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日曜日の工作 2SA1385/2SC3518 transistor 'mini-watter' amplifier
木曜日の工作 2SA1931/2SC4881 transistor 'mini-watter' amplifier


おしながき

はじめに1

日曜日の電子工作です。ぺるけ氏発表のトランジスタ式mini-watterアンプをつくります。
ある日秋葉原に行ったら、秋月電子にAKI-DACが再入荷していました。でも、自分のPCは同じDACを使ったUSBオーディオなのです。いらないと思いつつも、再入荷していたのを2つ購入したのは秘密です。
件のトランジスタ式mini-watterですが、初段2SC2240(ある)、次段2SC4408(ある)、終段の2SA1931/2SC4881(持ってない)ということで、あとは能動部品はなし、つまりお小遣いの範囲でアンプができてしまうのであれば、これは作らないわけにはいきません。まったく同じというのもつまらないので、なるべくコンパクトなアンプに仕上げようと思いました。本当は終段に2SC241という、TO-3のトランジスタを使用したかったのですが、これはコンプリペアがありません。準コンプリメンタリ、というアイディアがありますが、自分の設計能力がついてから、ということになります。
さて、私の一般部品の購入ルートは、秋月、鈴商、千石、ラジデパ、若松、たまにマルツ、といったあたりです。汎用品じゃないトランジスタはまず鈴商を探すことになります。C4408は鈴商で売っています。ちなみにコンプリのA1680は千石にあります。A1931/C4881は鈴商にありませんが、千石にあります。鈴商で代わりを探していたところ、2SA1385/2SC3518のコンプリペアをみつけました。なぜか英文のデータシートに「だけ」コンプリであるという記述があります・・・ というのは買い物にいく前にインターネットで調べるのですが。
というわけで、A1931/C4881も千石で買ったんですが、ついでにA1385/C3518も購入してみます。買うときに気づいたのですが、こいつらはTO252の表面実装部品。でもちょっと安いです。表面実装部品だけど、そんなに小さくないため万能基板にマウントできそうです。放熱がちょっと心配ですが・・・ 本家のも放熱板ついてないし・・・
そうだ、秋月の両面基板を使えばいいのだ。と勝手に納得し部品を集めます。
半導体は安くていいのですが、コンデンサがジャブのように部品代に響きます。そうだ、これも秋月の16V/1500μFを使おう、これなら1本20円だ。
プアオーディオの始まりです。

2SA1385とと2SC3518

わざわざページまででっちあげるには、元々のトランジスタと交換可能であることを示さないといけません。だめならこのページがそのまま消滅するのみです。
耐圧に関しては問題ありません。C4881のコレクタ損失が2.0W(Ta=25℃と書いてあるが、おそらく放熱板なしの値でしょう)であるのに対し、こちらはプリント基板装着時に全損質が1.0Wです。そもそもTO252パッケージをどうやって放熱板にくっつけるのでしょうか。誰か知ってる人はいませんか?
他には、hFEの直線性なんかはC3518のがよさそうです。
掲示板には、「TO-220サイズで0.5A流したときにもhFEが下がってこないで耐圧が30Vくらいのコンプリペア」という記載があります。仮に100mA流したとき、およそトランジスタには6Vかかってますから、6x0.1=0.6W。とりあえず規格には入ってそうです。実際アイドリング時に180オームの電圧降下を見てみると5.7Vくらい。30mAちょっと流れていることになるのかな?
(ぺるけさんの掲示板に拙ページのリンクを張らせていただいたところ、コンプリペアでなくてもいいらしいです。ありがとうございます。でも手元にあるのがこれだけなので、後日いろいろ考察してみたいと思います。ありがとうございますといえば、リンクを張ったおかげで一日に500アクセスという、偉いたくさんのページビューをいただきました。これもありがとうございます)。
今回はとりあえずこの仕様で煮詰める予定です。

配線

回路に関してはぺるけさんのそのまんまです。配線に関して。
いわゆる「秋月C基板」に全部のっけます。適当に部品をさしてシミュレーションしてみたら、よさそうなのでそのままハンダ付けしてしまいました。トランジスタとダイオードは、面実装部品であることをいいことにトランジスタの上をまたぐようにダイオードを実装しています。手元にグリスがないのでとりあえず密着のみです。トランジスタには十分な空きパターンを差し上げたかったのですが、スペースの関係であまり空きがとれませんでした。スルーホールの両方にハンダを流したのですが、ちょっと触れないくらい熱くなります。
基板の半分はコンデンサです。16V/1500μFの電解コンデンサを出力のところに各2本、電源に2本、それぞれパラレルにして3000μFを稼ぎます。8本使ってますが合計で160円です。安すぎ。
完成してみると音は出たのですが、なぜか逆相の音がスピーカーから出ています。普通の曲がカラオケ状態になる。配線を何回か確認しましたが、とりたてて間違いはないようです。ケースの絶縁が、という問題があったのですがRCAピンジャックのところでちゃんとアースに落ちていそう、ケチったのでVRのところでもシャーシアースに落ちており、アースループができる懸念はありましたが明らかにおかしくはないだろう、何でだ? と思っていたのですが、アースポイントとしたところと「電源のー側を接続し忘れる」、ということをやっていました。信号の信号のアースはグラウンドが浮いた状態でぐるぐる回って逆相の出力となって飛び出したようです。
と、これを直したあとから片チャネルだけハムが出ています。これも、上の間違えがあったときに片チャネルのアースを外したりしたのがそのままであり、アースが浮いていたことが原因でした。アースは大切です。Save the Earth。

かかったコスト

部品単価数量買った場所
2SC224010220秋月(20本入り)
2SC440830260鈴商
2SA1385502100鈴商
2SC3518802160鈴商
PS2010254100秋月(10本入り)
抵抗(1%1/4Wとして概算)1027270千石
コンデンサ1500μ/16V(松下、面実装品)208160秋月(5本入り)
10pF10220千石(とりあえずセラミックCがついている)
4.7μ/50V(MUSE緑を奮発)30260千石
パネル用LED10110秋月(20本入り)
50KΩBx2、SW付きアルプス2501250秋月
つまみ1501150忘れた
RCAジャック40280秋月
スピーカー端子1501150門田無線あたり
DCジャック40140秋月
YM-130 Takachi7401740千石
秋月C基板1001100秋月

合計2470円。安いよ、安すぎるよ。他に何か足しても3000円でおつりはくると思う。ぺるけさんのオリジナルはいいケースを使っているのですが、ラグ板を用いても5000円くらいでできあがるのではないでしょうか?
門田無線に買い物に行ったとき、電話口で店員さんが「はい、門田無線(もんたむせん)です」って言ってました。ホームページのアドレスもe-montaだったと思います。実はもんたむせんって読むのか?


はじめに2

自分だけではないと思うのですが、部品を買うときに多少多めにそろえる人は多いのではないでしょうか。もちろんある程度ハンダ付けをしていると、家にジャンク部品が余っていると思います。私もご多分にもれず、同じ容量の抵抗を4本以上購入するときは100本入りを購入したりしています。半導体も「選別」という手段をするようになってから、余裕を持った本数の購入をすることになりました。で。

上のをつくってから、しばらくしてからぺるけさんのページを拝見すると、

「Part2」なるものが!!

抵抗はいっぱいあるぞ、コンデンサはあまりないけど・・・・
初段・次段のトランジスタは在庫がある。終段は上で買ったやつがある。上のはがんばって秋月C基板に押し込んだけど、今回はその気合いだけが欠落。秋月B基板でやってみようじゃないですか。

部品(有りもので済ませるの法則)

写真の通りです。デジタル回路をいじっていたため、1/6Wの抵抗を組み合わせたところがいっぱいあります。電流が流れなさそうなところに使用します。灰色の巨大な抵抗がありますが、これは父親からもらったものです。基板に取り付けると、寝かせても立たせても存在感ありすぎです。(P型というんだそうです。そういえば思い出しました。L型ってのもありました。)
今回は基板に余裕があるので寝かせます。立体交差がしやすくて良い。ちなみにこのサイズで1/4Wです。180Ωは定格に余裕がないですが、大きいのでいいことにします。
出力段の電解コンデンサは毎度おなじみの秋月パナソニック表面実装品、電源のコンデンサは手持ちの4700μFを投入しました。おかげで背が高すぎです。入力のカップリングの電解コンデンサ、ELNA製なんですけど、これって自分が小学生のときに「コンデンサつかみ取り」でゲットしたもの。
電解以外のコンデンサも、手持ちにフィルムコンデンサがなく、大昔のセラミックコンデンサを使っています。長い眠りから覚めた部品で組んだアンプは、はたしてどんな音がするのでしょう?そういえば真空管なんてまさにそんなもんですね。

ケース

写真の通り、C基板の2倍のサイズの基板に全回路をでっちあげました。このくらいの方が左右の信号の飛び込みとかがなくっていいのではないかと勝手に考えます。上のやつはタカチのYM-130というのに入れることができたのですが、ケースは予備がありません。ここでは、モロゾフのお菓子の缶(クリスマス ティーブレークと書いてある)に投入し、見た目と出てきた音のギャップを感じ取ってもらうことにしました。
フタが一体型でないケースでは、配線がのたくってあまり美しくないです。将来のちゃんとしたケースに投入するためにも、基板は置いたまんまです。ショートが怖いので、紙が敷いてあります。

かかったコスト2

花輪くん「さくらくーん、ちちち、これは家にあったから「タダ」なのさ。」
はい、こんどはほんとにお金かかってません。ほとんど手持ちの死蔵品です。あとは10年選手ならまだマシですが、20年選手や40年選手の部品ばっかちです。死蔵品でこんなにいいものができるなら、電子工作ってすばらしいと思います。

音について

自分の耳はあまり信用できないんですが、どちらのアンプもしっかりスピーカーを鳴らせています。自分の部屋の小さいスピーカーから、リビングの大きいスピーカーまで鳴るのはちょっと驚きです。
「その1」の方がどちらかというとまったりした感じ、「その2」の方がしっかりとした感じです。個人的には、しっかりケース加工をした方からしっかりした音が出るのを期待したのですが、実際は逆でお菓子の缶からしっかりと音がでるのでちょっと意表をつかれた感じです。
6CA7全段差動アンプと比較するとやはり全段差動に長あり、と思いますが(これも自分の主観maxですが)、「その1」でコストパフォーマンスは20倍以上、「その2」なんてコストパフォーマンスはおよそ無限大です。日曜の電子工作にこれ以上を求めることがあるでしょうか?

2015年のバージョンアップ

new version

やたら集積度がアップしてしまったversion2。
裏面はUEWによる多層配線の嵐・・・

ディスクリート半導体はことごとく販売中止となり、部品入手が困難になりました。 オリジナルのA1931/C4881もご多分にもれずです。幸いなことに2SA1385/2SC3581はメーカーによると2030年までの供給が保証されているようです。そのため、というわけではなく、version4をつくるのにお菓子の箱の部品をむしってしまいケース加工をちゃんとやったversion1が残っているという状態となってしまっていたため、じゃあこれをversion2にバージョンアップすればいいんじゃないか、と安直に考えた次第なのです。
考えるのとやるのとは大違いで、空いているランドになんとか部品は実装できたものの、裏面の配線はUEWの嵐。一応音は鳴っていますが、ノイズ的にははなはだ不利そうです。画像で見えている白いのは、ダイオードとトランジスタを熱結合するためのシリコングリスです。PC用です。
アイドリング電流を測ってみましたが、約140mAもあります。このダイオード、Trのペアはあんまりよろしくない気がします。結構ケースやらTrやら、熱くなります。これについてはまだまだ考察が必要な状態と思われます。最初はいろいろ配線ミスやら部品ミスやらがあって、トランジスタが文字通り触るとやけどするくらい加熱したりしたけれど、なんとかなっています。絶対Tj>150℃はあったと思う・・・
今回ページ改訂にあたり、半導体の項をみましたが2SC2240も2SC4408も入手困難です。なんかがっかりしますね。


Last modified: Tue Jun 16 21:10:13 JST 2015