月より星より キミに誓うよ


     




西日本や大きく飛んで北陸・東北などでは、
大気が不安定だったか大きく崩れたお盆のお天気だったが、
東京では何とかもって、
立川の一角では、毎年恒例の大川の花火も開催された。
河川敷から打ち上げ、
土手沿いにシートを敷いて見上げるという、
よくある格好の催しであり。
土手上のジョギングロードには各種の夜店も軒を連ね、
アセチレンランプに煌々と照らし出される屋台を覗きに、
浴衣姿の老若男女が夕涼みがてらに集う、
いかにもな夏の夜の賑わいで。

 「結構な人出だねぇ。」
 「うん。」

何せ見物の皆様は近隣の町からもお越しで、
スマホ片手にお友達と待ち合わせらしい、
キャッキャと楽しげなお嬢さんたちのグループがいるかと思えば。
一丁前な甚兵衛を着ているのに、
足元が流行の樹脂サンダルという今時スタイルの坊やが
若いお父さんに抱えられていたり。
陽が落ちてもお外に出ていて良いなんて、
子供たちにはそれだけでも特別なこと…だったのも今は昔で、

 “ま、今時は遅くまで塾に通う子供がザラですしね。”

それでも、そういうのとは完全に別枠の夜更かしは気分が違うか、
小学生たちが はしゃいで雑踏の中を駆け回っているのが微笑ましく。

 「…っ。」
 「ブッダ、大丈夫だから。」

小学生といや、
いつも彼の額の白毫を狙って来る腕白さんたちが
同じご町内にいるものの、
今宵はさすがに自分たちのお楽しみを優先だろうてと。
子供たちの歓声が聞こえるとギクリとする伴侶様へ、
まあまあ落ち着いてとイエスが宥めるのも相変わらず。
心配なんなら子供が多い夜店のそばから離れようと、
明かりの少ない斜面の一角へとお連れを促す。
こういう場所では俄然元気なイエスであり、
たったかと素早く立ち回る彼に置いてかれかけ、

 “えっと…。///////”

人の流れの中だけに、はぐれてしまうのでは…とついつい思ったブッダ様。
双方とも手を下ろしていたこともあり、
さっきから自然と触れてはいたイエスの浴衣の、
袂の端を…こそり指の先に絡めるようにして握ったところ、

 「…あ。//////」

袖が引っ張られて気づいたらしいイエス。
見下ろした袂からブッダの手を捕まえると、
そのまま、指先同士を握り合うカッコでつないでしまう。

 《 ちょ、それはいけないよ、イエス。》

周りにこうまで人がいるのにと、
大の大人同士で手をつなぐのへ抵抗を見せるブッダだが、

 《 何言ってるの。迷子になっちゃあ楽しめないでしょ?》

ふふーと笑う朗らかさよ。
伝心での会話だというに うううと口ごもるブッダだったものの、
そも、自分だってそうと思って掴まっていたのだと思い直し、
ちょっぴり乾いた、でも暖かいイエスの指先の感触に、
含羞み半分、口許を苦笑でほころばせる。

 “ホント、いつもいつも驚かされてばっかだなァ。”

今日までのアルバイトとその理由にしてもそう。
思いついたそのまま行動してしまう彼に、
事情も何も判らぬまま、
いいように振り回されることが結構多いバカンスで。
でもでも、結果としては楽しいことばかりでもあって。
しょうがないなぁと笑う機会が多いのは、
だがだが、惚れた弱みのせいばかりでもないと思う。
生真面目だったから知らなかったこと、
奔放な彼から一杯教わったし、
まだまだ知らなかった彼のいろんな顔も、
この1年で一杯知ることが出来たし…。

 “熱闘甲子園のテーマ曲で 泣いちゃうような人なのにね。”

可愛いのだか頼もしいんだか、
ああでも、どっちでもいいや 好みだからと、
そこへ帰着するブッダ様なのも たいがいかも知れませんが。(笑)

 「あ、ほら。始まる。」
 「うんvv」

河原の方での準備作業から何かしら届いたものか、
周囲のざわめきが一瞬 潮が引くように静まって。
それから…

  ひゅうっ、という

あの独特の風籟の音が穹へと泳ぎのぼってく。
それへ誘われたように、おおと人々の感嘆の声があちこちから上がって。
そこから後はもう、
宙空に大きくほとばしる光の華や、轟く炸裂音へ、
負けじと上がる歓声や嬌声が ただただあふれる。

 「わあ…。あ、今の綺麗vv」
 「うん。あ、私これ好きだな♪」
 「あ、あ、私もvv」

光が真ん丸く広がる
光の薬玉みたいなオーソドックスなものばかりじゃあなくて、
広がった先で次々に色が変わるもの、
噴水みたいな光の槍が段々になって立ち上がるもの、
金粉のような光がチラキラと瞬いて雨のように降るものもあり。
どの意匠もそれは見事だと、
空を観、互いの顔を見、それからまたまた空を観と、
ともすれば興奮気味に光の饗宴に夢中になった最聖のお二人。
わざわざシートを敷いての場所とりまではしなかった彼らだったが、
それでも十分楽しめて。

 「…♪」
 「? なぁに?」

肩と肩とがくっつくほどというすぐ傍、
これ以上はない至近にいるのに、
時々お互いの浴衣の袂を引いたりするのは。
ぱんぱん、ぱぱら・どんと
乾いた音や重く響くの、花火の轟音で声が届かないんじゃあと思うのと、
それへ負けじという大声を出すまでもないよなこと、
思いついたそのまま、相手へ囁きたくなるからで。
今のって天界にも届きそうだったねとか、
ほら、あそこに竜二さんたちがいるよとか、
他愛ないやりとりに過ぎないそれを幾つか交わすうち、

 「……。/////////」

何度目かに呼ばれた側のイエスが、だが、
そのお顔を空へ戻せなくなったのは、

 “きれいだなぁ…。///////”

薄暗がりの中に、花火の光を受けては浮かび上がる
色白なブッダの横顔から視線が剥がせなくなったから。
次から次へと空に咲く光の蓮華に、
それは無邪気に見ほれる彼であり。
その端正でまろやかな面差しを縁取る稜線にこそ、
イエスは声もなく見ほれてしまう。

 ああそういえば、ブッダの横顔って最近あんまり見てないな。
 だって、すぐにもこっち向いてくれちゃうんだものねvv

虹彩の大きめなその瞳の潤みの中に、
花火の光が星影みたいに映り込む。
深瑠璃色の宝珠に映える花火は、
まるで特別な術で封じ込めたようで、

  なんて綺麗なんだろうね…。///////

昼の蒸し暑さをそのまま染ませた夜気と、
雑踏の醸し出すざわざわした感触にくるまれたまま、
最愛の人の 月より静かで星より燦めく美貌へ見ほれておれば、

 「……。///////」
 「いえす? どうしたの?」

急に黙りこくってしまったお連れに気がついて、
人いきれに酔っちゃった?と、
やや見当違いな心配をしかかるブッダであり。
はっと我に返ったイエス様、

 「あ、違うの。大丈夫だよ♪」

不審に思われてどうするかと、
何とか気を取り直し、
照れ隠し半分、何か言い掛かったのだけれども。
それこそ間がいいんだか悪いんだか、
次の花火が ぱぱんと弾けて、大きな音に一帯が塞がれる。
そのせいで聞こえなかったか、キョトンとしてしまったブッダ様。
でもでも、

 “あ…。//////”

含羞み半分、ふふーと微笑ったイエスのお顔に
今度は彼の側から見ほれてしまい、

 あ・ごめん もう一回言って、と

特に意味のない話を も一度繰り返す罰ゲームになるとも気づかず知らず、
罪なお願い、することとなったのでございます。




     ◇◇◇



西日本や信越での大雨から奇跡みたいに切り離されて、
花火には支障のない晩がそれは平和に過ぎた大川沿いであり。
最後の大物、
連発の大玉と枝垂れ型のナイヤガラを組み合わせたのが
見事に決まったのを〆めに
今年の大川花火大会も無事にお開きとなり。
ほのかに水の匂いもしなくはない川沿いから町のほうへと
人の波に乗っかるように戻って来る。
遠来の皆様や、もう少し夕涼みを楽しみたい人たちは
駅のあるにぎやかな方へ流れてゆくが、
地元の人々は帰途につくべく、住宅街のほうへと吸い込まれてゆき。
イエスとブッダの二人も、
多少は声を押さえつつ、それでも興奮冷めやらぬまま、
あーだこーだとお喋りしいしいアパートまでの夜道を辿り。
ステップで意外と大きな音を立てる下駄なの思い出し、
お互いに顔を見合わせてから、
脱いで手に持つのは昨夜の盆踊りで学習(?)したからで。

 「あー、楽しかったァvv」

これぞニッポンの夏を堪能したぞと、
ワクワクを抱えたまま六畳間へ上がってゆくイエスなのへ、

 「そうだね、綺麗だったねぇ。」

こちら様も重々満足したものか、
ご機嫌な様子で続いたものの。
普段使う食器を伏せてあったところからグラスを2つ取り上げ、
冷蔵庫からクーラーポットを取り出して、
冷やした麦茶をそそぎ分け。
小さめの盆に乗せ、
先に上がってったイエスが
そのそばへと腰を下ろした卓袱台まで運ぶと、
どうぞと勧めるブッダなのが。
もはや当然の所作や習いになっていて、
ありがたいやら…面映ゆいやら。

 “奥さんみたいって言ったら、怒られちゃうかな。/////”

浴衣姿のままだったからだろう、
どこか古風なしきたりを重んじる名家の、
品格あふれる奥様とかお嫁様とか、なんてこと
ちらり思ってしまい。
ややもすると伺うような見方になったからだろう、

 「??」

んん?なんて、本人から小首を傾げられ、
いやいや何でもないないと、
誤魔化しながら美味しい麦茶に口をつける。

  ちりりん、と

どこからか風鈴の音がかすかに聞こえ、
それに誘われて見やった窓の外はすっかりと暗く。
だが、ついさっきまで そこにいたせいだろうか、
しかも結構な騒ぎの中で、興奮状態にあったからか、
何とはなく“まだ寝るのは早いよ”なんて誘うよな、
ざわついた気配がうずくまっているよな気がして。
なけなしの風が吹いたか、
夾竹桃の生け垣がざわざわと音を立て、
どこかの部屋から聞こえていた
バラエティ番組のSEらしい乾いた笑い声を
呆気なくも蹴飛ばしてしまう。

 「…そろそろ着替えよっか。」

ブッダもさすがに“もう寝てしまおう”とは言い出さぬが、
浴衣のままでは窮屈だろと、
自分だって慣れぬ和装の裾を 器用かつ優雅に捌くと、
すっくと立って行って押し入れを開け、
すぐの手前へ用意してあったらしいパジャマ兼用の部屋着の一式、
手に乗せてそのまま戻って来る周到さよ。
着替えるくらい大した動作でもなかったが、
何となく…身のうちにたゆとう気分に
もうちょっと揺れていたいような気がして。
甘え半分、すぐには応じないまま、
む〜んと座ったままでおれば、

 「いえす?」

怠けたい気持ちなんてのが今一つ判らぬか、
疲れちゃった?と そっちへ案じるブッダで。
かかとを立てる格好、
やっぱりお行儀の良い所作にて身を起こし、
砂壁へ凭れていたイエスの様子を覗き込みかかった彼だったが、

 “あ…。///////”

そちらは ややお行儀悪くも、
崩した正座というより、
胡座をかきかけというよな格好でいたイエス。
少しほど背中を丸めかけている姿勢のせいか、
浴衣の衿の合わせも、少々浮いての開きかけており。
どちらかといや線の細い造作だが、
それでも成年男性のそれ、
切れ長の双眸や薄い頬、
口角のはっきりした口許で構成された
何とも男臭いお顔だけでなく。
しっかとした骨格を辿れそうな喉の陰影、
鎖骨の合わせと、そこからやや下まで、
斜めに切れ込む衿元から覗くのが、
ブッダへ妙に色香を感じさせてやまぬ。

 “何だろ何でだろ。///////”

着替えるところも毎日見てるし、
それこそ銭湯で、背中や腰やもっと脱いでるところも見てるのに。
斜めに切れ込むようになって重なる濃色の浴衣の衿元から
ちょこっと覗く肌に
何でこんな、今更ドキドキするのだろうか。

 「ぶっだ?」

何を見とがめたか、不意に動きが止まってしまったブッダなのへ。
イエスの側から声を掛ければ、

 「あ、いやあの…。/////」

何が気まずいものか、視線を泳がせるものだから。
ますますのこと様子がおかしいと身を起こしたのと、
気を取り直したものか、ブッダが顔を上げたのが鉢合わせし。

 「あ・えと。///////」
 「え…。////」

至近で視線が絡まり合って、
焦ったか、わあと上体を引きかけたブッダだが、
妙に慌てたせいだろう、
浴衣のどこかを不用意に踏んずけたようで、
体が斜めに引っ張られ、
そのまま横ざまにパタリと倒れてしまった。
わわわっと、ブッダ自身も驚いたが、

 「わ、大丈夫っ?」

何がどうしたんだかと、驚いたのはイエスも同じ。
今度こそ壁から身を起こし、
倒れ込んだブッダなのへ、
覆いかぶさるようになって覗き込めば、

 「あ、いやえと、どっか引っかけたみたいで。//////」

ヤダなぁ恥ずかしいと、
苦笑を洩らした彼だったものの。

 「……。///////」

今度はイエスの方が、
横になったブッダの身から、
衿やら合わせやら微妙に浮いてしまった浴衣だったのへ
ついつい息を飲んでしまったようで。
透くような肌に落ちる衿元の淡い陰やら、
深めに斜めになった合わせの重なりがずれ、
胸元が微妙に覗くしどけなさに、
そちらはごくごく素直に飲まれたらしく。
踏み付けないよう、肩の上や二の腕の傍へと突いてた手へ
ぐっと力を込めた気配と共に、
懐っこい温みをまとった存在感がゆるりと降りて来て。
あ…と気づいたときにはもう遅く、

 「ん…。///////」

ちょっぴり熱を含んだ唇が、
もっとずっと深々と 愛しい愛しいと告げたいかのよに
こちらの唇を咥え込んでいる。
逃げたければ顔を背けるだけで避けられたような、
そんな程度の束縛だったが、
逃げる理由なんて想いもつかぬブッダであり。
意外に早く離れ掛かったの、
くぅんと甘えるような声を出し、
追うようにして こちらからも腕を伸ばすと、
抱き返すよにして背中に掴まれば。
離れ掛かっていた唇が
やんわりとした笑みを含んで戻って来てくれて。
さっきよりも密に、さっきよりも深く、
重なり合ったそのまま、貪るように喰まれるのが

 “気持ちいい…。///////”

こんな風に思うのは さすがに疚しいのかな。
ああでも、もどかしいよぉと言わんばかりに何度も咥え込まれるのは、
欲しい欲しいとしゃにむに思われているようで。
こんな至福はないのだもの、ときめいたってしょうがない。
柔らかいところ同士が蹂躙し合う、
切なくももどかしい愛咬に酔いしれたか、
ブッダの螺髪が音もなくほどけ、横になった二人の周囲を埋めてしまい。
ああ、火を点けちゃったかなと、
ほのかに赤い頬を見下ろしたイエスが

 「あ。帯、痛くない?」

結び目が畳に押し付けられてないかと、
今になって訊くのが、だがだが、小声であっただけに憎めない。
いかにも大事なことみたく、
案じてくれたのがむしろくすぐったくて、

 「うん、大丈夫。」

ちょうど座布団の上へ背中だけ乗っかっていたので、
上手く段差が出来ていて痛くはない。
ただ、煌々と明かりが点いたままなのが気恥ずかしくて。

 「あの、ね、いえす…。////////」

天井と彼とを見比べれば、
んん?と小首を傾げてから“ああ”と思いついてくれて。
とはいえ、わざわざ離れるのがイヤなのだろ、
立ち上がらぬまま上体をひねると、
少し遠い電灯の紐へと手を伸ばし、
カチリカチリとスイッチを操作する。
この程度のずぼらは まあいっかと、
ブッダも眉をひそめるでなし。
明かりが消された暗さへ安堵し、
少しほど のしかかって来たイエスの重みを感じて、
ほうと甘い吐息をついてる現金さよ。
結構しっかりした生地でも 浴衣のそれでは高が知れていて、
こうまでぎゅうと密着していれば、
互いの肌の温みも、
ほぼ直に触れているのと同然なほどに
なまめかしく感じられ。
すぐ間近のイエスの胸元へと頬を寄せ、
頬にすぐにも触れるよに届く、
雄々しい骨の立った感触を頼もしいと陶然と感じ入っておれば、

 「…あ。」

頭上からそんな声がして、
イエスの手が片方、するりと降りてくる。
横になってごそごそしたせいだろう、
身じろぎに引っ張られたか、
お互いの浴衣の合わせが ややはだけており。
だがまあ それはしょうがないこと、
気にしなくても良いんだよと、声を掛けようとしかかったブッダが、

 「……あ、あ、ひあ。/////////」

するすると襲い来た生々しい感触に、たちまち総身を震わせる。
イエスが気にしたのは 膝回りのはだけっぷりだったようで、
まずはとブッダの浴衣を引っ張り掛かり、
その手のごつりとした甲が、するりと触れたのが
浴衣越しではない格好の、釈迦牟尼様の腿辺り。
何の気なしに触れただけなのは判っているが、
それが一瞬、止まったそのまま、

 「………。」

今度は明らかに意図的に、
しかも手の平の側で触れて来られたものだから。
熱をおびたその触感には さしもの如来様もギョッとしてしまい、

 「い、いえすっ?」

何なに、どうしたのと、
少しばかり上にずれていた伴侶様のお顔を
薄暗がりの中で見上げれば、

 「…やわらかい。」
 「う…。///////」

あまりに意外な感触だったのか、
そして だから、わざわざ確かめた彼だったらしく。
意識してもなかったせいで、やや薄く開いていた内股を
彼の手でスルリと撫でられ、
その熱と感触へ、ひゃあと思わず肩をすくめてしまう。

 「あ、ご・ごめん。くすぐったいよね、こんなトコ。」

ひくりと撥ねるように震えた瞬間的な反応は、
さすがにイエスへも伝わったようで。
ただ、

 「…あ。////////」

妙なトーンの声を出し、
ブッダをそのままきゅうと抱きしめる彼でもあって。
何にか気がついたような、
それでいて…なのに迷子になったような戸惑いの声であり。

 「イエス? どうしたの?」

 「えと…ううん、何でもない。////////」

はうという、それはそれは甘いお声を聞いて、
しかも切なくも身をよじったブッダだったのへ、

  何だろ 今の

胸…というより、お腹の辺り。
ぎゅうと締めつけられたような、
それでいて じゅんと何かが滲み出して来たような。

 熱くて痛くて、甘くて…悦くて。
 でも、何だかいけない感覚な気のする、
 何かに襲われた気がした……けれど。

ダメダメ、ダメなんだからと、
心のうちにてかぶりを振る。

 “………。/////////”

今でもブッダには
くすぐったいのをいっぱい我慢させているんだのに。
こんなややこしい感覚を訊いてはダメ。
自分さえよければって、もっと我慢を抱えちゃうんじゃあ、と。
総身を駆け巡りかかった不思議な熱を、
ぐうと何とか我慢するイエスであり。

 いつだってブッダのこと、
 泣かせたり苦しめたりしてばっかりな私だから。
 何の不安も感じぬよう、安心し切っていられるよう、
 頑張らなくっちゃいけないんだから。

 月みたいに星みたいに、
 キミが安らかな眠りを見せてくれるような、
 そんな頼もしい存在にならなくちゃ……




    〜Fine〜  14.08.02.〜 08,17.


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  *ありゃ?


    (おいっ)

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