懸賞は果たして儲かるか?


 昔から懸賞というものは企業が顧客情報を集めたり,商品の認知度を高めたりするために頻繁に実施されてきた。しかし,従来の懸賞は郵便はがきを出すなど,応募に手間と金が掛かるものであったため,ある程度その効果は限られていた。ところが,インターネットで懸賞に応募できるようになると,常時接続の人はほぼ無料で懸賞に応募できるようになり,状況が一変したのである。
 さて,ここで議論するのは,常時接続でプロバイダと契約し,懸賞に応募しまくったら儲かるかという話ではない。懸賞を実施する企業と,その周辺のビジネスについて考えるコーナーである。

1.懸賞の実施
 あなたが何がしかのビジネスをやっているとして,ネット上で懸賞を実施するとする。その目的と方法や如何?
1)懸賞実施の目的
 懸賞は昔から大きく分けてオープンとクローズの二つがある。オープンは誰でも応募できる懸賞,クローズは商品やサービスを購入した顧客のみが応募できる懸賞である。
 オープンは前述のように顧客情報の収集や商品の認知度を高めることを目的とし,クローズは商品の購入意欲を高めることを目的とする。このコーナーでは主にオープン懸賞について述べる。
2)懸賞実施の実際
 懸賞を実施するには,まず賞品を用意し,応募するシステムを構築する必要がある。賞品は自社の商品である場合と,注目を集めるために敢えて自社で販売していない高級なものや話題性の高いものを選ぶ場合もある。応募するシステムは,必要な顧客情報が入力・送信できる簡単なフォームがあれば十分である。現今はSSL等による暗号化送信が常識化しつつあるが,これも普及するにしたがって簡便・安価に使用できるようになってきた。
 さて,オープン懸賞の場合,以上のように懸賞を準備するだけでなく,懸賞を実施していることを広く告知することが必要である。大企業であれば,通常のメディアに大々的に載せることも可能である。「化け猫饅頭を食べてフランスへ行こう! 化け猫スペシャルプレゼント実施中!!」と,全国紙に全面広告を載せ,テレビのCMも流しまくれば,すぐに数十万人の応募があるに違いない。しかし,零細な企業には無理な話である。
 ネット上で懸賞をやる以上,ネット上で告知するのが有効であることは言うまでもない。では,ネット上で如何に告知するか。バナー広告等を利用するのも一つの手であるが,金が掛かり過ぎるし効果が低いことは以前述べた通りである。こういうときは,後述する無料懸賞紹介サイトに登録するに限る。

2.懸賞情報紹介サイト
 昨今は国内だけでも常に数千件以上の懸賞がネット上で実施されているはずである。自社の懸賞をいかにして一般ユーザーに告知するかが悩みであるなら,一般ユーザーとしても懸賞に応募するためにいかに情報を収集するかが悩みである。このようにお互いが悩んでいるなら,それを仲介するビジネスが成立するはずである。そういうわけで,懸賞情報の登録を受付け,ホームページやメールマガジンで宣伝するサイトが多数出現した。
 このようなサイトは現在国内だけで100を超える。それらの主な形態を見てみよう。
1)HPとメルマガ
 ホームページだけ,あるいは懸賞情報を載せたメールマガジンで運営しているものである。ビジネスとしてある程度の規模でやっているものがある一方で,個人が半分趣味でやっているものも少なくなく,サイトやメルマガに広告を貼って,若干の小遣いを稼いでいるのである。
 特に企業が開設している場合,無料でも掲載できる(掲載されない確率も高い)他に,有料で掲載するシステムもある。有料の場合,当然のことながら目立つ位置に確実に掲載されるのである。
2)会員登録・簡便応募
 懸賞に応募したいユーザーはサイトに会員登録をする。この際,懸賞応募に必要な個人情報を予め登録しておくのである。そうすると,頻繁に懸賞情報を満載したメルマガが配信され,URLをクリックするだけで応募ページが開かれる。あるいは,そこのサイトにアクセスし,条件を入力して応募したい懸賞を検索することもできる。
 ここで特徴的なのは,会員が応募ページを開くと,すでに自分が予め登録した情報のほとんどが入力された状態で表示されるのである。そして,抜けている項目があれば入力し,応募ボタンを押すだけで懸賞応募が完了する。この方法で応募すると,片っ端から応募するつもりなら,1時間で百種類の懸賞への応募も不可能ではない。
 こういうサイトには当然多数の懸賞情報が集中する。目立つ位置に紹介されるには,それなりの費用が必要である。
3)懸賞紹介サイト登録サイト
 懸賞情報を紹介するサイトは前述のように百以上存在する。これらのサイトに一つずつ自社の懸賞情報を登録するには,普通にやれば2〜3人・日の工数を要することになる。これを効率よく登録するためのサービスを提供するサイトまでいくつか出現しているのである。
 懸賞実施者は,ちょうど上述の2)と同じように,最初に会社や懸賞内容の情報を登録する。そして,掲載して欲しい懸賞紹介サイトを一つずつ選ぶと,登録フォームにほとんどの情報が記入された状態で表示されるのである。このようなサービスを利用すると,1人・時間で数十の紹介サイトに懸賞情報を登録することができる。
 このようなサイトは,通常無料サービスと有料サービスを提供している。懸賞紹介サイト側では,恐らく金を払うと目立つ位置に紹介されるようになっているであろうし,懸賞実施側は,有料サービスならば一瞬で全部のサイトに登録できるのである。(無料登録サービスは若干手動の部分が残してあり,登録できるサイト数に制限があったりする。)

3.で,懸賞って儲かるの?
 しかし,懸賞関係のメルマガが毎日数十通配信されてくるのを見ると,世の中欲深い人間が多いものだと,つくづく嫌になる。
 ところで,2.2)などで懸賞に応募する人は,大抵懸賞応募用のフリーメールを使って応募し,メルマガなどは全部読まずに捨てている。
 私も大量の懸賞に応募する実験をしてみた。R市場の懸賞情報にアクセスし,例えば今が1月9日だとすると,ブラウザの検索機能を使って,「1月1」を検索する。そうすると,1月1日はさておき,1月10〜19日締め切りの懸賞が順次選ばれる。懸賞ページへのリンクを別ウインドウで開き,R市場に予め登録してあるIDとパスワードを打ち込んでエンターを押せば出来上がりである。このようにして数十件応募するのに,15分程度を要しただけであった。そして,各店舗から届いたメルマガは,懸賞情報だけチェックしたら捨ててしまい,当選者の発表が終わったものから順次解除して行くのである。
 ということで,懸賞なんかやっても意味ないんじゃないの? (=^^=;;

 えっ,ところで懸賞はいくつ当たったかって? 一つも当たりませんでした。(=^^=;;;;
 懸賞は応募する手間暇を考えると,応募する側も決して儲かるものではないようで・・・。

4.いや,懸賞って儲かる!!
 先日、久し振りにR市場の懸賞に応募しまくっていたら、1週間の応募で当たったもの:
  ・ドン・ペリニョン(約1万円)
  ・米5kg(約2千円)
  ・ボルドー・ワイン(約2千円)
  ・鴨肉(約千円)
  ・冷凍うどん(約5百円)
  ・高級醤油(約3千円)
  ・菓子(約5百円)
 その前にも時価3万円のワインを当てたし、蟹、ワイン、菓子類、米、麺類などは何度も当てている。その他にも果物や小物など、合計10万円分近くは当てている。時給にすると千円を切るかも知れないが、やはり懸賞は儲かるものらしい。(爆)
 真面目な話、懸賞も多量に応募すれば確率の問題になる。千人に1人当たる懸賞に1万件応募すれば、期待値として10件前後当たることになるのである。あとは、店の人が喜びそうなコメントを反射神経で数秒以内に書けるようにすれば、当選率が数百分の1に上昇する。暇なときはバイト代わりに懸賞応募もよさそうである。(=^^=;;


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