人恋しき 秋の深まりに
      〜かぐわしきは 君の…

 


     
終 章



何だか変梃子な告白の場になってしまった
相変わらずのお二人でしたが、
それでも我に返ると流れ星も幾つか数えることが出来。

 「なんか皆さんが沸いてたのはどうしたんだろうね。」
 「う〜ん。
  私たち、大きいのを見逃したのかな、もしかして。」

気のせい、気のせい。(笑)
すっかりと冷えきったそのままお風呂屋さんへ。

 「ああ、今日はこの順番にして良かったね。」
 「うん、先に入ってたら、湯冷めしたかもだしね。」

それからアパートまでをほかほかと戻って、
スマホで一応撮ってみた星空の写真を
PCへ取り込んだイエスが、

 「うん。今日はもう寝よう。」
 「おや、珍しい。」

皆さんへ報告しないの?と、ブッダが訊けば、
それは明日でも出来るでしょう?と、イエスが笑い。

 「それより今夜は、
  ブッダに風邪を引かせないぞ週間の締めくくりだもの。」

 「なんか、名前が変わってないかい?///////」

くすすと笑いつつ、でも布団を敷くのには丁度の頃合い。
着替えた洗濯物をカゴへと移し、
卓袱台を片付け、押し入れから出した二組の寝床を整えれば、
宣言したその通り、
PCには触れもせず、
自分の布団の上へと座り込むイエスであり、

 「じゃあ、電気消すよ?」
 「うん。」

電灯に透ける嫋やかで白い手首が、
仄かに黄昏色で縁取られて。
そのまま紐を引いて腰を下ろすブッダを、
布団もかぶらずにいたイエスが捕まえる。
あ、と。
小さな声を上げたらしかったが、
その口許をすかざす、でも そおっと塞がれたようで。
小さな水音が立ってから、
もうもうと拗ねる声と ふふーという笑い声が秘やかに響く。
衣擦れのと呼ぶには やや色香のない、
糊の利いたカバーだからこその がさごそという物音がして、
毛布と掛け布団とに二人ともくるまって………。





その背中へ、上になる側からだけ腕を回し、
そおと掴まるようにしてから、
すっぽりと埋まるイエスの懐ろは、
ブッダにとって もうすっかりと一番居心地のいい場所で。
イエスの側が収まりのいいように落ち着くまで、
こちらの頬や胸へその身じろぎが伝わるのも
くすぐったくて楽しい。
寝間着用のシャツ越しに頬へと とくんとくんと鼓動が伝わる。
バラとオレンジのいい匂いがして、
ちょっぴり堅い胸板の充実が、ほわんと暖かくて気持ちいい。

 “人と直に触れ合うのって、
  そういえば久しく覚えがなかったような気もする。”

そも、仏門浄土がそういう文化じゃないのだから
仕方がないといや仕方がない話だけれど。
けれどでも、そんなせいもあってのこと、

 “イエスには随分と待ってもらったんじゃないのかな。”

こういう意識なんて欠片もなかったほどの“以前”にも、
無邪気に抱き着かれたことは結構あったけれど。
それはさすがに ご挨拶どまりのものばかりだったし、
バレぬよう黙ってたと言ってたくらいだ、
それこそ何か零れないようにって、
随分と気を遣ってたんじゃなかろうか。

 “あ…。//////”

温かい手が襟元や肩先の毛布を直してくれる。
一番好きなのは玻璃色の眸だけれど、
イエスのこの大きな手も好き。
そう、手をつなぐのもホントは嬉しい。
頼もしい手が守ってくれるようだし、
熱が伝わって来て、彼をするすると実感出来るし。
でもやっぱり人の目が気になる臆病者な私を気遣ってか、
誰もいないところや、こっそりとという格好でとか、
むしろ励ますためにと触れてくれてたような気がする。

 “…。”

ちらと見やった喉元なぞは、
薄い皮膚の下の骨格がやや浮いて見え、
でもね、それが妙に色っぽいというか肉惑的で。
じっと見ているのが恥ずかしくなって、
もうちょっと上をと視線を上げれば、
髭のある口許とそれから、

 「………あ。//////」
 「よそ見、じゃあないみたいだね。」

そちらからも見下ろしていた視線とかち合って。
思わぬことへ、ありゃりゃあと慄いた途端、
ドキドキに拍車が掛かる。



ふんわりやさしいブッダ。
キスをして懐ろへ捕まえちゃうとね、
可愛くて恥ずかしがりやなところが見る見ると出て来るの。
お母さんみたいにしっかり者なのが、ころりと変わって、
おずおずと遠慮がちになってしまって。
あんまり強くは言えずで、
おぶおぶと含羞みながらも。
そんなに顔を見ちゃダメとか言い出す、
甘えん坊になってしまうのが本当に可愛いvv
ちょっと意地悪して、お耳に口許で触れたなら、
ふるると震えて 殊更ぎゅうって掴まってくれる。
でもこれは、そう、1回だけなの。
だってほら、

 「あ………。////////」

甘い声がして綺麗な髪がサァッてほどけてしまうから、
これ以上困らせちゃあいけない。
可愛い耳も隠されての、
おいたは もうダメだよって言ってるよなもの。
ごめんねごめんねと、
さらさらのを梳いてあげた なめらかな髪越し、
形のいいおでこの縁へキスをして、
二人で毛布にくるまるの。
目を閉じても腕の中には温かなキミ。


  あしたも一緒だよね? 大好きだよ?






    お題10 “夢の中まで 〜好きだよ”


    〜Fine〜  2013.10.27.〜 11.10.


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  *お疲れ様でしたvv
   秋もいろいろと忙しい最聖のお二人でしたが、
   ベースの甘さは相変わらずでしたねvv
   半年の間に、少しずつ接近して来て
   今 この進展ぶりというのは
   果たして早い方なのか遅い方なのか…。


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