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究極のフランス料理フルコース


 妖怪仲間の寄合で,各自が食べたい物を相談していたら,このようなメニューが完成した。特にC嬢のアイデアによるところが大きい。

 このコースは,ちょっと夏向きではない。晩秋の週末,秋の夜長に楽しむ,ブルゴーニュ風のコースということにしよう。テーブルクロスとナプキンは淡いピンク色,椅子は彫刻を施した木製に,適度なクッションのきいた落ち着いた柄の布張り。部屋の灯かりは消して,3本立ての純銀製燭台を4つ用意し,2つはテーブルの上へ,2つは部屋の両側に,そしてサイドテーブルにも蝋燭を1本立て,合計13本の蝋燭がゆらゆらと燃える中,晩餐が始まるのである。
 皿は私が愛用しているピンクのバラの花柄のリモージュを用意する。グラスはバカラで統一しよう。クリストーフルは好みによってリュバンかマルメゾン。いっそルネサンスがあれば言うことはない。

<アペリチフ>
 Kir Royal

 ディジョン産のクレム・ド・カシスに酸味の利いたシャンパーニュを注ぐ。今ならドン・ペリニョンの1993年がよかろう。もし手に入れば,シャトー・フュイッセのクレマン・ド・ブルゴーニュも良かろう。

<白ワイン>
 Domaine Coche-Dury Meursault Les Perrieres 1990

 最高の食材には最高のワインが求められる。この幻のワインが手に入れば言うことはなかろう。

<オードブル>
 Escargots a la Bourguignonne

 通常はエスカルゴの殻と水煮の缶詰のセットを用いて作るが,今回はフレッシュなエスカルゴを用いる。生きたエスカルゴを1人前当たり6個用意したら水を掛け,完全に出て来て這い出したら,エスカルゴの首の辺りを摘まんで強く押さえつけ,動きが鈍くなったところで一気に殻から引きちぎる。この手間を省くため,市販の殻と,同数のナメクジを用意するのがC嬢のアイデアである。エスカルゴとナメクジは外見が似ているだけでなく,分類上も近縁なので,代用することが出来る。
 殻はきれいに洗って乾かしておく。引きちぎった中身またはナメクジは,生きたまま1リットル当たり7グラム程度の塩を入れた湯でさっと下茹でし,水気を切ってから殻に詰める。
 ボウルに室温に戻したバターを入れて練り,ここにエシャロット,ニンニク,パセリのみじん切りを加え,塩・コショウしてから練り合わせる。これを中身を詰めたエスカルゴの殻にたっぷりと入れ,口を上に向けて,たこ焼き用鉄板に載せ,オーブンで焼く。
 エスカルゴ用ピンセットと専用のフォークを添えてサービスする。

<魚料理>
 Cuisses de Grenouilles

 1人前当たり3匹の生きた蛙を用意したら,1匹ずつ首を押さえつけ,両脚を付け根から切り離す。切り離した脚の皮を剥き,小麦粉をまぶす。これをたっぷりのサラダ油できれいに色づくまで炒める。
 フライパンの油を捨て,バターをたっぷり入れて熱したら,蛙を戻して炒める。ここにニンニクとパセリのみじん切りを加え,焦げないように炒める。
 皿に盛り付けて,レモンを添える。
 なお、オードヴルとほぼ同じ味付けになってつまらないと思われる向きもあろうが、これはニンニクでドラキュラが来ないようにしているのである。

<赤ワイン>
 Domaine Henri Jayer Vosne Romanee Cros Parentou 1984

 メインの食材とフロマージュを考えると,このワインが良さそうである。敢えて1985年ではなく,84年の個性を選んでみた。このワインの唯一の欠点は,ロマネ・コンティ並みの値段になってしまったことである。

<メイン>
 Civet de Chevreuil a la Bourguignonne

 鹿のバラ肉等,比較的固い部位の肉を使用し,ブッフ・ブルギニョンと同様に調理する。煮込み用ワインには,エマニュエル・ルジェのヴォーヌ・ロマネを使おう。最後にソースの仕上に鹿の血をたっぷりと加え,あまり火を通し過ぎないうちにサービスする。洋梨のグラッセと栗きんとんを添えると良い。
 なお,ここでT婦人だけはシヴェ・ド・リエーヴルを選ばれる筈である。この場合には,兎の肉だけでなく,肝臓を加えると美味である。味の決め手は,やはり赤ワインと血である。

<フロマージュ>
 Brie de Melun, Epoisse de Bourgogne

 ブリー・ド・ムランは賞味期限を1週間くらい過ぎて茶色くなりかけたもの,エポワスはやはり賞味期限が過ぎてとろとろになったものが美味である。フロマージュにはブドウとクルミ(丸ごとで,クルミ割を用意する)を添えよう。

<デザートワイン>
 Chaptier Hermitage Vin de Paille 1989

 デザートにはやっぱこれv

<デザート>
 Fraises des bois et Framboises

 単に盛り合わせて食べよう。(=^^=;; ← 手抜き猫

<食後の飲み物>
 Cafe Expresse, Marc de Bourgogne

 食後のエスプレッソに,マールを合わせる。イタリア人がグラッパでやるように,コーヒーに入れてしまうのも良かろう。

 このディナーは13日の金曜日の仏滅三隣亡か,ワルプルギスの夜に実行したいものである。Ψ(=~◇~=)Ψ



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