俺がしゃぶるっつってんだろ 1 −続・骨の髄までしゃぶってやる− R18



「っ……ヤ、メロ……」
 背後から貫いたとたん、越野が制止の声をあげた。
 柔らかな身体を深く折り曲げ腰を高く仙道に預けた状態で、である。寝室には濃密なオスの匂いがたちこめている。
 あれから仙道には様々な痕がつけられていったが、だが仙道はそれを厭うでもなく、面白そうに享受していた。
「何で? お前、嫌いじゃないだろ」
 制止の声を無視して、ガンガン突き進む。奥の奥を屹立の先で広げるように抉る。スピードはゆるめず前に手を回せば、ガチガチに固くなったものがあった。シーツに伏せた上半身が、仙道が突き入れるたびに揺れる。勃起したものをすりあげると卑猥な音が響く。結合部からも、それはとても淫らな――。
「や……だ……ン」
 しかし越野はブンブン首を降り、ガクガク揺さぶられてはシーツとこすれる顔をあげた。腕に力を込め無理やり上半身を起こそうとする。
「何が?」
 抗う越野を屈服させるように、熱く太いもので深く侵入する。ぬちゃぬちゃと耳底にこびりつく音に、越野の喘ぎが交ざった。
「……これじゃ……痕、つけられねぇ……」
 途切れ途切れに紡ぐ。
「お前、やっぱ最高」
 満足げに微笑んだ仙道が、わずかに力を弱めた。越野はその隙に、震える両腕でどうにか身体を起こす。
 だが背中に覆い被さる仙道も一緒に起きることになり、自然、仙道の膝に腰をおろす形となった。身体を浮かせ体位を変えようとする越野にチャンスを与えず、膝の上にがっしり抱えあげた。背後から抱き締め、暴れる前に下から突き上げを開始する。フ、と笑みをこぼしてから、
「いつも主導権握られっぱなしでいられるかよ」
 腰を抱いた腕は離さない。仙道の太ももで越野がはねる。乳首をつまんで潰すようにこねれば、中でギュウギュウ締め付け返された。勃ちっぱなしの下肢に、越野は仙道の手をいざなった。
「ムカツク、覚えてやがれ……あ、あ……」
 突き上げるタイミングで越野の陰茎を扱く。いっぱいに広がった狭い穴の奥深くをかき混ぜるように動かしながら、先走りが溢れる先端をぐりぐり抉った。
「……イキそうか?」
「は……イカせてみろ……」
 弾けそうな下肢をする手に越野の手が重なる。後ろがさらにグ、と仙道を締め付けた。張り詰めた仙道の肉棒に、ダイレクトに締め付けが伝わる。互いの吐息がいっそう激しくなった。
「このまま……」
 力が入らなくなった越野を前へ倒す。組み敷きバックから激しく律動する。内壁をこすりあげるものが、いっそう熱と質量を増す。こらえるように越野がシーツに顔を埋め、
「ハ……ァ……ッ」
 悔しそうな嘆息をもらし、仙道の手の中に放った。
 完全に力の抜けた身体を、半ば強引に穿ち続け、しばらくして最奥で解き放つ。
 荒い呼吸を静めつつ中から引き出した。ズルリと抜けた下肢はおさまりをみせていなかった。越野はベッドにうつ伏せ、いまだ腰だけあげたスタイルで大きく肩で息をしている。
 ゆるゆると無遠慮に指を中に突っ込めば、ツ……と、AVのような作り物ではない精液が、ことさらゆっくり白い尻を伝い落ちた。
「……俺にも、もっと痕つけさせろ。フェアじゃないだろ?」
 囁きを耳朶に落とし、うなじをきつく吸い上げた。ぶるりと越野の背中が震える。快感の余韻にひたる顔を無理やり仙道の方に向け、深く口付けた。
「これで……これで終わりと思うなよ」
 噛み付くようなキスの狭間で挑まれて、仙道は目を細め緩く笑みを浮かべた。



「あれ、お前にしちゃ遅いな」
「心配したか」
 金曜の夜。日付をまたいで帰宅した越野がリビングのドアを開けると、スーツ姿のままの仙道がそこにいた。リビングの奥、カウンターキッチン前に据えられたダイニングテーブルのそばに。
 意図せずこぼれたセリフに、仙道はニヤリ口端を曲げた。
「フツーに考えろ。俺の方が遅かったんだから、お前が心配すべきだ」
「やーもー心配で心配で」
「そーだろそーだろ」
 戯れ言を交わしながら、越野がずんずん仙道に歩み寄る。仙道はネクタイを緩めつつ、歩み寄る身体を途中から引き寄せた。
「おかえり」
「お前もおかえり」
 二人、少しけだるい顔でキスを交わす。軽く二、三回唇を重ね身体を離した。
「今日、例の雑誌の撮影だった」
「覚えてないわけねーだろ。お前は昨晩の記憶もねーのか」
「あるよ、ジョークだ。怒るなよ」
「で? どうだった?」
 越野の双眸がギラリと光り、低く笑う仙道に突き刺さる。
「ああ、『あの、ちょっと、修正が入るかも……しれませんが』だと。スタッフやら編集やら、ずっと遠まきにザワザワしてたな」
「……ふうん」
 何かを企んでるような面白がるような顔をして、一言だけ返した。
「狙い通りか?」
「さあね。情報提供が少ないから、なんとも」
 言いながらジャケットを脱ぐ。
「オーケー。風呂で説明してやるよ」
 ジャケットを提げた越野の背を抱き、まずは着替えと、仙道はベッドルームへ足を向けた。

 淡いブルーの入浴剤に染まった湯の中で、越野はゆっくり四肢を伸ばした。シャワーを浴びる仙道の後ろ姿に視線をやる。
 強く鋭いパスを生み出す腕の筋肉。鍛え上げられた肩甲骨。長身にも関わらずコートを俊敏に駆け抜ける太ももと、ふくらはぎ。
 肩から背中にかけての爪痕や噛み痕は、生々しく幾筋もついていた。
「どこまで脱いだ?」
 シャンプーを終えリンスの泡が伝う背中に、問い掛ける。
「それは見てのお楽しみ」
 ちらり振り向き、いたずらな笑顔を見せた。ボディソープを手にとる。
「なんだよ。言ってることが違うじゃねーか。風呂で説明するっつったろ」
「あれは、お前を風呂に連れ込むための言い訳。お前がつけた痕、自分でよく観察しろってことだ」
 越野が憮然と唇を突き出し、眉間にシワをよせる。
「フン。お前が風呂に入ってるとこに押し入っとくの、忘れたな」
「まあさ、どの写真使われるか、俺にも分かんねぇし。撮影って何度経験しても、いつ撮ってんのか分かんねぇな」
「お前らしいぜ。……背中の仕上がりは上々だな」
 そう言って越野は、両手で顔をゴシゴシこすった。視線の先でも、仙道がボディソープを流しながら顔をこすっている。
「おーおー。相変わらずSなヤツ」
 おかしくてたまらないといった風情で応じる。
「うるせ。真性どSがアホ抜かすな」
「へぇ、俺ってどSなんだ」
「……お前のファンどもに見せつけてやる」
 捕食するオスの顔で、越野は湯船から勢い良く立ち上がった。
「そうがっつくなよ」
「こっち向け」
 ボディソープをほとんど流し終えた仙道が、素直に振り返る。
 越野は伸びをすると、首をぐいと引き寄せ唇を重ねた。
 仙道の背中にシャワーが降りそそぐ。仙道の首に回した腕をいっそう強く引き寄せ、舌を絡めた。越野が首を引き寄せれば、仙道が腰を抱き寄せ下肢を重ねる。セクシャルな意味をたっぷりこめ、わざとゆっくり動かした。
「まださかってんのか? 困った猫だ」
 もつれる舌の空隙でからかう。越野の顔にかかるしぶきをいとしそうに撫でながら。すると獣の瞳がパッチリ開き仙道を射抜いた。
「お前の裸に興奮しないわけねぇだろ」
 固くなりつつある二人の陰茎を、越野が腰を揺らし、更に強くこすりあわせた。仕返しにと舌で唇をなぞれば、越野の口が開く。ひたすらキスを続けながら、仙道の手が尻に回る。小ぶりな尻を撫で回しその奥に指を這わせた。入り口をなぞり中指を侵入させる。越野が鼻を鳴らした。いつもより熱い肉壁をかき分け、小刻みに前後させ奥を目指す。ゆるやかな愛撫に、越野はまぶたを伏せた。
「お前がつけた痕、全部修正入っちまうぜ」
「あー残念」
 心底がっかりしたような嘆息をこぼしつつ、だが唇は笑みの形に歪んでいた。越野の手が仙道の下肢に伸びる。手を沿え軽く上下させれば、ますます張り詰め固くなった。すでに昂ぶりつつあるものが、越野の手の中でビクビク反応する。
 目をつぶったままの越野が、気持ちよさそうに声をあげた。力の抜けつつある身体を、仙道の腕がとらえる。後ろに含ませた指に、もう一本そろりそろりと侵入させる。
「ここでやるか?」
 越野のイイトコロをピンポイントで狙いながら、耳元で囁く。自分専用の声。囁いた唇をそのまま耳たぶに寄せ舌を這わす。
「……お前が連れ込んだくせに……ァ……始めからそのつもりじゃねーか」
 仙道は答えず、音をたてて頬にキスをした。むくむくと膨らんでいく仙道の屹立を握り締め、越野は自分のものと重ね合わせた。二人分の先走りが音をたてる。
「……そのままつかまってろ」
 仙道が下肢から越野の手を引き離し、壁に押しつけ身体を抱えあげる。抱えあげられると同時に、越野は自ら脚を巻きつかせた。
「あ、あ……お前は、俺のもんだ」
 ズブリと突き刺さる陰茎に、越野がのけぞる。
「いや? お前が俺のものだ。告ったのは俺だぜ」
 抱き上げたまま揺さぶった。
「いつの話だよ……バーカ」
 越野は息をつめ、喘ぎと抗議の狭間のような溜息をこぼした。

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