番外編 “夏休みにて” A
2
雲ひとつなく晴れ渡った青い青い空の下、爽やかな風をまとってリビングへと射し込む、透き通った初夏の陽射し。屋敷の落ち着いた雰囲気に合わせてだろう、深みのある色合いのフローリングが敷かれた広くてシックなリビングルームは、品のありそな調度の数々がお行儀よく居並び、吹き抜けになった高い高い天井の真ん中に大きなファンが。華美にはならないようにと努めてシックでありながらも、思わぬところがさりげなく豪奢な作りになっていて。
"でも、あの寝室の天蓋はやり過ぎだよな。"
主人たちの使う広い広い寝室とやら。立派で大きなベッドの上に、何とも凝った彫金細工つきのフレームで囲まれた天蓋が、二重のカーテンを下げて付いていたのには。呆気に取られたその後で、自分たちの柄ではないからと取り外すことと相成った。(笑) それはともかく、
"う〜〜〜ん、気持ち良いなぁ。"
中庭につながるテラスへと出られる大きな窓に寄り、見事なまでの天然自然な景観へ感動しながら…大きく背伸び。普段の住まいもそれほど"都心"という場所にある訳ではないのだが、それでも此処に比べれば、喧噪や雑踏にこそ程近い町だったんだなと改めて感じてしまう。そんな町なのが嫌だなんて勿論思ってはいない。だが、時にはこういう…どこでか囀さえずる小鳥の声や梢を吹き渡る風の音しか聞こえて来ないような、静かで落ち着いた場所で過ごすのも良いかななんて、
"………若い子が感じるようなことじゃあないのかな、こういうの。"
自分の感慨へこそ苦笑混じりな顔になり、瑞々しい緑が広がる明るいお庭を眺めていたところが、
「…あれ?」
目の詰んだビロウドのように柔らかそうな、発色のいい明るい緑に満ちた若い芝。それが視野の隅々まで広く広く敷き詰められた平坦な中庭の真ん中へ、ぴょいっと飛び出して来た何かがあった。跳ねるように駆け回っているそれは…小さな小さな1頭の仔犬である。なかなかの健脚で真っ直ぐ走ってみたり、四肢のバネを利かせてぴょぴょいっと跳ねたり。そうかと思えば、鼻先を掠めた何かに注意を取られて、バッといきなり"伏せ"の姿勢になってみたり。そんな間のずっとずっと、はたはたと振られ続けているお尻尾は、彼がどれほどご機嫌なのかを示していて。手入れの良さそうなつややかでふさふさな毛並みを、たかたかとした軽快な動きや風になびかせている姿は、見るからに愛らしくて微笑ましい限り。
「…うわぁあ〜vv」
町の住まいはマンションだから、ペットは飼えないと諦めていたが、ホントは動物も大好きで。そんな目の前にあんなに愛らしく元気溌剌な仔犬が飛び出して来たのだから、これはもうもう興奮しきり。
「可愛いな〜vv」
あれって"シェットランドシープドッグ"っていうんだよね、PC教室の風間くんが飼ってるって、写真見せてもらったことあるし。でもでも、この子の方が断然可愛いな…と。風間くんには少々失礼なことを思いつつ、広い庭中を目一杯、惜しみなく駆け回っているシェルティくんをじっとじっと見つめ続ける。逃げちゃったりしないようにと口許を手で押さえて、音なき嬌声を"きゃ〜きゃ〜vv"と発しつつの鑑賞会だったのだが、
――― …あ。
ふと。こちらに向かって一直線に駆けて来かかっていたワンちゃんが、さすがに見学者に気が付いたらしい。ピタッと足を止め、こちらをじっと見つめてくる。せめて窓を閉めていれば、ワンちゃんは視力にはあまり頼らないというから気づかれなかったかもしれないが、端の方を少しだけ開けていたため、どうやら匂いや気配でばれたらしい。
「………。」
ほんの幾刻か、奇妙な睨めっこになってしまい、それから、
「あっ!」
小さなシェルティくん、物凄い反射を見せて体を返すと、たたた…っと一目散に向こうへ駆けて行ったから、
「待ってっ!」
こっちもついつい、大窓をガラリと開けて室内ばきのままポーチに踏み出し、彼の後を追いかけた。低い姿勢のシェルティくんは、風を切っての猛ダッシュ。ふかふかな毛並みを体に全部張りつかせ、まるで弾丸みたいな疾走を見せていて、
"は、速いっ。"
こっちも駆けっこには自信があったのに、見失うんじゃなかろうかという加速の違いにドキドキして。しかも、
「…あ。」
彼の向かう先には、ツツジの茂みとその後ろには鉄棒を並べたような柵。その下の隙間から入って来た彼であるらしく、ということは、
"ああ、そんなところから出てかれたら…。"
例え小さな子供でも通り抜けられはしなかろう隙間だろうから、そこで追跡も終しまいとなるのは明白。別に捕まえたいとか叱りたいとか、そんなつもりはなかった。ビックリさせてゴメンネって、せめて言いたかったなと。それと、出来れば一緒に遊びたかったなと、そう思って反射的に追ってしまった彼だったのだが、
"…諦めるか。"
丁度、がさっと思い切り、小さな体が緑の茂みに飛び込んだのを見届けて。これはもう振り切られるなと感じたから。こちらもかなりのスピードで追っていたが、諦めてその足並みを…速度を落としかかったその時だ。
――― きゃいんっ!
甲高い声がした。
「………え?」
駆け足から普通の徒歩くらいに速度を落としていたその足をそのまま進めて、そぉ〜っと茂みを掻き分ける。結構立派なツツジの茂みは、お花の時期はとうに終わって、少しマットな色調の緑がずんと濃くなっており。その根元にいるのだろうさっきのシェルティくんの白い毛並みがちらちらと見えはするのだが、一抱えはある茂みは枝が思いの外に丈夫で邪魔だ。
"んもうっ。"
焦るあまりに苛立ちながら、しょうがないなあと場所を変え。茂みと茂みの間に割り込んで、チノパンの裾を引っ掛けつつもその向こうの隙間へと踏み入ると、
「…あ。」
くんくん・きゅ〜んきゅう〜んと切なそうな声を上げている小さな仔犬くん。見れば、その首に巻かれた赤い首輪のあそびの部分が、下に突き出した柵の端に引っ掛かっている。慌てて無理に飛び出そうとしたものだから、ぎりぎりの隙間がそんな意地悪な結果を招いたのだろうが、
「ほら、今取ってあげるから。じっとしてて。」
自分が近づく気配に気づいてだろう。尚のこと、ばたばたっと暴れて無理から抜け出そうとする様子が見て取れて、言葉は通じない相手だと判っていつつもそんな声をかけた。あんまり夢中に引っ張るものだから、首輪はぎゅうぎゅうに引き絞られて苦しそうなほど狭まっている。
「大丈夫、外すだけだから。」
しゃがみ込みつつ首輪に手をかけ、前へ前へと逃げようとする小さな体を、もう一方の手で抱えて引き戻す。緩めれば簡単に外れるものなのに、パニック状態になっていて気がつけないでいるシェルティくんなのだろう。
「いい子だから、ほら、じっとしてて。」
逃げ出そうと前足で地面を掻いて掻いて、土を跳ね上げる悪戯者。それにもめげずに…だが、出来るだけそっと抱えて引き戻し、あとちょっとで外れるかと思ったその時だ。
――― …あっ!
いきなり手ごたえが消えた。ガクンっというその軽い反動から、中腰の態勢のまま前のめりになりかかり、柵におでこをぶつけてしまって、
「痛った〜いっ。」
思わずの声を出したと同時、腕の中からしなやかな毛並みの感触がスルリと抜けて、
「あ…。」
手に残ったのは…堅い革の感触だけ。かしゃんと柵にぶつけたおでこを擦りつつ、見やった手の中には赤い首輪。その先の、穴が空いている方に金具がぶらりと下がっていて。ああこれは、切れたというか縫い目がほどけたというか、それで外れたんだなと納得がいったが、それよりも。
"………あれ?"
弾けるような勢いで一気に状況が変わってしまい、てっきり…これ幸いと逃げ出したことだろなと思っていたワンちゃんが。
「きゅ〜〜〜ん。」
半分お外に出ていた体だった筈が、柵のこちら側に戻って来ていて。小さなお顔を上げて…つぶらな瞳でじ〜〜〜っとこっちを見上げているではないか。
「???」
あんなにびっくりして、脱兎のごとく、一目散に駆け出したのに。首輪が引っ掛かっていることに気づかないほどパニックになってまで、逃げ出そうとしていた子なのに。
「…これ?」
自分が手に握ったままの首輪を返してほしいのだろうか。差し出すと、鼻先をくっつけて"くんくん"と嗅いでから、だが、またまた顔を上げ、きゅう〜んきゅ〜んと甘えるような切なそうな声を出す。
「? え〜と?」
どうしたいのか、一向に判らないでいると。そのシェルティくん、座り込んでいたこちらのお膝に前足を載せ、ふわっと近づいて来て…、
――― ぺろっと。
おでこを舐めてくれたのだ。
「…あ。」
ぱたぱた、お尻尾を振りながら、きゅう?と小首を傾げて見せるのは、
『大丈夫? 痛いの?』
そんな風に訊いてくれているかのよう。悪戯がばれたっと逐電しかかってた腕白坊主なのに、叱られるかもと思って必死で逃げ出そうとしていたくせに、そんなこと思いやってくれるなんて、
「良い子なんだねぇvv」
よしよしとふかふかな毛並みを撫でてやると、あんおんっvvとお元気なお返事。きゅうって胸元へ抱っこしても、今度は逃げないでいてくれる。ふさふさのお尻尾が旗みたいに振られてて、仲良くしようねって言ってるみたい。ひょんな格好でお友達になれたみたいで、嬉しくてワクワクしていると、
「…お〜い。」
屋敷の方から声がした。途端に、腕の中、シェルティくんの耳や体がぴくって動いたけれど、
「大丈夫。あれは俺の大切な人なんだ。」
にこにこっと笑って抱っこしたままで立ち上がり、茂みの中から出て行くと、
「? 何やってんだ?」
男の人の声がかかった。まだ若い人の、だが、響きの良いお声。愛しい相手へ優しく伸べられた手みたいな、気がねのない温かい声。
「うん。この子がね、柵の下に首輪引っ掛けちゃっててね。」
子供抱きで抱えて来た小さなシェルティ。赤い首輪を見せられて、テラスポーチに出て来ていた青年は、ああ…という納得顔になった。
「これなら直せるぞ。」
「そうなんだ。」
「ああ。でも俺には無理だな。」
何だよそれ、と。少年は くつくつ笑って、
「プレートに住所があるでしょ? すぐご近所だから送ってく。」
「そうだな。こんな可愛い子、首輪もなく歩いてたら攫われかねないもんな。」
二人の会話に、るうくん、初めてドキッとした。
"…そっか。それでゾロ、いい顔しなかったんだ。"
保健所に通報されるからってだけでなく、心ない人に連れて行かれかねないと。そこまで考えてくれてたんだなと、今頃気づいて ふしゅんと萎しぼむ。やっぱりゾロって大人だな、それに比べて俺はまだ子供なんだなと。そう思って反省しきり。
「あれ?」
急に萎えてしまったシェルティくんへ、どしたのかなと覗き込んでくれる人。人になった時の自分と同じくらいの年頃だろうか。溌剌とした面立ちをした、甘い匂いのする優しい男の子。
《何でもないよvv》
顔を上げて頬をぺろっと舐めると、キャハッとはしゃいで抱え直してくれて、
「じゃあ、行ってくるね。」
歩き出す彼を、だが、
「ちょっと待ちな。」
後から出て来た男の人が引き止めた。
「なに?」
「足元。室内ばきで出掛けるつもりか?」
「あやや。/////」
3
小さな小さなシェルティくんは、このご近所でも知られた子であるらしく、
「あらあらるうちゃん、お散歩なの?」
「いいわねぇ、お兄ちゃまと一緒なのねぇ。」
当地の人だろう、小母様たちに行き交うたびに声を掛けられている。その度に、わふっとお返事をするところがまた皆様に受けているらしくて、
"凄い子だなぁ。"
まるで人の言葉が判るみたいだ、と。少年は感心しつつもなればこそ、お家の人も心配してるだろうと、ふかふかな"るう"ちゃんを時々抱え直しつつ、プレートにあったお住所へと道を急いだ。この町には昨年からご縁が出来て。まだ数えるほどしか足を運んではいないが、それでもきちんと整備された街なので、番地からお家を探すのもそう難しいことではなく、
「あ。ここだね?」
一番奥まったところの瀟洒な山荘風のお屋敷。洋館風なのは此処いらのどのお屋敷も似たようなものだが、このお屋敷は…ちょっとばかりムードが違う。風格があるというか、歴史があるというのか、
"ホントに欧州にあったみたいな雰囲気だよな。"
欧州風、でなく、欧州建築をまんま再現したような。そんな建物だなと思ったのは、知識からの把握ではなく、彼自身も欧州暮らしが長かったから。敷地を囲う塀やあらたまった門構えはない家で、だが、頑丈そうな茂みが絶妙な厚みで柵の代わりをこなしており、そんなところも ある意味手が込んでいる。表通りと敷地の境目、茂みの端っこに何かの道標みたいににょきっと立ってる石碑があって、そこにインターフォンがついているらしく。チャイムのボタンを押すと、
【はい。】
女の人の声がした。
「あの、こちらのワンちゃんをお連れしたんですが。」
そうと言うと、
【あらあら、すみません。】
今、参りますと、丁寧な物腰。奥様かな、お手伝いさんかな。るうくんと二人で待っていると、ドアを開く音がして、テラコッタの赤レンガを敷いたアプローチをやって来る人影が。ところどころに茂みや木立ちが配されてあり、玄関先が直接は見えないように工夫のなされた前庭で。そこをパタパタとやって来るのは、ちょっと年配でふっくらとした体格の、やさしそうな女の人だ。腕の中のるうくんがお尻尾をはたはた、脚をわしわしと動かし始めたので、可愛がられている大好きなお相手なのだなと思って待っていると、
――― ……………。
どういうものか。その人は…あとちょっとで向かい合う辺りのやや手前、こちらから全身がすっかり見えているのだから、そちらからもこちらの姿は見えているのだろうに、不意に、ピタッと立ち止まってしまったのである。
「…あの?」
爽やかな緑の香の立ち込める中。溌剌とした初夏の陽射しが降りそそぐ、静かな静かな別荘地。アイボリーのチノパンにTシャツと、淡い色合いのチェックが涼やかな、木綿のシャツを肩に羽織ってカーディガン代わりという小ざっぱりした普段着姿の男の子が、愛嬌たっぷり、元気なシェルティの仔犬を抱えて立っている様子は、少なくとも…呆然自失という種の"驚愕"に縁取られた表情になって凝視される対象ではないと思うのだが。
「………。」
一体何に驚いてか、その場に立ち尽くしてしまったご婦人に、どうしたものかと戸惑っていると、腕の中からシェルティくんが"あんおんっ"と元気な声で吠えた。すると、それで魔法を解かれたかのように、
「………あ、ああ、えと。あのその。」
小母様が我に返って…だがだが、やっぱり、何か様子がおかしいままに、落ち着かない慌てた様子をその動作に滲ませている。そして、
「あ、そうそう。どうぞお上がり下さいませ。」
そんなことを言い出したものだから、
「あ、いいえ。あの送って来ただけなんですよ、あの…。」
首輪が壊れちゃって…と説明しかかったそのタイミングに。
「ツタさん? どうかしたのか?」
彼女が出て来た方向からそんな声がして、
《♪♪♪っ》
シェルティくんがもぞもぞと身じろぎをし、
「あっ。」
とうとう少年の手を振り切るように飛び降りて、そちらへと駆けていく。いかにも嬉しそうな、まっしぐらという勢いだったのが可愛くて、
「おおうっ。」
飛びつかれたのかちょっと声が乱れたその後、
「帰ってたのか、る………。」
あんあんあんっと、シェルティくんが立て続けに鳴いたので声が遮られてしまったが、
"男の人?"
ゾロと同じくらいの人かな。そんな年頃のお声だったなと、小さく微笑ったルフィの前へ、木立ちの衝立ついたてを通過して眼前へと現れたその人は。
――― あ。
すらりとした長身の、やはりまだ若々しい男性である。短く刈った髪形も、長くて頼もしい腕や脚も、袖をまくったシャツにワークパンツというざっかけない恰好をしていて、着痩せして見えるが…実はかっちりと鍛え上げられた、今時の人には珍しいほど雄々しいまでの強靭そうな体格も、
"ウチのゾロと同んなじだなぁvv"
でも、男ぶりはウチの方が上だけどと、こんなところでちょこっとノロケてみた…ルフィくんである。
◇
ウチのお庭まで遊びに来てくれたるうちゃんの、首輪が千切れてしまったので、それで送って来たんですと、手際のいい話し方で事情を説明する少年に、
『それはお手間をお掛けしましたね』
頼もしい腕に抱えた仔犬を愛おしげに見下ろしつつ、ゾロはそう言って頭を下げた。
『お宅のお庭で遊んでただなんて。何かご迷惑は掛けていませんか?』
どう見たってずんと子供が相手なのに、きちんとした大人相手の口調で話すゾロに、少年は人懐っこい笑顔を見せて、
『いいえ、いいえ。見かけたのも今日が初めてですし、これまでにしても、きっとお行儀良く遊んでてくれたんだと思います。』
気がつかなかったくらいなんだからと、利発そうな物の言い方をする少年で、
『あのあの、また るうちゃんと遊んでも良いでしょうか?』
恥ずかしそうに言い出す彼には、ゾロが応じるより先に、小さなシェルティ本人が、
《あうんっ♪》
それはお元気なお声でお返事をしたのであったりした。
……………で。
お三時の水羊羹と冷たい麦茶を並べつつ、
「ビックリしましたよ、ええ。」
ツタさんがまだそんな言いようをしている傍らで、
「そっかなぁ。そんなに似てた?」
シェルティから男の子へと姿を変えたルフィが、カイくんをお胸に抱えて小首を傾げて見せている。まだまだ小さくて、ご飯と寝るのとで精一杯な赤ちゃんだけれど、それでもお母さんは判るらしくって。この頃では…こうやって抱っこされていると"あーうーう"と、何か話しているようなお声を出すようにもなって来た。そんな様子にはついつい微笑みながらも、
「似てた、なんてものじゃありませんでしたよ。」
ツタさんは、そりゃあ驚きましたと肩を震わせて見せる。
「ルフィ坊っちゃまと るうちゃんと、両方が一遍にいるだなんて有り得ないことですのに、間違いなくお二人ともいらっしゃるんですもの。この良い日和にあてられて、日射病にでもかかったのかって思ってしまいました。」
ルフィのもう一つの姿であるシェルティを腕に抱えてやって来た、小柄な愛らしい少年。真っ黒な髪は柔らかそうで、大きな琥珀色の瞳に、ふわふわとしていそうな幼い輪郭の頬や小鼻。すんなりと伸びた手足は軽快に動いて活発そうで、そのくせ、はきはき手際良く話すところは、なかなかに理知的でもありそうな、
「でも、ウチのルフィの方が断然可愛いかったじゃないか。」
だからして、見間違うほど似てたとは思えない…というのが、旦那様のご意見らしくって。
「え〜、そっかなぁ。/////」
「ああ。ルフィほど可愛い子は滅多にいないさ。」
………まったくもって、どいつもこいつも。
あ、いや。これはツタさんが呟いたモノローグではありませんので、念のため。さて、此処で問題です。このお話に堂々と紛れ込んで下さったのは、一体どのシリーズの"ゾロ&ルフィ"でしょうか?(白々しいって/笑)
〜Fine〜 03.5.13.〜5.28.
*お馬鹿な話で済みません。
いえね、『蒼夏の螺旋』はホント、色んな話に搦められるよなと、
そう思って実験してみた次第です。
ただ問題は、主役が同じ名前の方々なので、
書いてても読んでても ややこしいってことです。(笑)
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