バカは、年が変わってもやっぱりバカだ 五十嵐仁の転成仁語(2006.1.5)

 

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バカは、年が変わってもやっぱりバカだ

バカは、年が変わってもやっぱりバカだ。日本を代表する総理大臣に、このような言葉を投げかけるのは不本意ですが、それでもやっぱりこう言いたくなります。
 小泉総理大臣の年頭会見での発言です。小泉さんは、この会見で次のように言いました。

 一国の首相が、一政治家として一国民として戦没者に感謝と敬意を捧(ささ)げる。精神の自由、心の問題について、政治が関与することを嫌う言論人、知識人が批判することは理解できない。まして外国政府が介入して、外交問題にしようとする姿勢も理解できない。

 「一国の首相」は、「一政治家」でもなければ、「一国民」でもありません。このようなセリフは、首相を辞めて「一政治家」や「一国民」に戻ってから言ってもらいたいものです。「一政治家として一国民として戦没者に感謝と敬意を捧(ささ)げ」たいのであれば、とっとと首相を辞めなさい。
 首相として国家を代表する立場にある者と、それ以外の者との違いが分からないのでしょうか。小泉さんが本当に「理解」できていないのは、首相としての立場や責任だといわざるを得ません。

 しかも、靖国神社への参拝は「精神の自由、心の問題」ではありません。A級戦犯を合祀し、侵略戦争を正当化するかのような宗教施設に参拝することは、即、政治・外交問題に発展します。そのことを「理解」しているがために、「言論人、知識人が批判」しているのです。
 現に、首相の靖国参拝が原因となって、周辺諸国との関係が悪化しているではありませんか。これは、「心の問題」ではなく、「政治の問題」だからです。

 小泉首相の発言は、相手の足を踏み続けながら握手を拒まれ、「外国政府が介入して、外交問題にしようとする姿勢も理解できない」と言っているようなものです。実際には、「足を踏む」以上の痛みを、韓国や中国などの人々に与え続けているでしょうけれど……。
 いずれにせよ、まず、足を踏むのを止めなさい。そうすれば、容易に握手することができ、「外交問題」も解決できるでしょう。
 こんな簡単なことも「理解できない」とは、情けない限りです。小泉首相は、「情のなさ」だけではなく、「理解力のなさ」をも売り物にする珍しい政治家だといわなければなりません。

 先日の新年会で、「五十嵐さんの書くものは長すぎる」と苦言を呈されました。今年は、できるだけ短く書くように務めようと思います。
 ただ、長ければ読むに大変で、短かければ意を尽くさず、舌足らずになります。「できるだけ短く」とはいっても、実際にそうするのはなかなか大変です。

 なお、最近書いた論稿の一つとして、「自公連立は公明党をどこに導いてきたか−立党の原点と連立の現点との乖離」(『飛礫』第49号、2006年冬)をアップしました。ご笑覧いただければ幸です。