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放課後の工作 2SA1359/2SC3422 transistor 'mini-watter' amplifier (version4)

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whole view of amplifier

ヘッドホンアンプとサイズやデザインをあわせてみた。

おしながき

はじめに

ぺるけ氏発表のトランジスタ式mini-watterアンプは発展しておりversion 3,4となりました。Version2から3で疑似正負電源となり、OTLアンプからOCLアンプになりました。
Version3が発表されたとき、自分はA1359/C3422でやはり万能基板で追試をしており電源回路、アンプ回路の2枚組の基板を作っていたのですが、その後DCバランス問題や過渡電流問題があったようで、回路もいろいろ変更になっていました。自分ではなにもできなくて残念に思ううちに、自分も忙しくなって基板ユニットのまま放置となっていました。
そうこうしているうちに、ディスクリート部品は急速に入手困難となり、つくったユニットをそのままお蔵入りさせておくことは道義的にも許されないのではないかと思うようになり、一度も動作させていないversion3をまずversion4にバージョンアップすることにしました。
当初はアンプ部基板を全部流用しようとしたのですが、万能基板のハンダカスを取り除く労力を考えたら基板は新調した方が早い・安い、半導体は上記の理由で全て再利用する、という方針としました。そもそも、再利用もなにも、こいつらは一度も利用されてないのです。工業製品としてかわいそう感maxです。
2SA1680は一旦取り外し、hFEがそろうようにそれぞれ各1本追加しました。初段の2SK170はもはや秋月にもありません。これはバランスペアなので、そのまま流用。終段の2SA1359/2SC3422も流用します。
部品も可能な限り流用することにしました。周辺パーツは、お菓子の箱に入っていたtransistor mini wattor version2から流用することにしました。本家のページにも、同じ方式のヘッドホンアンプは簡易版差動式ヘッドホンアンプを解体してあるようだし、version4もversion3を改造して作られているような記載があります。
部品を再利用したり流用したりできるようになったのも、それなりに外すことを考えた実装をしたり、何かあったときに部品のせいにしないようにするようになったからかもしれません。
ケースは先日製作したヘッドホンアンプと同じものを調達しました。VRは実装の都合上、RK27でなくRK09の小型タイプになりました。主にケースの容積の制限から、通常タイプでなく回路規模は旅行オーディオタイプのversion4としました。電源回路に関しても、Version3用につくっていたのをversion4用に流用しました。

配線

PaaSでつくった基板のレイアウト。なんとなく色使いが実際の部品とそっくりで好き。

回路に関してはぺるけさんのそのまんまです。コンデンサはいつもの1500uFを使います。
いわゆる「秋月C基板」に全部のっけます。今回は電源回路にC基板1枚、アンプ部にC基板1枚とし、2階建ての実装にする予定でした。しかし、手に入れたケースの高さが30mmしかなく、これに合わせるには基板を横並べにする必要があります。コンデンサが終段トランジスタの熱にあぶられる感じになりあまり好ましくないのですが、やむを得ません。実装のシミュレーションには、PaaSという万能基板エディタを使用しました。適当に部品を刺して確認するのと違い、とくに配線時に裏面配線が簡単にチェックできるのでとても便利です。Macで動かないのでVMwareを使っています。
部品は基本的に足をまげずにそのまま半田付け、その後でスズメッキ線で信号経路をハンダ付けしています。ジャンパを飛ばすところはウレタン被覆線(UEW)を用い、ビニール被覆線は基板上ではなるべく這わせないような方針としています。UEWは温調コテを多少高い温度にすると切ったところの被覆が融けるので、これで半田付けは容易にできます。
実際くんだあと確認してみたところ、差動増幅で信号の取り出し先を間違えていたので、パターンを修正することになりました。部品固有のリード線を曲げて使用しないことで、部品の再配置やパターン修正は容易です。ガラスエポキシの秋月基板は比較的ランドが強固なので、基板パターンの再配置も楽に思えます。一方紙エポキシの基板はすぐランドがはがれるのであんまり好みではありません。上記の図は修正後のものです。同じパターンでつくる人はまずいないと考えていますが、このままだと放熱板をつけようとすると、片チャネルの片方は裏側につけなければならなくってちょっと気持ち悪いです。幸いトランジスタ周りは空き地がまだあるので、ひっくりかえして実装することはさほど難しくないと思います。ぺるけさんの回路図ととっかえひっかえして見てみてください。

左右チャネルで放熱板を共用しているのが気になる。写真中白いのはシリコングリスです。
ケースが小さいので、やたらすし詰めに。Keyのひとつは、かわのそばに。

コストについて

手持ち部品をかなり活用したので、コストはほとんどかかっていません。
2SK170は千石や鈴商、若松にはまだ在庫がありそうですが、大量に買って選別するのはもう無理に近いと思います。ぺるけさんの頒布に頼った方がいいように思えます。次段の2SA1680もちょっと入手は厳しくなりました。秋葉原で小分けしてくれる店は数えるほどしかないのではないでしょうか? 2SA1020か何かで代用する必要があるかもしれません。終段に使った2SA1359/2SC3422はまだ秋月にありますが、なくなるのも時間の問題と思います。
今後、根本的に使う半導体が変更になったりするかもしれません。もはや半導体も公共財に近くなってきており、個人でため込むのはためらわれるようになってきました。

音について

意識して小さめのケースに押し込みましたが、スケールの大きい音がします。リビングの大きいスピーカーまで鳴るのはちょっと驚きです。
今回の経緯で、「その2」を解体してしまいました。「その1」はしっかりケース加工をしたのでその1をそのうちその2にバージョンアップしたいと思います。本稿を書いている間に実はバージョンアップを行ったのですが、今回は基板ごと再利用したのと、パターンの空き地がとにかく少ないので、かなり困難を極めています。とりあえず基板上に部品を並べてみてUEWで無理やり配線した感じです。時間があれば記事にしてみます。


Last modified: Tue Jun 16 13:37:44 JST 2015