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50BM8 STC amplifire


50BM8超3結シングルアンプについて

図

上條氏のページにある超3結シングルアンプをつくったというページです。使用しているパソコンがMacになったりして、そっちのほうが大変という話もあります。HTMLエディタをどうしていいかわからないので、最初から入ってたemacsをつかってましたが、aquamacsというのをまず導入し、ついでCocoa emacsを導入しました。まさかMacでemacsとはねぇ。
結局Mac用のftpクライアントがみつからず、Emacs上でhtml編集してそのままange-ftpでウェブページにアップロードしたりしています。思えばPC-unixとかいろいろ試したけれども、優秀なGUIがあってシェルに降りれてEmacsもviも使えるって、結構いい環境なんじゃないだろうか。
脱線したので元に戻ります。

先週までのおはなし

エレキットTU-870は有名です。実は千葉市内ではTU-870が15000円で売っているところがあり、私もそれを購入し製作しました。ぺるけさんのページにより、3結にして電力増幅段を定電流化して・・・と改造し普段は楽しく音楽鑑賞しています。
一方、入門用とみられる6BM8シングルアンプですが、超3結という回路で普通のシングルアンプを超越した低音の伸びとかを得ることができ、また部品点数もさほど増えない、ということでした。せっかく3結にしていろいろいじったTU-870を再度俎上にのせてもいいのですが、なるべくスクラッチからアンプをつくってみたいという意志もありました。
思い立ったらなんとやらで、部品を集めに回ります。ピュアオーディオの世界は魑魅魍魎の跋扈するわけのわからない領域ですが、私の部屋のシステムは現在TU-870とオーラトーン5CVという状況です(リビングにはサンスイのプリメインがありますが)。
気合いは整った。さあつくりましょう。


部品を調達すべし

部品の調達は秋葉原です。もともと6BM8を購入するつもりだったのですが、これは最近のにわか(?)真空管ブームを反映してえらく値段が上がっています。価格上昇の法則性は個人的にはあまり理論的とは思えず、誰かが立派な回路と製作記事を発表するとその球だけの値段が激しく上がる、という印象があります。
そんななか、50BM8はヒータートランスも改めて必要そうではなく、連結すれば100Vでコンセント直結が可能そう、ということで6BM8の代わりに購入することにしました。これのみヤフオクで調達です。購入先は以下の通り。あとスイッチとか細かい部品がありますが、手持ちのものとかを使いました。電源スイッチはプッシュスイッチを使いたかったので、千石で購入してます(100円くらいだった)。私はいろんな余計なものを買ったので結構お金を余計に使いましたが、大体合計しても15000円でおつりは来るようです。

型番数量購入場所値段
50BM8 RCA2オークション@1000円
2SC2240BL2秋月電子20個200円
電源トランス B6Z22WCD1春日無線変圧器2200円
出力トランス OUT-41-3572春日無線変圧器@1550円
MOS-FET FQPE3N902秋月電子2個100円
24Vツェナダイオード NEC RD24E4鈴商5個100円
12Vツェナダイオード NEC RD12E2鈴商5個100円
整流ダイオード 適当 本来はダイオードブリッジ可4若松通商@200円くらい
2Kohm 半固定抵抗2秋月電子@50円
400V 330uF 電解コンデンサ1若松通商 315円
400V 470uF 電解コンデンサ2若松通商 @315円くらいだったと思う
タカチ YM-200 ケース1どこでも売ってるが今回は千石1300円
入力端子 RCA テフロン絶縁 赤・白2秋月電子 1個150円
スピーカー端子 ステレオ用1千石 210円くらい
C 100V 0.22uF2千石 @100円
R 1/4W 1K x4, 10K x2, 470K x2千石数10円
R 3W 100K x4, 2W 220 x2千石あわせて200円弱
平ラグ6P2千石 200円くらい
立ちラグ5P1若松通商 100円くらい
真空管ソケット MT9P2若松通商 @315円くらい
100Kohm 2連VR 東京光音のものを使用1若松とい うかコムサテ1800円
ねじとかスペーサーとか ネジの西川とか
FET用放熱板2手持ちを利用。秋月にもあり @100円
電源スイッチ1千石100円
スパークキラー1鈴商100円

オリジナルの回路と比較していろいろ変更がありますが、その辺は製作の方に書きたいと思います。


製作する

とりあえずの今回の回路はこれ。

オリジナルの回路はこちらにあります。自作のいいところは部品を変更してもつぶしが効く、というところだと思いますが、私のようにあまり応用が利かない人は小さな変更でとどまるに過ぎません。もし参考にする人がいるかもしえないので、そのあたりを以下に示します。
Q1はオリジナルは2SC1775Aでしたが、2SC2240BLを用いました。hFEも同じグレードだしどちらも音響用、と銘打っているし、おそらく互換品リストに入っているし、しかも秋月で安い(!)ということがあり使用しています。いろいろデータシートを眺めてみましたが、C2240の方がいいんでないだろうか・・・
Q2は2SK1758の代品としてこれも秋月で安価に売っているFQPE3N90を用いました。これにはG-S間にツェナダイオードが内蔵されていないため、こちらにあるように24Vのツェナダイオードを2本接続しました(ZD2,3)。安全のため、とのことなので省略してもいいのかもしれませんが、不要なトラブルは避けた方が無難でしょう。3N90はゲート・ドレーン・ソースという足の並び順なので、ゲートからソースに向けてピラミッドのごとくツェナダイオードを空中配線しています。多少発熱するので、秋月の小さめの放熱板をつけています。
原回路にあるような、47KΩ/5Wという抵抗がなかなか入手できなかったため、千石で売っていた酸化金属被膜抵抗の100KΩ/3Wをパラに接続しました(R7,8)。オーディオグレードの抵抗を購入するほど腕がついてきていません。ふつーはどういう抵抗を使うのが筋なのでしょうか。
ブリッジ整流しているD1は適当な手持ち品です。ブリッジ整流なので耐圧は1000Vもいらないと思います。 出力トランスは春日で安価であったOUT-41-357という一番小さいものを購入しました。将来アップグレードする楽しみがあるというものです。Sub羊羹サイズでサンスイのトランジスタトランスみたいな大きさです。

(2011.9追記)じつはこのトランス、一時重畳最大電流が20mAでした。このアンプでは35mAもかけますから、明らかに定格オーバーです。後日トランスをすげ替えないといけません。全く同じ回路をつくる人はあまりいないと思いますが、上のランクのOUT-54B-57や東栄のT-1200のがよさそうです。

ヒーターは前述のごとく50Vで点火するので、電源スイッチの後ろから100Vのラインを引き出し、ヒーター同士を直列に接続してヒーター回路としました。回路図には入っていませんがスパークキラーというのも入っています。電源トランスは100-200Vのただのトランスなので、LEDを光らせたりするような回路を組み込んでいません。このあたりは考察の余地がありそうです。これも、最大出力電流がDCで63mAです。出力段プレートに35mAもかけてはいけません。
その他は普通に製作します。普段デジタル回路とか、そういうものを作るほうが多かったため、アナログ回路+高電圧、という製作は不慣れでした。初段から真空管へ至る回路は6pの平ラグ板に作製し、20mmのスペーサーでケースに固定しました。電源周りは立ちラグ5pを用いました。手持ちのダイオードが偉く巨大だったため、実装に難儀しましたので、次回からは素直にダイオードブリッジを使いたいと思います。
コンデンサは手持ちのものを用いたため、サイズ的にかなり苦しいです。
ハンダごては60Wのものを用い、配線材は父親からもらった20芯のものを用いました。が、これが酸化しまくってハンダが全然乗りません。仕方ないのでいろいろ手持ちを代用しましたが・・・ ヴィンテージ線材を愛用している人はどんななんでしょうか。
なるべく傷をつけないようにケースを加工します。多少工作慣れしていれば高級シャシーを使えるのですが、自分の腕に自信がないため安価なタカチのYMケースを採用。大穴はコストコで安価(4000円弱だったか)で購入できるステップドリルの刃を用いて開けました。必ずセンターがずれるので難儀し、結局固定の穴はヤスリで広げることになりましたが、固定穴は後で開け直すべきなのでしょう。つまみはぺるけさんのおすすめ(?)通りLeader製のものを。電源スイッチはオルタネート型のプッシュスイッチを千石で購入し、鈴商で購入したスパークキラーとともに設置しました。
線材の引き回しに苦労したのと、YM-200では実はサイズが苦しい、ということが判明しどうにかこうにか線を引き回しました。ぺるけさんのmini-watterシャシーのとかの方がおそらく楽に配線できる(=ミスなく余裕をもって配線できる≒音質の面でも有利)と思われます。穴開けしなくてもいいし。

完成。

冒頭の写真が外観です。トランスの端子が丸出しなので、クリアファイルを切り抜いて端子カバーとしています。これはアルミか何かで覆って完成としたいと考えています。
私は耳があまりよくないので音に関する詳細はコメントしませんが、エレキットとは違う感動がここにあります。
電源を入れるとヒーターが一瞬フラッシュします。この球の特徴らしいのですが、 さて、次は何をつくりますか・・・

改良

このアンプはいろいろな改良を経て現在に至ります。まず、電源トランスをZT-05に、出力トランスを春日のKA-5730に変更。
さらに電源のレギュレーションを良くするために、FETリプルフィルタを導入。出力段定電流化に合わせ、電源のレギュレーションは相当良くしたと思います。
原回路の考案者の上條さんは逝去され、しろーとの私は自分の思うところで改良を図るしかありません。はたして適切なのかどうか・・・

測定

レスポンスのデータを上記に示します。出力が2Wぎりなので、2Wのデータはなしです。超3結の特長として、力強い低域、というのがあるようなのですが、測定データではCV4097ミニワッターに負けている感じがあります。上條さんのこの回路は、ミニワッターにあるようにカソードバイパスコンデンサのショートカットがなされており、さらに出力段は定電流化してあります。さらに自分で改造してリプルフィルタにFET式を導入して電源のインピーダンスはかなり下げたつもりです。
一方聴感上はかなりしっかりした低域を感じることができ、数字では表れない何かがここにはあるのかな、とも思います。


Last modified: Thu Feb 7 22:28:42 JST 2013