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夏向きのフランス料理


 妖怪仲間のO嬢が,精神的・肉体的疲労から,やたらと酸っぱいものが欲しいと言い出した。そこで,O嬢を癒すためのフルコースを考えてみることにした。テーマはアルザス&ドイツであるが,他地方のものも加えた。アルザスは日本のフランス料理愛好家には盲点になりやすいところである。

 7月も半ば過ぎの暑い日,夕方6時頃,まだ明るい空を眺めながら,食事を始めることにしよう。テーブルクロスとナプキンは淡い水色,椅子は籐製。皿は上品なデザインの明るい色のリモージュを用意する。グラスはリーデル等という無粋なものは避け,サン・ルイでも用意したいところである。クリストーフルはちょっと洒落てジェルマンにしよう。

<アペリチフ>
 Max Ferdinand Richter 1999er Brauneberger Juffer-Sonnenuhr Riesling Spaetlese

 疲れた体が先ず欲するものは,水分,糖分,そして有機酸である。そこで,アルコール分は低め,適度な甘みとはっきりとした酸味が感じられる,上質のモーゼルワインをアペリチフにしてしまおう。ソムリエは絶対やらないが,真夏のアペリチフにドイツワインはもってこいである。

<オードブル>
 Melon au Jambon

 汗をかいた体は塩分を欲する。そこで,上質のパルマ産生ハムを用意し,適度に熟したプリンスメロンをこれで巻いてみよう。日本のマスクメロンは水気が多すぎるので,プリンスメロンくらいが丁度良い。これに,アペリチフのモーゼルをもう一杯飲むと,塩味と甘みのバランスが絶妙である。

<スープ>
 Creme a la Vichisoise

 今時スープ等出すかと言われそうであるが,汗をかいた体には冷たいスープが実に美味しく感じられるのである。作り方は上のリンクを見て戴くとして,この場合塩味をかなり強めにきかせてみよう。そして,シェリーを多めに入れる。
 これはリモージュではなく,バカラの皿にでも入れたいところである。クリストーフルのスープ用は大きいので,デザート用のスプーンの方が良いかも知れない。

<ワイン>
 Julius Spital 1997er Wuerzburger Stein Sylvaner Spaetlese Trocken

 食事中に飲む辛口ドイツワインとして,これ以上のものは思い付かない。このワインの酸味は食欲を増進させるし,余計な甘みや華やかすぎる香りがないので,食事を楽しむには最適である。

<メイン>
 Choucroute

 真夏に温かい料理は食べたくないと言う人にお勧め。シュークルートの酸味が食欲を増進し,またソーセージの豚肉にはビタミンB群がたっぷりと含まれていて,体を元気にしてくれる。

<デザート>
 Coupe Vosienne au Citron Vert

 この際,赤ワインを開けてフロマージュなんてことはやめにして,冷たいデザートで締めよう。
 台付きのガラスの器の中央にライムのシャーベットを盛りつけ,回りにブルーベリーを並べ,ホイップクリームを掛ける。パリの○○シェフ,勝手にレシピを変えてごめんなさい。m(vv)m

<食後の飲み物>
 Infusion de Verveine au Menthe, Eaux de Vie de Mirabelle

 食後はコーヒーではなく,アンフュージョンにして,快い眠りに向かおう。フレッシュのヴェルヴェーヌにミントをたっぷり加えたアンフュージョンは清涼感がある。
 ディジェスチフには,フリーザーで冷やしておいたミラベルを楽しもう。ミラベルの香りを楽しむうちに,心地よい酔いが眠りを誘うであろう。



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