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ぺるけ氏式ヘッドホンアンプ Version 4

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ぺるけ氏式ヘッドホンアンプをまたつくってしまったという件について

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ぺるけ氏の設計されたヘッドホンアンプ Version 4をつくりました。

先週までのおはなし

本家のページには書いてあります。「まだ作り足りない、暇でしょうがない、することがなくてごろごろいていると家族に叱られる、という方は是非暇つぶしに作ってみてはいかがでしょうか」
ゴールデンウィークの半分は仕事が忙しく一日中走り回っており、ひさしぶりの完徹をこなし、幽霊のようになりながら家に帰ると本家の記事をみつけました。徹夜明けの頭で何も深いことは考えられずに部品箱を漁りだしたところ、部品だけはなんとかなりそうでした。そういえば以前FET差動バランス式ヘッドホンアンプをつくったとき(記事にしていません)、まちがえて2SK170のペアをつくってしまったんだっけ。RK27の50KΩのVR、どっかのメーカーがオークションに流したときに10個単位で落札したっけか・・・
eBayの1/2W 1%抵抗詰め合わせもあるし・・・

自作とは麻薬みたいなもんで、一つなにかプロジェクトが完成するとまたなにか作りたくなってしまいます。
6B4Gシングルの設計から製作までをやってしまい、しばらく大物の製作からは遠ざかっていたのですが・・・・

ついむらむらしてやった。今は反省している。
いや本家でしっかり記事にしてくださっているのだから、暇つぶしに、っていうのは一種の照れ隠しだったり枕詞みたいなもんに違いない。記事を前にしてなんで作らないことがあろうか、いや作るにきまってる・・・のです。


はじまり

初代FET差動、次段Tr準差動、終段SEPPのヘッドホンアンプです。
いままでのFET差動アンプは初段の2SK170で増幅率を稼ぎ、そのあとのダイヤモンドバッファは電圧利得がない、というものだったと思います。今回は2段増幅で、終段はおなじみの2SC3421/2SA1358を使ったSEPPです。
トランジスタ式ミニワッターVersion4のダウンスケール版でしょうか。

今回のテーマ

部品箱の内容を見たらそれなりにパーツがそろっていた、というのが今回の出発点です。ありもので済ます、があいかわらずのテーマです。
但し、つくりっぱなしだとそのうちゴミになるので、最終的にはケースに入れる、ということをルールとします。

製作する

自作派のつねに倣わず、2SA1015の手持ちがあまりありません。なぜか2SA937Mというのが手持ちにあって、ファミコンの映像出力バッファあたりに使われているらしいのですが、これがIc/Pcはやや低いものの(-100mA/300mW vs -150mA/300mW。ヘバリだすのは-20mA vs -30mA) 2SA1015以上の低Cob、同等のhFEと直線性を誇っている(と思う)ので、これを使用します。自分の耳では2SA1015との違いはわかりません。初段は2SK170、終段は2SA1358/2SC3421でオリジナルと変わりありません。
本家のページには、hFEが高すぎないものを推奨、と記載がありますが、今回使用したA937のhFEは余裕で300近くあります。自分は手持ちの都合でこれを使いましたが、そこらでまだ10円/本で売ってるA1015の代わりにA937を調達してきて代わりに使用するメリットは現在のところないでしょう。
コンデンサは秋月で売っている1500uF/16Vのチップ電解コンデンサが普通のリード部品と同じように使えて、しかも安いので愛用しています。今回も指定の1000uF x3を1500uF x2としました。したけどなぜか基板上はオリジナルより混み合っている・・・んー。
部品箱で眠っていたOSCONも投入してみました。

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リード線の色は「再利用なので変な組み合わせ」という記載が載る前に「ふーんそんなもんか」と色を合わせてしまい同じ組み合わせに
電源スイッチはたぶん小学生時代に購入したもの。ムラウチ電気で160円也。

ぺるけさんのページは、平ラグパターンやらプリント基板のジャンパー位置まで全部記載されており、部品の指定もしっかりしています。
今回はそのプリント基板パターンを参考に製作しました。2SA937はFTRという3P SIP ICのようなパッケージに入っており、製作はしやすいんですが今回のパターン図のように1つ飛びのパターンだと対応困難で、わずかな変更を要しました。表面のジャンパーはあんまり好みではないので、裏面にウレタン被覆線でワイヤーを這わせることにしています。

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0.33uは積層フィルムCを使用しています。千石で数十円の代物ですが、とくに問題なさそう。
2SA937周囲のパターンがオリジナルと変わっています。手持ちの無い部品(主に抵抗)は並列接続やらを活用してパターン上は大混雑・・・・

私見ですが、最近ぺるけさんのページは親切具合がやや進んでいて、何も考えないでも(キットのように)製作がすすんでしまいます。精密な記事の記載はいつも勉強になることしきりです。自分で考える人にも勉強になるし、自作初心者の裾野も広がるし、ということでいいのでしょうか。最近は回路図だけ見て自分でパターンを考えて実装することが多いので、プリントパターンまでおまかせすることにやや複雑な心境を覚えました。
今回はDCバランスがとれなくて「あれ、ヘンだぞ」と思いパターンのミスも発見できました。次に作る人には参考になるでしょう。

ケース加工

いつものタカスのYMケースではなく、テイシン電気のTC-112(W100xD140xH30)というアルミケースを使いました。IC-301-72基板が横(landscapeモード)でケース長軸に入ることを考えました。厚みも30mmなので、RK27(型番通り外径は27mmです)も入ります。ただし味もそっけもないアルミヘアライン加工675円也、なので格好良さには欠けます。でもこの測定器感はきらいではないです。冒頭の写真が完成形です。
最近ケース加工は場数だな、と思うようになりました。大人になって自作を再開して、回数をこなすごとに加工精度がかなり上がっておりちょっとうれしいですね。まあ確かに、足で押さえてカセットケースをハンドドリルで穴を開けていたことからすると雲泥の差なんですけど。

考察

次段の2SA937は全く問題ないようです。以前にもFET差動DACのエミッタフォロアにも使ったことがあります。定格も2SA1015より一回り大きいようです。ある程度まとまった手持ちがあるので、今後もこれを使おうと思います。
ぺるけさんのお示しいただいたパターン図は、手軽に製作するのにはいいですが、あくまで「作例」であってそれにとらわれずにいろいろやる、ということも可能です。むしろそういうのが自作の醍醐味であって、完全コピーから先に進もう、という思いが出ていることを認識したのが財産でした。
テイシンのケースは今回初めて使ったのですが悪くない感じです。
これを製作後、FET差動式ヘッドホンアンプ(プリント基板版)を15V駆動にして、コンデンサの増量を行いました。ケースに入らなくなってしまい、バラックのまんまですが、今回製作したv4と比較しました。今回製作したv4の方がしゃっきり感があるというか、スピード感があるという感じです。PCの出力で直接ヘッドホンを聞くと、低音がダブついているところがあるのですが、こちらは鳴る・止むのメリハリがしっかりしており、さらに演奏の「貯め」がよくわかるような印象があります。従来のFET差動HPとどっちがいいかはわかりませんが、製作したてのひいき目もあり、こっちがかなり好印象です。
いろいろ取り替えてみてみたのですが、「別のにつなぎ替えたくない感=聴き続けていたい感」はかなり高く、バランス式FET差動アンプの次点くらいです。バランス式FET差動アンプは製作の手間も結構かかりますし手間暇を考えるとこれはかなりいいのではないかと思います。

おわりに

4号機を作成しました。安定の高性能です。
部品頒布と貴重なウェブページを公開していただいたぺるけ氏に感謝いたします。

つくりかけのページだったのですが、本家にリンクを張っていただきました。いつもありがとうございます。早急に写真や視聴レポートを追加したいと思います。期待して見てくださった方、申し訳ございません。
本家の掲示板に「半導体はほんとうに貴重ですから、きれいに外してしっかり再利用してほしい」という記載をみつけました。確かにあっという間に2SK30Aなんかは消えてしまいました。限りある資源を消費しているんだ、とそういう心構えが重要なのだと思い知らされました。
つい先日秋葉原に行きましたが、やはり本家のページにあるような半導体がことごとく品切れになっていました。JFETの在庫はかなり少なく、あっても秋月のように廉価で入手することは難しそうです。半導体ミニワッターで使用している2SC4881もなかなか手に入らなくなりました。 2S型番の半導体のリードタイプは壊滅状態だと思います。「半導体はたくさん買って選別」というのがアマチュアの特権、みたいなところがありましたがもはやそれもできなくなりつつあり、むしろ真空管の方が入手が容易そうです。
ガード下に半導体のお店もなくなったな、ラジオデパートも数件しかないなと思いながら、秋月と千石のためだけに秋葉原に出かけることにならなければいいな、と思いつつ帰宅することになりました。
おしまい。

画面いっぱいに横に広がったページは見にくい、っていう話があって、たしかにそうなんで試しにスタイルシートをいじってみました。ブラウザの全画面表示を自分は使ってなくって、いつも縦長のウィンドウ表示にしてあり、何か他のウィンドウが横に開いているのが自分の普通で、あんまり空き地の多いページはもったいないと思うんですが・・・しばらくこっちにしてみようかと思います。


Last modified: Mon Jun 1 12:14:43 JST 2015