月下星群 〜孤高の昴・異聞

  天上の海・掌中の星 〜黎明朝凪
 

 

          




 新しい季節がすぐそこまでやって来たその兆候として、夜明け前の黎明の明るさが満つる時間帯が随分と早くなった。夜陰の漆黒はもはや余燼さえなく、心地のいい涼感を含んだ朝の空気が辺りの大気に満ち満ちてくる。
「…仕事は しやすくなったがな。」
 何と言っても見通しは良くなるし、力の弱い陰体は 陽の出と共にその行動力が格段に落ちるからで。
「そん代わり、人の目を気にしなくちゃならなくなるだろうが。」
 明るくなるがために見通しがよくなることに加えて、気持ちよく目が覚める季節だからと、真っ当な住人たちが体力作りにと運動したり走ったりに起き出す時間帯も早くなる。
「そっちの"衝立
ついたて"はお前の担当だろうがよ。」
 さして逼迫の気配もない語調ながら、それでも…ちょいとばかり低めに響かせた声をかけた人物は、だが、話しかけた相手の方を向いてはいない。長い刀身に鋼の鍔、糸巻きの柄。日本刀だろう二振りの刀の、青白い光を帯びた抜き身の刃を顔の前方にて交差させ、そこでがっきと受け止めたるは。脇差しくらいはあろうかという長さ大きさの、それは兇悪な躍動に震えている太い牙を上下の脇に2本ずつ据えた大きな顎だ。いかにも物騒な"門扉"の向こうの喉奥からは、地にじんわりと轟いて不気味なまでに獰猛そうな唸り声を"ぐるる………"と辺りに低く響かせていて、
「こいつは言って聞くような相手じゃないらしいからな。」
 頭にも見事な弓形
ゆみなりの角を一対いっつい構え、蹄の光る四ツ足に雄々しき肩…と、野牛バッファローのような立派な体つきの大きな大きな化け物が一頭、仲間を相手に暢気な会話を続けていた男と真っ向から向かい合っているという、ちょっとした修羅場の真っ最中であったりする。がふーっと放たれる荒い鼻息もリアルなまでに、今にも食いつかれそうな迫力と躍動感を帯びた手合いだが、こうまで厚みある堂々とした肉置きであるにもかかわらず、実体はない存在だ。その足元からは濃色の煙のような瘴気がゆらゆらと立ちのぼり、アスファルトの地面はまだ無事ではあるものの、周囲のわずかな雑草や街路樹を毒気で侵食し始めている。そう。ここは人気のない未明のオフィス街。インテリジェンスビルの谷間、昼間なら交通量も結構多い、復数車線を並べた幹線道路のど真ん中。全身が闘気でぬらぬらと黒光りしている雄牛がいるには、不似合いすぎる背景シチュエーションなのだが、
"スペインの"牛追い祭り"じゃねぇっての。"
 なかなかハイカラなものを持ち出す辺り、十分すぎるほど余裕がある模様。意志や自我のない邪妖
あやかしは、本来だとさほどの力もない筈が、何かの拍子に集合体になってしまう場合があって。これもそのクチであるらしく、満身の力を込めて押さえ込まねば、互いの力のバランスはあっさり崩れるだろうほど、随分な馬力の持ち主と化している。陰界から飛び出して暴走しかかっていたのを何とか見つけて、それからの小1時間ほどをこんな風に睨めっこし続けている両者であり、一気呵成に畳み掛ける隙を狙っているらしき同僚へ、
「判ってる。結界は万全に張っててやるから、せいぜい頑張って倒して…くれやっ。」
 金髪碧眼にして長身痩躯。細い顎先まで伸ばされたその金の髪の裾を散らすようにして、華麗なまでの鮮やかさで振り返りざま。高々と振り上げた脚を鞭のように撓らせて、小鬼や人魂、忌々しい姿の小者の邪妖が突っ込んで来たその出合い頭、爪先をクリーンヒットさせて蹴散らした彼は、聖封精霊のサンジといい、
「こんの牛野郎がっ!」
 二本の和刀という、およそ"盾"には不向きな装備にて。小山のような邪妖牛に相対している男の方は、その相方、破邪精霊のゾロという。ぐっと力を込めたその瞬間、夜陰を吸い込んだような真っ黒なシャツの下で、がっしりと重々しい肩や二の腕がまとった肉の束が頼もしい隆起を見せる。頼もしい体躯ではあるが、見るからにむくつけき大男という訳ではない。よくよく引き締まったバランスのいい体格は、何事もない平生にはむしろ着痩せして見えるほどのそれなのだが、そうであるにも関わらず。現在只今は…彼自身の数倍も大きな相手が鼻息荒げて向こうからも押しているのを圧し負かし、じりじりと後ずさりさせているほどで。それほどまでの圧倒的な膂力の持ち主であり、

  「哈っっ!」

 青年の側の気合一喝っ。がっきと咬み合っていた刃と牙が力強い閃光を放って、白々と明け始めていた早朝の都心を照らす暁光ごと、辺りの風景まで巻き込んでの激しい暗転を見せた。幾千ものフラッシュが閃いた場に現れたるは、陽世界に重なり合う陰世界の淵。本来この邪妖がいた世界。陽界で封滅するよりも、まずは此処へ場を移した方が良かれと、力技で押し返した破邪精霊殿であり、
「こんの野郎…っ!」
 肩に腕に背中に、一際高まった肉置きの隆起がバネを溜め、
「どりゃあっ!」
 盾のように顔の前方にて交差させていた刀を思い切り押し返せば、獰猛な妖魔牛はその巨体を宙に浮かせて後方へと突き飛ばされた。軽トラックほどもあった肉の塊、牛なのに"馬力"つきの邪妖。これで一応、陽世界からは追い立てたことになるのだが、
「おいおい、そんな恩情かけてやってて良いのか?」
 相変わらずにスタイリッシュないで立ちを崩さず、シャープな痩躯に張りつかせたような闇色のスーツのポケットへ、行儀悪くも両手を突っ込んだまま。こちらも陰世界までついて来た相棒の聖封様が、ちょっとばかり怪訝そうな声をかける。
「こいつ、陽世界
むこうで結構暴れた手合いだぜ? 小動物たち相手とはいえ、幾つも命をついばんだ兇状持ちだ。」
 エナジー補給にと小鳥や虫やら犬猫ネズミ、片っ端から搦め捕り、食らい尽くした乱暴者。草食動物風の見かけながら、そういう暴れ方をした存在。一太刀も浴びせずに突き飛ばしただけというゾロの対処を見て、ただ解き放つだけでは"ゆるい"のではないかと眉を顰めるサンジへ、
「ああ。勿論このまま許してやるつもりはねぇ。」
 これだけの対処で良いのなら、そもそも…何も彼らほどの凄腕たちが出張る必要はない。動員される頭数は途轍もない数に増えるものの、聖封たちがよってたかって封印し、境目の壁をこじ開けながら陰世界へ移送すれば良い。大規模な仕儀だが穏便なやりようであり、何の咎めもない相手ならそんなのんびりした捕獲で済んだところ。
「俺らが手掛ける以上、きっちりと仕置きを下さなけりゃあな。」
 そう。このまま"じゃあね"と撤退するよな心積もりは、ゾロの側にも毛頭ない。ただ、陽世界のあんな場所で暴れては、実体が無い身であれ、何かと…壊すものやら痕跡やらという格好で何かと影響を残してしまいかねず。超常現象にも限度があるため、その後始末が大変だからと、自分たちのホームグラウンドまで相手をお誘いしたようなもの。
「向こうさんも"このまま"じゃあ気が済まないみたいだしな。」
 頬骨のかすかに立った、いかにも精悍で男臭い面立ちに。なかなか凶悪そうな笑みを"にやり"と張りつけた破邪様は、体の両脇、だらりと無造作に下げていた二本の刀をじゃきんと音立てて握り直すと、前足で地を掻き蹴っては意欲満々に加速へのバネを溜めている猛牛を、鋭い眼差しにて睨み据えたのであった。




            ◇


  「………あにゃ?」

 明け方の黎明がカーテンの向こうの窓の形を浮き上がらせている。明るい曇り空という感じの空の色は、遅い昼寝から覚めたのか、それとも朝早い目覚めなのか、一瞬迷うような色合いで。
"あれ…?"
 何でこんな時間帯に目が覚めたのかなと、キョロキョロ大きな瞳を動かしてみる。カーテンも壁紙も、照明も天井も。何もかもが見慣れた子供部屋を、一通りぐるりと撫でてみて。そんな視線がふと止まったのが、机の横の腰高窓。まだそんなに寝苦しいほどの真夏ではなく、早朝なぞどうかすると肌寒い時だってあるくらいなのに。ほんの数センチほどサッシが開いていて、そこからすべり込んで来た朝の瑞々しい空気が、坊やのお鼻をくすぐったらしい。
"閉めた筈なのにな。"
 自分が、ではなくて、同居している年上の従兄が。戸口や窓を閉めがてら、簡単なものながら…邪妖が入って来ないようにという"おまじない"をしてくれる。相変わらず、大きな力の素養を持ってる坊やなだけに、どんな妖魔が忍び寄るやもしれなくて。だがだが、そういう手合いを鋭く一瞥するだけで蒸散させてしまえるほどの、こちらさんも力のある精霊さんなものだから、そっちの用心は彼にすっかり任せておけばいいと、ゆったり余裕で構えて来た坊やなのだが。
"……………。"
 ぼんやりと窓を眺めていたお顔が、徐々にそのピントを冴えさせてゆき、
「…よっしっ。」
 ガバッと夏掛けの薄い布団を蹴り飛ばしながら起き上がるに至って、

   「ダメだよ、ルフィっ。」

 そんな彼の機先を制すように、不意な声が飛んで来て、
「あや?」
 ぼふんと。坊やのお膝にまたがるようになって、どこからか落ちて来た小さな縫いぐるみが一つ。
「ダメだよ。此処に居てよ。」
 緋色の山高帽子の裾辺りから飛び出したるは、枝分かれした丸い角。とがったお鼻に兎口の、毛皮モコモコの愛らしい姿をした彼こそは、キャラクターっぽくデフォルメされたみたいな直立トナカイの、
「チョッパー、来てたんか。」
 そう。天聖界の住人で、サンジの使い魔くんであり、このルフィともすっかり仲良しな間柄。ベッドから勇んで出ようと仕掛かった坊やを引き留めようと、小さな蹄でしがみついたのに。嬉しそうに笑ったルフィから、ふかふかの腕の中へと逆に"ぎゅう〜っ"と抱き締められて、
「何だよ、離せよう、このヤロがvv」
 ついつい照れ隠しのいつもの口癖が出たその途端、
「あ、そう。」
 自分のお膝から避けるように布団の脇へと抱き降ろし、そのまま手を放したルフィ坊やは、さっさとベッドから降りてゆく。
「ああ、しまったっ!」
 コントをやってる場合じゃない。これでもチョッパーくん、今日は"お仕事"で此処にいたのだからして、
「ダメだってば、ルフィっ。」
「んん? 何がだ?」
 パジャマとは名ばかり、白地をベースに胸に大きく海賊旗マークが描かれたぶかぶかのTシャツと、濃紺の学校指定の体操着用ハーフパンツという恰好のまま、着替えもせずに部屋から出ようとするルフィ坊やの裸足の足元へ、後からがっしとしがみつき直すチョッパーだ。
「判るだろう? オレが此処にいるって事は…。」
「おうっ。ゾロとサンジ、仕事中なんだろ?」
 そう。あの、天聖界でも一、二を争うほどの凄腕の、最高特殊技能保持認定クラスの筆頭、強硬実務部隊の戦闘隊長という異名さえ囁かれているところの
(ホンマか?)破邪精霊のゾロが、日頃からこの坊やのすぐ傍にいるのは、彼にどっぷりと骨抜きになっているから…というだけが理由ではない。(笑) どうやら生まれつきの素養だったらしきこととて、彼には負の力の方が大きすぎる厄介な陰体、ともすれば悪霊なぞと呼ばれる手合いたちの、気配を感知出来るだけでなく、そのものをぐいぐいと引き寄せてしまう傾向があったらしい。

   ――― その源は、幾星層もの歳月を逆上る遥か昔。

 この世の全てが未だ"個"という存在を持たない"混沌"であったところへ、初めての閃光として生じた一条の雷光にて、世界が"正と邪""明と暗"に分かたれた。その"陰陽分離"に逆らって発生したのが、途轍もない大邪妖"黒の鳳凰"で。再生能力を持つその身はどうにも倒しようがなく。だが、機転を利かせた転輪王の征伐に遇い、とうとう強固な封印を受けることとなる。ただの封じではいつ破られるか分かったものではないからと、その妖魔の莫大なる負の熱量を相殺させるべく、仮の殻の身を授け、この世で唯一の陽界"物質世界"である人世界へ落とされた"玄鳳"の末裔が…この少年。ところが、巡り巡って彼の身こそが最も大きな能力を発揮するようにと、太古の昔、封印されながらも邪妖が唱えた"始まりの咒"が、時を得て発動した騒動があって。その辺りの詳細は『黒の鳳凰』というお話を読んでいただけばいいとして。
おいおい
 こうまで永の歳月を飛び越えて、転輪王様さえ既にいらっしゃらない未来の世界に復活を果たそうとした大邪妖そのものは、天聖界を騒然とさせ、その上層部の方々を震撼させつつも決死の戦いの末に何とか倒すことが出来たものの、ルフィの身に備わっている素養に関しては…その根本的な要因、未だ取り除かれてはいないままであり。彼に集まる邪妖たちを成敗し、ガードするという"お役目"は相も変わらずゾロのお務め。だがだが、くどいようだが天聖界でも一、二を争うほどという破壊力…もとえ、実力を持つ破邪殿に、坊やの周辺だけという狭い範囲への"専属護衛"なんぞという楽ばっかりはさせられない。ただでさえ…世情・人心共に歪みの多かりし昨今なだけに、浄化封滅をこなす能力のある破邪精霊がどれほどいても足りないほど、負の陰体・邪妖たちも多数迷い出ている始末。そこで、彼の傍らにいたければそれと平行して地上での邪妖退治の方も続けてちょうだいなと、一方的ながらもそういう交換条件を、このシリーズの一番最初のお話のオチとして持ち出したのが天使長のナミさんであり。その後、色々な紆余曲折も有りの、例の大騒動をくぐり抜けのしても、そのお役目に変化はなく。浄天仙聖などという仰々しい神格まで目覚めた身であるというのに、やはりやはり相変わらず。坊やのガードと平行して、地上の…そうですね、日本圏内くらいでしょうか。広大なエリアを担当区域として任されている破邪様であり。妖しき気配や悪霊の類
たぐい、お札やまじないで何ともしがたいレベルの手合いを"浄化封滅"するために、時には遠出することもあって。但し、そんな間の坊やのガードががら空きになるのは、本末転倒の以っての外だからということで、こちらもトップクラスの聖封精霊、サンジが強固な封咒を唱え、その上へ見張りと伝令役を仰せつかったチョッパーが居残る…というのがこれまでのパターンだった訳で。今更ながらの長々とした説明でしたが、
「だからっ! この家から、ううん、このお部屋からだって出ちゃいけないんだぞ!」
 サンジが施してくれた結界は、負の力に対してはそれはそれは強固な代物だが、その中から出ることまで出来なくなるような種のものではない。そういう"封印結界"もなくはないのだけれど、お留守番している間に万が一火事にでもなったら? 邪妖ではなく生身の人間の悪党が不法侵入して来たら? (不法侵入に対しては、そんな気が何故だか起こらない"暗示結界"というものを日頃からゾロがかけている家なので、最初から論外なのではあるけれど。)そういう番外例外のアクシデントがあった場合を考えて、中から出る分には支障がないという種類の結界なので、ルフィさえその気になれば、易々と"守備領域"の外へ出ることが出来る。だが、それは言わずもがな、彼の身を邪妖たちから"裸んぼさん"くらいのレベルで無防備な剥き身にすることでもあって、
「ダメだってばっ! せめてゾロが帰って来るまで、この部屋にいようよっ!」
「大丈夫だよう。」
 小さなトナカイさんはどんなに頑張っても…日頃ルフィからも"ひょいっ"と抱えられているほどだから、大した足枷にはならなくて。細い木の幹に掴まったコアラよろしく、坊やの脛にしがみついたままにて、お部屋の外へと一緒に運ばれてしまうばかり。
「…おトイレなのか?」
 それだったら生理現象だから仕方がない。2階のお廊下の突き当たりという至近だし、このお家丸ごとをくるんでいる結界だから、まま、その程度を出歩くのは想定内でもあろうと、半分くらい諦めながら訊いてみると、
「違うよ。」
 ルフィは鼻歌でも歌うように応じて、
「あのな、俺、何となく分かるようになったんだ。ゾロが今どっちにいるのか。」
「う、うん。」
 ほほう、そんな感応力が身につきつつあるのかね…と、応じたチョッパーだったが。
「そいだからな、途中まで迎えに行こうと思ってさ。」
「………っ! ダ、ダメだってばっ!」
 ったくこの坊っちゃんはっ!
「オレが言ったこと聞いてなかったんかっ?! サンジが戻って来るまで、ここにいなきゃいけないんだ。結界から出るのは危ないんだぞ?」
 頑張るチョッパーの声にも耳を貸さず、リズミカルに"とんとんとん…"と。階段を降り、階下のお廊下を進み、玄関横の姿見を見て…あまりにも軽装のままだということに気づいたが、
"ジョギングしてる人ならこんなもんだよな。"
 うんうんと納得し、三和土
たたきに揃えられてあったスニーカーへと足を突っ込むルフィであり。
「るふぃ〜〜〜。」
 どうして言うこと聞いてくれないんだようと、もはや泣き出しそうなお声になっているチョッパーに気づくと、
「ごめんごめん、お前は此処にいな。」
「だからっ! そういう意味じゃなくって…っ!」
 やっぱり軽々と足から引き剥がされて、上がり框のところに降ろされたトナカイくんは、自分が怖いから引き留めてるんじゃなくて…と、ドアの外へ出てゆく坊やに必死で追いすがる。
「ルフィっ! 邪妖のこと、舐めてかかると大変なことになるんだぞっ!」
 自分に課せられたお仕事。この坊やを結界の中に見守ること。そのお務めを、選りにも選ってご本人に打破されようとはと、焦りながらも再びぴょいっと背中へ飛びつき、
「言うこと聞けってっ!」
 小さな背中を頑張って登って登って、肩先まで到達したその時だ。

   ――― キケィェっっ!

 門扉のすぐ外へと出かかったばかりのその頭上から、耳障りな甲高い声がした。はっとして見上げた宙空、黎明の明るさの中。東の空から今にも朝一番の光がこぼれて来そうなほど、すっかり明るんでいる時間帯だというのに、そんな空の高みから大きな翼の何かがこちらへ一直線に向かって来たのだ。


  「なっ!」
  「るふぃっっ!」




TOPNEXT→***


 *久々に活劇もどきを書きたくなったはいいのですが、
  途端に“話が長くなる病”も再発したようです。
  後編はもちっとお待ち下さいませ。