今年は結構降ったほうかなぁなんて、
こちらの梅雨への感慨はそんなものですが、
関東地方の方々におかれましては、
異常気象レベルの思い出深いそれとなってるようですね。
この暑いのに ご町内が氷で埋まったところまであったそうですし、
そうかと思えば、突然の雷雨で車が冠水した道で立ち往生したり、
落雷での停電なんてな被害も続出。

　「その直前までは凄げぇ暑くて、真夏日の日もザラで、
　　このまま夏休みか？なんて言ってたのによ。」

　「なんで“夏休み”なんだ、そこ。」

このまま夏へ直行直結か？なら まだ判るがと。
空模様がやや怪しくなって来たので、早い目に洗濯物を取り込んで来たゾロが、
庭に向いた掃き出し窓からリビングへ上がって来つつ、
律義にも そうと応じてくれたのへ、

　「だってよ、あんまり暑さが過ぎるようじゃあ、
　　学校行っても 熱中症でばたばた倒れることになりかねないじゃん。」

最近の学校は、空調設備が整ってるとかいいますが、
それでも…大人数で決まった空間に集まって、
結構な時間を拘束されるとあっては、
体育の授業でなくたって、具合が悪くなる人も続出しかねないんじゃね？と。
そうと言いたいらしい坊ちゃんだったけれど、

　「そんな時期でも
　　きっちり部活までやって お元気に帰って来て、
　　もりもり飯食ってた奴が言ってもなぁ。」

あんまり説得力はないぞと、あっさり言い返している余裕のお兄さん。

　「それに、来週からの試験が終われば、
　　そのまま待望の夏休みみたいなもんだろが。」

ソファーの上へ取り込んだタオルやシャツをふわりと広げ、
厚手の靴下やウエストのゴムの辺りがまだ怪しいのだけを選り分けながら、
そうと付け足してくれたものだから、

　「まあなvv」

そうなんだよなぁと、あっさり喜色満面になってしまうルフィさんで。
そうなんですよ奥様。
高校生たちは もうそんな時期なんです、早いもんですよねぇ。
今日だって…と言うか、今週の頭からもう 短縮授業になっており、
例年だと試験は七月の頭からだが、
今年は曜日の並びが微妙なので、１日繰り上がったのだとかで。

　『５日間日程のうち、土日曜挟んで休みになってて、
　　それから月曜に １日だけ出て来るってのもややこしいからだってさ。』

せんせの勝手でそんなになったなんて いい迷惑だ…なんて膨れていたけれど。
じゃあ、休みが１日多く、しかも早く来るんだなと、
ゾロが改めて言ってやったところ。
ぱぁあ…っとそれはいい笑顔になったのも忘れ難い一コマで。

　「……で。
　　勉強中のはずが、
　　なんでまたこんなところをウロウロしとるか。」

子供部屋は二階だし、今はまだお三時には微妙に間のある頃合い。
帰って来てすぐ、やや遅いめのお昼を平らげたのがほんの30分ほど前なので、
いくら何でもまだ腹も減ってはおるまいと。
そこいらを浚った上で“何でかな？”と問いかけるお兄さんへ、

　「う〜〜。////////」

半袖Ｔシャツにイージーパンツという涼しげな格好のまま、
だがだがお顔だけは、半分膨れかかった不発弾状態のルフィさん。

　「だってよぉ、昨夜のＷ杯のＦブロックの試合、再放送してるしよ。」
　「何言ってる、今朝方リアルで観戦したろうが。」

結果までは観てねぇもんと、口元尖らせる不貞腐れよう。
そう、日本チームはあいにくと撤退したが、
それでもまだまだ継続中の世紀の大会。
スポーツ好きで、しかもにわかではない証拠、
ブラジルのネイマール選手どころじゃあない、
イギリスはルーニーが頑張ってたのに惜しかったとか、
イタリアやスペインが まさかの敗退なんてなとか。
他の国のチームにも詳しいし、
だからこそ いよいよ決勝トーナメントが始まるとあって
まだまだお楽しみ一杯という身なものだから。

　「何で重なるかな、期末テストっ。」
　「そりゃ先生がたの台詞だろうよ。」

出るだろうなと思ってたご不満がやはり飛び出したのへ、
先生がたの代理のように、すかさず突っ込みを入れてりゃあ世話はない。

　「夜中や明け方に試合を観るんなら、
　　尚のこと、今の時間帯くらいは勉強しとけ。」

明るいうちはちいとも寝付けぬという、
妙なところだけ ちょっとお兄さんなお子様体質なルフィでもあって。
だったらせめて教科書でも眺めてろと、

　「そのうち眠くなったら御の字だろが」と、

それもまた、微妙に間違ってないかな言いようをしつつ、
不平たらたらな坊やを二階へ追いやるお兄さん。
昔で言うところの軒端には、気の早い笹が立っており、
テストで追試になりませんようにと、
一応は殊勝な短冊が下がってもいて。
天帝様、出来れば叶えてやってくださいましね？






　　　　　〜Ｆｉｎｅ〜　　14.06.27.

　　＊無理言ってもらっちゃあ困るとか、聞こえて来そうですが。（笑）
　　　ちなみに、ルフィさんの部屋にもテレビはありますが、
　　　こういう大会だからこそ、
　　　大っきな画面で観戦するのが醍醐味だそうです。

　　　「そういや、去年の七夕は〜〜〜（むがもが）」

　　　【 にゃ？】

　　　仔猫のキュウゾウちゃんに言っても通じないぞ、それ。

　　　　( 拙作 『笹の葉さらさら』参照 )
　

*めるふぉvv

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