沢北は本当に馬鹿なのか。






 「沢北栄治」は、高2にして高校NO.1プレーヤーとして君臨するほどのずば抜けた実力を持っているにもかかわらず、性格的には「ちょっと抜けているようなところがなんか憎めない」という印象を私たちは感じているように思います。

 そこで、沢北は本当に馬鹿なのか、あるいはそうでないのか? について、私なりに多少の考察を加えてみたいと思います。 


 さて、まず沢北は、花道の顔面にボールが当たってゴールに入ってしまったのを見て、

「狙っただと… ホントか?」と考え込んでしまい、高宮に「だまされるな9番!」とヤジを受け、さらに流川にはどあほう呼ばわりまでされています。

 実際、このシーンは、読者にとって沢北がどこかボケたキャラであるという印象を与えたうちの1つではないでしょうか。

 しかし私は、これにあえて異論を唱えてみたいと思います。


 もし、ここで沢北が「そんなことはバスケの常識ではありえない。このゴールは偶然でしかない」と初めから決めつけるようなキャラクターだったらどうなるでしょうか…?

 もし沢北が、「そんなことはバスケの常識ではありえない」、「これがバスケのプレイの常識」と、自分でプレイの枠を決めてしまったら、それ以上の飛躍的な成長は望めないものになってしまうのではないでしょうか?

 つまり、どんなプレイでも可能かどうか考えてみよう、という態度を持ちつづけることが、新しいプレイを生み出すことにつながっているのではないかと思うのです。

 沢北は、アメリカで高いブロックをかわすために「放り投げシュート(ヘナチョコシュート)」をマスターしましたが、これは実際やろうとしても非常にボールコントロールの難しいシュートであるようです。
 もし沢北が、どんなプレイも自分に可能かどうか一度考えてみるという性格でなかったとしたら、この放り投げシュートも自分でやってみようと思うこともなかったはずで、沢北は、常識の枠を作らずに一度考えてみる姿勢によって、バスケットに対する創造的な構えを持っていると言えるのです。

 つまり、花道のガンメンシュートを見ても、「そんなことももしかしたらやろうと思えばできるのかもしれない」と考えてみる、もしかしたら自分でも試してみようかとも考える、かもしれない(笑)その態度が、沢北を高校NO.1プレーヤーとなるまでにした要因の一つだったのではないだろうかと思うのです。

 というわけで、このシーンは沢北のバスケに対する態度が表れたシーンであり、決して、沢北のボケ具合が表れたシーンではない、と考えられます。



 そしてもう一ヶ所、沢北ボケキャラ説を読者に強く印象づけたシーンがありましたので、
それについても検討してみたいと思います。 

 そのシーンとは、

「河田さんは顔がゴツイ割にシュートエリアが広いから大丈夫」と言って、
河田兄に「顔とシュートエリアが関係あんのか!?」 とプロレス技をかけられたシーンです。

 しかし、これについても、実際に考えてみると、
沢北の言ったことは、決して間違ってはいないのではないかと思われるのです。

 つまり、顔とシュートエリアとの間にはかなりの相関関係があるのではないかということです。
カンのいい方はすでにお気づきかもしれませんが、一応その根拠を挙げてみます。


(根拠その1)

体がゴツい(骨格がガッチリしている)人==顔の骨もがっちりしていることが多い
(例えば、体が河田兄で顔が桑田、というような人はほとんどいない)


 つまり(わざわざまとめるまでもありませんが)、
体がゴツい人==顔もゴツい(ことがほとんどである)。


(根拠その2)

バスケットにおいては、体が大きい(ゴツい)選手ほど、C・PFなどのインサイドのポジションに配置される。
そして、インサイドでプレーする選手は、あまり遠くからシュートを打つ必要がない。

 
 つまり、
体がゴツいプレーヤー==シュートエリアが狭いことが多い。


 と、いうわけで、根拠その1とその2を合わせると、

「顔がゴツいプレーヤーはシュートエリアが狭いことが多い」

となり、(もうおわかりのことと思いますが)沢北の言ったことは一般的な傾向としては充分に言えることです。


というわけで、これまで挙げたようなことから、

沢北は、決して抜けているキャラなどではない」、

と、私は断言したいのです。










 あとは、そんなことを河田兄の前で口に出さない知恵さえ身につければいいだけのことです。












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