ぺるけ氏式ヘッドホンアンプ


ぺるけ氏式ヘッドホンアンプについて

図

ぺるけ氏の設計されたヘッドホンアンプをつくったというページです。実にホームページを9年ぶりに更新しました。

先週までのおはなし

男の子の趣味はオーディオとカメラと模型とクルマのあたりを定期的に巡回している、というのを職場の上司より聞きました。
確かにデジカメにはまってレンズ沼に突入したり意味もなくクルマの工具をそろえたりカーナビをつけたりしたけれども、あんまり模型は興味がなかったりします。
実に更新9年ぶりの当ページで、最近オーディオモードに趣味が切り替わった私がとりあえず何かつくりたくなり、いろいろ自作を始めたというわけ。
第2弾もあるので、興味があるかたは見てください。こっちのが多少informativeかも知れません。


はじまり

最近趣味が自作モードに切り替わったと冒頭に述べましたが、さしあたりLEDちかちかをするわけにもいかず、(意味もなく無安定マルチバイブレータでLEDをちかちかさせたりもしたけれど)歳も取ったので電子びっくり箱というわけにもいかず、アマチュア無線の局免はとうに切れているし(なぜか最近2級陸上特殊無線技士というのを取った)、対象はどうしてもオーディオということになるわけです。
ぺるけ氏のページは素人初心者にもわかりやすくアンプ作成の記事が記載されています。この量のページを維持するのは大変なことだと思います。そこで発見したのが冒頭のJFETを用いた差動プリアンプの記事です。アンプといえばエレキットのTU-870とかしかつくったことはなく、ディスクリートで部品を集めて組み立てるのはなかなか興味深いものでした。
当直中にページを読みふけり、その場の勢いで部品の頒布のお願いメールをしてしまい、さらにいてもたってもいられず当直明けに秋葉原まで車をひとっ走り走らせることになってしまいました。


部品を調達すべし

久しぶりに行った秋葉原はメイドさんの街になってしまっていました。3歳の子供の子守りもかねていたので、油断すると小物部品をトレイに勝手に入れられるというスリリングな環境でもあります。
大事な部品である2SK170はディスコンに近いらしいのですが、秋月電子で30本ほど購入。売り切れとなりました。2SC1815は手持ちがかなりあるので2SA1015-GRを20本パックで購入。端子台を購入。ポテンショメータを購入。複数本つかいそうな抵抗を100本パックで数種類購入。
小中学生のころは抵抗は1本ずつ買うものだったと思っていたけれど、大人になったら大人買いを臆面もなくすることができます。
千石で残りのRを購入。平ラグ板も購入。確かに2SC945はもう売ってない!
鈴商に行き2SA1358, 2SC3421を5本ずつ購入。金皮の抵抗を購入。電解コンは秋月のテーピング品の1000uFがいっぱい手元にあった気がするのでとくに購入せず。
ラジオデパートに移動し、門田(もんたって読む?)無線でアルプスのミニディテントVRを購入。ミニって書いてあるけど普通のVRより大きいよな。
子供が飽きてきて騒ぐので、秋葉原滞在時間は約45分。さて帰るか。

製作する

数日まてばぺるけ氏より抵抗とVRと「選別済み」の2SK170-BLが届くのではないか、でもここにはほとんどフルセットのパーツがそろっている。何でいまつくらないことがあろうか、いやない。というわけで、無選別の2SK170を片手に持ち、気がつくと半田付けを開始していました。
平ラグ推奨、とのことですが、個人的な趣味から秋月の小さい両面万能基板で製作開始。とりあえず片チャネルをつくってみようということです。
結局参考になるのは回路図ではなく平ラグ実体図で、これを万能基板上に展開する、とそういう形になりました。部品にはとくにこだわりなし。パターンを考えながら作ったため、片チャネルで3時間もかかりました。
何とか片チャネル分はできたのですが、やはりもう1チャネル作りたくなるのが人情というものです。ただ、K170の選別の問題が頭をよぎりました。

選別冶具

図

自分でFETの選別をしよう。というわけで選別冶具をつくることにしました。
ジャンク箱をあさり、あらかたの部品はそろうものの6.2Vツェナダイオードがない。そもそもZDがいままでほしかったときにあったためしがあろうか、いやない。と得意の反語形で悩むけれども、このためだけに秋葉原まで行くのはしゃくにさわります。回路図を見てみると分圧しているだけのようです。ということはつまり、LEDの電圧降下を利用して、6Vドロップさせてやればいいのだろうか。ということでZDの代わりにLED3本直列の回路をつくり、つくってみることに。
結果は良好です。LED間の電圧は5.9Vとややドロップ不足の感もありますが、ZDを買っても大差ないだろうと。また真ん中の5KΩ半固定VRは親父にもらったものなので、少なくとも30年以上前の製品のような気がします(NEC製です)。これで手持ちの2SK170の選別を行ったところ、ペア3組程度を得ることができました。最初の1チャネルの誤差が気になりますが・・・
ちなみに切り替えSWは省略、電源は秋月でもらった12VのACアダプタからの供給です。

部品の再調達

小学生の時500g買ったハンダをようやく使い切ろうとしている。ケースがない。入出力の端子がない。VRはいいのを買ったがツマミがない。スイッチがない。

と、あまり計画しないで部品集めを行ったバチがあたり、再度秋葉原に行く羽目となりました。
ケースはタカチのUC10-4-14というケースを奥澤で買いました。ぺるけ氏おすすめのケースとは違います。またもよく考えずに購入したため、サイズはかなりぎりぎりです。もうひとつ大きいケースの方がいいかもしれないです。RCA端子は秋月でテフロンのものを購入。抜いたときに「すぽっ」という不思議な音がします。スイッチは秋月で、電源コネクタは千石で購入。ついでに2SK170を購入しておこうとしたところ、秋月はなんと売り切れ。パナの1000uFも売り切れとのことでした。ハンダは小学生のころと同じKR-19RMAというのを買ったのですが、大きいパッケージがなかなか見つからなかったですね。

ケース加工

今までいろんなものをつくったけれども、ケースに入れないから存在がどこかに行ってしまうわけで、今回はしっかりケースを加工しました。二人の子供にもドリル穴あけを手伝ってもらい(これで3人で共同製作になるわけです)、なんとか人に見せられるカッコになりました。大きい丸穴があけられず、ひたすらヤスリで広げることになり・・・コストコでステッピングドリルの刃が安かった気がする、今度探しに行こう。
ねじがなくてホームセンターまで走ったり、いろいろありましたが何とか完成。

完成。

内部構造

冒頭の写真が外観です。ツマミがあまり気に入らないので何かに変更したいと考えています。
視聴すると確かに音はいいのですが、ヘッドホンが安物すぎるのでなんとも評価しようがありません。もう少し耳のいい人に聞いてもらわないといけませんね。
行き当たりばったり式の問題として、K170のバランスの問題がありますが、両ドレイン間の電圧差は150mv程度で、とくに問題はなさそうです。自分の耳の左右差もアテにならないのですが、聴感上問題はありません。確かにボリュームを大きめにしたくなる音がします。
基板をチャネルごとに分けたのはあまりよかったと思えません。配線の引き回しがかっこ悪くなりますし、衝撃にも弱そうです。両面基板もそのメリットをまったく使えておらず、秋月の一番安い基板の方がよかったと思います。
ミニディテントがぶつかるので、ガラエポ基板を一部削る必要が生じました。これも問題。
あとは大人なので、なるべくケースに傷をつけない努力とか。小学生時代にはなかったモードです。

おわりに

久々の万能基板引き回しなので結構苦労しましたが、完成品には満足しています。
この領域の知識はまったくないので、理論的背景を勉強しないといけません。何で初段がVFETなんだろう。MOSFETじゃいけないのかな?(特性がまったく違うので大間違いだろう)
部品頒布と貴重なウェブページを公開していただいたぺるけ氏に感謝いたします。

おしまい。

version3へのバージョンアップ

この方式のヘッドホンアンプは、都合3台製作しました。本機が1台目、別ページにあるものが2台目でした。2台目はあげちゃったのと、万能基板で作成して100均の箱にいれた3台目というのがお蔵入りになっていました。
先日version4を作った際、version3と比較する必要性をねつ造し、本機を分解し中身を万能基板版のversion1をversion3に改造したのちケースに入れました。万能基板バージョンのversion3のパターンはありません。実際4700uFのコンデンサをこの基板に押し込むことは無理そうです。仕方がないので、電源のコンデンサは別基板に1500uF x 3 x2(左右分)実装することとし、出力のコンデンサのみ1500uFから1800uFに(とりあえず手持ちがそれしかなったので)入れ替えることにしました。その他にインダクタやら抵抗やらは手持ちといろいろ交換しています。
本機をそのままバージョンアップしなかったのは、部品の配線の引き回しが稚拙であること、必要以上に端子台なんかを使っていて無駄が多いこと、などが理由として挙げられます。わざわざLEDを砥石で削ってスモークにしたりとか、当時は結構凝ってたんですけどねぇ。


Last modified: Sat Jun 13 00:29:26 JST 2015