京都大学任期制再任拒否事件控訴審、大阪高裁不当判決 請求を棄却 井上教授は即日上告(2005.12.29)

 

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2005年12月29日

京都大学任期制再任拒否事件控訴審、大阪高裁不当判決 請求を棄却 井上教授は即日上告

下記の記事は,12月28日午後3時ごろ掲載しましたが,トップニュースとしての価値を保持するため,再度日付を変えて掲載します。(ホームページ管理人)

 大学教員の任期制法は,大学の活性化を促すようなものではなく,権力の濫用と学問の自由の抹殺をもたらす悪法であることは,京都大学再生研の井上事件が証明するものであった。大阪高裁は,12月28日,井上教授の訴えを棄却するという不当な判決を出した。朝日新聞によれば,判決は「再任の審査を同研究所の自主的な判断に委ねることは、大学の自治を尊重する憲法の趣旨に合致すると指摘」したという。「協議員会の判断が外部評価委員会の報告に拘束されると解するなら、かえって大学の自治を損なうことになる」と判断したとされる。
 そもそも大学の自治は,学問の自由を担保するための制度的保障である。学問の自由の抑圧を本質とする本件事案を「大学の自治」の名によって合法と判断されてはたまらない。井上教授の即日上告は当然である。
 是非,判決文全文の公開を望みたい。

元京大教授が2審も敗訴 再任拒否めぐる訴訟

共同通信(12/28)

 教員の任期制を導入した京都大再生医科学研究所(京都市左京区)の井上一知元教授(60)が不当に再任を拒否されたとして、京大学長に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は28日、元教授の控訴を棄却した。
 任期切れの大学教員を再任しなかったことが、取り消し訴訟の対象となる行政処分に当たるかどうかが焦点だったが、武田和博裁判長は「学長は任期満了による退職を通知しただけで、再任拒否という行政処分があったとは言えない」と判断した。
 元教授は上告する方針。

井上氏の控訴棄却 京大任期制教授訴訟

朝日新聞(12/28)

 京都大再生医科学研究所(京都市)で「任期制教授」を務めた井上一知氏(60)が、再任を拒否した大学側の決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が28日、大阪高裁であった。武田和博裁判長は「原告の退職は任期満了によるもので再任拒否の処分があったとはいえず、その取り消しを求めることはできない」として請求を退けた一審の京都地裁判決を支持し、井上氏側の控訴を棄却した。井上氏側は上告する方針。

 判決によると、井上氏は98年5月、5年間の任期で同研究所の教授に就任。学外の専門家で構成する外部評価委員会は02年9月、井上氏の業績を審査して「再任可」と判断した。同研究所の協議員会が同年12月の無記名投票で「再任不可」の結論を出したため、大学側は井上氏の再任を認めない決定をした。

 判決は、再任の審査を同研究所の自主的な判断に委ねることは、大学の自治を尊重する憲法の趣旨に合致すると指摘。「協議員会の判断が外部評価委員会の報告に拘束されると解するなら、かえって大学の自治を損なうことになる」と判断した。

 判決後、同研究所の中辻憲夫所長は「主張が認められ満足している」とのコメントを出した。

     ◇

 井上氏は教授の任期が満了した03年4月以降、京都市左京区にある同研究所の教官室にとどまっている。

 同研究所は「口頭や文書の送付により立ち退きを求めてきたが、実現していない」と説明している。

 ■大学教員の任期制 97年施行の「大学の教員等の任期に関する法律」で導入された。教員の交流を促進して各大学の教育・研究活動を活発にするのが目的。(1)先端的・学際的な研究などで多様な人材が求められる組織の教員(2)研究活動を主な目的とする助手(3)期間の限られた特定の研究プロジェクトに携わる教員――が対象になる。任期や再任審査の方法などは各大学の裁量に委ねられている。文部科学省によると、98年に99人だった任期制教員は、03年10月時点で約8350人に増えている。

京大元教授の再任拒否を支持・大阪高裁判決

日経

 任期制で京都大学再生医科学研究所教授に採用され、任期満了後の再任を拒否された井上一知さん(60)が、京大に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が28日、大阪高裁であり、武田和博裁判長は請求を却下した一審判決を支持、井上さん側の控訴を棄却した。

 再任拒否が行政訴訟の対象となる「処分」にあたるかが争点だったが、武田裁判長は「任期法は任期満了時に退職することを前提としており、再任拒否は処分とは認められない」と判示した。井上さんは上告する方針。

 判決によると、井上さんは1998年5月、同大医学部助教授から5年間の任期で同研究所の教授に就任。任期が切れる前年の2002年12月、大学側は再任を認めなかった。

 井上さんは「研究所長の個人的感情により、恣意(しい)的に再任を拒否された」と提訴したが、一審・京都地裁は昨年3月、請求を却下した。 (13:40)

元京大教授が2審も敗訴 再任拒否めぐる訴訟(京都新聞2/28)
◎元京大教授が2審も敗訴(福島民友新聞2/28)
元教授が2審も敗訴 京大の任期制めぐる訴訟(熊本日日新聞 2/28)
元教授が2審も敗訴 京大の任期制めぐる訴訟(中国新聞 2/28)
京大の任期制めぐり判決 元教授の再任拒否訴訟(中国新聞 2/28)
京大の任期制めぐり判決  元教授の再任拒否訴訟(岩手日報2/28)
京大の任期制めぐり判決 元教授の再任拒否訴訟(神戸新聞 2/28)
京大の任期制めぐり判決 元教授の再任拒否訴訟(大分合同新聞 2/28)

投稿者 管理者 : 20051229 15:31