8月10日

幸せ探して



敬子ちゃん、北海道には台風は来ません。
本土に上陸した台風も北海道に達する頃には、温帯低気圧に変わって、勢力も弱まっている・・・
でも、それは間違いだった。

こんな日を台風一過の好天と呼ぶのだろう。夜半に通り過ぎた台風は道内の各所に爪あとを残していった。
日高地方は占冠(シムカップ)を初め、大きな被害が出た。日高から十勝へ抜ける日勝峠も通行不能になっていたし、
僕らが昨日行こうと思っていた、上士幌町でもワゴン車が流されて犠牲者が出た。
僕らの翌日のフェリーも影響を受けて9時間遅れの出航だったらしい。そんな中を、ここで過ごせたのはとても幸運だった。

この幸運を倍増させるべく、僕らは近くの幸福駅交通公園に寄った。昭和62年に廃線になった元国鉄広尾線の ”幸福駅”跡が
小さな公園になっている。不思議なことに?相変わらず、ここでは、毎日当日の日付が入った切符が買えるのだ。
こうして、幸福への切符を手に入れた僕らは一路東をめざした。


誰もいない海



冠水した道路を渡る



赤く染まった白糠海岸



帯広から釧路へ向かう国道38号線は途中いくつもの川を渡り、海沿いを走る。その度に川は茶色い泥色をしていて
その水が流れ込む海岸線も赤茶色い海を作っていた。それは初めて見る赤い海だった。当然泳いでる人もいない。
そして、海から吹き上げる風に乗って町全体をまるで黄砂のように霧に包んでいた。
何も障害の無いはずの、白糠(しらぬか)の街中で、順調に走る僕らの前でいくつものブレーキランプがそのペースを乱した。
その先にあったのは約200mに渡る道路の冠水だった。
台風が残したタイヤの半分近くある"湖"の中を止まらないように慎重に、かつ迅速に走り抜ける。

車が釧路の街に入るころには、丁度昼時になっていた。


真夏の太陽


慶子ちゃん北海道の夏は涼しいなんてウソです。
釧路市内では30度を越し、照りつける太陽は僕の右腕を真っ赤に焼いた。
それでも、窓からは時速90Kmの風が入ってくるので、暑さは気温ほどに感じなかった。

市内で、昼食と買出しをすることにした。ここから、厚岸、根室を通って別海へ行くと時間が遅くなりそうだったので、
途中、寄ったスーパーで、"暫定"でロシア産の北海シマエビと毛蟹をゲットした。本物は明日の楽しみにおいておき、まずは市場調査だ。
寄り道をしなかったお陰で約100Km先の別海へ到着したのは、午後3時半すぎだった。
内陸に入るにつれ、気温はぐんぐん下がり、別海に到着するころには寒暖計も25度くらいにダウンしていた。
思っていたより空いているサイトで、ほぼ希望通りの場所と電源を確保して、ここを2泊の安住の地とした。
温泉で汗を流し、火照った右腕を冷ましてサイトへ戻ると、気温は更に放射冷却でぐんぐん下がり就寝前には16度までダウンしていた。
僕らは持ってきた長袖のフリースを羽織り、仕入れてきたロシア産のエビとカニを肴に、熱燗を重ねていった。




8月11日


風に吹かれて


圭子ちゃん、北海道に梅雨が無い・・・だけどそれは間違いです。

その日、小雨交じりの空模様だった。
ゆっくりとした朝食の後、この日は移動の予定もないので、僕らはきままに買出しに出かけることにした。
野付半島の尾岱沼(おだいとう)の北海しまえび、花咲港の花咲カニを今夜の食材として手に入れるためだ。
まずは、野付半島を目指した。野付半島の先端近くにトドワラがある。ここはトドマツの林が
海水に侵食されて、殺伐とした風景をかもし出している。大台ケ原を水に浸したような風景だと言ってしまえば、それまでだが・・
駐車場から往復約40分の散策路があり、昨年も同じ処に来たのだが、時間の関係で散策はパスしていたが、
今年は十分時間がある・・ので散策を楽しむ。


トドワラ


丹頂鶴
約200m先で肉眼では点にしか見えなかった


再会

が、ゆっくりとし過ぎたようだ。すでに昼近くになっていた。
野付半島を引き返し、尾岱沼の漁港に立ち寄り、北海シマエビを捕獲することにした。漁港には数軒の店が並んでいる。
1パックには相当の量が入っていて、食べ切れそうにないので、僕らは、計り売りで適量を買うことにした。
お値段は昨晩のロシア産の10倍ほどだが、 大きさはこっちの勝ち。
夕方まで持つように氷付けにしてもらった食材をクーラーに詰め込み、花咲港へ向かった時にはすでに、昼を回っていた。

ここから約70Km・・1時間ほどの距離だが、僕らは途中のコンビニで昼食となるものを買おうと試みたが、
道中にその店を見つけることは無かった。途中の道の駅”スワン44根室”で”丹頂鶴”を観察して、
花咲港にあるカネイ水産に着いた時には、長針は更に一回りしていた。

店にはなつかしくそして元気な"お姉さん"が待っていた。
店に入り、まずは食事をしたい旨を伝えると、サンマ定食(一応800円の札が掛かっているが・・)を用意してくれた。
たっぷりのサンマの刺身と塩焼き・・は脂が乗って絶品だった!に花咲カニの鉄砲汁、お代わり自由のご飯、漬物 etc・・・
すっかり満腹になった僕らは、改めて3年前に"筋子"(鮭やマスの卵)でお世話になったことを伝えて、タラバカニを所望した。

2人だったので小ぶりのものを買い求めると、お姉さんは足が欠けているからと花咲カニを一杯おまけでつけてくれた。
欠けているといっても、身がほとんど無い一番小さい足で、実食にはほとんど影響ないのだが・・・
更に精算を済ませると、なんと先ほどのサンマ定食は無料、おまけに筋子を1パックに、鮭の切り身を片身頂いた。
オマケを市価に直すと、実質カニ代はタダになってしまった(笑)
それから、港近くの車石でカモメとしばし戯れて、思った以上の戦果を挙げて僕らが前線基地に戻った時には
薄日も差して、午前に降った雨で濡れたテントはすっかり乾いていた。

その夜、僕らは持ってきた長袖のフリースを羽織り、仕入れてきた国産のエビとカニを肴に、熱燗を重ねていった。(笑)

〆(しめ)は、もちろん頂いた、筋子をまるまる1本使った贅沢なお茶漬けだった。

今回は、筋子と鮭の切り身のおかげで、何回もご飯を炊くことになった。
電気炊飯器には持ってきてなかったし、fan5(ライスクッカー)を使うには二人分には大き過ぎるため、小さなクッカーで無洗米を入れて
食べたい時に焚き上げた。おかげで、ご飯焚きに関しては、
僕は今やちょっとしたベテランと思われ…



花咲港の車石


私はかもめ



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