ちゃんと持ってきたわね。じゃ、次は佳太くんね」
 智彦くんの横に座っていた佳太くんは、てれくさそうに目玉をきょときょとさせながら自分のカバンを先生に渡しました。佳太くんのカバンに入っていたのは、水玉模様のオムツとキャンディ模様のオムツカバーでした。
 それで、香苗ちゃんもやっとわかりました。佳太くんがバスの中でカバンを隠そうとしていたのも、みんながなんとなくそわそわしていたのも、こうしてお昼寝用のオムツとオムツカバーをカバンの中に入れて持ってきていたからです。
「次は香苗ちゃんね」
 もう、香苗ちゃんは恥ずかしがらずにカバンを先生に渡すことができました。
「はい、いいわよ。とても可愛いオムツカバーね」
 中身を確認したカバンを香苗ちゃんに返しながら、さやか先生は唇を香苗ちゃんの耳元に近づけてそっと言いました。
「きのう、香苗ちゃんのお家から帰ったあと、みんなのお母さんに電話でお願いしたのよ。もしもの時のためにオムツを持たせてくださいって」
 さやか先生の目が、悪戯をする時みたいにきらきらと輝いているように見えました。

 みんなのカバンを確認した先生が、もう一度ぽんぽんと両手を鳴らしました。
 すると、年少さんのクラスを担当している先生も年中さんの先生も、それに、園長先生までもが教室に入ってきました。
「今日から、お昼寝をする時にはみんなにオムツをあててもらうことにしました。運動会の練習で疲れちゃって、トイレへ行きたくなってもひょっとしたら目が醒めないかもしれないからです。でも、みんなのオムツを先生が一人であててあげると時間がかかるから、他のクラスの先生にも手伝ってもらうことにしました。みんな、おとなしくしていてちょうだいね」
 どうやらさやか先生は、みんなのお母さんに、運動会で疲れてオネショしちゃうといけないからっていう説明をしてオムツを持たせるようにお願いしたみたいです。だけど、教室の中で一人だけ、香苗ちゃんだけは本当の理由を知っていました。でも、香苗ちゃんが本当の理由をみんなに話す筈はありません。それは、さやか先生と香苗ちゃんだけの秘密なんですから。
 いつも年少さんのパンツを替えてあげたりオムツを取り替えてあげたりしている先生たちは、みんなにオムツをあててあげるのがとても上手でした。恥ずかしそうにもじもじして体を固くしてる子も、あっという間にオムツをあてられちゃいます。
 そんなわけで、お昼寝の準備はすぐに終わってしまいました。けれど、オムツのせいでもこもこ膨れたお尻が気になって、みんななかなか眠れないようです。
 それでも、運動会の練習は本当に疲れます。もうお日様は眩しくて汗もかくし、思いきり体を動かすものだから、ほんとにへとへとです。だから、毛布の中でごそごそざわざわしていた子供たちも、だんだん瞼が重くなってきます。誰かがふぁ〜ぁとアクビをすれば、それがみんなにうつっていきます。誰かがこくんと頭を揺すれば、それもみんなにうつっていきます。そうして、どこからかすやすやという寝息が聞こえてくれば、みんなの瞼はいつのまにかそっと落ちてしまいます。
 先生たちが優しい目で見守る中、みんな楽しい夢の中で遊び始めました。

 チャイムが鳴りました。
 お昼寝タイムもおしまいです。
 う〜んと体を伸ばす子、ふみゅふみゅ言いながら瞼をこする子、ぽやんとした目で周りを見ている子。寝相と同じように、目の醒めかたもみんなちがいます。
 でも目が醒めたあとは、みんな同じことをしてしまいました。
 みんな、ついつい気になって、自分のオムツカバーの中に手を入れちゃったんです。
もうあかちゃんじゃないもん。オネショなんてするわけないもん。みんなそんなふうに思ってて、でも、ついついオムツの中が気になっちゃうんですね。
 そうして、みんなはホッとしたみたいな顔で頷いています。よかった。オムツはぬれてないや。みんな、言葉に出さずにそう言ってるみたいです。
 でも、香苗ちゃんだけは元気がないみたい。やっぱり、失敗しちゃったのかな?
「みんな、おはよう」
 さやか先生が、やけに元気よく言いました。
「おはようございます」
 みんな、明るい声です。あてられるまでは恥ずかしかったオムツも、実際にあてられちゃうと意外に柔らかでぬくぬくしてることに気がついたし、それよりなにより、やっぱり自分は赤ちゃんみたいにオムツを汚しちゃうことなんてないんだってわかったからでしょうね。
 でも、香苗ちゃんは……。
「みんな、オムツは大丈夫だったかな? オムツを濡らしちゃった子、いないかな?」
 さやか先生は、おどけた調子で言いました。
「だいじょうぶだよ」「あかちゃんじゃないんだもん」「ねんちょうさんだもん、オネショなんてしないよ」
 みんなの声で教室の中が騒がしいくらいです。
 そんな中、香苗ちゃんがおどおどした様子で手を挙げました。
「せんせい、あたし……」
 急に、みんなが黙ってしまいました。教室の中がシーンとして、みんな、香苗ちゃんを見つめています。
「あら、香苗ちゃん。どうかしたの?」
 さやか先生は目を細めて香苗ちゃんの方に顔を向けました。
「あたし……あたし……」
 香苗ちゃんは口ごもってしまいました。
 でも、このまま黙っていても、オムツを外してパンツに穿き替える時にみんなに見られちゃうことくらい香苗ちゃんも知っています。それなら、いまのうちにせんせいにはなしておいたほうがいいもん。
「あたし……オムツをよごしちゃった……」
 香苗ちゃんはほっぺをリンゴみたいにして小声で言いました。
 途端に、教室の中がまた騒がしくなりました。みんな、えーっとかきゃーとか言ってます。そんな騒ぎの中で、香苗ちゃんだけがぽつりと一人でうつむいています。
 ピーッ。
 大きな笛の音が響きました。さやか先生が、みんなを静かにさせようとして吹いたみたいです。
「はいはい、そんなに騒がしくしないの。みんな年長さんなら、もう少し行儀よくしなきゃね」
 さやか先生は、みんなの顔を一人一人見まわして言いました。それから、みんなが静かになったことを確認して、優しく言いきかせるようにします。
「みんな、オネショくらいでそんなに騒いじゃだめよ。みんなの中には、絵の上手な子も駆けっこの得意な子もいるわよね。逆に、粘土細工があまりうまくない子もいるし、ハーモニカが上手にふけない子もいます。そういうのを難しい言葉で『個性』っていうの。難しい言葉だからまだわからないかもしれないけど、そんなものなんだって憶えておいてちょうだいね。それで、あのね、オネショしちゃうのも、そういうのと同じなの。そりゃ、お洗濯が大変だからオネショをしなくていいならその方がいいけど、でも、しちゃうからっていっても、あまり気にしなくていいのよ。――だいいち、オネショって、とっても可愛いと思わない?」
 さやか先生の言い方は、どこまで本気か冗談かわかりませんでした。みんな、これまでお母さんに言われてきたことと随分ちがうことを先生に言われて、なんとなくきょとんとしています。だって、みんなのお母さんは、オネショなんてしちゃダメよ、オネショは恥ずかしいことなのよって言うばかりなんですから。

「でも、せんせい……」
 佳太くんが迷うふうにして手を挙げました。
「なーに、佳太くん?」
 さやか先生は佳太くんの顔を正面から見て言いました。
「……だって、かわいいっていったって、おとなになってもオネショがなおらないとこまるでしょう?」
「さあ、それはどうかしら? うふふ……みんな、これを見てちょうだい」
 先生は謎々を楽しむみたいな笑顔になって、自分のジャージに手をかけました。
 みんなの目が、先生に集まります。さやか先生は白いジャージを勢いよく引き下げました。
 さやか先生がジャージの下に着けていたのは普通の下着なんかじゃありませんでした。今のみんなと同じように、可愛い模様のついたオムツカバーだったんです。
 みんな、驚いた顔で先生のオムツカバーにみとれてしまいました。
「さ、香苗ちゃん。先生のオムツカバーの中に手を入れてごらんなさい」
 さやか先生は香苗ちゃんの手を優しくつかむと、そっと自分のオムツカバーの中に入れさせてみました。
「あ、せんせい……。せんせいのオムツ、びしょびしょだよ」
 香苗ちゃんは目を丸くしてしまいました。
「そうよ。オムツを汚しちゃったのは香苗ちゃんだけじゃないのよ。先生も一緒」
 さやか先生の声は、大人のくせにオムツを汚しちゃったとは思えないくらいに明るく響きました。それから先生は、佳太くんの顔を見て優しく言いました。
「オムツをあてた先生、かわいくないかしら?」
「えーと……」
 佳太くんはちょっぴり頬を赤くしてしまいました。
 そうして、はにかむような顔になると、大きな声で言ったのです。
「……せんせい、ぼくもオムツをよごしちゃいました……」
「あらあら、佳太くんも? 年長さんにもなってしようのない子ね」
 さやか先生は、わざと驚いたみたいに(そうして楽しそうに笑いながら)言いました。
 さやか先生は知っています。佳太くんが本当はオネショでオムツを汚しちゃったんじゃないってことを。佳太くんのオムツが濡れちゃったのは多分、つい今のことでしょう。オムツを汚しちゃったのは香苗ちゃんだけじゃないんだよって言ってあげるために。それに、オムツを汚しちゃったのはさやか先生だけじゃないんだよって言ってあげるために。男の子の僕もオネショしちゃったんだよって二人を庇ってあげるために、お昼寝の時にはちっとも大丈夫だったオムツの中に佳太くんはわざとオモラシしちゃったにちがいありません。 
 さやか先生は他の子供たちに気づかれないように、佳太くんにそっとウインクしてみせました。佳太くんがにっと笑い返してきます。

 このごろしょんぼりしていた香苗ちゃんの顔に明るい笑顔が戻ってきたのは、その日からでした。
 今日も、さくらんぼ幼稚園の裏庭にはたくさんのオムツとオムツカバーが風に揺れています。その中で一番大きなオムツカバーはさやか先生のでしょうか。
 楽しい運動会はもうすぐです。香苗ちゃんの笑顔はもっともっと明るく輝くことでしょう。




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