月夜見“月がとっても青いから…”
A
  



          




 特に世間へ向けての後ろめたさなんてものは無いのだけれど。それでも、正体が露見したらばロクなことはない身だってのは、隠れ里にいた小さかった頃から大人たちに言い聞かされてて、重々自覚してはいたからね。だから、不本意ながら世間の目を盗みつつという、こそこそとした生き方を何とか無難に続けてた。本質的には喧嘩っ早い方な割に、それなりの慎重さが身を助けたか。これまでは何とか生きながらえていられたもんの。何十人単位で逃げ延びられてた筈の仲間たちとの連絡も、日を追うごと歳月を追うごと、徐々に徐々に取れなくなって。気がつけば…一番 馬が合わなかった、緑頭のあの野郎としかコンタクトが取れなくなっていて。何でまた、選りにも選ってあんな…色気も粋も理解しない野暮な野郎と、ええい畜生っ。
『そうは言うが。お前さんたちは、ある意味で似た者同士だからなぁ。』
 赤い髪の大将が言うには、俺らはどっちも一匹狼タイプで、独りで居たって悠々と過ごせていたから。焦って尻尾を出しちまった揚げ句に追い詰められることもなく、不安にかられて自滅することもなく。そういう図太さこそが、こうやって無事に逃げ延びても生き延びても来られた秘訣なんだろうよ…とのことで。一緒にされるのはやっぱ不愉快だったけど、大将の申し出へは…卑屈っぽく逃げ回ることにくさくさしていた俺には、渡りに船で本当にありがたかったからね。それに、大将の奥方や娘さんってのがこれまた美人揃いだったしさvv おまけに、あてがってもらえた仕事ってのが、俺には打ってつけのカウンターバーの雇われマスターと来ちゃあねvv そうそう大きな繁華街のお店じゃあ、俺ほどの風貌や立ち居振る舞いじゃあ目立ってしまってさあ大変だが、微妙に閑静で微妙にお暇なお店だったんで。伸び伸びと好きなようにやらせてもらえているその上にっ。こんな辺鄙な場所だってのに、時々 物凄っごく垢抜けたレイディがやって来るってのがっ! …あ、いやいや、つい興奮してしまったね。引かせてすまない、マドモアゼル。でもね、住宅地への玄関口でしかないような、そんな小さな駅前のバーだぜ? せいぜい待ち合わせ用の目印止まりでしかないような飲食店には勿体ないような、そんな美人が結構運んで下さる店でもあってサ。それって俺が目当てかな、やっぱりvv あああvv 今夜もまた、昨夜の利発そうなレイディがおいで下さってるしぃ〜vv オレンジ色に染めたショートカットに、細っこい腕、すんなりした脚。スレンダーではあるけれど、それでいてお胸はしっかり充実してっし…いやあの、げほごほ。//////// 来てからずっと、ガラス窓越しの外ばっか眺めてっけど。昨夜だって誰か来るでもないままに、独りで来て独りで帰ってしまったし。これってやっぱり、少なくとも今夜のご来訪は…俺様が目当てなんじゃないのって思っても、罰は当たらないんじゃないのかなっとvv ………と? あれれ? そんな、いきなり血相変えて立ち上がって、どうしまし……っっ!!!







            



 夜半と呼ぶにはちと早い目の、夏の初めの宵の口。ラッシュ時でも快速が停まらないほど、小さな小さなその駅の、駅舎の延長みたいな位置の端っこに。駅前通りとかいう一応の“大通り”を挟んで開店中だった、コンビニへと目がけ、カウンターバーからナミが飛び出してったのは、ずっと注意をそそいで見ていたその店内で不安な気配が立ったからに他ならない。さっき到着した電車が吐き出した乗客や、それへのお出迎えといった人の流れが落ち着いた間隙を縫って。搬入業者の車にしては、何でまた店の真ん前に停まるかなという、宅配カーっぽいミニコンテナつきの小型トラックがコンビニの真表へと乗りつけて。何よ見通しが悪いったらと、身を乗り出そうとしかかったそのまま、
「…っ!!」
 覗けた店内のレジ前での展開に。気がついたら…というほどもの素早い反射にて、席を立ってたナミさんだったりし。別に“正義の味方”を気取りたい訳じゃあない。あんなひょろついた若者の二人っくらいだなんて、全っ然怖くなんかないが…そこは一応の擬態として。触らぬ神に祟りなしで、妙齢のレディらしく、遠巻きにしてなきゃいけないっていう嗜みや心得は、恐らく普通のお嬢さんたち以上にしっかりと身に染めてもいたけれど。
“冗談っじゃないわよっ!”
 店の中には大事な弟のルフィがいる。喧嘩への腕っ節は大したものだが、刃物をかざした相手が死に物狂いで暴れるような、そんな立ち合いの経験まではなかろうし、こんな詰まらないことで、可愛い弟が怪我でも負ったらどうしてくれるっ。そうと思ったら頭がもうもう煮えていて、鍛え抜かれた反射が立ち上がったそのままに…ともすれば衝動的な体への連動に乗っかったまま、手足が勝手に動いてた。そして、
「…っ!」
 まるで野生の生き物みたいな。そんな彼女の猛ダッシュの鼻先で、予想だにしなかった存在の不審な動きがちらりと視野を掠めたもんだから、
「あんたも奴らの仲間っ!?」
 右の手のひらを添わせるように、スルリと撫で上げた右の腿の外っ側。短いスカートの裾をわずかにひらめかせ、そこから何をか引っ張り出すと。ぶんっと一閃しただけにて、その尺を数倍へと引き伸ばし、
「…わわっ、うわぁあっ!」
 パッシャンともドガッシャンとも、何とも言いようのない鈍い音を立てながら。軽トラックのフロントグラスへ、一気に網の目みたいなひびが全面へと走ったの、見届ける間も勿体ないと言わんばかりの恐ろしいノリにて。一瞬だって振り返らずに、そのままの直進にてコンビニへと飛び込んでったナミさんであり。

  「…凄げぇな〜、こりゃあ。」

 逃げるにしたってこれでは前が見えなかろう。もしも逃走用の足であったなら、完全に封じられたことになる。そこまでもを読んでのことかは定かではないものの、それは鮮やかだった彼女の手際へ、後から追って来た金髪のマスターさんがううんと唸って立ち止まり、
「おっとぉ、どこへ行く。」
 これでは堪
たまらんと、慌てふためきながら泳ぐように運転席から降り立った男へは、これまでの営業用のそれとは打って変わった低いお声。ドスを利かせて突きつけて、
「仲間ぁ見捨てて逃げるたぁ、不貞ぇ野郎だな。」
 顎の先までと引き降ろされた、長くて直毛の金髪のその陰で。宝石みたいな水色の、切れ長のその眸を…氷のように鋭くも尖らせたマスターさん。その割には口元にシニカルな笑みを塗りつけて、今にもどこぞかへ逐電しかかってたその男衆の目の前へ、さして筋肉質でも無さそな肩を片側だけ、前へと迫
り出すよにして構えての、余裕の半身で立ちはだかって見せたのだった。






 駅前という立地の、しかもまだ宵の口だっていうのに。あんまり客の影も無いコンビニへ押し込んだフルフェイスヘルメットの二人組。どうやら一応の下見は積んでいたらしい強盗であるらしく、だが、
「金を出せっつってんだろが、ごらぁあっ!」
 せいぜい恐持てに見えるようにと装って、濁らせたどら声を上げ、ナイフを突き出した先鋒の男へ。
「………。」
 この時間帯はいつも彼だけが詰めている、丁度レジを打ってた若い男性店員は、だが。微塵も慌てず騒がずに。レジの付属品のチェッカーを握ったままでいた拳を、それは無造作に前へと突き出して見せる。あまりに突然のこととて、驚いてしまって何が何やら判らなくなって。それでの、体が強ばっての突発的な行動…と、解釈出来なくもなかったが、
「…っ!」
 チェッカーを握った拳ごと、相手の顔面、フルフェイス型のヘルメットの、顔をすっぽりと隠していたガードカバーを突き破り、バリバリめきめき深々と食い込ませ、
「な…っ!」
 視界を奪ってやってから、というのは、どう考えたって余裕の対処。まずはの一人目に対し、そうやって逆に不意を衝いてやってから…おもむろに。空いてた方の左手を伸ばすと、薄いジャケットの襟元からわずかに見えてた首を掴んで。気管を、その片手だけで握って絞め始めて。
「あ…が…、ぐあっ!」
 当然のことながら、あまりの苦しさとただならない恐怖とから。ナイフを持ってたこともすぐさま忘れて、じたばた暴れ出した強盗くんは、それでも微動だにせずという力強さにて手を緩めないお兄さんにはとうとう勝てないまま。ほんの数刻で昏倒させたから…恐ろしい。
「ひっ、ひゃあぁぁあっっ!」
 それを見て震え上がった後陣のもう一人が、そのまま逃げればいいのに…何をどう判断したものやら。さして離れてはいなかった、雑誌用のスタンドの前で。突発的なこの事態にあって立ち尽くしていた、小柄な男の子の客人に気がついたらしく。スニーカーの足さばきの俊敏さを、変な方向へと活かして見せた。
「…あ?」
 キョトンとしているルフィのその背後へと決死の勢いで回り込み、頭一つは小さな肢体を そりゃあ素早くも腕の中へと掻い込んで、
「う、動くなっ! 下手な真似しやがると、このガキを刺すぞっ!」
 胸の前にてナイフをかざして人質にしてしまう。なかなかに果敢で、これが強盗なんてな犯罪行為の一環でなかったならば、逃げ出すよりは前向きな選択だったのかも知れないが、

  「気安く触ってんじゃねぇ。」
  「…え?」

 思わぬ近場からのぼそりとした呟きに、強盗男が意表を衝かれ。今のは誰?と目を見開いた彼へと向けて、すかさずのように、
「あ〜あ、言っとくがその子は強ぇえぞ?」
 こちらは…レジから離れないままな、強盗が一番警戒していた、緑頭の青年の放った一言であり。そんな余裕のお言いようをしてから、深みのある表情で苦笑までして見せて下さったもんだから。

  「…え?/////////」

 それってどゆこと? 何で俺のこと、強いかどうかなんて知ってるような口ぶりになってんの?//////// こんな状況だってのに、選りにも選って小さな坊やが ほわんと頬を染めかけてたりし。そんな緩みようを、
「こらこら、ぼんやりしてない。」
「あ、おうっ!」
 レジのお兄さんから注意され、我に返って…さあお待ち遠さま。羽交い締めにされてもおらず、ただ胸の前へと回されて、そのまま抱き込まれてただけの相手の腕。ナイフが握られた側の手をまずは素早く内側から掴むと、
「…てあっ!」
 案外と握力のある彼だったようで、関節のところを強く強く掴みしめながら、気合い一閃、振り下ろし。こちらは蹴上げてた膝へとお見事な間合いにて叩きつけ、
「痛てぇっ!」
 思わぬ衝撃に凶器を取り落としたところで、その手を離さないまま、体を回しつつ自分の小さな背中へと流れるよな動作で釣り込んでって、
「哈っ!」
 片方の脚を反動をつけて跳ね上げながら、その勢いに合わせて上背を屈めての、お見事な体さばきにて。その小さな肩を支点に、自分の身を飛び越えさせて。前方の…ポケットティッシュやウェットティッシュ、パンストやトイレットペーパーや生理用品なんかが並んでた棚へ向け、鮮やかな“背負い投げ”一本っ!を決めたルフィであり。

  「ルフィっ!!」

 やっとのこと、向かいのバーからナミが駆け込んで来た時にはもう。絵に描いたお手本のような羽交い締めに仕留めた犯人を、床へと這いつくばらせていた小柄な坊や。自分の名前を呼ばれてのこと、顔を上げたそのまんま、
「あれ? なんでナミがここにいるんだ?」
 彼には真っ当な順番ながら、随分とトンチンカンな言いようをして、
「…あのね。」
 さっきまで血の気が引いていたお姉様を、今度は思いっきり脱力させてしまったのだけれども。
「妙な棒、持ってるしよ。」
「こ、これは…。」
 そのお務めの関係で、実は常備していたものだってこと。そういえばルフィにはまだ話してなかったなぁと、焦ったように背中の陰へと隠したそこへ、

  「…っ、こんのやろっ!」

 そんな姉と弟の狭間。レジに立ってたお兄さんを先に急襲した方の暴漢が、さすがに手加減した絞め方だったところから復活し、息を吹き返しての窮鼠猫を咬む状態。お呑気に聞こえなくもない会話をこっちの油断だと見たものか。出入り口の側という、逃げる方向を塞いだ位置の、一番手近に立っていたナミへと掴みかからんとする。間が悪くって俊敏には動けずにいた、普通の…そこいらに居そうなギャル風の彼女をそのまま人質にし、形勢逆転を狙ったらしかったが、

  「何しやがるっ!」

 そんな彼女の顔のすぐ傍ら。向背から凄まじい勢いに乗った回し蹴りが、風を切るよに吹っ飛んで来て、
「がはっ!」
 履いてた靴の、爪先の分だけは足より先へと飛び出したので、そこの部分が炸裂した顔を、気持ち良いくらいの横薙ぎ、ヘルメットが今度こそ吹っ飛ぶ勢いにて、蹴り飛ばした一閃は、だが。ナミの肩の上、彼女の頬や髪には一切触れず、当たったことがストッパー代わりにでもなったんじゃないかというよな勢いのある反動にて。元あった位置の床までを、逆再生の映像よろしく、駆け戻っていたりして。そんなとんでもない刹那の、さて直後。
「な…なに? 今の。」
 半分くらい正気のなくなってた相手から掴み掛かられかかって、そこはさすがに足がすくんだ。なのに、その相手は何物かにあっと言う間に伸されてしまい、起き上がった数倍の早さで再び撃沈しちゃってて。何かが耳の際まで飛んで来た気配はあったけど、風圧さえも幻か、恐る恐るそっちを向いても、何にもありはしなくって。ただ、
「失礼しました、マドモアゼル。」
 振り返れば。数歩ほど間をおいたところに、さっきまでいたバーのマスターが立っているだけ。賊の前、自分が間に立っていたんだから、この人が何をか仕掛けたなら自分へ当たる筈だしと。何が起きたんだか、やっぱりさっぱり分かってないナミであり。その一方では、
「あ、あ・あの…。」
 何で俺のこと、手ごわいぞなんて言ったのか。こっちからはお兄さんのことをじっと見ていて観察してたからサ。色々と当然知ってたけれど。でも、なんでお兄さんの方からも俺を知ってたの? 自分を人質にしかかった方の暴漢を、夏用化粧品か何かのキャンペーン用の垂れ幕で縛り上げると、壁に這ってたごっつい排水管にくくりつけ、やっとのことでレジ前までやって来て。訊こうとしたらば、またもや先に、
「…お。」
 袖がつんつるてんのお仕着せを着たその腕が、カウンターの向こうから伸びて来て、
「坊主、少し切られたな。」
「え?」
 頬に添えられた手は、やっぱり頼もしいほど大きくて。目尻の辺りを親指の腹で撫でてもらったルフィとしては、擽ったいやら嬉しいやら。でも、

  「ちっと動くなよ。」

 一旦離れたその手が、あのね? カウンターの上、何かを探して見回したお兄さんの見下ろした先、店名を刷ったテープをセットしてあった、大きめのテープカッターの上へと降ろされて。ノコギリみたいな歯の上で、そりゃあ無造作にガリって。躊躇もしないで横にひいて、親指を少しだけ自分で切ったから…驚いたのなんの。
「わっ!」
「ちょっとっ…何してんのよっ!」
 姉弟が慌てたのを尻目に、その傷口つきの親指を、

  ――― すりっ、と。

 突き飛ばして遠のけたはずのナイフだったが、犯人から最初に掻い込まれたときに擦ってたらしい、頬の上、目元の際あたり。紙で切ったほどの浅い傷が、それでも数センチほども伸びていたのを、血の滲むお兄さんの指先ですいっと撫でてもらったら。

  「え?」

 あんまりにも眸に近すぎる顔の上。ルフィには何が何やらさっぱり見えず。間近にいたナミにも、何が起きているのかはさっぱりと分からない。だって、
“…なんで?”
 ぬるりと ぬすくってる格好の血も、その下に確かにあった傷も、ふわんって光ってそのまんま。一体どこへ吸い込まれたか、影も形もなくなって。柔らかそうな見慣れた頬が、何ともないまま現れただけ。TVショッピングや何かで紹介されてる、洗剤をつけたら、インクやソースをこぼしたのが、すぅって消えちゃう現象みたいに。あっと言う間に正に掻き消えたものだから、
「あ…。」
 その一部始終を目撃してしまったナミが息を飲み、

  「こらマリモ、何でそんなの、この二人に見せてんだ。」
  「あ? だってこいつら。ハンター・シャンクスの子だぜ?」

 ご本人からのけろっとした応じに対して、

    「「「はい?」」」

 3人分のお声が重なり。それからそれから、

  「あらあら、もうお顔を合わせていたの?」
  「はい?」
  「ロビン?」
  「あれれぇ?」

 そんな彼らのもう1つ後方から、聞き覚えのあり過ぎる伸びやかな女性のお声が、どこか訳知りという落ち着きを滲ませたままにて掛けられたものだから。

 「もうもう何が何だか判りゃしない。誰か筋道立てての解説をしてったら!」

 ………ごもっともでございます。
(苦笑)







            ◇



 とはいえ、一体 何から話せばいいのやらと。一番たくさんカードをその手に持っててそうなロビンお姉様は、逆に一番手札が少ないナミへ…聞きたいことを指定する権限を下さって。

  「ハンターって何だ? 父ちゃん、いつの間に“かりうど”になったんだ?」
  「あ、こら。あたしが一番に訊くんだっての。」

 咄嗟に噛みついたナミだったものの、途端に“うるうる”という潤みの擬音が聞こえて来そうな、ルフィからの“必殺 上目遣い”が出てしまっては…。
「ま、まあ、あんたの方がそれに関しては何も知らない立場だから、特別に優先してあげても良いんだけれど。」
 なんて。強がりながらも、その反面、実はたじろいでしまったその負け惜しみからか、あっさりと質問権を譲ってあげていたりもして。そんな微笑ましいやり取りへと、柔らかい苦笑を見せたのは、カウンターを挟んだ向こうに立ってた、バーテン姿の金髪痩躯のお兄さんで、

  「ハンターっていうのは、俺らみたいなのを嗅ぎ分けられる人種のことでな。」

 話の場を移したついで、ドアへの臨時休業の札と、店内を隠し切るロールカーテンも引き降ろした此処は、バー『バラティエ』の店内だ。強盗に入られてましたよというご近所の方からの通報で、少々遅れて駆けつけたお巡りさんらへは、お外の車で伸びてたのも足して、合計3人だった犯人たちこそ引き渡したものの、
『子供がおりますし、もう遅い時間ですので。事情聴取は明日にして下さいませ』
 現場検証の鑑識さんたちの働きぶりを、興味津々の体でわくわくと眺めてたルフィの肩をもっともらしくも引き寄せながら、ロビンがくっきり言い放ち。その目ヂカラだけで警察の方々には一旦お引き取り頂いております故に、時間は明日までたっぷりとある。証拠保全のためにと、監視に居残った警察官の方に後をお任せした上で、コンビニの方を臨時休業にし。こちらへ顔を揃えているのは…ナミとロビンに、バーの金髪のマスターさんとコンビニのレジに立ってた緑頭のお兄さん、そして、ルフィという計5人。ハンターという名前に覚えがなかったのは、どうやらルフィだけのようであり、
「俺ら?」
 ハンターというのが…赤い髪したウチのシャンクス父さんのことらしいというのは、さっきのゾロさんの一言で何とか判ったルフィだったものの。そんな人の子供たちである自分らにも嗅ぎ分けられるって? それってどゆこと? 何を嗅げるの? 金髪のマスターさんから、大きなジョッキに入った、パインとオレンジのミックス・トロピカルサワーっていう飲み物を出してもらいつつ、大きなドングリ目をキョトキョトさせてる坊やへと、
「さっき見たろ? 指先を切ったのに、もう疵がない。」
 ほれとゾロから差し出された右手の親指の腹には、
「おおお〜〜〜っ?!」
 何かしらの模型かおもちゃのような扱いで、手に取ってどこだどこだと散々に、指を1本ずつ確かめたその上で、裏表に返したり、
「痛い痛い…。」
 そっちには曲がらんという方向へまでこねくり回しての隅々まで探したが、傷跡どころか…まだ洗ってなかったってのに、血の跡さえも残ってない。そういえば、ルフィの頬に塗りつけた筈の血の方も塗った端から消えていたそうだけれど、
「兄ちゃんたち、手品師なんか?」
 素でキョトンとしたまま、そんなことを訊いてきたルフィへと、
「違げぇよ。」
 くすんと笑ったお顔が、何だかすごく優しくて。仏頂面の時々にも、そういう顔をこっそりとしていた彼だ…とはいえ。こうまでくっきりしたのを見たのは初めてだったから、余計に物凄く暖かいお顔に見えるのかもな。そんなこんな思いつつ、
「えへへぇ。////////」
 楽しそうに…そんな別口の笑み一つで満足しちゃってる誰かさんの出した質問への解説は もちょっと続き、
「この程度なら怪我をしたって堪えないし、ちょっとくらいなら他人の怪我の治療も出来る。他にも特殊な能力があるせいで、寿命も体質もさして変わらねってのに、微妙な言い方で“人ならぬ存在”ってされてるのが俺たちで。そういうのの気配を嗅ぎ取れるのが“ハンター”なんだがな。」
 ゾロの言いようへ、肩をすくめたロビンと、サンジとかいう金髪のマスターさんが顔を見合わせたということは、彼ら二人には話が通っていたことだったらしく。何で内緒にしてたのようと言いたげな視線を、ナミさなから向けられたロビンお姉様、
「でも、ルフィが此処へと通っていたなんてことは知らなかったのよ?」
 夜遊びだなんて一体どこへと、やはりお店がお休みとなったことから手が空いたのでと、今夜から調べ始めたお姉様であったらしく、
「じゃあ、この二人は…。」
「父さんが保護認定した“ゴーディエン”よ。」
 言われた途端に…ナミがその瞳を大きく見開いた。
「うわぁ…ゴーディエンって一番危ない種族じゃないの。」
「言ってくれるじゃんかよ。」
「だって…。よくもまあ無事でそこまで育てたわよね。」
 ナミもそれへは理解があるらしい言いようをするのへ、
「???」
 やっぱり一番何にも知らなかったルフィだけが、大きな瞳を瞬かせてキョトンとして見せれば。いかにも稚
いとけない様子のそんな鼻先へと、骨太でいかにも男性の持ち物然とした指先をかざしつつ、
「さっきは治療して見せたがな。俺らの血はそれだけ生気が強いから、例えば誰かが大怪我や大病をしたのへの、治療への特効薬になったりもするし。」
 緑の髪をしたお兄さんの方が説明を付け足してくれ、それの後を引き継いで、
「しかも、だ。何に使うでないまま放っておいて固まらせると…あら不思議。何がどういう組成変化をするものか、純金の粒になっちまうんだよ。」
 スツールに腰掛けた女性陣へと目顔での会釈を見せてから、こちらはカウンターの中に立ってた金髪のマスター氏が、紙巻き煙草を口唇に挟むと、何とも自然な手慣れた所作にて、マッチを擦って火を点ける。手で作った風よけの幌の上、伏し目がちにされた目許が…ちょっぴり眇められ、煙たそうなお顔になったが。それは煙草の煙へという感情表現ではないように見えて。
「純金?」
 そう。それが何とも忌々しいと、そうと言いたげな眉の寄せ方だったので。純金になるだなんて一体どういう例え話なんだろかと、
「貴重な血液型なの?」
 だから、どうしてもと欲しがる人へは売り付けることもあるとか? それへの疑問もあってのこと、もちょっと突っ込んでルフィが訊いてみたところが、
「金のガチョウっておとぎ話があるだろが。」
 サンジさんとかいうマスターさんが、最初の紫煙を吐き出してから…そんな例え話を持ち出した。
「ああ、羽根へと触った人が次々くっついちゃうお話だろ?」
 それを見て、生まれてから一度も笑わないお姫様が笑うんだよねなんていう、無邪気なフォローが坊やから入ったもんだから、
「…金のアヒル、だったかな?」
 ニワトリだったかもね。
(こらこら)

  ――― 昔々、あるところに、
       毎日毎朝1個ずつ、黄金の卵を産むニワトリがおりました。

「それを飼ってた夫婦は、毎日産まれるその金の卵を町で売り、それなりに裕福に暮らしておりました。ですが、ある日、おかみさんが言いました。1日1個とは何ともまどろっこしいね。腹の中にはきっとまとめて詰まっているに違いない。それをまとめて取り出して、一遍に町で売って来ようじゃないか。」
「うんうん。」
「ところが。いつものように卵を産んだニワトリのお腹を、さてさてと裂いて調べてみましたが、金の卵なんてどこにもありません。ニワトリも死んでしまい、夫婦はもう、金の卵を手に入れることは出来なくなってしまいましたとさ。」
「………で?」
 そのおとぎ話がどうしたのだと。あんまりいい例えじゃなかったみたいな反応を示したルフィだったのへ、
「…鈍い弟でごめん。」
「あ、ああ。いやいやそんな。」
 ナミとサンジが坊やの頭越しという社交辞令的なやり取りを交わしていた隙に、

  「金に目が眩んだ馬鹿野郎が現れては、
   血だけを目当てに俺らの一族を狩ったって言い伝えが山のようにあるんだ。」

 それはすっぱりと。物騒なことを、咬んで含めるように告げてくれたのが、ロロノアという名札を胸につけていた、コンビニ勤めのお兄さんの方。でも、ルフィはとっくに、彼の名前が“ぞろ”っていうんだってことは知っていたらしく。…いえいえ、今はそれもまた余談ではありますが。
(笑)
「血をだけ手に入れても無駄だってのによ。」
 最低でも金に錬成されるまでの数日とか数カ月とか、治療目的で輸血したなら、その血が身に馴染んで傷病が完治するまでは。血の…生気の持ち主が生きていなければ意味はないと。そういった基本的なことさえ周知されぬままの虐殺は、歴史の陰に埋没させられ、あるいは吸血鬼や他の妖かしの伝説にすり替えられたりもしているそうで。

  「で。そういうちょっぴり不思議な人たちを見つけることが出来ちゃうのが、
   あたしたちハンターの血筋って訳。」

 これはロビンさんが、ルフィの柔らかな髪をきれいな指先で梳きながら付け足して下さって。でも…、
「ハンターって。じゃあ、ゾロとかこの人とか、ロビンや父ちゃんはどっかで捕まえちまったってのかよ。」
 そいでそいで、ここにこうやって繋ぎ止めてる“悪い人”なんか?…と。ルフィを猫かわいがりしている父上が聞いたなら、そのままその場で引き付けでも起こして倒れちゃいそうなお言いようをする坊ちゃんへ、
「ハンターにも2種類いてな。」
 ゾロさんが、さも可笑しそうに苦笑をしつつ、そんな風に付け足してくださった。
「俺らみたいな色々な奴らがいるって事を把握しているその上で、坊主の父ちゃんみたいに俺らが支障なく生活してけるようにって手配をしてくれるハンターと、それから。自分の欲のために取っ捕まえて、こき使ったり売り捌いたりするようなハンターもいるんでな。」
 赤い髪のシャンクスの一派は、元は狩る側しかいなかったハンターたちから、疑問を感じた顔触れが離れて起こしたグループだそうで。言ってみりゃ“抵抗勢力”だったそうだけど、どっちがお天道様に胸を張れる側かは明らかでもあり。スポンサーも堂々と集めた上での、鋭意活動中に、この二人をお父様が発見したのだというのが昨年のお話。昨年という下りを訊いて、
「ずりぃっ〜〜〜っ!」
 自分だけ何にも知らなかっただなんてと、口元を思い切り尖んがらしたルフィへは、

  「坊主はこっちの姉ちゃんたちとは母親が違うんだってな。」
  「あ、うん。そだぞ?」

 サンジさんとやらがそんなお声をかけて下さったものだから。勢い込んでたルフィの、その勢いがひたりと急停止。二人の姉上の母親は、ナミさんを生んでからしばらくして、特殊な感知能力が高かった代わりのようにあまり体力のなかったことが起因してか、体力が続かなくなって臥せってしまい。ちょっとした病気をこじらせるとそのまま他界してしまったのだとか。それから何年か経ってのこと、母と父と、双方の親友で理解者でもあった、今の奥方のマキノさんがD家に迎え入れられ、ほどなくしてルフィが生まれたという次第。上の二人の母上はやはり“ハンター”だったから、狩人としての純粋な血を色濃く継いでもいる彼女たちであり、
「感覚が色々と鋭敏なのはしょうがないとして。そのせいで賑やか過ぎる昼間はキツいのよね。」
 子供の頃の方が感受性は豊かなところだが、彼女らに備わっている“センサー”という性質は、それとは根本的に別物なのであるらしく。大人になって様々な体験を積むことで、研ぎ澄まされて鋭敏さも増すのだそうで。それで…というだけのこともないのだけれど。対象が出歩くのも、それを狙う不埒な輩が徘徊するのも、大概は人目を避ける夜半だってこともあっての、夜のお仕事をこなしている二人でもあったりし。
「ルフィは…まだどうとも言えないところだからね。」
 父上の血が強ければ、やはりハンターとしての感覚も現れて来ようが、母上の方は一般人なので。今のところは様子見の段階。よって、ルフィ本人にはあまりそれらのことを告げないままでいたのだそうで。
「何でだよ。」
 やっぱり故意に構えての内緒があったらしいってことへ、ぷぷぷうと膨れたまんまな弟へ、
「だって混乱するでしょう?」
 今だって、説明されたこと、半分くらいしか理解出来てないくせに。
「うう…。」
 図星だったか、尖らせていた唇が うにゃいとひん曲がる。でも、
「こちらの彼へ、関心が起きたのは…もしかして?」
 その血液が特殊な、ゴーディエンとかいう変わった人種だっていうゾロ。そんな彼へと関心が起きたルフィだったのは、もしかしたなら…? それ以上は口にせぬまま、ロビンが二人のお顔を交互に見やったが、それが何を言いたくての所作なのかはさすがにルフィへも判ったらしく。
「…それ、違うと思う。」
 ルフィがううんとかぶりを振った。
「あら、だって。」
 彼がこんな遠いコンビニまで足繁く通っていたのは、それじゃあ? 他の大人たちからの注目の中、ルフィ坊やはおずおずと口を開いた。
「俺、春の対抗戦で此処の近所の高校まで来た時の帰りに、ゾロがチンピラを追っ払ってたの見たんだ。」
 それが凄っごくカッコよくって気になってと。お店のお仕着せの上っ張りの名札には苗字しか書いてないのに、ちゃんと名前まで突き止めていた彼へ。途端に…ちょっち不愉快だとむっつりしたり、おおっと意外そうに目を見張ったり、はたまた微笑ましいことよと苦笑したり。大人たちの内の3人が三者三様のお顔をし、当事者であるゾロだけは、
「何だ、そんな早くからだったのか?」
 自分が彼の来店に気づいたのは、ここ何週間かというところ。こんな幼い子もこんな時間帯に独りで出歩いてるんだなぁと、そういうカッコで目に留まったらしくって。そうまで鈍くてよくもまあ、
“今時のトレジャーハンターだとか、某研究施設の科学者が放った追っ手たちの目を掻いくぐって、逃げ延びられていたわよね。”
 ナミさんがついつい呆れたのもまた道理。余程のこと運が強いのかそれとも、追っ手との直接対峙というその時その時の、修羅場には断然強い豪の者だということか。いかにもなコンビニ店員用の上っ張りを脱いでしまうと、結構な分厚さの胸板やら頑丈そうな背中をしている彼へ、
「あのな? えと…あのな?/////////」
 いつもの大胆不敵はどこへやら、意中の人の前だってので含羞んでか、もじもじしている坊やへと、
「〜〜〜〜〜。」
 ナミさんだけがちょっぴり詰まらなかったのは。一番間近で一番身近な、護ってあげてた対象が、そのお役目ごと横取りされたような気がしたから、だったかも知れないです。







  「………にしても。」

 子供がいるからということで日を改めてもらった、警察からの事情聴取には、そうと押し切ったロビン当人が、ルフィの付き添いとして立ち合ってくれるらしいのだが。じゃあ、今日のところはこの辺でと、それぞれが自宅への帰途に着くこととなり。そこまでは同じ道、駅までの通りを5人でとぽとぽと歩き始める。まだまだ日付が変わるような時間帯にもなっちゃあいないというのに、あのね? 我らが弟くんがさっそくにも“くぁ〜あ・あ”なんて、本気で眠そうな欠伸を洩らしており。そんなお子様へと苦笑をし、大きな手のひらを広げて、頭をわしわしと撫でてやってる、ゾロとかいう青年を、肩越しにという後ろ向きで、何とはなく眺めやってたナミへと向けて、
「いくらルフィが気になっての行動を取っていたからとはいえ、同じ店内っていう至近に2日もいた、マスターさんの“ゴーディエン”としての気配を、少しも感じ取れなかったとはね。」
「う………。」
 ちょっぴり楽しそうに口にしたロビンお姉様だったのへ、闊達な妹君がたちまち…気まずそうにその表情を固めてしまったのは、なかなかに聡い彼女であったればこそのこと。確かに、二晩続けてああまで間近に居合わせたのに、彼の持つ…ちょっぴり特殊な生気のその気配を、まるきり感じ取れなかっただなんて。ハンターとしては問題があるやも知れずなことだったりし。
「だ、だって…。」
 ロビンも言ったが、昨夜も今夜も、ルフィの行動の方こそが最優先で気になってた彼女だし、
「…そうだ。お店の中に、流星紋のフラッグが下がってたわ。」
 両手の人差し指を、自分の胸の前で小さく左右対称に躍らせて。何もない宙空をキャンバス代わり、そこへホームベースのような形を描いて見せる妹へ、
「よく気がつきました。」
 それなら及第かしらねと、ハンター除けのおまじない、念を込めてあるフラッグが掛けてあったの、何とか思い出せたのは合格ですよと笑って見せて。
「これからはルフィへの隠し事もなくなって、お仕事もしやすくなるわね。」
 なんでまた、陽が落ちてからでないとなかなか動き出せない自分たちなのかってこと、これで判ってもらえたのだろうし。やっぱりお天道様との相性の方が断然いい坊やには違いなくっても、すれ違いの生活が続くことへ、今までよりは理解を寄せてもらえもしようしと。ほこほことおっとり嬉しそうに笑っているお姉様へ、
「…そうかしらね。」
 妙に考え込んでしまってたナミさんだったのは。

  “もしかして、俺も手伝うとか言い出して。”

 でも、やっぱり途中で眠くなったりし、却って邪魔になんないかしらねと。今から“はぁあ”と溜息しきりな、心配性のお姉さんだったりするのだけれど。
「………。」
 そろりと振り返った肩越しの視野の中。自分たちとは体格や底力や、根本的なところからして様々に違って、陽の光の匂いもしそうな…何とも男らしい精悍さの塊りな、そんなお兄さんに嬉しそうに懐いてるルフィだってのへ、やっぱりどうしても見蕩れてしまい、

  “ま・いっか。”

 太陽みたいな活力の君に、またもや振り回されてしまったけれど。そうでなくっちゃルフィじゃないんだしと。知らないうちの無意識に、自分こそがと掲げてた“保護者”の看板、一体いつまで挙げてられるのかしらねなんて、やっとのことその眼差しを和ませた、ナミさんだったりしたそうで。そうですよ、これがいい機会になって、今度は自分を見守ってくれる人と向かい合えるのかも知れませんしねvv


  「…あ、そう言えば。今日ってナミの誕生日じゃんか。」
  「あらあら、よくもまあこんなギリギリに思い出して下さいましたこと。」
  「む、今日思い出したのは今だけど、ちゃんとプレゼントは考えてたんだぞ?」
  「へぇ〜え?」
  「そんな可愛くねぇ声出すんなら、もうやんねぇ。」
  「構いませんよったら。
   どうせどっかのファーストフードの割引券とかなんでしょう?」
  「違げぇもん。ロビンに選んでもらったシルバーのアクセだもん。」
  「…そんなもの、どうしたのよ。」
  「春休みとGWにバイトしたんだ。
   買い食いも2回に一回は我慢して頑張ってためたのにっ。もういいよっ!」
  「あ、ごめんっ。ルフィっ、ごめんたらっ!」


 しまった、なんでこうなっちゃうのよと。慌てて先を急ぐ坊やを追っかけてく、姉弟、よく似て俊敏そうな背中を2つ見送ってから。
「難物よ? 彼女は。」
「みたいですね。しかもあんなに間近に恋敵と来てわね。」
 くすんと笑った金髪の君へ、ロビンはもう一言だけ付け足した。
「泣かせたりしたなら、私とルフィとが黙ってないのを忘れないでね。ガーディアン・ハンターとしての義務も見切ってのこと。」
 だから容赦はしなくてよと、極上の笑顔でにぃーっこり笑った黒髪のお姉様へ、こちらも余裕で笑い返してるサンジさんだったりし、

  “何かよく判らんが………。”

 にぎやかな夏になりそうだなと、背中の大きな盟友さんがその胸中にてこっそり呟いた、梅雨明けにはまだちょっとかかりそうな、そんな初夏の晩のことでした。







  〜Fine〜 06.7.3.〜7.9.

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  *久し振りのパラレルで、一応はナミさんBD作品…?ですんで、
   こんなややこしいものでも宜しかったなら、
   DLFと致しますのでお持ち帰り下さいませです。

  *それにつけても、もうちっと尺を延ばしたかったですね。
   これでは誰が主役やら。
   キャスティングが某『天上の海』シリーズとさして変わらないかなぁと、
   そんな不安な気持ちも生まれましたが…。
   可愛がっていただければ嬉しいです。

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