まず、自己紹介しておきますね。
わたし、高木かおり。
K女子大の三回生です。ふるさとはT県。
父は、そんなに大きくない(けど、小っちゃくもない)会社を経営しています。よく有る話のように、わたしが大学を卒業した後、取引先の長男と結婚させたがっているようです。だから、大学生の間だけでも一人暮らしをしてみたい、ってわがまま言って、こちらへ出て来ているんです。3DKのマンションを借りてもらって、一応、優雅な一人暮らしを楽しんでいます。
自分で言うのもナンだけど、まァ美人だと思います。近くのE大学との合同コンパにも時々参加するけど、適当にもててます。
だけど、男の人とのおつきあいって、そんなに好きでもないんです。イヤでもないんだけど、中学から女子ばっかりの私立校に通っていたせいか、なんとなく、ネ。だから、大学を卒業してすぐに結婚させようとしている父の考えを、なんとか変えさせようとは思うんだけど、難しいだろうなぁ。
とはいっても、バリバリのキャリアウーマンっていうのにも、興味ないんです。わたしの性格って、そんなにしっかりしてる方じゃないしねぇ。
子供は好きなんですよ。
幼稚園の先生か、保育園の保母さんになりたいなって思ったこともあるんですけど、今から幼児教育の単位を取る元気もないし。
こんなふうに、目標も無く大学生活を送っていたわたしですが、ちょっと面白いことになってきたんです。
なんと。赤ちゃんができちゃったんです。結婚どころか、まだ、卒業さえしていないこのわたしに。
しかも。この赤ちゃん、普通の赤ちゃんじゃないんです。どういうふうに普通じゃないかって? 教えたげるね。すっごく大きいの。
身長一六〇 。体重四八 。
すごいでしょ。
それだけじゃないの。年齢がすごいんだから。なんと、十八歳なの。
十八歳の赤ちゃん。どうしてこういうことになったか知りたい人は、このあとのわたしの日記を読んでみて下さい。
*
【三月一〇日】
今年の春休みは、いなかに帰らずにこちらで過ごすことにした。なんていっても、こちらの方が都会だし、いろいろと面白いんだもん。
T通りの喫茶店で、昼食を兼ねた遅い朝食をとっている時。背中の方から小さな声が聞こえた。
「違っていたらすみません。高木さんじゃ、ありませんか?」
振り返った時、その声の主と目があった。誰だっけ?と考えてたのは、そんなに長い時間じゃなかった。
「神谷さん?」そう言いながら、彼女のことを思い出していた。
神谷早苗。
わたしの二年後輩で、中学・高校を通じて同じテニス部だった。愛くるしい顔と素直な性格で、誰からも好かれていた。特にわたしとは気が合い、いつでも一緒にいたように思う。そのせいか、妙な噂話をたてられて二人して迷惑していたこともあったくらい。
わたしがこちらへ来て一年間くらいは手紙のやり取りもあったけど、お互いの忙しさにかまけて、いつのまにか、その文通も絶えていた。
彼女がどうしてここに?
「K女子大の英文科に入ったんです。」わたしの表情に出ていたのかもしれない疑問に答えるように、彼女は言った。「高木先輩のまたまた後輩になっちゃった。」
自分のティカップと伝票を持って、わたしのテーブルへ移ってきた彼女は、ホントお久しぶりです、と挨拶して話を続けた。
彼女の母親は、彼女が中学二年生の夏に亡くなったらしい。その後は、おばあちゃんがいろいろと面倒をみてくれた、という。(思い出しても、わたしが知っている彼女からはそんな雰囲気は感じられなかった。周りの人に気を使わせたくなかったんだろうけど、よく頑張ってたんだね。)
ところが。彼女が高校二年になった春、父親が再婚した。新しい母親は実にしっかりした、いわゆる良妻賢母で、彼女への気配りもかなりのものだった。それでも、実の母親の面影を忘れられない彼女は、新しい母親に溶け込もうとはしなかった。新しい母親が優しく接して来れば来るほど、彼女にはプレッシャーに思えた、という。
そんなこんなで家を出たい、という想いが彼女の中に芽生え、育っていった。大学受験をチャンスに独立しよう、と思いついたのは二年生の秋だった。
そして三年生。実家近くの短大を受験する傍ら、両親に内緒でK女子大を受験した。K女子大に合格した彼女は(地元の短大は、もともと入学する気も無かったので、入試の時にわざと力を出さずにスベったそうだ)、両親の説得にかかった。最初は猛烈に反対していた父親も、母親と彼女の不仲を察して、とうとう諦めたらしい。
「どうせ諦めるなら、もっと早くに諦めてくれればよかったんですけどねぇ。」彼女は小さくホッペを膨らませて言った。父親の説得に時間をとられたせいで、下宿を見つけにこちらへ出てきたのが、やっと昨日のことだそうだ。適当な物件はとっくに無くなっているらしい。なんとか希望通りの部屋を見つけても、とても払える家賃じゃないし。「無理矢理でてきたようなものだから、授業料以外は親に頼れないんですよね。だから、なんとか安い部屋を捜さなきゃなんないんです。」
不動産屋を何軒かまわった後で、休憩に入ったこの喫茶店でわたしを見かけたらしい。
その場で、わたしは言った。「なぁんだ、そんなこと。わたしのマンションに来ればいいのよ。適当な部屋がみつかるまで居ればいいし、あなたが気に入れば、ずっとでもいいわよ。」
でも、と遠慮する彼女に、マンションの住所と電話番号を書いたメモを渡した。「どうせ、”エス”とまで噂されたあなたとわたしよ。うまくやっていけるわよ。」
思い出したように彼女は微笑んで、「じゃ、お世話になります。」と答えた。
その後、彼女をマンションに案内して、荷物を送ってくる日取りなんかを相談した。
【三月一七日】
「おはようございます。」
耳許で大声がした。神谷早苗の声だった。今日、彼女の荷物が送られてくる。それに備えて、彼女が昨日からここに泊まりこんでいたっけ。
「朝早くからなによぅ?」一応お嬢様のわたしは朝が弱い。ほんの少しだけど剣を含んだ声を出してしまった。そんなこと、ちっとも気にかけないような明るい声で彼女が答えた。「ごはんができました。さしでがましいようですけど、作っちゃいました。」
継母とうまくいってない子は、さすがにこういう事に慣れてるんだろうか? 感心しちゃうわぁ。
彼女のおかげで珍しくまともな朝食をとったわたしは、朝から機嫌が良かった。
だから、引越しセンターのトラックが渋滞に巻き込まれて到着がお昼を過ぎても、たいして気にもならなかった。そして、荷物が全て運びこまれた時には夕方になっていた。
彼女は、最初からもう一泊するつもりでいたし、どうせ春休みだもの、ゆっくりしましょ、ということになった。お腹もすいたし、食事に出ようか?とも思ったけど、久しぶりの肉体労働がかなりこたえていた。とりあえず、シャワーを浴びて冷蔵庫の缶ビールを飲んでいると、知らないうちにウトウトしてしまう。彼女も同じみたい。
どちらからともなく声をかけた。
「とにかく、寝ましょうか?」
【三月一八日】
「おはようございます。」
耳許で小さな声がした。
「もう、ごはんできたの?」わたしは尋ねた。昨日よりも早い時刻じゃないかしら。
「いえ。あのぉ、違うんです。あのぉ…」彼女の声がいやに聞き取りにくい。なにかモジモジしている。わたしの頭が少しばかり動き始めた。
「どうしたのよ、いったい?」わたしは細く目を開けて彼女を見た。昨夜、久しぶりの肉体労働とビールで急に眠くなってしまい、自分のベッドに入ったのを思い出した。彼女もなんとか片付きかけた自分の部屋で布団に潜りこんだハズだ。あの時は確か、青い水玉模様のパジャマを着ていたと思うのだけど、今はピンクの格子柄のようだ。
「笑いません? 怒りません? 約束して下さい。そうしたら、話しますから。」うつむいたまま、消え入りそうな声で彼女は話している。心の中でひらめくものが有った。けど、まさか、ね。こうしていても埒があかない、と思ったわたしはカマをかけてみた。「間違ってたらゴメンね。ひょっとして、オネ…」
「そうです。ごめんなさい。」わたしの言葉を遮るように、まっ赤な顔を上げて彼女が言った。「疲れてたところに、飲み慣れないビールを飲んだせいか、あのぉ、ぐっすり眠ってしまって。気がついたらパジャマも布団もグッショリで…」両手の人差指どうしを絡ませて、も一度顔を伏せた。
「笑ったりしてごめんね。でも大丈夫よ。初めての場所で緊張したんでしょう。とにかく、濡れた物を洗っちゃいましょう。平気、平気。ここの洗濯機は毛布も丸洗いできるほど大きなヤツだから。」その仕種の可愛らしさに、おもわずクスクス笑いながら彼女に声をかけた。
彼女は、自分でします、と言い張った。それをなだめて洗濯を手伝いながら、ひとつのアイディアを思いついた。それは、なかなか魅力的なものに思えた。
洗濯をしている間も、トーストと紅茶の軽い朝食をとっている間も、荷物を整理している間も、彼女はほとんど無口だった。無理もないけどね。
お昼過ぎに荷物の整理が終わった。
「それじゃ、ひとまず、実家へ帰ってきます。」洗濯物を乾燥機を使って乾かした後、彼女が言った。とりあえず荷物を片付けた後は、いなかの家へ帰り、四月に入ってから本格的にこちらへ来る、というのが元々の予定だった。も少しゆっくりすれば、と言いかけて慌てて言葉を切った。朝のちょっとした事件のほとぼりを冷ますには、ちょうど良いタイミングだ。
「じゃ、なるべく早くこちらへ戻ってきてちょうだい。いろいろ街中も案内してあげたいから。」そう言って、彼女を送りだした。
【三月一九日】
このマンションの間取りは3DK。洋間ばかり。その内の一室をわたし、一室を神谷早苗が専用の部屋として使い、残りの一室はちょっとした物置を兼ねて共用の部屋にする。プライバシーを侵害しないように、専用の部屋の鍵は、各人が保管することにした。
とはいっても、元々がわたしのマンションだもの。彼女の部屋の合鍵は、ちゃんと持っている(内緒だよ)。
さて。
今日から買物で忙しいぞ。
まず、大手の家具屋に足を運ぶ。
ピンクを基調にした色合いのベビー箪笥を一つ注文することにした。それと、藤でできた小物入れ。
その後で、欲しいものの在庫が有るかどうかを尋ねてみたけど、無い、という返事が返ってくる。そうだろうなぁ。わたしが家具屋でも、こんなの、まず在庫は置かない。
そこで特注で作ってもらうことになった。
店員さんもこんな注文は初めてらしく、何に使うのかを聞きたがっていた。そうだろうなぁ。大人サイズのベビーベッドなんて、初耳だろう。
「病気のかたの看護用じゃないんですか? それでしたら工場に標準の図面も御座いますので、製作日数も短くすみますが?」店員は念を押してきた。わたしはもう一度、注文の内容を繰り返した。「違うんです。ベビーベッドをそのまま大人用のサイズに大きくしたものが欲しいんです。それも、なるべく可愛らしいデザインで。――用途ですか? そうですね、お芝居にでも使うと思って下さい。」
店員はまだ何か言いたそうだったけど、わたしがバッグから取り出したアメックスのゴールドカード(前にも言ったでしょ。一応、わたしはお嬢様だよ、って)を見ると、その口を閉じた。
品物ができあがったらお電話お願いしますね、と確認してその店を出た。
次に行ったのは、Mデパートのベビー用品売場。
エスカレーターから降りると、様々な色の可愛いいデザインの子供服が目に入った。どれにしようか迷っちゃいそうだったので、服類は後回しにすることにした。
小物から揃えちゃうことにしよう。小物を並べた棚を見て歩きながら、必要な物を買物カゴに入れていく。
おしゃぶりに哺乳瓶。あ、そうそう、哺乳瓶を洗う道具も要るんだっけ。離乳食はどうしょう? ま、保存のききそうなのを適当に、と。赤ちゃん用の食器セットも飾ってある。それも買っておきましょう。ベビーパウダーとパフ、綿棒に幼児用体温計。
手当たり次第にカゴの中に放り込みながら歩いていくうちに、オシメ用の布地が目についた。肝腎なものを忘れるところだった。だけど、お裁縫の苦手なわたしとしては、布地を買って縫いあげるなんてことは無理だろうなぁ、と考えてしまう。
赤ちゃん用の出来上がりオシメも売ってるけど、どうだろう? サイズが無理かな? いいや。出来合いのを一組買って帰って、わたしが試してみればいいんだ。それで無理だったら、頑張って自分で縫っちゃおう。
気がつくと買物カゴが一杯になっていた。へぇー、こんなに物が要るのかぁ、て少し意外な気がした。仕方ない、服とかの嵩張るものはこの次にしよう。
代金を払ってからトイレに入った。
洗面台の横に置いてあるベビーベッドの上で女の子がオシメを替えてもらっている最中だった。もうすぐ、わたしにも赤ちゃんができるのよ、と心の中で呟くと、とても優しい気分になっていた。わたしがニコニコした顔を女の子の方に向けて、小さくウィンクしてみせながら手を振ると、その子も笑顔を返してくれた。
大きなショッピングバッグを手に提げてデパートから帰ってきたのは、夕方だった。
荷物を部屋に置いてから気がついた。本屋さんに寄ればよかったのよ。育児書を買っておけば、どういうものが要るのか買いてあるハズだもの。こんなことに気がつかないなんて、と思いながらドアを開けた。もちろん、本屋さんへ行くために。
買ってきた育児書に買いてあるリストと、わたしが買ってきたものとをチェックするのに小一時間かかった。足りないものをメモしてから、その育児書を読むことにした。
【三月二〇日】
朝、目を覚ましたわたしは、思わず顔を赤らめていた。ネグリジェの下に、下着を着けていないことに気がついたから。
もともと、眠る時にはブラは着けないからそれは、まぁいい。問題は下の方。スキャンティを着けていない。どうしたんだろう? 頭がまだ眠っていて、よくわからないままに昨夜のことを思い出そうとすると、お尻の下に何かが有ることに気付いた。知らないうちに脱げてしまったスキャンティかな、と思いながらその布を手に取ってみる。
スキャンティよりも厚い布でできたそれには、リスの絵がかかれていた。下着らしい型ではない。輪になった長い布。それがオシメだということに気付いたのは、ほんの少し時間が経ってから。
それと同時に、昨夜のことを思いだした。
昨夜、育児書を読んでいたわたしは、布オシメの材質やサイズを説明しているページを見つけた。それがきっかけで、買ってきたオシメのサイズを確かめなくっちゃいけないことを思い出した。
袋から取り出した布オシメをベッドに広げてみた。ネグリジェに着替えたわたしは、スキャンティを脱いで、そのオシメの上にお尻をおいた。柔らかな布地の感触と、自分の今の姿とに頬が赤らみ、心臓の鼓動が大きくなっていることがわかった。
二枚じゃ無理ね、こうしたらどうかな、と最初のうちは赤ちゃん用のオシメを大人にあてる方法を考えてはいたものの、いつのまにか、その布地の魅力に取り憑かれていった。
知らないうちに、わたしは指を使い、声を喘がせていた。これまでしてきたオナニーのなかでも、これは最高のものに思えた。身体はどうしても止まらず、また、止めようとも思わなくなっていた。
そのまま果てて、眠ってしまったようだ。
とりあえず、出来合いのオシメでもサイズに無理がないことは確認できた。今日はデパートの休館日だし、もう一度、育児書を丹念に読むことにしよう。なんといっても、わたしにとって初めての赤ちゃんがもうすぐやってくるんだもの、ちゃんと育ててあげなきゃね。
【三月二一日】
Mデパート・ベビー用品売場。
メモを見ながら、不足している品物を買い足した。これは簡単に済んでしまう。
問題は、ベビー服よね。
オシメは赤ちゃん用のでもなんとかなりそうだけど、これは無理でしょ、とか呟きながら、ベビー服を見てまわることにした。
レースのフリルがいっぱいついたブラウスや、ロンパース、アップリケ付きのブルマーなんて、どれを見てても思わず欲しくなっちゃう。
どうしょうかなぁ、なんて言いながら手にとって見ていると、 NNという、見覚えのあるメーカーの札が目についた。
確か、G県の方へ旅行に行ったときだったかな。バスなんか一時間に一本も通らないような、田圃ばっかりの静かな場所に、一軒の縫製工場が建っている景色を思いだした。
市内のホテルに荷物を置いたまま、ちょっと離れた田舎の方へハイキングに出かけていた時のことだっけ。何かに引っかけたのかして、ジーンズのお尻の所が破けちゃったんだ。裁縫道具は迂闊にもホテルに置いてきちゃってるし(いくら苦手でも、一応は持ってるんだよ)、どうしようかな、なんて思っていたんだ。そこへ通りかかったのが、一台の営業車だった。なんとなく困ってるんだな、ということがわかったのか、わたしの近くに駐まった。
「どうかしましたか?」車の窓から顔を出して、その女性が声をかけてきてくれた。三〇歳くらいだろうか、その優しげな声を聞いてホッとしたわたしは、事情を説明した。
「ごめんね。私も、今は道具を持ってないのよ。でも、会社には置いてあるし、これから会社へ戻るところだから、あなたさえ良ければ乗っていく?」すみません、喜んで、と言って連れて行ってもらったのが、 NNというベビー服メーカーだった。そこでジーンズの応急手当を終えて、わざわざ近くの駅まで送ってもらった。
別れるときに貰ったその女性の名刺には、[営業主任]の肩書があった。
急いでマンションに帰ってきたわたしは、その名刺を捜しだして、早速電話をかけた。幸いその女性は社内に居て、わたしのことをすぐに思い出してくれた。
「ちょっとしたお芝居に使いたいんですけど、大人が着られるサイズのベビー服を、そちらで作っていただけませんでしょうか?」挨拶もそこそこに、本題に入った。家具屋さんで使った理由をここでも使うことにした。
「それはできるけど。どんなデザインの服をどのくらいの数、作るのかしら? それに、予算の都合も有るだろうし。良ければ、直接会えないかしら?」彼女が答えた。
【三月二二日】
お昼前、わたしは NNの商談室にいた。
昨日の今日で、ちょっと急ぎすぎたかな、とも思ったけど仕方がない。今から発注しても今月中に仕上がるかどうかだと思うもの。わたしの目の前には、ここの営業次長(新しい名刺を貰ってビックリしちゃった。前に会ったときは主任だったものね)・田宮佳子さんの顔が有る。
適当な挨拶の後、商品サンプルを机の上に並べて、本題に移っていった。
「どう、良さそうなデザインのものが有るかしら?」田宮さんが机の上を眺めながら尋ねてきた。「適当にピックアップしてもらってから、詳しいお話を伺いたいんだけど。」
「そうね…。これと、これ。それから、そちらの…そうそう、その淡いブルーの。それに、このピンクの、くらいかな?」わたしは何着かを選びながら、胸がドキドキするのを感じていた。お芝居に、なんて理由を付けてはみたものの、いざ、こうして話をまとめていこうとすると、わたしの本当の目的が見透かされるんじゃないかって、不安になってしまう。なんたって、三三歳で次長に抜擢されるほどの彼女だもの、観察眼は鋭いことだろうし。そう思うと、よけいドキドキしてくるみたい。
「ねぇ、高木さん。お芝居の衣装にするなら、それよりも、これとこれの方がいいんじゃないかしら? あなたが選んだものは、可愛いいし上品なデザインだけど、離れた観客席から舞台を見ても、可愛いさは見えないと思うの。それよりも、多少色合いがきつくても目立つデザインの方がいいんじゃない?」彼女が言った。確かに、彼女の言うとおりだとは思う。思うけど、本当の目的は違うものねぇ。とはいっても、彼女にそれを説明することはできないし。小さく溜息をつくわたしを見て、彼女は続けた。「お芝居は関係ないみたいね? あなたの大きな赤ちゃんに似合う可愛らしいベビー服を捜してるんじゃ、なくって?」
小さくビクと身体を震わせてしまったわたしの横に腰かけながら、彼女は続ける。「図星でしょ。いいことを教えてあげるわね。 NNではね、そういうお客様のために特注のベビー服を作る仕事を二年ほど前から始めてるの。そういうマーケットが有るなんて、あなたは初耳かも知れないけど、案外需要が有るのよ。私が営業課員からここまで出世したのは、会社の上層部にそういった新しいマーケットが有ることを知らせ、拡販に走ったためなのよ。」
わたしは、少しのあいだ唖然としていた。
神谷早苗をわたしのベビーにしてしまいたいと思いついた時は、夢中でその準備に走り回ろうとしたけれど、流石にこの会社へ到着した頃には、わたしは何を考えているのだろう、わたしの頭は変になってしまったんじゃないか、と後悔し始めていた。それなのに、わたしのような性癖を持っている人がたくさんいる、という話を聞かされたんだ。
そのうち、わたしの心の中は晴れ晴れしてきた。わたしの考えは、正常じゃないかもしれない。でも、孤独でもないんだ。
「それじゃ、このサンプルはしまってしまいますね。」机の上のベビー服を箱の中に整理し終えると、彼女は別の箱を幾つか用意した。その箱の中身を取り出しながら、彼女はわたしに言った。「今度のサンプルは、いかがかしら?」
机の上に並べられた新しい商品サンプルがわたしの目を釘付けにしちゃった。
そう。これこそ、わたしが捜していたものだわ。レースのフリルいっぱいのブラウス、うさぎのアップリケがついたロンパース、丈の短いベビードレス。
それだけじゃ、ない。動物や水玉のプリントが可愛いいよだれかけ、花の刺繍がついたベビー帽子に、とても可愛らしいソックス。
わたしが目を皿のようにしてサンプルを見ている間に、彼女は別の箱を開けて、その中身を机の上に並べて言った。「どう、こんなのも必需品でしょ?」
彼女の言葉に促されてそちらを見たわたしの頭に血が昇った。顔が上気してるのが、はっきりわかっちゃう。絶対に要る。要るんだけど、どうやって手に入れればいいのか、考えに考えていたもの。
オシメカバー。病人看護用の素っ気ないものじゃなく、紙オシメのように直接的なものでもない。サイズ以外は赤ちゃん用のそれと全く違わないそのカバーは、文字通りわたしの心を奪ってしまった。
肩で息をしながら、なんとか出した声はかなりうわずってただろうなぁ。「すごいですねぇ。これ全部欲しいんですけど、在庫は有りますか?」
サイズを確認して代金を支払い、荷物を宅配便で送ってもらえるように手配が終わった頃には、お昼を大分過ぎちゃってた。駅まで彼女に送ってもらったついでに遅い昼食を二人でとることにした。お昼を食べながら、どうしてあんなことを思いついたんですか、って彼女に尋いてみたけど、彼女はニッコリ笑うだけで教えてくれなかった。
【三月二九日】
いよいよ家具屋さんの荷物が届いた。
早苗の部屋を合鍵で開けて、ベビー箪笥とベビーベッドを入れてもらった。家具を入れただけで、部屋の雰囲気がすっかり変わったみたい。ほんとにベビールームらしい感じがするもの。
部屋に作り付けになっているクローゼットのドアを開けてみた。その殆どが空いた空間のまま。気を使って、あまり服を持って来てないようね。ハンガーに掛っている服の内、可愛いいデザインのや、カジュアルっぽいのは、たたんでベビー箪笥に納めてしまう。大人びたデザインのものは、そのままハンガーに掛けておいた。多分、着るチャンスはそんなに無いだろう。
引出から下着類を出して、これも箪笥へ移してしまう。ちゃんとした下着なんか要らないかな、とも思うけど、外出の時には必要になることもあるかもしれない。そう考えて、移すのは三分の一くらいにしておく。
更に、ベビー箪笥にベビー服、ソックス、帽子、よだれかけ、オシメ、オシメカバーを納めた。宅配便の箱からそれらを取り出してたたみ直す時、なんともいとおしく感じた。
おしゃぶりや哺乳瓶なんかは、藤製の小物入れにしまっておく。
【三月三〇日】
午後から、内装屋さんに来てもらって壁紙を貼ってもらった。
ほんとにこのクローゼットを隠しちゃうように貼っていいんですか?って念を押されちゃった。そうだろうなぁ、事情を知らない人が見たら、ほんとにもったいないと思うだろう。
新しい壁紙ですっかり化粧し直した部屋の天井からメリーサークルを吊り下げた。それと、藤製のバスケットを買ってきて、これも天井から吊っておいた。この中にオシメを何組かとオシメカバーを入れておけば、彼女にとっては、自分があててなきゃいけないオシメがずっと目に付くことになるから、少しでも早くベビーになった自分に馴れるかもしれない。
さあ、完成。
早く、彼女の驚く顔が見たい。
【四月 二日】
夕方、彼女がやって来た。
「ほんとは、もっと早く来るつもりだったんですよぉ。でも、両親が先輩に御挨拶したいから一緒に行くって言い出したんです。そうするのがホントだろうな、とは思ったんですけど、先輩の前で思わず親子喧嘩になっちゃったらイヤだし。そんなこんなしてるうちに遅くなっちゃいました。」彼女は玄関で謝り始めた。
「いいから、いいから。まず、中へ入りなさいよ。」彼女のバッグを持ちながら言い、一言つけ加えた。「あなたの部屋ね、壁紙を貼り替えてあるのよ。まだシンナーが残ってるかもしれないから、部屋に入るのは明日にして欲しいの。だから、今晩は共同の部屋を使ってくれる?」もちろん、嘘。壁紙の貼り替えにシンナーなんて使ってない。でも、彼女が今、あの部屋を見れば逃げ出してしまうかもしれない。一応の着替えが入ったバッグや財布を、今は持っているんだから。
パジャマに着替えてから、とりあえず、いらっしゃいませパーティーを開こう、ということになって缶ビールで乾杯した。以前のオネショ事件のせいか、彼女は進んで飲もうとはしなかったけど、二口、三口と嘗めているうちに、急にグビグビと飲み始めちゃった。
二本目をカラにしちゃった頃だろうか? やっぱり前みたいに彼女がウツラウツラし始めた。「早苗ちゃん、眠いの?」わたしは尋いてみた。ふにゃふにゃという声が彼女の口から聞こえた。
「はい、お水よ。」コップを彼女に差し出した。なんとか両手でそれを受け、飲み干していた。もうすぐ、彼女はそれこそ死んだように眠ってしまうことだろう。コップの中には、薬学部の友人に無理を言って手に入れた睡眠薬が入ってるんだもの。
眠っている彼女を、なんとかわたしのベッドに連れて行った。眠りこけてる人間って、どうしてこんなに重いのかしら? 息がゼイゼイいってるわ。その後、彼女のバッグの中身をベビー箪笥の中にしまいこんだ。
コップや食器を片付けてから、わたしも彼女の横にもぐりこんだ。
夜明け前、午前四時頃だろうか。わたしは目を覚ました。横を覗きこむ。小さな寝息をたてて、彼女は眠っている。そっと、右手を伸ばして彼女の股間に当ててみた。濡れた感触が伝わってきた。どうやら、思惑どおりにいきそうだわ。
わたしはもう一度眠りにおちた。
【四月 三日】
「おはようございます。」
耳許で小さな声がした。
声の方を見てみると、彼女が、それこそ消えいらんばかりにモジモジした様子でベッドの脇に立っていた。
「どうしたの?」彼女がパジャマのズボンを穿いていないのを確認して、わたしは言った。「そんなカッコじゃ、風邪をひいちゃうでしょ。」
「え、あの、またやっちゃったみたいなんです。」
「やっちゃったって、何を?」とぼけて尋ねてみた。彼女の顔が、今にも泣きだしそうになっていた。その表情がたまらなく可愛らしく思えた。「まさか、また?」事情を知りながら、どころか、わたしがそうなるように仕組んでおきながら、彼女に確認をとった。コックリと頷く彼女に優しく言ってあげた。「気持わるいでしょ、シャワーを浴びてきなさい。洗濯の準備はわたしがしておいてあげるから。」
彼女は素直にバスルームへ向かった。
ベッドのシーツを洗濯機に放りこんだわたしは、彼女の部屋に入った。天井からぶら下がっているバスケットから一組のオシメとオシメカバーを取り出した。脱衣場のカゴの中に有った彼女の衣類を洗濯機に放りこんで、その代わりにオシメを入れておいた。それから、ベビー箪笥からロンパースやよだれかけを出して、ベビーベッドの上に広げて置く。
しばらくすると、バスルームからわたしを呼ぶ彼女の声が聞こえてきた。「すみませーん、先輩、いらっしゃいますか?」
「わたしなら、ここにいるわよ。どうかしたの?」わたしはバスルームへ向いながら返事した。
「あのぉ、私のパジャマとか下着、知りませんか? ここで脱いだんですけど。」
「ああ。それなら、洗濯するから、洗濯機の中よ。」自然な口調で答た。「代わりの下着が脱衣カゴの中に有るでしょ。」
「代わりって、あのぉ、これですか?」オシメカバーを持った右手だけをバスルームのドアからつき出して、彼女が尋いてきた。「でも、これって、あのぉ…」
「そうよ、オシメよ。」脱衣場へ入りながら答えた。「眠るたびにオネショしちゃう人にはピッタリの下着でしょ。あちこちで捜したの、サイズも合うはずよ。」決めつけるような口調で言っておく。
「でも、ですねぇ…」彼女はなんとか抵抗しようとしている。
「いやなら、着けなくてもいいわ。でも、それを着けないなら、あなたの着るものはこのマンションには何も無いわよ。」最初が肝腎よ。彼女の言うことには耳も貸さずに、こちらの言うことを押し通す。「ずっと裸でいたいのなら、それでもいいわよ。オネショしちゃうような子には、それもお似合いかもしれないわね。」
「だけど、私が持ってきた下着とか服が有るはずなんですけど。」わたしの態度が変わったことに脅えているのか、震えるような声で抗弁してきた。「いいです。自分で部屋へ行って、取ってきますから。」バスタオルを体に巻きつけただけの格好で、彼女は自分の部屋へ向かった。
部屋に足を踏み入れた彼女は、なんともいえない顔でわたしを見た。
「わたしの言うことを聞くしかないってことが、わかった?」少し優しさを込めて言った。「あなたは、とても可愛らしいわ。あなたなら、きっとわたしの可愛いい赤ちゃんになってくれる。――いいこと、この部屋は意地悪でも悪戯でもないの。あなたへの、心を込めたプレゼントだってことを、わかってちょうだい。」
いやいやをするように頭を振りながら、彼女は共同の部屋へ走った。そこには、彼女が昨日持ってきたバッグが有ると思ったんだろう。バッグの中には、とりあえずの着替えも入っている…。
ムダだった。わたしが全て片付けておいたのだから。着替えも、財布も、何もかも。
「わかった?」風呂上がりの、逃げ回る赤ちゃんのあとを追いかける母親のように、オシメを手にしたわたしは彼女に近づいていった。
「ごめんなさい、もうしませんから、今度だけは許して下さい。」床に両膝をついて座りこみ、泣きながら彼女が懇願する。「だから、オシメだけはイヤ。」
わたしは溜息をついて言った。「そう。それほど言うなら、わかった。」わたしのその言葉に、許してもらえると思ったのだろう。彼女はホッとした様子で立ち上がろうとしている。その彼女に、わたしは冷たく言い放った。「さっきも言ったでしょ。このオシメを着けないなら着けなくてもいいわ。だから、裸のままでいなさい。ああ、そのタオルだけは貸しておいてあげるから、風邪をひかないように気をつけるのね。」
いったん部屋に戻ったわたしは、机の引出をさぐった。確か、マンションのキーを管理人さんから渡される時に、一緒に貰ったはずだ。今わたしが探しているのは、トイレとバスルーム共通のキー。普段、そんな所に外から施錠することなんてないから、どこにしまったか、なかなか見つからない。――これかな?
やっと見つけたキーで、トイレとバスルームのドアに鍵をかけちゃった。いくら彼女が頑張っても生理現象には勝てっこない。その時をゆっくり待つことにしよう。
二時間が過ぎた。
彼女は、まだ共用の部屋にいるみたい。自分の部屋へ戻る気には、ならないだろうな。戻ったりしたら、これから自分がどんな格好をさせらるか、いやというほどわかってしまうもの。
更に、一時間が流れた。
トイレのドアをガチャガチャさせる音が聞こえてきた。いよいよ、ね。「無理よ。そのドアには鍵がかかってるわ。」冷たい声で教えてあげた。わたしが何を言ったのか、わからないような表情を浮かべたのは一瞬だけだった。すぐに彼女はバスルームへ向かおうとした。その背中に声をかけた。「バスルームも、同じよ。」
振り返った彼女は、恨みがましい目でわたしを睨みつけた。きゃ、こわい。
でも、その目も長くは続かなかった。身体を小刻みに震わせながら、下まぶたに涙を盛り上がらせた。「どうして。どうして、こんな…」あとは、言葉にならないようね。
わたしは、あやすように言った。「我慢してると身体に毒よ。さ、オシメをあてましょうね。そうすれば、オモラシしてもかまわないのよ。」
わたしは一歩、彼女に近寄った。逃げるように後ずさった足が何かに滑ったのか、彼女は尻餅をついた。その拍子に。我慢しきれなくなっちゃったんだろう、彼女の股間からオシッコが勢いよく吹き出し始めた。少しでも飛散範囲を小さくするために、彼女が体に巻きつけているタオルを剥ぎ取って、股間にあてた。
「もう大丈夫よ。でも、またオモラシしちゃうといけないから、オシメをあてておこうね。」わたしが後片付けを終えた後も、彼女は泣きじゃくっていた。涙をふき、髪を撫ぜながら、彼女の耳許で言い聞かせた。「ここは寒いわね。早苗ちゃんの部屋に戻りましょうね。」
彼女は、素直にコックリ頷いた。左手を引いて、彼女を部屋へ連れて行った。ベッド脇の床にオネショシーツを敷いて、その上にオシメカバーとオシメを用意した。完全におとなしくなった彼女のお尻をその上に置かせることは、難しくはなかった。
「すぐにすみますからね。」幼児に言い聞かせるようにしながら、彼女の口におしゃぶりをくわえさせた。無理矢理くわえさせたんじゃない。彼女におしゃぶりを見せた途端、彼女の方からくわえにきたのよ。ガラガラも自分から握りにきたくらい。ガラガラを握った手をさかんに動かして、その音を聞こうとしている。
ベビーパウダーをつけ、オシメをあてようとして気がついた。そうだ、こんなものは赤ちゃんに似合わないわよ。
バスルームでシャボンを用意して、彼女の股間につけた。ビクッ、と体を動かした彼女は、それでもおとなしく、わたしのなすがままにされていた。傷を付けないように神経を集中してカミソリを動かした。その間も、彼女はおしゃぶりを吸い、ガラガラを握った右手を振っていた。
大人の尿を吸収するのにどのくらいのオシメが必要なのかわからないので多目にあてておいた。そのために、両足を揃えて伸ばすことができなくなり、本当の幼児のように少しO脚になっちゃってる。その格好がまた、愛くるしいの。
「さあ、終わりまちたよ。よく我慢ちてまちたねー。」幼児語で話しかけながら、頬ずりをしてみた。彼女は、嫌がる気配を全く見せずに、なすがままになっている。時折、ニッコリと笑顔さえ見せてくれちゃう。
さっきのオモラシの後、急に幼児退行しちゃったみたい。神谷早苗という赤ちゃんが誕生した、という喜びでわたしの胸が満たされた。
レモン色のブラウスを着せ、その上にベビーピンクを基調にした色合いのロンパースを着せてみた。二匹のリスが遊んでいる絵のよだれかけを着け、白地に小花の刺繍をあしらったベビー帽の紐を結び、ピンクのソックスを履かせると、どこから見ても一〜二歳の赤ちゃんのようだった(大きさ以外は、ね)。特に、多目のオシメで膨らんだヒップラインは幼児そのもの、って感じだもの、可愛らしいんだよ。
少し重いけど、なんとか彼女をベビーベッドに寝かして、メリーサークルのスイッチを入れてあげた。くるくる廻る人形を見ていた目も二〇分くらいで閉じられ、小さな寝息が聞こえてきた。
早苗が目を覚ましたのは、午後の三時頃だったかしら。様子を見に行ったわたしの気配に気付いたのか、ゆっくりと目を開けてから言った。「ぱいぱい。」
「そうね。お腹すいたのね、もうお昼過ぎちゃってるもんね。」彼女に言いながら、オシメカバーの中に手を入れてみた。冷たい感触があった。「すぐに、ミルクあげるから待っててね。でも、その前にオシメ替えちゃいましょうね。気持わるいでしょ?」
ベビーベッドのサークルをたおしてロンパースの股ホックを外した。オシメカバーを開けると、オシメがグッショリ濡れているのがわかる。優しく声をかけながら、手早く取り替えた。「できたわよ。新しいオシメでスッキリしたでちょ。」
気持よさそうにニッコリする彼女の上半身を抱き上げて、わたしは自分のブラウスのボタンを外し始める。「いま、パイパイをあげますからね。しっかり吸ってね。」わたしの乳首を口に含ませると、彼女は無心に吸い始めた。
赤ちゃんにお乳をあげている満足感と、同性に乳房を愛撫されている快感とを同時に感じちゃう。わたしの心の中で、何かが弾け跳ぶ気配がした。
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そういうことで、わたしに赤ちゃんができちゃった事情をわかって頂けたと思います。哺乳瓶の消毒や、オシメの洗濯(ほんとの赤ちゃんに比べるとずっと量が多いの。大変なのよ)をしながら、楽しく二人で暮らしています。
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