虹の黄昏

―4話・助っ人はぼったくり―


―酒場・ワイルドモス―
カボックで最大の酒場であり、
ガルガゼットたちに仕事を斡旋するギルド的な役割も持つ店。
それが、ノーマンの経営するワイルドモスだ。
今日もまだ昼間だというのに、仕事や食事を求めるたくさんのガルガゼットでごった返していた。
酒場独特の喧騒は、クレイン達にとって馴染みが深いものだ。
この地方に帰ってきてから訪れた店の中で、一番変わっていないかもしれない。
「ノーマンさ〜ん、居るー?」
「おお、お前達!ビオラから聞いたぞ。さっき帰ってきたんだってな。」
皿を拭いていたノーマンが、ニコニコしながら迎えてくれた。
突然の来訪にも関わらず、それほどは驚いていないようだ。
もしかしたら、ビオラから聞いたのかもしれない。
「久しぶりだな。調子は?」
「まぁぼちぼちだな。最近はビオラの式の準備があるから、その手伝いで忙しいよ。
ところで今日は何しに来たんだ?」
ビオラの式の準備といった瞬間だけ、ノーマンの顔はふやけたように柔らかいものになった。
やはり、娘同然にかわいがっている彼女の結婚はうれしいらしい。
だがそこはプロで、クレイン達に用を尋ねる時にはもういつもの顔だ。
「いや、あの妙な騒ぎの情報探しにな。
なぁ、最近北エスビオールに行ったやつらから、なんか情報はいってねえか?」
「ああ、つい昨日入ったぞ。
妙な騒ぎの情報なんだが……どうも北はこっちよりすごいらしい。」
「こっちよりすごいって、こっちより大変ってことかにゃ?」
早速情報かと、クレイン達は色めき立つ。
しかし「こっちよりすごい」という北エスビオールは今、どうなっているのだろう。
もっとも北エスビオールに住む当事者に言わせれば、
たまったものではないのだろうが。
「その通りだ。何しろ件数が半端じゃない。
こっちは2ヶ月で15件くらいだが、あっちはもうすでに50件近いと聞いたぞ。」
『ええーーーー?!!』
半端じゃないどころか、桁違いではないか。
予想外にインパクト大な情報を言われて、
クレイン達は店の中だというのに叫んでしまった。
その声に驚いた他の客が、ぎょっとしてクレイン達のほうを見る。
しかしそんな視線を気にしていられるほど、クレイン達は精神的に余裕がなかった。
「5、50件……。」
もはや南の件数などかわいいレベルにしてしまう数字に、
クレインは顔面を引きつらせてそうつぶやくのが精一杯である。
いくらか水増ししてやいないかと言いたいが、
どのみち多いことには変わりがないだろう。
「お、おいおいおい……。
で、具体的な被害の状況とか聞いて来たやつは居ないのかよ?」
「もちろんいるさ。巻き込まれた奴もな。
あっちはけが人どころか、死人まで何人も出ているぞ。」
「ちょ、し、死人?!」
リイタの顔つきが一気に真剣なものに変わった。死人とは尋常ではない。
南エスビオールの被害もひどいが、これはすでにレベルが違う。
マレッタも思わず眉をしかめた。
「深刻じゃないか……あちらは確かスレイフ王国が統治しているはず。
まだ国王は動いていないのか?」
「さぁ、そこまではちょっと入ってきていないな……。
だが、国の面子にかかわることでもあるし、もう動いている頃じゃないのか?」
国の中で、時には死人まで出すような事件が50件も起きているのだ。
平均すれば1日当たり1件弱という異常な頻度である。
王としての威信に関わる以上、これを見逃すわけにはいかないだろう。
ノーマンの予想は正しいと思われる。
「そーか。う〜ん、こっちに居てもこれ以上いい情報はつかめそうにないしなぁ……。
いっそのこと行ってみるか?北エスビオール地方に。」
「そうだな、手がかりが少しでもつかめるんなら行くしかないだろ。」
こちらより段違いに件数が多いのなら、
それだけ目撃情報や有力な手がかりが残っている可能性が高い。
道中に危険は伴うだろうが、クレイン達は今の状況を見過ごすわけには行かないのだ。
だがクレインの言葉を聞いたノーマンは、ぎょっとして一瞬硬直した。
「お、お前たち本気か?!あそこまで行くのに何日かかると思ってる!」
悪いことは言わないから考え直せと、ノーマンの顔にはっきりと書いてある。
かつてクレインがエアフォルクの塔に行くと言った時も心配していたが、
今回は体を張って止めかねない勢いだ。
「えーっと……マレッタ、何日かかるの?」
「一番安全なのはアコースから海路で行くコースだ。
しかし、遠回りになるから片道だけで1ヶ月は優にかかる。
一番近いのは、デランネリ村から山脈を越えて陸路で行くコースだが……
年中氷と雪に閉ざされた山脈を越えるわけだから、かなり危険が伴うな。
もしデランネリ村から歩いていったとしても、
最寄の町につくまでに早くても一週間はかかってしまうだろう。」
リイタにたずねられたマレッタは、やや陰鬱な表情でそう述べた。
その言葉を聞いたリイタが一瞬現実を直視しかねるほど、
その内容は芳しいものではない。
「うっそー……。」
道中平坦といえないことは覚悟していたが、
それにしても遠いことにリイタは驚かされた。
地図で見ればすぐ隣だが、そこに立ちはだかる障害はあまりに険しい。
「それだけじゃないぞ。あちらはデランネリ村と同じかそれ以上に寒い。
防寒具と食料をがっちり固めていかないと、
最悪、行く途中で凍死してしまうぞ。」
「にゃ゛ー!の、ノルンそんなに寒いところは行きたくないにゃ〜……。」
デランネリ村より寒いとなれば、それはただの脅しではなく明確な事実だ。
ノルンは相当すごい光景を想像したのか、
今は寒くもないのにがたがた震えだしてしまう。
彼女は元が猫のせいか、寒さは大嫌いだ。
こればかりは成長しようが何しようが変えようがない。
「遠いのも寒いのもわかってるぜ。でもよ。
今行っとかねえと、永遠にこの騒ぎに悩ませれっぱなしになるかも知れねえんだぜ?
とてもじゃねえけど、何にもしないでじっとしてなんてらいれねえな。」
「……やっぱり止めても無駄だったか。
まあいい、行くんだったら後のこともきっちり考えてから出かけてくれよ。」
デルサスの説得に、案外あっさりとノーマンは折れた。
クレイン達の性格はわかっているということだろう。
それでも止めずにいられなかったのは、人としての情に違いない。
そういう人だから、クレインもあまり心配を掛けたくはないのだが。
「わかってるよ。じゃあ、早速ビオラの店に行こうか。
じゃあ、ノーマンさんありがとう。」
「ああ、じゃあな。」
情報をくれたノーマンに感謝して、クレイン達は店を後にした。

「……とは言ったけどなー。」
店を出た直後にデルサスがぼやく。
その不穏な言葉を、マレッタの耳は素早くキャッチした。
「お前……まさか何も考えずにしゃべっていたのか?」
そうじゃないと言ってくれと言いたげに、
マレッタが少々不安そうな視線を投げかける。
「いや、そういうわけじゃねえ。色々問題の解決策を練ってるんだよ。
まぁ、まず騎士団は副隊長とかに任せときゃいい。
道具だってその辺で調達できるし、いい防寒具が欲しけりゃデランネリ村に行けばいい。」
マレッタの心配をよそに、デルサスはもう大方の問題解決法をひねり出していた。
彼はこんな時の頭の回転がいいので、このくらい朝飯前に違いない。
しかしそこで言葉を詰まらせ、困り果てたように頭をかく。
何か難事が立ちはだかっているのだ。それはクレイン達にもわかる。
「と、いうことは問題は……。」
「距離、だよね……。」
最後に残された、唯一最大の大問題。
海路で1ヶ月、陸路でもデランネリ村から1週間以上の道のりだ。
ちなみにそれは最初にたどり着くことが出来る町までの距離であって、
スレイフ王国の大都市までの距離ではない。
当然、そこにたどり着くためにはさらに日数を費やすこととなる。
「情報を仕入れるなら、カボックやアコースみたいに大きな町の方がいいのにゃ。
スレイフ王国で一番大きい町はどこか知らないかにゃ?」
「首都のレイナンだ。私は一度だけ行ったことがあるが、
カボックの何倍もの規模を誇る大きな町だったな。
ただ、そこまで行くとなると海路は船から下りてさらに1週間近く。
陸路は山脈を越えてからまた10日くらいかかる……。」
合計で海路なら1ヶ月と一週間、陸路なら3週間近い日数が重く頭上にのしかかる。
ノルンにいたっては、聞いたことを後悔したように口をあんぐり開けていた。
「それって、急いでいる今は絶望的な数字じゃないのか……?」
「しかも今はちょうど、山脈の辺りの氷が一番分厚くなる時期なんだよな。
陸路で行くのは自殺行為だぜ、マジで。」
クレインやリイタ、それにノルンには雪山の恐ろしさはいまいちぴんと来ない。
だが、北方出身のデルサスが「自殺行為」というのだから、
相当厳しく危険な状態なのだろう。
「じゃあ、どうすればいいのよ〜……。」
今の時期比較的安全なのは海路ということになるが、それでは1ヶ月以上の長旅だ。
急いでいるのに、移動だけでそんなに時間を食うわけにはいかない。
おまけに都合よく船があるとは限らないのだ。
港での足止めも計算に入れれば、一体どれだけかかるのかわかったものではない。
だからといって危険を押して山を登れば、
今度はどんな危険が待ち受けるかわからないのだ。
まさしく八方塞がり。にっちもさっちもいかなくなって、
クレイン達の間に暗い雰囲気が漂い始めたとき、とことこと軽い足音が聞こえた。
「やあやあ相棒、聞いていればお困りのようだね。」
現れた軽い足音の持ち主は、デルサスの相棒であるピルケ。
どうやら今の話を聞いていたらしい。
「うわ、何だよピルケ。用がないんならあっち行ってくれねーか?」
こちとら大問題抱えてそれどころじゃないんだと、言外にデルサスが主張した。
しかしデルサスの都合など、ピルケには知ったことではない。
「冷たいじゃないか相棒。
オイラは相棒の悩みを解決する、とっておきの方法知ってるんだけどな〜?」
「とっておきだぁ〜?何だ、言ってみろ。」
正直あまり期待はしていないのだが、それでも一応デルサスは聞いてみる。
2年前のガルガイユ大要塞での件のように、本当に助けになる情報かもしれない。
「いいよ。でも、今回はただってわけにはいかないな〜。
でもデルサスはオイラの相棒だから、特別に緑のマナ石2個で教えてあげるよ。」
「緑のマナ石2個って……結構値が張るじゃないか。」
パトッテの店で買えば、1個ですでに10000コールを超えているのだが。
十分ぼったくりという気がするし、どこが特別なのか知りたい。
ついでに言えば、少なくとも今のクレインは緑のマナ石を2個も持っていなかった。
「まあお金じゃないんだからいいじゃないか。
で、オイラのとっておき情報を聞きたいかい?」
「情報……?んー、内容次第だな。
それで問題が一発解決って言うんなら払ってもいいけどよ、
聞いてみてだめなら払わねーぞ。何せマナ石だしな。」
要求される代価が代価なだけに、デルサスの態度は手厳しい。
だがそれで引っ込むピルケではない。即座に食い下がってくる。
「え〜、そんなのオイラ認められないよ〜!
オイラにだって生活ってもんがかかってるしさぁ、聞き逃げされたら困るんだよね〜。」
「うるせぇ!んなこと言うなら、
こっちだって事件解決の鍵がかかってるっつーの!
せめて褐色のマナ石2個にまけろ!」
一気にマナ石のグレードが最低ランクに急降下した。
問答無用で半額程度に値切られては、当然ピルケも黙っていない。
「あー、そりゃないじゃないか!相棒、オイラに死ねって言うのかい?!。
緑のマナ石2個くらいど〜〜んと払ってくれたっていいじゃないかぁ。」
「うるせー!昔その手でガセネタつかませやがったこと、忘れたとは言わせねぇぞ!
ま〜ぁ褐色のマナ石2個でだめなら、
片方を赤いマナ石にするぐらいの譲歩はしてやってもいいけどな。」
最初は怒鳴り散らしたものの、
セリフの後半はどこか余裕のある表情でデルサスは新しい譲歩案をちらつかせる。
「デルサスこそせこいじゃないか〜、
褐色のマナ石も赤いマナ石も値段一緒だってわかってて言ってるな〜?!」
「ち……ばれちまったか。」
同価値と言うことを即座に見破られ、デルサスはわざとらしく舌打ちした。
いや、ばればれでしょ。と、リイタは思ったが賢明にも口には出さない。
「ばればれだぞ〜、オイラを甘く見るなー!
緑のマナ石2個がだめなら、かたっぽ前金って事でどうだ〜?」
と、ここで初めてピルケが譲歩した。
してやったりとデルサスは顔に出さずにほくそえむ。
だがこれくらいではまだ交渉成立とはいかない。
値切れるときはとことん値切る。相棒相手なのに、いや相棒相手だからこそ容赦はしない。
「ん〜……まだ高いな。前払いなら褐色のマナ石が先で、後金は黄色か青までだ!」
「う〜……まだ値切る気だねぇ、彼女いない歴26年のくせに……。」
酒場の前で繰り広げられる妖精と人間の奇妙な光景に、
思わず通り過ぎる通行人も唖然として振り返る。
しかし通行人の目はおろかクレイン達の存在も忘れたかのようなこの2人に、
そんな周りの状況はまるで目に入っていない。
―正直言って、ついていけない。
横からそのやり取りを見るしかない4人は、全員そう思っていた。
そしてクレイン達に入り込む隙間を許さないまま、
値切り合戦はヒートアップの一途をたどっていく。

そして20分が経過した。
両者とも一歩も譲らない値切り交渉も、どうにか決着がついたようだ。
「仕方ないなぁ。それじゃあ前金に褐色のマナ石1つで、
情報が使えるって思ったら後金の青いマナ石1個で手を打つよ。」
根負けしたピルケが、やれやれと大げさに肩をすくめて見せる。
彼も大分粘っていたが、デルサスのしつこさの方が上だった。
「ったく、俺にゃまだ高い気もするけどな……ま、いいだろ。」
最初に提示された品に比べれば、これでも十分安くなっている。
本人はまだ納得がいっていないようだが、今回はデルサスの粘り勝ちと言っていいだろう。
「じゃあ、褐色のマナ石一個おくれよ。」
「あいよ。」
言われたとおりに、ポンとピルケの小さな手に褐色のマナ石を渡してやる。
受け取ったピルケは、それをさっさとふところにしまいこむ。
「まいどあり〜♪それじゃ、おいらが知ってるとっておきの情報を教えてあげるよ。
でも大きな声じゃいえないから、そっちの裏路地で話そうか。」
ちょいちょいと手招きされ、クレイン達はピルケと共にそばの細い裏路地に移動した。
「で、とっておきの情報ってどんなのかにゃ?」
「まあまあ、そうあわてないでおくれよ。まずはこれを見てごらん。」
どこからともなくピルケが取り出した、1枚の茶色い厚手の布。
四隅には房飾りがついていて、表面には魔術的な文様が施されている。
ビオラの店に売っていそうな品物だ。
「これは一体なんなんだ?」
「これはフェーリング陣っていって、オイラ達妖精が遠出する時に使うアイテムさ。
この上に乗ればどこでもワープでひとっとびだから、とっても便利なんだよ。」
見た目からして何か特殊な品だとは思ったが、
説明を聞く限りではとても便利そうだ。だが、少し引っかかるところがある。
「なるほど……だが、人が使うには小さくないか?」
ピルケが広げたそれを見て、マレッタが首をひねる。
うんうんとうなずいて、リイタもそれに同調した。
「あたしもそう思う。ねぇ、このままで使えるの?」
フェーリング陣は人間が使うには小さいように見え、
それこそ妖精の小さな体でしか乗れそうもない。
いや、乗れなくはないのだが、乗っても体がはみ出てしまいそうだ。
「もちろん無理さ。だから、こうやって……こうするのさ。」
ごそごそと、ピルケがまたどこかから同じ物を3枚出してきた。
何をするつもりなのかと思って眺めていたら、
先ほどの一枚を加えた4枚で大きな正方形を作ってみせる。
「おい、並べただけで使えるのかよ?」
「いやいや、これをざっと縫い合わせて一つにするのさ。
オイラは前にこの手で大きな物を運んだことがあるからね、効果は保障済みさ。」
「そういえばお前、何年も前にでっかいお宝持って帰ってきたっけな……アレか。」
「そうそう。ところでデルサス、北エスビオールに行くのは急ぐのかい?」
「出来れば早い方がいいけどな。
でも騎士団のことがあるから、出発は早くても明日だ。」
「オッケー。あ、そこの猫耳のお嬢ちゃん、
オイラと一緒にこれを縫う手伝いをしてもらえないかい?」
「それくらいお安いご用にゃ!ノルンがきちんと縫ってあげるにゃ。」
ゼルダリアから魔法だけでなく裁縫も仕込まれていたのか、自信満々にノルンが答えた。
それを見たピルケは、それなら話は早いとばかりに手を打った。
「そんじゃ、オイラはこの子と一緒にこれを縫いに行くからさ、
準備が出来たら裏通りのオイラの家まで呼びに来ておくれよ。」
さっさと広げていたフェーリング陣4枚をまとめ、
ピルケはノルンと一緒にすたすたと裏路地の奥に歩いていった。
「また明日なのにゃ〜。」
「ああ、わかった。それじゃあ。」

一旦ピルケとノルンに別れを告げてから、クレイン達は魔法屋の前にやってきた。
と、ここでリイタが思い出したように口を開いた。
「ところでピルケの家って、デルサスは知ってるよね?」
「おう。元俺の家でもあるしな。ま、ぼろいけどそれなりにいいもんだぜ。」
デルサスが、かつてクレイン達と行動を共にするまで住んでいた家なのだろう。
それなら、呼びに行くときに道の心配をしなくて済む。
本当ならさっき確認しておくべきだったことではあるが。
「へ〜……どんな家なんだ?」
「どんなって……ま、雨漏りはしないぜ。って、それより準備だろ。
俺はこれからワープゾーンを使って村で防寒具の調達してくるから、
お前らでちゃんと他の物そろえといてくれよ。」
そう言って半ば追求を振り切った形で、デルサスは一足先に魔法屋に入っていった。
ここには何故かワープゾーンがあるからだ。
「そうだ、私も副隊長に話をつけておかないとな。
すまないが、2人だけで買っておいてくれないか?」
騎士団の隊長は勝手にカボックを離れられないので、
不在中のことを任せる代理人が必要になる。
これは通常副隊長がなると規定で決まっているのだが、
居るうちに引継ぎや指示などを出しておかなければならないのだ。
「ああ、わかった。」
「それじゃ、あたし達も店に入ろうよ。」
道で会ったビオラが、時間があったらお店に来てと言っていたことを思い出す。
そういえばブレアの店もずいぶん変わっていた。
ビオラの店は外観は変わらないが、中の方は少し変わっているだろうか。
そんな期待を抱きながら、クレインとリイタは魔法屋の扉を開けた。

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約2週間で完成です。自作長編もこれくらいで書けたらいいのに……(マジ
最近は絵にかまけてるのでなかなか書いてませんし……。
でも銀の風32話もうすぐなんで、明日こそは……って、語るところ違いますって。
話を戻すと、虹の黄昏はこの次かその次あたりに、
ようやく本格的に物語が動き始めます。オリキャラはもっと先ですけどね。