哀傷歌



或る人のみまかれるをききて,弔ひにおとなはむとて旅支度を終へ夜半に庭にいづれば鳴く虫の声ぞ悲しき。時に九月十四日,雲居の間に冴ゆる月を見てよめる。

秋惜しみ鳴く虫のねに誘はれて君は月見に旅立ちぬらむ



むかひなる人のみまかれるによめる。

野分きだちて吹く夕暮れの草の葉に時しもあれと虫の鳴くなり




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