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ひかり号の旅



こだまからひかりへ(2001.11.17)(2001.12.10更新)

 最近どうも慌ただしくて,ひかり号に乗る機会が多くなってしまった。ひかり号に乗ると,こだま号とは違う点が多々あり驚かされる。
 まず驚いたのは,おしぼりをくれることである。使い捨ての紙製であるが,これが実に気持ち良い感触の素材で,結構高そうである。近鉄特急と違って,途中から乗っても配りに来てくれるところがまた憎い。
 最初,300系(最初ののぞみ型車両かな?)に乗って驚いたのが,前のシートの後ろにテーブルが付いていないことである。座席の肘掛けの中に内蔵されたテーブルだけで,まるで昔の0系車両である。窓と床の間にもモケットが貼ってないし,段々みすぼらしくなるなぁとがっかりしたものである。フットレストなど,足を載せていないと勝手に戻ってしまう。同じ300系でも,古い型のがあって,これのフットレストは半回転させて引っ張り出すようになっている。これが小さくて疲れるが,よく見るとこれは座席と一緒には回転せず,両側に付いている。つまり,自分のシートの下にもあるので,両方引っ張り出すと,意外と使い勝手が良かったりする。食事する時などは,シートを起こして,足元のフットレストに足を載せるとよい。
 しかし,700系に乗ってみると,シートやテーブルはほぼ100系と同じになっていて,かなり快適である。フットレストは大きく,足を載せていないとかなり戻るが,そのまま足を載せれば元どおりに出来るので,慣れれば不便は感じない。壁がプラスチックのままなのは,やはり飛行機のエコノミーに乗っているみたいでいただけないが,照明が電球色なのが快い。
 500系はひかりでは走っていないので,乗ったことがない。夜間にすれ違うのを見ると,グリーン車の照明はやはり落ち着いた電球色で雰囲気が良さそうである。物の怪仲間のグリーン車てっちゃんによると,ヘッドレストが外せるようになっているという話である。しかし,500系のぞみで走り回るような生活は願い下げにしたいところである・・・。
 ところで,ひかり,こだまを問わず,昔は紙コップで水が飲めた。昔は封筒を切ったようなものを広げて水を入れたのであるが,後に小型の紙コップになった。よくこのコップを持ってきて,ワインやブランデーを飲んだものである。また,100系2階建てには自由に読める雑誌や時刻表が置いてあったのであるが,昨春あたりからこれらのサービスはなくなってしまった。段々世知辛い世の中になって来た。


急行列車の発想(2002.6.29)

 ぷらっとこだまを利用し始めた頃,その運賃・料金がほぼ急行列車並みであることに驚いたが,最近,ひかり号が急行列車のような気がしてきた。こだまが各駅停車でのぞみが特急だとすれば,ひかりはまさに急行列車である。
 20年前に上野から軽井沢へ行くことを考えてみよう。当時の時刻表が手許に残っていないが,大雑把に言って,特急あさま号で2時間半,急行信州号で3時間,普通列車(高崎乗り換え)で4時間あまりであろうか。当時の国鉄と今日のJRを比べると,消費税導入があった以外は殆ど変わっていないので,現在の表から消費税分を引いて普通車の運賃・料金を計算してみよう。普通列車の場合,運賃のみで2400円。急行+指定席料金は1400円,指定席特急料金は2200円を加算することになる。これを新幹線の東京−新大阪と比べてみよう。

 信越本線
上野−軽井沢
東海道新幹線
東京−新大阪
各駅停車
所要時間約4時間
普通列車
2400円
こだま号
 8500円
一部停車
所要時間約3時間
急行信州号
3800円
ひかり号
12500円
速達タイプ
所要時間約2時間半
L特急あさま号
4600円
のぞみ号
14500円

 こだま号はぷらっとこだまでホテルとセットにした場合の概算,ひかりとのぞみは金券ショップでばら売りの回数券を買った場合の金額の概算である。新幹線の場合,こだま号といえども「超特急」であるし,急行信州号は自由席に乗るのが普通であろうから一概に比較は出来ないが,何となく似ているような気がする。
 ところで,特急列車は車内販売が充実しているが,急行列車の楽しみは,主要停車駅で窓を開けて,ホームで売っている弁当を買うことであった。横川駅などは特急でも数分間停車するし,みんなが弁当を買いに行くが,それ以外の駅では,窓を開けて声を掛ければ弁当屋の方から来てくれることが珍しくなかったのである。
 新幹線のホームにこのような弁当屋は存在しない。しかし,それぞれの駅で工夫を凝らした弁当を売っているところが少なくないのである。しかるに,のぞみ号に乗って駅弁を買うのは殆ど不可能である。名古屋駅でダッシュして素早く買うのがやっとであろう。ところが,ひかり号はのぞみの通過待ちがあるので,5分前後停車する駅がある(一部列車を除く)。
 ひかり号を予約する時の楽しみは,どこの駅で弁当を買うかを考えることである。静岡停車のひかりなら,鯛飯を食べよう。いや,鯛飯に色々おかずが付いた大御所弁当がいいかな。桜海老も美味しいし,小さな山葵漬けが付いているのが嬉しい。浜松で通過待ちなら,やはりうなぎを食べよう。名古屋なら味噌カツ弁当か,いっそ日本一弁当に熱いお茶を買って,ひつまぶしにしてしまおう。岐阜羽島なら鮎寿司もいいが,美濃囲い弁当も楽しい。5角形のおりに子焼,騨牛コロッケ,六いも,時豆・・・が入っている。
 この駅弁の楽しみを覚えると,のぞみ号の車内販売で売りに来る,東京の工場で作ったバカッ高い幕の内弁当など,とても買う気がしなくなるのである。やむなくのぞみ号または通過待ちのないひかり号に乗る場合には,東京駅で東京らしい弁当を買うことになる。


パーサー(2002.6.29)(2002.7.28更新)

 こだま号のグリーン車には大抵数人しか客が乗っていないので,車掌が思い出した時に検札に来るだけで,おしぼりも配りに来てくれない。100系の2階建て車両ではワゴンを持って来ることが出来ないので,ご注文ございましたら承りますと言いながら,売り子が手ぶらで回ってきたりする。一方,ひかり号にはパーサーなるものが乗務していて,色々とサービスしてくれるということになっていたが,のぞみ号が増発されてから殆ど乗っていなかった。車内販売のお姉さんまたは小父さんがおしぼりを配りに来たり,昼食の終わった頃に大きなビニール袋を持ってゴミを集めに来たりするだけであった。
 私がこのパーサーを初めて見たのは昨年の12月24日の夜であった。三連休の最終日で混雑が予想されたため,車掌の補助の意味で乗務させたのであろう。20代半ばの,並みのスチュワーデスよりは遥かに美人で感じの好い女性が紺の制服を着てスカーフを首に巻き,おしぼりを配り始めた。そして暫くすると,同じ女性が検札に回ってきたのである。検札のスタンプには「○○運輸所」などと表示されているものであるが,彼女のスタンプには「SPS」とだけ書かれていた。ところが,この列車のグリーン車の乗車率は30%程度。手持ちぶさたな様子の彼女に,クリスマスイヴにお互い因果な商売ですね,と声を掛けようかと思ったが,やめておいた。
 それからも毎月数回ひかり号のグリーン車に乗っているが,パーサーを見たことはなかった。ところが6月になると,ひかり号にパーサーが3人ずつくらい乗っているのである。大量に採用したのかと思ったら,7月になると乗ってこないので,恐らくワールドカップに対応して臨時にアルバイトを投入しただけだったらしい。このパーサーというのは最近出来たものであるし,スチュワーデスほどには難しいことは考えなくて良いので,とにかく若い美人を揃えてある。そのパーサーがしょっちゅう通ると,どうにも気が散って,おちおち寝ていられないのが問題ではある。
 ところで,以前こだま号の9号車2階を貸し切りにして本を読んでいたら,途中の停車駅で紺色の凛々しい制服に身を包んだ二十歳そこそこの,小柄で可愛い女性が突然入ってきた。一体何事かと思ってよく見ると,鉄道警察隊の婦警さんであった。


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