ミントン
(Minton)
PATE-SUR-PATE Plate 1911年
26.0cm
A.Birks

3個所に施されている透明感のあるカメオ風の浮き彫りは、
パテ・シュール・パテといって1860年代に
ルイ・ソロン (L・Solon)によって、セーブルで発明された
高度な技法で、彼は1871年以後この技法を携えて
ミントンに移籍しています。
この技法は、とても手のかかる方法で色付きの地の上に、
白いスリップ液(水で溶かしてクリーム上にした粘土の
溶解液)を何回も重ねていき微妙な濃淡でカメオ風の
浮き彫りを描き出したものです。
薄く液をかけた所には下の地色が透けてみえ
厚く液をかけた所は白く盛り上がり
ベールやたなびく髪の柔らかさを表現するには
最適なのですが、そのために何回も窯に
出し入れしなくてはいけないので、
採算が合わなかったようです。
このお皿の絵柄について解説します。
(1) ブーケを片手にまどろむ女神と
その背後で小枝で遊ぶ天使の図
(2) 太陽の日差しを手鏡のようなもので
よけている女神と手で日差し
をよけている天使の図で、2人が腰をかけている台座に
A.Birksのサインがみえます。
バークスはソロンの弟子で有名な作者です。
(3) 水瓶を横に抱える女神と2人の子供
(魚の尾が見えますが魚か人魚かはっきりしません。)
が後ろで皿の上に何かを載せて運んでいます。
女神の長い髪が風にたなびいている所がとてもきれいで、
私はこの図柄が1番気に入っています。