言 葉









〜 バックパッカーのアジア派とアメリカ派 〜


アメリカにはスペイン語を公用語とする国がたくさんある。
そこでは英語や日本語が通じることはめったにない。
しかしカタコトでもスペイン語が話せれば
行動範囲がずいぶんと広げられる。


そのためスペイン語圏のアメリカでは
ある程度スペイン語を話せる旅行者が多い。

特にホンジュラス以南の中米で出会ったバックパッカーに
私よりスペイン語が話せない人はいなかった。
(スペイン語がカタコトなのは私くらいなものだった。)


一方、東南アジアを旅行する人たちの場合、
旅行中にたくさんの旅行者に会ったが
現地語を勉強してきてる人は
ラテンアメリカに比べればずっと少ないように思えた。
(特に欧州人旅行者にこのことが言えた。)


おそらく東南アジアは
英語を話せる地元の人が比較的多いことと、
国によって言葉が異なるので
その都度その国々全ての言葉を覚えていたら
かなりの労力が要るだろうから、
英語で通そうとするのは当然かもしれない。



それにしても東南アジアの人って
ラテンアメリカ人に比べて、英語を気嫌いせず、
言葉に寛容であると思う。






                     



〜 フィリピンのスペイン語 〜


『英語』に関して、フィリピン(私の訪れたところはビコール地方)ではかなり通じた。 

聞いた話では、ある程度の学年以上の
学校の授業は英語によるものだそうだ。


ところで、旅行先としてフィリピンを選んだ理由としては、
フィリピンは米西戦争以前はスペイン領だったため
多少スペイン語が話されていそうなイメージがあり
大好きなラテンアメリカの感覚で旅ができると思ったからであった。
(繰り返して言うが、私はスペイン語はカタコトしか話せない。)

しかしガイドブックによると、
スペイン語が話されているのは
ミンダナオ島とのことだった。

残念ながらミンダナオ島はテロ活動が盛んで
一部のリゾート地を除きなかなか旅行者の
訪れにくいところらしいのである。
そのためミンダナオ島をあきらめた。




私の訪問地・ビコール地方は
ルソン島の南東部であった。


仲良くなったホテルのスタッフ数名に気になっていたこと
〜スペイン語は話せるのか?〜
を尋ねてみたところ、話せると答えた人はいなかった。



しかし、スペイン語は全く役立たないわけでもなかった。



ものを買うとき英語で金額を尋ねたところ
なぜかスペイン語で数字を言われたことがあった。

また、その地方の言語に
ときどきスペイン語のボキャブラリーが
借用されていた。



たとえば、ハロハロ(カキ氷)屋へ
行ったときのことであった。


メニューはアルファベットで書かれているものの
英語で書かれているわけではなかった。

そのときメニューの中に
「MAIS CON YELO」というものがあった。

スペイン語に置き換えて考えると
「MAIS CON HIELO (= Corn With Ice)」
であることが容易に想像できた。
(ちなみに「HIELO」の「H」は発音されない。)

それを注文してみると
コーン入りのハロハロ(カキ氷)が出てきて、
殆ど想像した通りのものだった。





とはいうものの、ビコール地方を訪れるとき、
スペイン語だけで通すのはまず無理であろうと感じた。


ただ、スペイン語を知っていれば
たまに役立つこともある。





                     



〜 言葉いろいろ 〜



 ドイツ語は口論するための言葉
 英語は商売をするための言葉
 フランス語は愛を語るための言葉
 スペイン語は神と話をするための言葉



そんなことをよく耳にする。




フランス語は愛を語るための言葉

なぜそのように言われるのだろう?
もしかしてフランス人って普段から愛ばかり語っているのか?
私の全く勝手なイメージでは、
どちらかと言えばイタリア系やスペイン系の方が
(大げさに且つ恥ずかしげもなく)たくさん愛を語るように思えるが...。

或いは、音の響きからそのように言われているのか?
フランス語には「M」「N」「R」などの独特の発音がある。
それがいいかどうかは聞く人によって様々であろう。
(私にはちょっと...。)
別にどうでもいいけど。



ドイツ語は口論するための言葉

そういわれると、根拠もなく「そういうものなのかな」と思えてくるが、
口論しているドイツ人を目の前で見たことないので実際のところ何ともいえない。
旅行中、多くのドイツ人に会ったが誰も口論を挑んでこなかった。
(仮にドイツ語で口論挑まれても、もちろんドイツ語なんてわからない。)
私と出会ったドイツ人はみな温和な人たちで良かった。
出会うたび口論を挑まれては恐ろしくて近寄れない。



スペイン語は神と話をするための言葉

これも、神と話をしている人を見たことないので、
本当にそうなのかわからない。



英語は商売をするための言葉

確かに非英語圏の国同士でも英語で取引されることが多い。
世界の経済を握ってる大国の公用語だから仕方ないかもしれない。

しかし曖昧な言葉が多く、本当に英語がビジネスに向いてるのかどうか疑問...。
(英語ができる人に対する僻みもあります...。)







それならば
日本語って、外国人にどんなイメージをもたれているんだろう?

いままで何度も気になったことがある。


キューバでコントショーを見たことがあった。
キューバ人のコメディアンが外国語のマネをするものだった。

フランス語っぽいしゃべり方をしてフランス人の真似をしたり、
ドイツ語っぽいしゃべり方をしてドイツ人の真似をしたり。
(私はフランス語もドイツ語も知らないが、はっきり言ってあまり上手いとは
思えなかった。)

中国語のときは「ch」の発音の繰り返しだけだった。
「チン チュン チャン...」

 − 相変わらずそれかぁ −



中国語の次は日本語の番だった。

 − おっ 日本語もやってくれるのかぁ! ー

興味津々だった。

いよいよ始まった・・・。


「ハーッ ハーッ ハーッ」


 − ......。 


空手の真似をしてその掛け声として 「ハーッ」を繰り返すだけだった。


 − 『ハーッ』だけかよ −


 − それ、日本語の真似じゃなくて空手の真似じゃないか −

しかも他の言葉の真似と違い、真似する時間がかなり短かった。

日本語は本当に「オマケ」的なものにだった。


日本語の真似が「ハーッ ハーッ ハーッ」だけなんて
馬鹿にされたようにも感じた。

これではまるで、
日本語は空手をするための言葉
ではないか。

もちろん「空手」は日本が誇る素晴らしいスポーツだと思う。
でも、せっかく日本語の真似をしてくれるのだったら、
カラダを使わず、音感で表現して欲しかった。



結局、外国人の耳に日本語ってどうイメージされるのか
わからないままになった。

わかったことは、キューバ人にとって日本語なんか殆ど興味がないということ。




                                   − 「言葉」 終わり −






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